合格したよ 
  
 sohta(ソウタ) : 東京都、27歳男、会社員(人事部)、受験歴2回 
1. これまでの学習スタイル、学習時間など 
 平成20年に初めて社労士試験に挑みました。このときは本当に準備不足で、今思い返すと無謀な挑戦だったと思います。
 勉強時間は4月中旬〜8月試験までの約4ヶ月。うち、6月に3週間ほどブランクがあったので、実質4ヶ月ぐらいでした。
 平成20年の試験のあと、その日にネットで解答速報を見て愕然とし、その後一念発起して猛勉強しました。
 時間の合間に勉強する生活から、勉強の合間に食事や睡眠をとる生活になりました。  
 2度目の試験に向けた学習時間は9/1〜8/22で1328時間でした。
 
 平成20年の試験で、「敵を知る」ことができたので、その戦略を緻密に立てるところからはじめました。
 自分の弱点、勉強方法、目標とする勉強時間など・・・
 社労士試験において、計画的な学習方法とスケジュール管理は不可欠だと思います。
 まず、学習時間を「1日3時間、本試験まで最低1000時間」としました。
 私は普通の会社員ですので、平日は仕事があります。ですので、学習時間の確保は隙間時間を有効に、そして確実に確保することにしました。
 平日は通勤時間往復で1時間半、会社の始業前30分、昼休み45分、択一式過去問(解説まで一文字一句読み解く)を1日3問(約15分程度)の合計3時間は1日も欠かすことなく徹底しました。
 土日は通勤時間が無い分、その時間をテキスト読みの時間にしました。
 勿論、お正月・GW・夏季休暇も1日も休まずに徹底しました。(本当に1日も欠かさずにやりました)
 上記は最低限やることなので、これに加えて余裕のあるときは過去問を中心に解き、更にテキストを読み込みました。

 ここで工夫したことは、「会社ではテキスト中心、帰宅後は過去問中心」に学習することです。
 心も身体も疲れてくるとどうしても「インプット」の能率は上がりません。
 そこで、会社の始業前と昼休みの体力があるうちにインプット(テキスト読み)をし、疲れた帰宅後はアウトプット(過去問)をすることにしました。
 眠気はコーヒーなどで何とかなりますが、疲れているとテキストを読んでも頭になかなか入りません。
 しかし、問題を解く分には疲れていても頭は回るものです。  
  使用したテキストはU−CANの通信教育(平成20年度用)とU-CANの「速習レッスン2009」(市販)です。
 通信教育のテキストは元々20年試験用として購入したので、21年度試験に向けては9月〜12月にかけて全科目1回転の読み込み、その後は21年度対策の「速習レッスン2009」を1月〜7月で2回転しました。
 この際に苦手意識のある論点、過去問に繰り返し出されている論点、自分が間違えやすい暗記点などに印をつけておき、試験直前の10日間は各科目の重要点と自分でマークをつけておいた場所を確認しました。
  テキストに関してはある程度有名で実績のあるものであれば、どの会社・予備校のものを使っても差はないと思います。
 私が選んだU-CANのものは全科目を1000ページ程の1冊にまとめたものだったので、持ち運びが大変便利でした。(コンパクトな割には重要論点や補足が豊富で本試験対策としては十二分でした)
 
 過去問は選択式はほとんどやらず、択一式の社・労一般常識以外をのぞいた科目を過去10年分を3回転やりました。
 1回目は全問題の全解説を一文字一句読み込み、2回目は解説を読み込む際に重要点にマーカーをし、3回目はスピードをあげるために、解説に関してはマーカーをしたところだけを確認するようにしました。
 過去問に取り組む際に心がけたのは、消去法ではなく、1肢ごとに正誤判定ができるようにしました。
「理解があいまいだけど、これが1番正しいこといってるかな?」だと、その問題が他の組み合わせで出題された際に答えられない可能性があるからです。  
 
 そして、より実践的な対策として模擬試験はU-CAN、LEC、社労士V(市販の予想問題集)の3社各3回の合計9回に取り組みました。
 これらの模試は2回転やりました。1回目は通常通り本試験同様の条件で受け、2回目は1回目に間違えた問題だけを問題自体の文章に直接「○・×」をつけ、細部まで正誤判別をしました。
 また、解説は出題された部分の関連項目や補足などが書いてあるので、テキストを読むのと同じくらい注意して読み込みました。
 9回の模試のうち、各社最後の3回分は合格基準をクリアしていたので、「自分の立てた学習方法・計画に間違いはなかった」と自信が持て、本試験直前期は平常心を保てました。  

 選択式対策は模擬試験の予想問題だけをやりました。とはいっても、日頃からテキストを読む際に選択式で問われそうな箇所
はマーカーして意識していました

 また、上記のように択一式対策にかなり力を入れており、重要な論点や条文は択一式問題で繰り返し解いていたので、
択一式がしっかりと解ければ、その知識で選択式も対応できる」と思っていました。
 ですので、後術する一般常識科目以外は選択式対策として特別な学習はしませんでした。  

2.学習法
 まず、自分の得意科目・確実に得点できる科目と苦手科目・出題内容で点数が低くなってしまう科目を分けました。
 勉強を進めていく意識として、「得意科目は8割、苦手科目は6割とる」と決めました。
 そして、過去の択一式合格基準を考えて、「最低48点は取る」という目標をたてました。
 また、自分の中で「目標は常に最低ラインであり、理想はそれを越えるための努力」ということを意識しました。目標はあく
まで目標ですが、この意識づけが重要だと思っています。

 目標を数値化することで、日頃の学習スケジュールの調整(模試の復習など)や本試験などで時間がなくなったときの回答や
見直しの優先順位など、「この数値目標を達成するには残り時間(期間)をどのように使えばいいか?」という具体的な考えに
つながると思います。  

 2.1 労働基準法・安全衛生法の学習方法
 労基・安衛は「労基で5点、安衛で1点」を目標としました。
 労基・安衛はなんと言っても、労基の判例から出題される難問と安衛のつかみ所のない出題傾向に難しさがあると思います。
 そこで、確実に労基で点数を取っておかないと仮に安衛が全滅0点だった場合にかなり苦しいと思いました。
 だからと言って、安衛をはじめから捨てることは選択式の対策としてもできないので、安衛に関しても全力で取り組みました。
 多くの受験生が苦手とする科目で、「直前期に丸暗記する方法」が多いようですが、直前期は法改正や白書対策など暗記する科目が他にもあるため、安衛のすべてを直前期に集中的に学習するのは厳しいと思いました。
 私は日頃からテキストで体系や仕組みなどの全体像を学習し、直前に数値だけを確認する方法を取りました。
 ちなみに、労基に関しては得意科目のひとつでしたし、企業の人事部で労務管理をしているので、日頃から36協定や労働時間の管理、就業規則などに接していたため、特別な学習方法は取りませんでした。 (テキストの読み込みと過去問・予想模試の繰り返し)
  結果として、本試験では労基:選3/択4・安衛:選1/択3(合計:選4/択7)でした。
 労基は油断とケアレスミスで択一式を1問とりこぼしていました。また、手を抜かずに学習した安衛の択一式対策が選択式の結果につながっていました。  

 2.2 労災保険法・雇用保険法(徴収法を含む)の学習方法
 労災・雇用は「徴収法で2点ずつ確保」を強く意識しました。
 労災は苦手科目であったこと、雇用保険は法改正が大変多く、勘違いなどのミスが予想されたこと、両科目共通して、「保険適用(加入)の対象となるか?」という事故のケースや雇用 期間からの判断を問われる問題をミスする可能性があったため、両科目とも7問中4問とれれば上出来だと思いました。こ
 れに徴収法各3問を確実に2点ずつとれば、両科目とも6点は確保できると思いました。

  徴収法は過去問の焼き直しが多く、難問・奇問がほとんどないため数値などの暗記を正確にして、過去問をしっかりと学習していれば努力がそのまま反映される科目のひとつだと思います。
 結果は、労災:選5/択6(徴収:3)・雇用:選5/択7(徴収:2)でした。

2.3 労務管理・社会保険一般常識の学習方法
  一般常識対策は、最初から「社会一般で確実に5点を確保し、労働一般は最低1点を取る」ことを目標にして学習を進めました。
 労働一般の「1点」の根拠は、5問中1問は必ず法令からの出題があると思ったので、これを確実にとることでした。
 また、「仮に労働一般で最悪0点でも「社会一般で5点を確保できれば得意の年金科目で補える」と意識することで、学習や本試験で精神的な余裕が生まれました。
 そのためにも、社会一般はテキストで隅々まで学習しました。
 ただし、労働一般に関しても一切手を抜かず、法令問題対策はテキストの読み込み、白書対策はU−CANの直前対策号を読み込みました。
 ただし、「〜%で前年より上昇」などの動向はテキストを読んでも頭に入りにくかったため、テキストを読みながら殴り書き(スピード重視)で重要点をノートに書き写しました。
 この作業は後で重要点をノートで見直すのが狙いではなく、字を書くことによって、テキストを目で追うのと違う方法で知識の定着を図りました。
 
 あと、他の科目と違う点は選択式対策に力を入れたことです。
 白書から出題されると対応しきれない部分もでてくるため、白書の中で、本試験に出てきそうな項目を流し読みで目を通しました。
 内容を覚えなくても、一度目を通しておくと選択肢を見たときに思い出す可能性があるからです。
 この科目も作戦どおりで、労一:選3/択3、社一:選5/択5という結果でした。

 2.4 健康保険法の学習法
 健保に関しては、模試のときから成績が安定せず、9点とれるときもあれば3点で足きりのときもありました。
 理由は、大きな法改正があり知識のメンテナンスが追いついていないこと、得意分野と苦手分野があり、出題の内容によって正解率が大きく変わるというものでした。
 届け出先や認可が大臣・長官・協会のどれなのか、高額療養費や介護合算の考え方など最後まで苦しみました。
 この科目に関しても一般常識対策と同様に、テキストを読みながら殴り書きで重要点をノートに書き写す方法をとりました。
 また、「表」としてまとめられるものは文字ではなく、表という「図」で記憶の定着を図りました。(カレンダーの裏に表を書き、部屋中の壁に貼っていました)
 結果は、選5/択7でした。  

 2.5 厚生年金法・国民年金法お学習方法
 社労士試験で年金科目は最重要だと思います。
 問題数から考えても約3割ですし、国民年金は得点源です。
 年金科目で得点できないと合格にはかなり厳しいと思います。
 私の場合、20年の試験結果で「年金」科目が弱い(体系のイメージがつかめない)と思ったので、年金アドバイザー3級の受験で弱点の克服を図りました。
 年金アドバイザー対策で別途100時間の勉強時間を休日などに確保し、「100点で合格」することを目標としました。また、この試験で70点を切り合格できないようであれば、社労士試験など到底歯が立たないと思い、「年金アドバイザー3級に落ちたら社労士試験は受けない」と自分にプレッシャーをかけました。
 ・・・そして、結果は96点で合格しました。(択一と実務計算で1問ずつ間違えました)
 これにより、苦手だった年金科目が一気に得意科目になり、難解な合算対象期間や在職老齢年金制度を完璧に理解することができました。
 社労士試験は条文が基本ベースで、「仕組み」の理解をテキストなどの文面上で理解するのに対し、年金アドバイザーは更に計算などの「実務上のテクニック」などを問題としているため、違った角度から勉強することによって理解が深まったのだと思います。
 また、国民年金は過去問のアレンジが多く見られるため、厚生年金を含め他科目よりも過去問の取り組みに力を入れました。
 年金アドバイザー作戦と過去問対策が功を奏し、本試験では厚年:選5/択9、国年:選5/択9という高得点でした。    

2.6 合格にあたって
 最後に、社労士試験は「合格は運次第だ」や「努力が100%報われない試験だ」などと言う方もいらっしゃいますが、私はそうは思いません。
 確かに出題傾向や学習のタイミングなどで得点が左右される場合もありますが、努力で補える範囲だと思います。
 私も学習をはじめた当初は前者のように考えていましたが、絶対に合格したいという強い信念が、ある日「運に左右されない実力をつけたい」という気持ちに変わりました。
 受験勉強は長丁場です。
 色々な事を我慢して勉強してきたのに、運が悪くて1点足りず不合格・・・という結果では納得できません。
 それならば、運が悪くても最低ラインぎりぎりで、運が良ければ高得点で合格できる実力をつければいいと思いました。(矛盾するようですが、「救済措置」などは運だと思います)  
 
 また、社労士への道は試験合格でゴールではありません。
 合格後に資格を活かすのであれば、継続した努力が必要だと思います。
 受験期に積み重ねた努力は「合格」という結果に、合格後は「成功」という結果に結びつくと信じています。  
 今回の合格は自分だけの力ではなく、家族の協力があったからこその結果だと思います。
 妻には新婚なのに本当に寂しい思いをさせてしまいましたし、両親や友人にも心配をかけました。
 受験期間中は色々なものを見失ってしまいましたが、今は回りへの感謝の気持ちでいっぱいです。  
 今後はこの資格を活かし、家族を支え、友人の力になりたいと思います。

3.Tome塾の利用方法、感想など
  Tome塾の条文と過去問を徹底的に読み込みました。
 解説がとても丁寧で分かりやすく、かつ、重要論点がまとめてあるので、理解を深めることができました。
 上記にあるUCANのテキスト学習に加えて、本試験までに条文+過去問(解説)を一文字一句丁寧に4回転やったことが勝因だと思います。
 また、キーワード検索が大変便利で活用させていただきました。
 
4.今後の予定、その他
  特定社労士を目指すか、他士業の資格を取ってWライセンスにするか検討中です。目処がつけば独立開業もしてみたいです。          


sohtaさん合格おめでとうございます。
 仕事を持ちながらの受験では、いかにして学習時間を確保するか、いかにしてモチベーションを持続して、計画的に学習を続くていくことができるか、が成功のカギとなります。
 これに対するsohtaさんの努力には、頭がさがります。
 この体験記は、力作です。
 受験生にとって参考となる、いや参考にすべきところ大ですので、私から申し上げることはあまりません。
 
 最後につけ加えるとすれば、本文から削ってしまった次の一文です。
 「まずこれをを読む前に皆さんにお断りしたいことは、「私は真面目な人間ではなかった」ということです。
 「緻密で真面目な勉強大好き人間」という印象を受けると思いますが、決してそのようなことはありません、むしろ逆です。
 大学を5年かけてやっと卒業し、卒業後はミュージシャン(三流でしたが一応プロでした)をやっていました。  
 社労士を目指そうと思ったきっかけは結婚を機に25歳の時に就職をし、人事部に配属されることになったことです。
 家族を持ったことの責任を感じ今後の人生のためにも自己啓発として社労士試験に挑戦することにしました」

 やはり、何事にも必要なのは、自分や家族に対する「責任感」と「やる気」です。

戻る