28年度 法改正トピックス(安全衛生法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント











 登録製造時等検査機関の登録(46条3項 )
 「厚生労働大臣は、登録を申請した者が次に掲げる要件の全てに適合しているときは、登録をしなければならない」
C(H27.06..01)登録申請者が、特別特定機械等を製造し、又は輸入する者に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。
イ登録申請者が株式会社である場合にあつては、製造者等がその親法人(当該登録申請者が外国にある事務所において製造時等検査の業務を行おうとする者である場合にあつては、外国における親法人に相当するものを含む)であること。
 製造時等検査を行うことのできる機関は、あらかじめ厚生労働大臣に登録申請をしてこれを認めてもらわなければならない。
 従来は、国内の機関に限られていたが、46条3項の4号において、太字部分を追加することにより、製造会社の子会社に相当する者でない限り、申請者が外国の機関であるからといってこれを排除することはできないことに。基礎知識と過去問学習はこちらを
 登録性能検査機関、登録個別検定機関、登録型式検定機関も同様。
 準用(52条の3)法改正(H27.06.01新規)
 「前2条の規定は、外国登録製造時等検査機関について準用する。この場合において、前2条中「命ずる」とあるのは、「請求する」と読み替えるものとする」
 適合命令改善命令の外国登録製造時等検査機関への適用
 外国登録製造時等検査機関の容認に伴い、不都合があった場合の適合命令、改善命令についても、命ずるではないが「請求する」という形でできるように基礎知識と過去問学習はこちらを 







 心理的な負担の程度を把握するための検査等(ストレスチエック)(66条の10) (H27.12.01新規)
 「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(医師等)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない」

 
 「66条の10の2項 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。
 この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない」 する。

 「66条の10の3項 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。
 この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない」
 「66条の10の4項 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない」

 「66条の10の5項 事業者は、3項の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない
 「66条の10の6項 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」
 「66条の10の7項 厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする」
 「66条の10の8項 厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる」
 「66条の10の9項 国は、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持に及ぼす影響に関する医師等に対する研修を実施するよう努めるとともに、2項の規定により通知された検査の結果を利用する労働者に対する健康相談の実施その他の当該労働者の健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるものとする」
・「ストレスチェック制度」すなわち、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげる取組が27年12月1日から開始された。
・「ストレスチェック制度」を具体的に実施する手順等について規定した、多くの安全衛生規則が新設された。
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 産業医及び産業歯科医がおこなうべき事項(安全衛生規則14条)
 「13条1項の厚生労働省令で定める事項は、次の事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする」
 3号((H27.12.01新規):「法66条の10の1項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条3項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」
 ストレスチエック制度の新設に伴い、産業医も一定の役割を果たすことが求められるようになった。(ただし、産業医自らがストレスチエックの実施者となれとまでは、必ずしも要求されているわけではない)
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 受動喫煙の防止(68条の2) (H27.06.01新規)
 「事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする」
 国の援助(71条) (H27.06.01施行)
 「国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、必要な資料の提供、作業環境測定及び健康診断の実施の促進、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進、事業場における健康教育等に関する指導員の確保及び資質の向上の促進その他の必要な援助に努めるものとする」
 受動喫煙の防止

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 国の援助
 受動喫煙の防止規定の新設に伴い、国による援助項目として、「受動喫煙の防止のための設備の設置の促進」を追加。
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計画
・安全衛生改善計画等
 特別安全衛生改善計画(78条)(H27.06.01新規)
 「厚生労働大臣は、重大な労働災害として厚生労働省令で定めるもの(以下「重大な労働災害」という)が発生した場合において、重大な労働災害の再発を防止するため必要がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、その事業場の安全又は衛生に関する改善計画(特別安全衛生改善計画)を作成し、これを厚生労働大臣に提出すべきことを指示することができる」
 「78条2項 事業者は、特別安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」
 「78条3項 1項の事業者及びその労働者は、特別安全衛生改善計画を守らなければならない」
 「78条4項 厚生労働大臣は、特別安全衛生改善計画が重大な労働災害の再発の防止を図る上で適切でないと認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該特別安全衛生改善計画を変更すべきことを指示することができる」
 「78条5項 厚生労働大臣は、1項若しくは前項の規定による指示を受けた事業者がその指示に従わなかつた場合又は特別安全衛生改善計画を作成した事業者が当該特別安全衛生改善計画を守つていないと認める場合において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、重大な労働災害の再発の防止に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができる」
 「78条6項 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる」
 特別安全衛生改善計画
 同じ事業者が複数の事業場で3年以内に、同じような重大な労働災害を引き起こした場合であって、かつ、労働安全衛生法・労働基準法など安全・衛生に関する法令に違反して発生させた場合、厚生労働大臣が再発防止のための「特別安全衛生改善計画」の作成を当該事業者に命ずることができるようにした。
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 安全衛生改善計画(79条) (H27.06.01施行)
 「都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条1項(特別安全衛生計画)の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(安全衛生改善計画)を作成すべきことを指示することができる」
 「2項 前条2項及び3項の規定は、安全衛生改善計画について準用する」
 特別安全衛生改善計画の規定が設けられたことに伴い、(  )を追加。
 すなわち、改善計画の作成指示には、その必要度に応じて、「特別安全衛生改善計画」と「安全衛生改善計画」の使い分けがなされる。
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 安全衛生診断(80条) (H27.06.01施行)
 「厚生労働大臣は、78条(特別安全衛生改善計画)1項又は4項の規定による指示をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、特別安全衛生改善計画の作成又は変更について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる」
 「2項 (H27.06.01新規) 前項の規定は都道府県労働局長が前条1項(安全衛生改善計画)の規定による指示をした場合について準用する。この場合において、前項中「作成又は変更」とあるのは「作成」と読み替える者とする」 
 特別安全衛生改善計画の規定が設けられたことに伴い、安全衛生診断についても、1項の変更、2項の新設により、
 1項で特別安全衛生改善計画の作成・変更
 2項で安全衛生改善計画の作成
にあたって、専門家による診断を受け、意見をもらうように、事業者に勧奨することができるように。
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 産業安全専門官・労働衛生専門官(93条)
 「93条2項 (H27.06.01)産業安全専門官は、特定機械等の製造許可特別安全衛生善計画、安全衛生改善計画及び届出に関する事務並びに労働災害の原因の調査その他特に専門的知識を必要とする事務で、安全に係るものをつかさどるほか、事業者、労働者その他の関係者に対し、労働者の危険を防止するため必要な事項について指導及び援助を行う」
 「同3項 (H27.06.01) 労働衛生専門官は、有害物質の製造許可、化学物質の有害性に関するる勧告、作業環境測定についての専門技術的事項、特別安全衛生善計画、安全衛生改善計画及び届出に関する事務並びに労働災害の原因の調査その他特に専門的知識を必要とする事務で、衛生に係るものをつかさどるほか、事業者、労働者その他の関係者に対し、労働者の健康障害を防止するため必要な事項及び労働者の健康の保持増進を図るため必要な事項について指導及び援助を行う」
 特別安全衛生改善計画の規定が設けられたことに伴い、産業安全専門官(2項)、労働衛生専門官(3項)の職務に、特別安全衛生善計画に関する事務を追加
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