31年度受験用 法改正トピックス(労働安全衛生法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント
産業医  産業医等(13条)
 「3項 法改正(H31.04.01追加)産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない」
 「4項 (H31.04.01追加)産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない」
 「5項 (H31.04.01) 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない」
 「6項 (H31.04.01) 事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない」
3項:産業医の誠実職務遂行義務が課せられた。

4項:事業主の産業医に対する情報提供の義務が課せられた。

5項:旧3項に、「この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない」を追加。

6項:旧4項の「勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない」かあったのを、5項に移動させ、新たに、「衛生委員会又は安全衛生委員会への報告義務」を追加。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
   労働者の健康管理等の適切な実施を図るための体制整備(13条の3) (H31.04.01新規)
 「事業者は、産業医又は前条1項に規定する者((50人未満の事業場における産業医の代わりになる者)による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医又は同項に規定する者(50人未満の事業場における産業医の代わりになる者)が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない
 基礎知識と過去問学習はこちら
 産業医の選任等(安全衛生規則13条4項)(H31.04.01追加)
 「事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない」
 産業医の身分の安定性を確保するため、事業主がみだらに産業医を辞任に追い込んだり、解任したりしないように、しばりを設けた。基礎知識と過去問学習はこちらを
 産業医に対する情報の提供(安全衛生規則14条の2)(H31.04.01新規)
 「法13条4項の厚生労働省令で定める情報は、次に掲げる情報とする」
@66条の5の1項(健康診断実施後の措置)、66条の8の5項(面接指導実施後の措置)、又は66条の10の6項(ストレスチェック後の医師の意見を勘案した措置)により既に講じた措置又は講じようとする措置の内容に関する情報(これらの措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)
A週40時間を超える労働時間が1月当たり80時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報
B前2号に掲げるもののほか、労働者の業務に関する情報であつて産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの。
 2項:省略
 法13条4項で新規に設けられた「事業主に義務づけられた産業医への情報提供」の具体的な中身を規定。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 産業医による勧告等(安全衛生規則14条の3)(H31.04.01新規)
 「産業医は、法13条5項の勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の内容について、事業者の意見を求めるものとする」
 2項、3項、4項省略
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 産業医に対する権限の付与等(安全衛生規則14条の4) (H31.04.01新規)
 「事業者は、産業医に対し、14条1項(産業医及び産業歯科医の職務等)各号に掲げる事項をなし得る権限を与えなければならない」
 「同2項 前項の権限には、14条1項各号に掲げる事項に係る次に掲げる事項に関する権限が含まれるものとする」
@事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること。
A14条1項各号に掲げる事項を実施するために必要な情報を労働者から収集すること。
B労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して必要な措置をとるべきことを指示すること。  
 産業医の機能の強化を図るため。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 産業医の選任の労働者への周知(101条2項、3項)(H31.04.01追加) 
 「産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の内容その他の産業医の業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならない」
 法令の周知に加えて、あらたに設けた。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
安全
委員会等
 委員会の会議(安全衛生規則23条)
 「同4項 (H31.04.01) 事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これれを3年間保存しなければならない」
 @委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
 A前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの
 「同5項 (H31.04.01追加) 産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる」
 4項:「委員会における議事で重要なものに係る記録」から、「委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録」に
 5項:追加。産業医の影響力強化のため
 基礎知識と過去問学習はこちらを
面接指導  安全衛生規則(52条の2)法改正(H31.04.01)
 「法68条の8の1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日(1月当たり80時間を超えるかどうかを判定する日)前1月以内に法68条の8の1項又は66条の8の2の1項(新技術・新製品開発等の研究開発業務に従事する者に対する面接指導)に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて、法68条の8の1項に規定する面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く」
 「同3項 法改正(H31.04.01 事業者は、1項の超えた時間の算定を行つたときは、速やかに、同項の超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者に対し、当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報を通知しなければならない」


 面接指導の対象労働者
1項:「1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超え」とああったのを、「80時間を超え」に。
 ただし書きにおいて、従来からの面接指導のほか、新技術・新製品開発等の研究開発業務に従事する者に対する面接指導を追加。

3項:「1月当たり100時間」を「80時間」に。
 「超えた労働者の氏名、超えた時間に関する情報を産業医に提供」から、
 「労働者本人に通知」に。
⇒「産業医に提供」は安全衛生規則14条の2により行う。
 基礎知識と過去問学習はこちらを

その2 新しく設けられた面接指導
 新技術・新製品開発等の研究開発業務に従事する者に対する面接指導(66条の8の2)(H31.04.01新規)
 「事業者は、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超える労働者(労働基準法36条11項に規定する業務に従事する者(同法41条各号に掲げる者及び66条の8の4の1項に規定する者を除く)に限る)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない」
 「2項 前条(面接指導)2項から5項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場合において、同条5項中「作業の転換」とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労基法39条の規
定による有給休暇を除く)の付与」と読み替えるものとする」
 労働時間の状況の把握(66条の8の3)(H31.04.01新規)
 「事業者は、66条条8の1項又は前条1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条1項に規定する者を除く)の労働時間の状況を把握しなければならない」
 高度プロフェッショナル制度対象者に対する面接指導(66条の8の4)(H31.04.01新規)
 「事業者は、労働基準法41条の2の1項の規定により労働する労働者であつて、その健康管理時間(同項Bに規定する健康管理時間をいう)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない」
 「2項 66条の8(面接指導)の2項か5項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場合において、同条5項中「就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等」とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労基法39条の規定による有給休暇を除く)の付与、健康管理時間(66条の8の4の1項に規定する健康管理時間をいう)が短縮されるための配慮等」と読み替えるものとする」
 66条の8の2
 新技術・新製品開発等の研究開発業務に従事する者は、時間外労働の上限規制は適用されないため、健康管理上、「1週当たり40時間を超える労働時間が月100時間」を超える場合は、事業主は、面接指導をさせなければならない。労働者もこれを受けなければならない。
 66条の8の3
 
事業主は、面接指導の該当者か否かを明確にするために、労働時間を的確に把握しなければならない。
 
 66条の 8の4
 高度プロフェッショナル制度対象者には、労働時間の規定そのものが適用されないため、健康管理上、「健康管理時間が、1週当たりの40時間を超える時間が月100時間」を超える場合は、事業主は、面接指導をさせなければならない。労働者もこれを受けなければならない。
 基礎知識と過去問学習はこちらを

心身の状態に関する情報
 心身の状態に関する情報の取扱い(104条) 法改正(H31.04.01新規)
 「事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」
 2項、3項、4項は本文参照
 基礎知識と過去問学習はこちらを
ストレス
チェック実施者
 検査の実施者(安全衛生規則52条の10) 法改正(H30.08.09)
 「法66条の10の1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(医師等)とする」
@医師、A保健師、B検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
 ストレスチエックの実施に、研修を終了した「歯科医師」、公認心理師」を追加。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
労働者
私傷病
報告
 労働者死傷病報告(安全衛生規則97条) 記載事項の一部追加 法改正(H31.01.08)
 「事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式23号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない」
 条文には変更はないが、「労働者が外国人(外交又は公用の在留資格を有する者、日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者等の特別永住者は除く)である場合は、「国籍・地域」と「在留資格」についての記入欄」が設けられた。
 基礎知識と過去問学習はこちらを