7   労働基準法 解答の解説    Tome塾Homeへ
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 16選択
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 11-選択令2-選択
20
2C
 書き出し部に、
 「使用者は、いかなる場合でも就業規則に制裁の種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならない」とあるが、就業規則に記載すべき事項については89条で規定されており、その9号において、
 「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」とある。
 すなわち、制裁の定めをする場合はその種類及び程度に関する事項を記載しなければならないが、必ず定めをしなければならないというわけではない。よって、定めをしない場合は記載する必要がないというか、ないものを記載することはできない。
 ただし、「制裁の種類及び程度に関する事項の定め」がないということは、制裁は行わないということ。
 この意味で、「定めをする場合は」と書かれている3号の2から10号までは、相対的必要記載事項と呼ばれている。
 なお、後段部分については、91条に、
 「就業規則で減給の制裁を定める場合は、1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」とあり、この部分は正しい。
 なお、本肢は厳密にいえば、「常時10人以上の労働者を使用する(使用者)」の部分が抜けている。
 ただし、常時使用する労働者が10人未満の場合であっても、いわゆる内規や慣例などに基づいて制裁を行う場合は、91条が適用される。
16
7A
 91条の減給の制裁の制限に関する規定は、使用者の恣意等による過度の制裁がないように、一定の限度を設けようとする趣旨であるから、常時使用する労働者数が10人未満であって就業規則の作成義務がない使用者にも適用される。
 いわゆる内規や慣例などに基づいて、この限度を超える制裁を行った場合でも、当然に91条違反となる。
就業規則の作成義務がないからといって、労基法の禁止規定や罰則規定の適用が免れることはない。「32条の3(フレックスタイム制)」や「32条の5(1週間単位の非定型的変形労働時間制)」においては、「就業規則その他これに準ずるもの」と、親切に規定されている。91条も、その趣旨からいって「就業規則その他これに準ずるもので」ということである。  
11
5A
 「就業規則により出勤停止処分を課す場合、当該出勤停止処分により労働者が出勤しない期間中の賃金を支払わないことができる」とある。
 いわゆる「ノーワーク・ノーペイ」の原則からいって、当然のことであろう。
 このことは、報酬の支払時期について規定した民法(624条)においても、「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」とある。
 しかしながら、就業規則による制裁処分に対しては、減額に限って91条による制限があり、「減給の総額は1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とあるので、どちらを適用すべきかというのが、本肢の論点。
 これについては、通達(S23.7.3 基収2177)によれば、
 「就業規則に、出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至った場合、出勤停止期間中の賃金を受けられないことは、制裁として出勤禁止の当然の結果であって、通常の額以下の賃金を支給することを定める減給制裁に関する91条の規定には関係ない」  
16
7B
 過去問解説(11-5A)にある通りで、通達(S23.7.3基収2127)によれば、「出勤停止によりその期間中の賃金を支払わないことは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則からいって当然のことであり、91条の減給の制裁とは関係ない」
 つまり、「5日間の出勤停止の制裁を受けた場合、当該5日間の賃金の不支給は、出勤停止による制裁処分であって、減給の制裁処分ではない。よって、91条の減給の制裁の制限は適用されないい」
28
5D
 「服務規律違反に対する制裁」については、使用者が一方的・独断的に行うことがないようにするため、89条の9号に「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を就業規則に記載し、労働基準監督署に届出なければならないことになっている。
 ただし、「制裁の種類・程度」に関する労基法上の縛りは、わずかに91条に「減給の制裁に関する制限」があるのみ。
 よって、制裁の種類として、減給だけでなく、出勤停止、昇進昇格停止、降格降級、懲戒解雇等などを設けたとしても、そのことだけでは何の問題もない。
 ただし、制裁に至る事由と制裁の種類あるいは程度の間に著しく均衡を欠くことがあるならば、その個別の案件について訴訟を起こせば、「公序良俗に反しているとしてその制裁は無効」とされることもありうる。
 さて本肢の論点は、「出勤停止の際、その期間中に賃金を支給しないことが、労働基準法上(特に、91条の減額の制裁の制限規定上)問題があるか否か」である。
 これについては、通達(S23.7.3基収2127)の通りで、出勤停止によりその期間中の賃金を支払わないことは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則からいって当然のことであり、減給の制裁とは関係ない。
 すなわち、本件について争う気ならば、「(この程度のことで)出勤停止とは不当である、あるいは出勤停止期間が不当に長い」などと問題提起すべきということ。
14
6E
 通達(S63.3.14基発150)に、
 「労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その分の減給は、法第91条の制限を受けないものと解してよいか」というお伺いに対する回答は、「貴見のとおり。
 なお、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受ける」とある。
 ⇒つまり、遅刻早退の時間に対する賃金額以下の不払いであれば、91条の適用はない。
 たとえば、時給1,000円の労働者が30分遅刻して5,000円の減給処分を受けた場合、30分間の賃金(500円)の支給を受けないのはやむをえない。
 しかし、残りの4,50円が減給の処分に該当するので、その4,500円が1日あたりの通常の賃金(例えば1,000×8)の50%(4,000円)を超えてはいけないということである。

2
7E
 労働者が、「労働基準法第91条による制限を受ける」とは、「就業規則で減給の制裁を定めてある場合において、1回の額が平均賃金の1日分の半額未満、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1未満でなければならないという、上限の制約を受ける」ということ。
 本肢の場合、「遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給」とあるが、通達(S63.3.14基発150)によれば、「遅刻早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その分の減給は、法第91条の制限を受けない」とある。
 ノーワーク・ノーペイによる不支給と減給の制裁とは異なるということ。
23
6D
 通達(S63.3.14基発150)によると、「遅刻早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その分の減給は、法第91条の制限を受けない」とある。
 しかしながら、本肢では、「5分遅刻した場合に、30分遅刻したものとして賃金カットをする」とある。
 単純に考えれば、労務の提供のなかった限度を超える(25分に対する)カットは、24条の賃金全額払の原則に反し違法である。
 ただし、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として予め定めて届出、かつこれを周知させておけば、同法第91条の範囲内(たとえば、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えない範囲)で行う場合は、適法な減給の制裁であるから、24条違反とはならない。
 つまり、遅刻早退について、その時間に比例して賃金を減額することは当然であるが、遅刻早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、91条の適用を受ける。
 たとえば、時給1,200円の労働者が5分遅刻してその5分間の賃金(100円)の支給を受けないのはやむをえない。
 残りの5分に対する賃金500円のカットについては、そのような減給処分の方法について就業規則に定め、それを普段から周知徹底しておれば、その500円が1日あたりの通常の賃金(例えば1,200×5)の50%(3,000円)を超えていない限り、24条の賃金全額払いの原則に反しない。
14
6B
 減給の制裁規定の制限について規定した91条に、
 「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とある。
 また、通達(S23.9.20基収1789)によると、
 「91条は、1回の事案に対しては(これを数日に分けて実施したとしても)減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内、又、1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならないとする趣旨である」
 そして、1賃金支払期における上限については、労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、「もし、1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合には、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばさなければならないものと考えられる」とある。
 つまり、「1賃金支払期における実際の減給の総額は、あくまでも、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならない」
16
7D
 過去問(14-6B)の解説の通りで、減給の制裁規定の制限について規定した91条にあるように、
 「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」
 ただし、労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、「もし、1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合には、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばさなければならないものと考えられる」とある。
 つまり、上限額に達した後も、次から次へと制裁すべき事案を引き起こす場合は、それらについては、次の賃金支払期に減額制裁処分することも許されるということ。
23
5D
 減給の制裁規定の制限について規定した91条に、
 「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とある。
 後者の1賃金支払期における上限については、「労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、「もし、1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合には、その部分の減給は、次期の賃金支払期日伸ばさなければならないものと考えられる」とある。
 このことからいっても、「1賃金支払期における実際の減給の総額は、あくまでも、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならない」
 つまり、91条の制限を超えた定めは無効である。
 厳密には、91条の制限を超えた就業規則そのものが無効ということではなく、制限を超えた部分が無効であり、さらにいえば、実際に減給処分した場合において、超えた額が無効である。
 また、現実的な話として、この上限額に達した後も、次から次へと制裁すべき事案を引き起こす場合は、それらについては、次の賃金支払期に減額制裁処分しても許されるということ。
令3
7E
 労働基準法91条に、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とある。
 この場合の「1賃金支払期における賃金の総額」とは、通達(S25.09.08基収1338)によれば、「法91条は、1賃金支払期における賃金総額が欠勤や遅刻等により減額されたため僅少となった場合であっても、減給の総額がその支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならない趣旨か」というお伺いに対し、
 「当該減給額が当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額の10分の1を超えてはならない趣旨である」という回答。
 即ち、「現実に支払われる賃金の総額」であるから、欠勤等により少額となった場合は、その少額になった賃金を基礎として、その10分の1を超えてはならない。
11
1C
 通達(S30.7.19基収5875号)によると、
 「91条の規定における平均賃金については、減給の意思表示が相手方に到達した日をもって、これを算定すべき事由の発生した日とする」
17
7E
 過去問(11-1C)の通りで、通達(S30.7.19基収5875号)によると、
 「91条の規定における平均賃金については、減給の意思表示が相手方に到達した日をもって、これを算定すべき事由の発生した日とする」とある。
30
7D
 「91条による減給の制裁」とある。91条によれば、「減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とある。
 平均賃金は、12条から、「算定事由発生日以前(実際には発生日は含まれない)3か月間の賃金合計を3か月間の総暦日数で割った額である」
 しからば、減給の制裁の場合の「算定すべき事由の発生した日は制裁事由発生日(行為時)と」でよいかというのが本肢の論点。
 これについては、通達(S30.7.19基収5875号)によると、「減給の意思表示が相手方に到達した日」とするとある。


7D
 制裁については、91条に、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」とある。
 本肢の論点は、「懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定めることは、91条に違反しないか」ということ。
 これについては、通達(S26.03.31基収938)によると、「就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給せしめないという欠格条件を定めるとき、これは法91条に該当しないと思料されるが如何」というお伺いに対する回答は「見解のとおり」と素っ気ない。

3
7D
 制裁については、89条の9号に「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を相対的必要記載事項として、就業規則で定めることができる。
 ただし、制裁のうち、「減給の程度」に限り、過剰にならないようにするために、91条により、「減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」として、上限が設けられている。
 本肢は、「就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めること」はどうかと聞いているが、通達(S26.03.31基収938)によると、「就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給せしめないという欠格条件を定めるとき、これは法91条に該当しない」とある。
 すなわち、91条は「減給という懲戒処分を受ける場合の減額の限度についてのみ制限されているもの」であって、それ以外の懲戒処分についても、就業規則に定められている限り、原則として有効である。
 この点、通達(S22.9.13発基17)においても、
 「就業規則に定める制裁は、減給に限定されるものではなく、その他譴責、出勤停止、即時解雇等も、制裁の原因たる事案が公序良俗に反しない限り禁止する趣旨ではない」としており、「昇給停止」も公序良俗に反するなどで争わないかぎり、やむをえないとおもわれる。
26
7ア
 就業規則の定義については、「労働基準法下巻(厚生労働省労働基準局編)」によると、
 「多数の労働者を使用している事業場には、当該事業場に属する労働者一般が就業上守るべき規律や労働時間、賃金その他の労働条件に関する具体的細目等を定めた規則類が作られているのが通例である。
 89条等で就業規則といっているのは、かかる規則類の総称である」としている。
 89条で規定されている記載すべき事項の内容から判断し、また、「賃金、退職など個別の項目を別規則として定めた場合も、全体をひとつの就業規則としてとり扱う」ことになっていることからも、妥当であろう。
28
5A
 89条に規定する就業規則の作成義務によれば、
 「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とあり、
 作成して、労働基準監督署に届けないといけない義務がある。
 本肢では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」の条件が抜けているが、それとは別に、「個々の労働契約書に網羅して記載すれば作成義務は免れる」などはとんでもないことである。
 逆に、15条にあるように、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」が、その明示の方法として、通達(H11.1.29基発45:15条関係) によれば、
 「明示すべき事項については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない」とあり、逆は可である。 
16
7C
 就業規則の作成について規定した89条によると、
 「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする」
 これにより、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、就業規則を作成する義務そのものがない。 
 よって、問題文の書き出し部分にある
 「使用者は、労働基準法第89条に規定する事項について就業規則を作成しなければならず」が誤り。
 ただし、常時10人未満の労働者を使用する場合であっても、就業規則を作成することは望ましく、「減給の制裁」を行う場合、「1か月単位の変形労働時間」を労使協定によらずに行う場合などにおいては、就業規則あるいはこれに準ずるものが必要でもある。
 つまり、「就業規則を作成する」のが誤りではなく、
 「就業規則を作成しなければならない」とあるのが誤り。
23
5C
 就業規則の作成と届出について規定した89条によると、
 「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする」とある。
 つまり、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成と届出(変更も含めて)についての義務はあるが、許可を受ける必要はない。
26
7ウ
 就業規則において、89条1号から3号までは絶対的記載事項と呼ばれ、絶対に記載しなければならない事項であり、また、3号の2以下は相対的必要記載事項ということになっているが、その意味は記載してもしなくてもよい事項では決してなく、「定めをする場合」(すなわちその事業場で適用させたい事項)は必ず記載しなければならない事項である。
 このような記載が必要な事項について、その一部が欠けている場合の取扱いは、通達(H11.3.31基発168)に、
 「絶対的必要記載事項の一部、または相対的必要記載事項であって当該事業場が当然適用を受けるべき事項が記載していない就業規則であっても、他の要件を具備する限り、その効力は有効である。ただし、このような就業規則を作成し届出ても、89条違反の責任(120条により、30万円以下の罰金)は免れない」とある。
 なお、問題文には「13条に基づき無効」とあるが、「記載されてはいるが、労働基準法で定める基準に達しない部分があれば、その部分は自動的に無効」とする場合の話であって、最初から記載がない事項については、記載させるしかない。

3
7A
 「労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項中で当然当該事業場が適用を受けるべき事項、を記載しない就業規則は効力があるか」というお伺いに対して、通達(H11.3.31基発168、S25.02.20基収276)によれば、「設問のような就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効である。
 ただし、設問のような就業規則を作成し届け出ても、使用者の89条違反の責任は免れない」と回答した。
 なお、問題文には、「行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない」とあるが、労基法違反であるから、「助言、指導」の段階でなく、92条2項により「法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」
21
3A
 就業規則の作成義務については、89条に、
 「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とあり、前段は正しい。
 この「常時10人以上使用する」とは、労働基準法下巻(厚生労働省労働基準局編)」によると、「時として10人未満になることがあっても、常態として10人以上の労働者を使用していることをいい、たとえば常時は8人であるが、繁忙期には10人以上になるなどは含まれまい」
 また、この人数はパートやアルバイト、派遣先に出している派遣社員など、雇用の形態には関係ない、とされている。  
 パートタイム労働者などがいる場合は、これらの者にも適用できる内容を含んだ就業規則でなければならない。いわゆる正規雇用の労働者用とは別個の就業規則を作ることも許されるが、この場合は、両方合せたものが89条にいう就業規則となる。


7A
 労働基準法89条によれば、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とある。
 この場合の「常時10人以上の労働者」とは、労働基準法下巻(厚生労働省労働基準局編)」によると、「時として10人未満になることがあっても、常態として10人以上の労働者を使用していることをいう」とある。
 また、この人数はパートやアルバイト、派遣先に出している派遣社員など、雇用の形態には関係ない、とされており、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は0.5人として換算するというようなルールはない。
 このような者も、常時使用されておれば、1人と数える。
26
7イ
 89条で規定された「常時10人以上」とは、通常の状態として10人以上のことであり、普段は10人であるが、一時的に1人や2人欠けたにすぎない場合も含まれるし、労働者の入れ替えが激しいため入れ替わり立ち替わり人が変わっても、全体として通常は10人以上であればこれも含まれる。
 労働基準法下巻(厚生労働省労働基準局編)」によると、
 「常時10人以上の労働者を使用するとは、時として10人未満になることがあっても、常態として10人以上の労働者をしようしているという意味である。
 常時は8人であっても、繁忙期等においてはさらに2、3人雇い入れるという場合は含まれない。また、この人数は企業単位ではなく事業場単位である」とある。

2
7C
 89条によれば、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とある。
 この場合の「常時10人以上の労働者」とは、労働者派遣事業の場合、通達(S61.06.06基発333号)によれば、
 「労働基準法89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である」
 よって、本肢の場合、「派遣元の使用者は、派遣中の労働者だけでは常時10人以上にならずとも、それ以外の労働者を合わせて常時10人以上になれば、就業規則の作成義務を負うことになる」

2
7D
 「1つの企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も、使用している労働者は10人未満であるが、2つの工場を合わせて1つの企業としてみたときは10人以上となる場合」とある。
 就業規則の作成と届出義務を定めた89条では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は…」とあるが、常時10人以上を企業単位でみるべきか、個々の事業場単位でみるべきかという問題がある。
 コンメンタール労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、「例えば、1企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も10人未満であるが、2工場を合わせた1企業としてみたときは10人以上となる場合においては、労働基準法は事業に使用される労働者に適用されるものであること。90条でも就業規則の作成・変更手続としての労働者の団体的意見の聴取を事業場単位に行わせることとしていることから考えあわせると、事業場単位で判断すべきものと解される。
 上記の例の場合、2工場がそれそれぞれ独立した事業場と考えられる場合には、当該工場は、それぞれ常時10人未満の労働者を使用しているのであるから、就業規則の作成の義務はないことになる」としている。
20
2A
 就業規則の作成について規定した89条によると、
 「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とある。
 これにより、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、就業規則を作成する義務そのものがない。 
常時10人未満であっても就業規則を作成することは望ましいが、義務ではない。労基法において、義務かどうかが厳密に議論されるのは、労基法は強行法規であり、違反すると多くの場合、罰則があるからである。
ちなみに、「就業規則作成義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられる」
27
7A
  就業規則については、89条に、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とある。
 それでは、「常時10人未満の労働者を使用する使用者が就業規則を作成したとしても、その意味や効力はないのか」というと、そうではない。
 この点について、労働法コンメンタール「労働基準法下」(厚生労働省労働基準局編)の870ページに、
 「常時10人未満の労働者を使用する使用者は、就業規則作成の義務はないが、本条(89条)の趣旨にかんがみ、
就業規則を成文化することは望ましいことであり、当該使用者において就業規則を作成したときは、それも本法にいう「就業規則」として、91条(制裁規定の制限)、92条(法令及び労働協約との関係)及び93条(効力)の規定は適用があると解すべきである」としている。
 参考までに、たとえば1か月単位の変形労働時間制を実施するのは、「就業規則その他これに準ずるもの」により、実施の根拠を確立しておかなければならないが、常時10人未満の労働者を使用する使用者による就業規則はこれに該当し、有効である。
21
3B
 就業規則の作成にあたってパートタイム労働者などがいる場合は、これらの者にも適用できる内容を含んだものでなければならない。
 その際、通達(H11.3.31基発168)によると、
 「同一事業場において、3条(均等待遇)に反しない限りにおいて、一部の労働者(注、たとえばパート、契約社員など)についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、この場合は、就業規則の本則において、別個の就業規則の適用対象となる労働者に係る適用除外規定または委任規定を設けることが望ましい。
 なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが89条の就業規則であって、それぞれ単独に、同条に規定する就業規則となるものではない」
⇒それぞれの規則の適用対象者を明確にし、全体をひとつの就業規則として取扱う。
⇒また、賃金、退職など個別の項目を別規則として定めた場合も、全体をひとつの就業規則としてとり扱う。
30
7A
 「同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合」とある。
 別個の就業規則の作成については、通達(H11.3.31基発168)によれば、「パートタイム労働者、契約社員などについてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない」とある。
 続いて問題文には、「就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となる」とあるが、これについては、同通達のなお書きにおいて、「別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが89条の就業規則であって、それぞれ単独に、同条に規定する就業規則となるものではない」とあり、この点は間違いである。
 さらに、問題文では、「パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合」とある。
 このような場合は、通達(S63.03.14基発150)において、「同一事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差し支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部であるから、その作成又は変更に際しての意見の聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要である。
 なお、これに加えて、使用者が当該一部の労働者で組織する労働組合(又は過半数代表者)の意見を聴くことが望ましい」とあり、この点でも誤りである。
 つまり、「パートタイム労働者から意見聴取する場合であっても、一般労働者に適用される就業規則も含めて意見を聴取する必要があるし、逆もいえる(全体の労働者を代表する者から、就業規則全体についての意見を聴取する必要がある)」

3
7C
 「同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合」とある。過去問(30-7A)では、「同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合」の例であるが、別個の就業規則の作成に当たっての基本的な手続きに大きな変わりはない。
 すなわち、通達(S63.03.14基発150)によれば、「同一事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差し支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部であるから、その作成又は変更に際しての意見の聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要である。
 なお、これに加えて、使用者が当該一部の労働者で組織する労働組合(又は過半数代表者)の意見を聴くことが望ましい」とある。
 つまり、「当該一部の労働者で組織する労働組合(又は過半数代表者)の意見を聴くことは望ましいが、全労働者で組織する労働組合(又は過半数代表者)の意見を聴かないと、90条による意見聴取を行ったことにはならない」
11
6E
 通達(H11.3.31基発168)に
 「別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが89条に規定する就業規則となる」とあるので、
 別規則を変更した場合も就業規則を変更したことになり、89条に従って所轄労働基準監督署長に届け出る必要がある。
20
2B
 90条1項と2項から、
 「就業規則の作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないし、届出を出す際には、意見を記した書面を添付しなければならない」
⇒ つまり、同意を得る必要まではないが、意見を聴き、その意見を文書にして添付しなければならない。
  この場合意見書の内容は、どのように書かれていようと、効力の発生には影響ないとされている。
 意見書の内容については、通達(S24.3.28基発373)に、
 「就業規則に添付した意見書の内容が当該規則に全面的に反対するものであると、特定部分に関して反対するものであるとを問わず、又その反対事由の如何を問わず、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がない」
 さらには、労働組合の意見(S25.3.15基収525)
 「労働組合の意見を聴かなければならないというのは、労働組合との協議決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合の意見を聞けば労働基準法の違反とはならない趣旨である」
21
3D
 90条1項から、
 「就業規則の作成だけでなく、それを変更するに当たっても、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」
 また、同条2項から「届出を出す際には、意見を記した書面を添付しなければならない」 
26
7オ
 90条1項から、
 「就業規則の作成又は変更するに当たっては、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」となっており、「意見を聴取すること」は義務になっている。
 この「意見を聞く」ことに関しては、「労働基準法下巻P884」(厚生労働省労働基準局編)において、
 「意見を聴くとは、諮問をするとの意であり、文字通り労働者の団体的意見を求めるということであって、同意を得るとか協議するとかいうことまで要求しているものではない」としている。
令元
7C
 就業規則の作成又は変更にあたっては、90条1項から、
 「労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」ことになっている。
 この「意見を聞く」ことに関しては、たとえば、「労働基準法下巻P884」(厚生労働省労働基準局編)に、「意見を聴くとは、諮問をするとの意であり、文字通り労働者の団体的意見を求めるということであって、同意を得るとか協議するとかいうことまで要求しているものではない」とある、
 具体的に、どの程度の手続きが必要であるかについては、下級審の判決ではあるが、[東洋精機事件(S28.8.10神戸地裁尼崎支部)]において、
 「茲に意見を聴くとは、労働者過半数の意見が十分に陳述された後、之が十分に尊重されたと云う事蹟が存せることである。意見が十分に陳述されたと云うことは十分に陳述する機会と時間的余裕が与えられたと云うことであり、事実上意見が陳述されたか否かは問わないものである」としている。
27
7C
 「就業規則の作成又は変更について、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを使用者に義務づけている」ことは、90条1項の通りである。
 この趣旨については、労働法コンメンタール「労働基準法下」(厚生労働省労働基準局編)の882ページにおいて、   
 「本条(90条)が就業規則の作成・変更に当たり、労働者の団体的意見を聴くべきことを定めたのは、前条(89条)の就業規則の成文化の強制及び内容の強制、106条の労働者への周知義務と相まって、就業規則を合理的なものにしようとするものである」
 参考までに、以上のことから、90条は常時10人以上の労働者を使用する使用者が89条により作成と届出を義務づけられている就業規則に限る。
 なお、就業規則に内容の合理性が求められることについては、たとえば労働契約法7条や最高裁判例「秋北バス事件」などを学習すること。
24
7B
 90条1項と2項から、
 「(常時10人以上の労働者を使用する)使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければならず、
 届出をなすについては、意見を記した書面を添付しなければならない」
 また、届出先については、施行規則49条に、
 「使用者は、遅滞なく、就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければならない」とある。
27
7D
 90条2項にあるように、「就業規則の届出の際には、過半数労働組合それがない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付すること」を使用者に義務づけている。
 また、施行規則49条2項によれば、「90条2項の規定による就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければならない」としている。
 しかしながら、就業規則の内容に不満があるなどによって、労働者側が非協力的である場合は、いつまでたっても届出ができない恐れがある。(届出ないと、使用者には30万円以下の罰金が科せられる)
 このような場合は、通達(S23.05.11基発735、S23.10.30基発1575)に
 「労働組合又は労働者の過半数を代表する者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に代表者の氏名を記載をしない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱われたい」とある。
 とりあえず受理して、内容の審査や必要な調査などを行うことになる。

2
7B
 「労働基準法第90条に定める就業規則の作成又は変更の際の意見聴取について」とある。
 90条によれば、「使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず」、同2項から、「(就業規則の)届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない」ことになっている。
 また、施行規則49条2項によれば、「90条2項の規定による就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければならない」としている。
 ところが、問題文には「労働組合が故意に意見を表明しない又は意見書に代表者の氏名を記載しない」とある。
 このような場合は、通達(S23.05.11基発735、S23.10.30基発1575)に
 「労働組合又は労働者の過半数を代表する者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に代表者の氏名を記載しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱われたい」とある。
 とりあえず受理して(これにより、事業主の届出義務違反に対する罰則は免れる)、内容の審査や必要な調査などを行うことになる。
15
1B
 労働条件の決定に関する2条において、
 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」
 「2項 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない」
20
2E
 就業規則と法令、労働協約との関係を規定した92条の1項、2項から、
 「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
  行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」とある。 
25
1E
    就業規則と労働協約との関係を規定した92条の1項に
 「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」とあり、
 さらに同条2項に 「行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」 とある通り。
 なお、法令又は労働協約に反する就業規則は、その部分については無効(効力がない)とされる。
 無効の部分について変更を命じるというのは、少し変ではあるが、形が残っていると実行される怖れがあるので、変更を命じることができるようにしたのである。
 役所は変更を命じるだけであり、実際には事業主が就業規則の変更を届け出なければ、変更したことにはならない。(ただし、変更命令を実施しないと、30万円以下の罰金になる)
30
7E
 「都道府県労働局長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則を定めている使用者に対し必要な助言、指導又は勧告」とある。
 法令・労働協約違反の就業規則については、92条の1項において「あってはならない」とされ、同条2項において、「行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」とある。
 すなわち、行政指導等で済まされるものでなく、「変更命令」という行政処分である。
 さらに、実際に命令を下すのは、施行規則50条から、「所轄労働基準監督署長」である。
 参考までに、法令又は労働協約に反する就業規則は、労働契約法12条により、その部分については無効とされる。
 無効の部分について変更を命じるというのは、少し変ではあるが、形が残っていると実行される怖れがあるので、変更を命じることができるようにしたのである。
 また、変更命令に従わなかった場合は、120条3号に該当し、30万円以下の罰金が科せられる。
24
7C
 92条の1項、2項から、
 「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならず、 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずる ことができる」
 本肢は、この変更命令を誰が出せるのかということであるが、これについては、施行規則50条に、
 「就業規則の変更命令は、様式第17号による文書で所轄労働基準監督署長がこれを行う」とある。
28
5E
 行政官庁に届けられた就業規則を見たところ、法令又は労働協約に牴触する部分があったときは、92条の2項を拠り所として、「行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」 
 この変更命令を受けた事業主は、何もしなくても変更がなされたことになるか否かが本肢の論点であるが、当然のことながら、事業主は、90条の1項と2項に基づき、変更した後の就業規則に、労働者の過半数代表者などの意見を添付して行政官庁に届けなければならない。
なお、就業規則のうち、法令又は労働協約に牴触する部分を直さずに放置しておいても、92条1項から、その部分は無効になる。
 だから、わざわざ変更命令を出す必要はないではないかという反論もあろうが、実務上において、就業規則がそのまま適用され、労働者も気がつかないままであるという事態が発生すると困るから、官庁としても放置してはおけないということだろう。
 また、92条による変更命令は、あくまでも変更せよと罰則付きで事業主に変更義務を貸しているだけであって、その結果どう変更してどのような就業規則になったかについては、90条1項、2項で規定された所定の手続きを踏んで初めて、お墨つきが得られるということ。
27
7E
 92条の1項に、「就業規則は、当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」とある。全労働者が一つの労働組合に加入しているユニオンならいざしらず、労働者の一部しか労働組合に加入していない場合は、どうなるのかというのが本肢の論点。 
 これについては、労働法コンメンタール「労働基準法下」(厚生労働省労働基準局編)の897ページに、
 「当該事業場の従業員の一部しか労働組合に加入していない結果、労働協約の適用がその事業場の一部に限られている場合には、その適用を受ける労働者に関する限りにおいて労働協約と就業規則との関係が問題となることは当然である。
 したがって、就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても、その労働協約が適用されない労働者については就業規則の規定がそのまま適用されることになる」とある。
 しごくもっともである。
  参考までに、労働協約の一般的拘束力のついては、労働組合法17条に、
 「一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする」
 とあり、4分の3以上の労働者が加入する労働組合との労働協約が同組合に加入していない他の労働者にも適用される場合があることにも注意を。
11
5D
 93条労働契約法12条により、
 「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は就業規則で定める基準による」とある。
 労使で再度協議して決定するのではなく、いわゆる「部分無効、自動引上げ」の原則による。
16
選択
 労働基準法第92条においては、就業規則は、法令又は当該事業場について適用される(A)労働協約に反してはならないとされており、また、労働契約法第12条においては、
 「就業規則に定める基準(B)に達しな労働条件を定める(C)労働契約は、その部分については無効とされ、この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による」とされている。
 労働基準法などの法令≧労働協約≧就業規則≧労働契約の関係を抑えておくこと。
 就業規則に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約全体を無効とするかわりに、「部分無効、自動引き上げ」とすることにより、雇用契約そのものは有効とした。
 「92条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」
 「同2項 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」
 「労働契約法12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による」
27
7B
 問題文にある「就業規則の労働契約に対するいわゆる最低基準効」とは、93条に、「労働契約と就業規則との関係については、労働契約法12条の定めるところによる」とあり、その労働契約法12条によれば、
 「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による」ということを意味する。
 つまり、労働者個人が使用者と結ぶ労働契約は、就業規則が最低基準(それを下回った部分は無効)という歯止め役になっているということ。
 ここで、労働契約法12条にいう「就業規則」とは、労働者が就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称をいい、労働基準法89条の「就業規則」と同じであるが、常時10人以上の労働者を使用する使用者以外の使用者が作成する労働基準法89条では作成が義務付けられていない就業規則も含まれる、ことになっている。
 よって、たとえ89条による記載義務のある事項以外の事項(任意記載事項)を、使用者が就業規則に自由に記載することは、労働者にその同意なく(過半数代表者等の意見は聴取するものの)労働契約上の義務を課すことにつながりかねないとも言えるが、一方では、労基法92条により、「就業規則は、労基法を含めた法令に反してはならない」ということからも、「就業規則の労働契約に対する最低基準効は認められる」とするのが妥当であろう。
 なお、就業規則がこのような効果をもたらすためには、「就業規則の内容が合理的であって、かつ労働者に周知させておく」ことが求められる。
14
6A
 「主任以上の職にある者の55歳定年制を新設する就業規則の改正に伴い解雇された従業員が、本人の同意のない就業規則の改正には拘束されないから、解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めた(秋北バス事件)」の事例がある。
 これに対する判決は、
 「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解すべきである。
 これに対する不服は、団体交渉等の正当な手続による改善にまつほかはない。主任以上の職にある従業員に対して55歳定年制を新設することについて、定年制の企業運営上の意義、定年制の当時の実情、一般職との比較、嘱託再雇用の可能性等から不合理とはいえない」(最高裁大法廷S43.12.25)とある。
17
6B
 過去問(14-6A)の解説(最高裁大法廷S43.12.25)の通り。
17
6C
 過去問(14-6A)でとりあげた「秋北バス事件」の判決(最高裁大法廷S43.12.25)において、
 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである(労基法2条)が、多数の労働者を使用する近代企業においては、労働条件は、経営上の要請に基づき、統一的かつ画一的に決定され、労働者は、経営主体が定める契約内容の定型に従って、附従的に契約を締結せざるを得ない立場に立たされるのが実情であり、この労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っているものということができる」とある。
17
6E
 「ある従業員が、精密検診の受診を命じた業務命令に従わず、無断で職場を離脱してこの問題についての団交の場に押しかけたことを理由に戒告処分となった」ことに対して、その処分無効を訴えたいわゆる「電電公社帯広局事件」の例がある。
 これに対する判決(最高裁第1小法廷(S61.3.13)では、
 「就業規則が一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべき旨を定める場合、規定内容が合理的なものである限り当該具体的労働契約の内容をなしているといえる。本件の場合は、精密検診の受診方を命ずる業務命令については、その効力を肯定することができ、これを拒否した被告人の行為は、就業規則の懲戒事由にあたる」とある。
17
6D
 過去問解説(17-6A)にあるいわゆる「フジ興産事件」の例があり、判決(最高裁第2小法廷 H15.10.10)において、「労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類および事由を定めておくことを要する。さらには、労働者にこれを周知させる必要がある」
18
1D
 法令等の周知義務を定めた106条によると、
 「使用者は、以下を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付すること、その他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」
@労働基準法と命令の要旨
A就業規則、労働基準法で規定された労使協定
B労働時間等設定改善委員会の決議など
106条には明確には表現されていないが、労使協定に代わる労使委員会の決議、労働時間等設定改善委員会の決議も同様に周知しなければならない。
11
5B
 周知しなければならない労使協定は、106条にあるように、労働基準法により規定されている労使協定である。
 これについては、通達((H11.1.29基発45)においても、
 「使用者が労働者に周知しなければならないものとして、労働基準法に基づく労使協定、労使委員会の決議、労働時間等設定改善委員会の決議が加えられたものであること」とある。
 すなわち、労働基準法の規定にはない労使協定については、周知義務は課されていない。
16
7E
 法令等の周知義務を定めた106条によると、法律及びこれに基づく命令(施行規則など)については要旨でよいが、就業規則労働基準法に規定された労使協定と労使委員会決議、労働時間等設定改善委員会の決議全文の周知が義務付けられている。 
少なくとも就業規則を全文周知させなければならないことは、就業規則の作成手続きを定めた90条による意見書の提出からもわかるはずである。
 「90条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」
 「同2項 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない」

2
2A
 法令等の周知義務を定めた106条に、「この法律及びこれに基づく命令の要旨就業規則、(労基法各条文に規定されている)労使協定、(企画業務型裁量労働制、貯蓄金管理と賃金の一部控除を除く労使協定の代替、高度プロフェショナル制度)に関する)決議を、常時掲示・備付け・書面の交付その他厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」とある。
 労基法と命令(施行規則等)については「要旨」とあるが、それ以外は要旨という言葉がないことから「全文」の周知が求められている。

2
2B
 前段の「労働基準法36条1項(時間外及び休日の労働)に規定する協定」は、労使協定を締結し届出を行うことによって、法定労働時間を超えてあるいは法定休日においても、協定で定めた労働者を、協定で定めた限度において、労働させることができるものであり、106条においても「36条第1項(時間外及び休日労働)・・・に規定する協定」の労働者への周知義務が明確に規定されている。
 この場合、周知の対象については、「労働者に周知」とだけあるが、106条が設けられた当初から、当然ながら、「労働者全員」とされてきた。
 次に、後段の「41条の2の1項(いわゆる高度プロフェッショナル制度に係る委員会)に規定する決議」は、委員会(特に定められた名称はない)で5分の4の多数の議決によって決議し、届出を行うことにより、一定の対象労働者が対象業務を行った場合でも、時間外・深夜・休日労働の割増賃金の規定は適用されないことになる。
 これについても、106条において「高度プロフェッショナル制度に規定する決議」の労働者への周知義務が明確に規定されている。
 さらに念押しとして、通達(H12.01.02基発1)において、「決議については、法106条1項に基づき、使用者は対象労働者に限らず労働者に周知しなければならない」としている。
 (なお、この通達は、平成12年の法改正で、企画型業務の裁量労働制に関する労使委員会の決議が106条に追加されたときに出されたものであるが、「労働者に周知」とは「対象労働者に限らないこと」を、改めて確認したものである)


7B
 「使用者は、就業規則を・・・・労働者に周知させなければならない」とあるが、106条によると、就業規則だけでなく、「労働基準法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、(労働基準法に規定されている)労使協定、労使委員会による決議について、
@常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、A書面を交付すること、
 その他の厚生労働省令(施行規則52条の2)による、B磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること、のいずれかの方法により、労働者に周知させなければならない」としている。
⇒労働基準法、労働基準法に基づく命令については、要旨でもよいが、就業規則は全文を周知させなければならない。
23
5E
 106条によると、
 「使用者は、労働基準法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、一定の(すわち労働基準法で規定されている)労使協定などを、厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」とあり、厚生労働省令で定める方法とは、施行規則52条の2にある
 @常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
 A書面を労働者に交付すること。
 B磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 
20
2D
 106条の書き出しに、
 「使用者は、労働基準法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、一定の労使協定等を、労働者に周知させなければならない」とあり、就業規則の全文について、周知義務がある。
 ただし、周知方法については、書面で交付する方法だけが有効とされるわけでなく、106条後段と施行規則52条の2にあるように、 
 「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付すること、
 その他の厚生労働省令で定める方法(磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること)のいずれかによって、労働者に周知させなければならない」とある。
 たとえば、社内のパソコンなどによって閲覧する方法などでもよいことになっている。
21
3E
 前段については、106条の書き出しに、
 「使用者は、就業規則などを、・・・によって、労働者に周知させなければならない」とあり、就業規則の周知義務を定めていることは正しい。
 また、その周知の方法については、同じく106条後段や施行規則52条の2に具体的に規定されており、これによらなけれなならない。
 要は、通達(H11.3.31基発169)において、
 「就業規則等を労働者が必要なときに、容易に確認できる状態にあることが「周知させる」ための要件である」とされている。
 よって、「いくら詳しく説明しても、口頭で一度だけでは、その義務を果たしたとは認められない」
17
6A
 いわゆる[フジ興産事件](最高裁第2小法廷 H15.10.10)のことであり。
 「同社では、懲戒処分に関する規定を含む就業規則に基づいて、ある従業員を懲戒解雇するにいたった。ところがこの従業員の属する職場には就業規則が備え付けられていなかったとして、解雇無効の訴えを起こしたもの」
 これに対する判決文によると、「労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類および事由を定めておくことを要する。(さらに)就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、その内容を、適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要する
 単に、労働者の意見を付して就業規則を制定し、労働基準監督署長に届け出た事実のみでは十分ではない」としている。 
24
7D
 106条から、
 「使用者は、就業規則その他一定のものを、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」 とあり、就業規則についても周知義務が規定されている。
 そして、過去問解説(17-6A)にあるように、
 「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、その内容を、適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要する
 単に、労働者の同意を得て就業規則を制定し、労働基準監督署長に届け出た事実のみでは十分ではない」のである。
 さらに、この周知義務に違反した場合は、就業規則としての強制力が失われるだけでなく、120条に、
 「30万円以下の罰金に処する」とあって、106条は民亊的な定めではなく、刑事罰が課せられる強硬規定なのである。
11

 使用者は、事業の付属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならず、また、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。
 [解説]
 「94条1項 使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない」
 「同2項 使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない」
21
7B
 94条2項にあるように、
 「使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない」とある。
 通達(S22.9.13発基17)においても、
 「寄宿舎生活は労働関係とは別個の私生活であり、これに使用者が干渉することは私生活の自由を侵すものであって、94条の運用に当たっては、この趣旨により充分の行政指導を行うこと」としている。
21
7A
 94条1項に
 「使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない」から類推がつくはずである。
 実際、事業附属寄宿舎規程(事業の附属寄宿舎に適用する省令)の4条に、
 「使用者は、次の各号に掲げる行為等寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵す行為をしてはならない。
@ 外出又は外泊について使用者の承認を受けさせること。
A 教育、娯楽その他の行事に参加を強制すること。
B 共同の利益を害する場所及び時間を除き、面会の自由を制限すること、
 とある。
 なお、 別の通達(S23.3.30基発508)において、
 「外出又は外泊の日時、行先等を当日又は前日に届け出させることは差し支えないが、それ以上の期間をおいて予め届け出させる場合には、許可を受けさせる場合と同じ効果をもつから、これを避けるよう指導することが望ましい」としている。
21
7C
 事業附属寄宿舎規定について定めた95条の通りである。
 ここで、起床、就寝、外出及び外泊に関する事項、行事に関する事項などで私生活に関わるものは、当然のことながら、その自由を侵す内容であってはならない。
 また、95条の2項、3項にあるように、
 「建設物及び設備の管理に関するものを除く事項の規定の作成・変更については、
 寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならないし、
 同意を証明する書面を添えて届け出しなければならない」  
21
7D
 95条2項に、
 「使用者は、事業附属寄宿舎規定のうち、1号乃至4号の事項(建設物及び設備の管理に関するものを除く)に関する規定の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない」とある。
 つまり、就業規則とは扱いが異なって、当事者である寄宿労働者の過半数代表者の同意が必要である。
 また、単なる意見書ではなく、同意書の添付も必要なのだ。
15
7E
 96条の1項、2項により、
 「使用者は、事業の附属寄宿舎について、換気、採光、照明等々の必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持に必要な措置を講じなければならず、使用者が講ずべき措置の基準は、厚生労働省令で定める」とある。
 ここでいう省令とは、「事業附属寄宿舎規程」のことであり、たとえば同8条では、
 「男性と女性を同一のむねの建物に収容してはならない。ただし、完全な区画を設け、かつ、出入口を別にした場合には、この限りではない」
 そのほか、寝室、寝具、便所、洗面所、浴場、食堂、廊下、階段等々驚くほどこまごまとした事が決められている。
21
7E
 96条の2から、
 「使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業(そのほかに厚生労働省令で定める事業もある)の附属寄宿舎を設置(移転、変更も含む)しようとする場合においては、危害防止等に関する基準に従って定めた計画を、工事着手14日前までに、行政官庁に届け出なければならない」とある。
寄宿舎設置届の締切日が14日か30日かを問う意味がどれくらいあるのか疑問であるが、一応、労基法の本文にかかれているので、文句はいえないか。

2

 使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、厚生労働省令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、労働基準法第96条の規定に基づいて発する厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手14日前までに、行政官庁に届け出なければならない。
 附属寄宿舎の設置、移転、変更の計画の事前届出については、96条の2に、
 
「使用者は、常時10人以上の労働者を就業さ移転し、又は変更しようとする場合においては、前条(96条)の規定に基づいて発する厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手14日前までに、行政官庁に届け出なければならない」とある。
 なお、届出の内容等は、事業附属寄宿舎規程(3条の2 )に
「法96条の2の1項の規定による届出をしようとする者は、様式第一号(寄宿舎設置・移転・変更届)による届書に次の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない」
・周囲の状況及び四隣との関係を示す図面
・建築物の各階の平面図及び断面図
14
7D
 施行規則57条の1号に該当するので、
 「遅滞なく、適用事業報告を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない」

2
2E
 使用者が事業を開始したときは、施行規則57条の1号に該当するので、「遅滞なく、様式23号の2の適用事業報告により、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない」
 この適用事業報告は、事業主が業種を問わず、労働者を使用し事業を開始した場合に報告が求められるものである。
 一方、「事業は廃止した場合」に報告が求められるという規定はない。すなわち不要である。
12
1E
 「同一労働基準監督署管内に同一企業の事業場が複数ある場合は、報告又は届出については、当該企業内の組織上各事業場の長より上位の使用者が取りまとめて報告又は届出を行うことは差し支えない。
 この場合、各事業場ごとに報告又は届出の内容を明らかにし、また、各事業場に係る内容が同一であれば、その旨を明らかにした上で行う」(H7.12.26基発740)

2
2D
 「労働基準法及びこれに基づく命令に定める許可、認可、認定又は指定の申請書」とある。
 これを提出する部数については、施行規則59条に「各々2通これを提出しなければならない」とある。
 ここで、「2通」とは提出用正本と申請者用の写しのことである。
15
7C
 診断に関する施行規則37条に、
 「労働者が就業中又は事業場若しくは事業の附属建設物内で負傷し、疾病にかゝり又は死亡した場合には、使用者は、遅滞なく医師に診断させなければならない」とある。