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 労働契約法(平成20年3月1日施行)  新設の経緯等についてはこちらを
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 労基16-3B労基選択-18労基選択令4-2令4-2選択令5-1選択
 関連条文等 目的(1条)、定義(2条)、労働契約の原則(3条)、労働契約の内容の理解の促進(4条)、安全への配慮(5条)、労働契約の成立(6条)、就業規則との関係(7条)、合意による労働契約内容の変更(8条)、就業規則による労働契約の不利益変更(9条)、不利益変更が許される場合(10条)、就業規則の変更手続き(11条)、就業規則違反の労働契約(12条)、法令及び労働協約と就業規則との関係(13条)、出向(14条)、懲戒(15条)、解雇(16条)、契約期間中の解雇等(17条)、有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(18条)、有期労働契約の更新等(19条)、船員に関する特例(20条)、適用除外(21条)










1.1 目的等
 目的(1条)
 「この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする」
 定義(2条)
 「この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう」
  ⇒ 労基法9条の「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と同じ概念であり、 
・使用従属関係と報酬の労務対償性から判定。
・民法の請負、委任など契約の形式にはとらわれずに、実態で判断する。
 「同2項 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう」
⇒労基法10条の「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」よりは狭い概念であり、同条の「事業主」に該当する。
 よって、個人企業の場合は企業主個人、会社等法人の場合は法人そのもの。
1.2 労働契約の原則(3条)
(1)労使対等の原則
 「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする」
(2)均衡考慮の原則(2項)
 「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」
(3) 仕事と生活の調和への配慮の原則(3項)
 「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」
(4) 信義誠実の原則(4項)
 「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」 
(5)権利濫用の禁止の原則(5項)
 「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」
1.3 労働契約の内容の理解の促進(4条)
 「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする」
 「2項 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする」
 
 4条の趣旨(通達(H30.12.28、基発1228-17(4条関係))
 「労働契約は、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者の合意のみにより成立する契約(諾成契約)であるが、契約内容について労働者が十分理解しないまま労働契約を締結又は変更し、後にその契約内容について労働者と使用者との間において認識の齟齬が生じ、これが原因となって個別労働関係紛争が生じているところである。
 労働契約の内容である労働条件については、労働基準法15条1項により締結時における明示が義務付けられているが、個別労働関係紛争を防止するためには、同項により義務付けられている場面以外においても、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者が契約内容について自覚することにより、契約内容があいまいなまま労働契約関係が継続することのないようにすることが重要である」
 たとえば、「4条1項は、労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面や、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものであること。これは、労働基準法15条1項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より広いものであること」
29
1A
 労働契約法第2条第2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうが、これは、労働基準法第10条の「使用者」と同義である。(基礎)

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正しい 誤り



















26
1D
 労働契約法第3条第1項において、「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする」と規定されている。 (基礎)

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正しい 誤り
22
5C
 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものである。(基礎)

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正しい 誤り
23
4A
 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされている。(22-5Cの類型)

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正しい 誤り
27
1A
 労働契約法第3条第2項では、労働契約は就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきとしているが、これには、就業の実態が異なるいわゆる正社員と多様な正社員の間の均衡は含まれない。 (22-5Cの応用)

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正しい 誤り
21
1D

 

 平成20年3月1日から施行されている労働契約法において、労働契約の原則が第3条に規定されているが、同条第3項において、「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」とされている。(基礎)

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25
1A
 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされている。(21-1Dの類型)

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27
1B
 労働契約の基本的な理念及び労働契約に共通する原則を規定する労働契約法第3条のうち、第3項は様々な雇用形態や就業実態を広く対象とする「仕事と生活の調和への配慮の原則」を規定していることから、いわゆる正社員と多様な正社員との間の転換にも、かかる原則は及ぶ。(21-1Dの応用)

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労基選択
令4
2
  最高裁判所は、全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員に対する名古屋営業所への転勤命令が権利の濫用に当たるということができるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
 「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が | B |なされたものであるとき若しくは労働者に対し通常| C |とき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。
 右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもつては容易に替え難いといつた高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである」
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労働契約の内容の理解の促進

3A
 労働契約法第4条第1項は、「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにする」ことを規定しているが、これは労働契約の締結の場面及び変更する場面のことをいうものであり、労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面は含まれない。

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23
4B
 労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含め、労働契約の内容については、できるだけ書面により確認するものとされている。(基礎)

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26
1E
 労働契約法第4条第2項は、労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含む労働契約の内容について、できる限り書面によって確認するものとする旨、定めている。 (23-4Bの類型)

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27
1C
 労働契約法第4条は、労働契約の内容はできるだけ書面で確認するものとされているが、勤務地、職務、勤務時間の限定についても、この確認事項に含まれる。

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1.4 安全への配慮(5条)
 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」

 通達(H30.12.28、基発1228-17(5条関係))
 「通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事するものであることから、判例において、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされているが、これは、民法等の規定からは明らかになっていないところである。このため、法第5条において、使用者は当然に安全配慮義務を負うことを規定したものであること。
 すなわち、
@ 使用者は、労働契約に基づいてその本来の債務として賃金支払義務を負うほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うことを規定したものであること。
A「労働契約に伴い」は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、使用者は安全配慮義務を負うことを明らかにしたものであること。
B「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものであること。
C「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められるものであること。
 なお、労働安全衛生法をはじめとする労働安全衛生関係法令においては、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されているところであり、これらは当然に遵守されなければならないものであること。
 安全配慮義務に関する代表的な最高裁判例(厚生労働省・労働契約法についての中の参考となる裁判例
 陸上自衛隊事件(S50.2.25) 概要
 陸上自衛隊員が、自衛隊内の車両整備工場で車両整備中、後退してきたトラックにひかれて死亡した事例で、国の公務員に対する安全配慮義務を認定。
判決要旨
・国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負つているものと解すべきである。
・安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきもの
川義事件(S59.4.10) 概要
 宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事例で、会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとした。
判決要旨
・雇傭契約は、労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから使用者は、報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負つているものと解するのが相当である。
 もとより、使用者の右の安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によつて異なるべきものであることはいうまでもない。
22
5A
 使用者は、労働契約に伴い、労働者及びその家族がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をしなければならない。(基礎)

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24
1B
 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされている。(22-5Aの類型)

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30
3イ
 使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。(22-5Aの類型)

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28
1ア
 労働契約法第5条は労働者の安全への配慮を定めているが、その内容は、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められる。(30-3イの応用)

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25
1B
 使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとするのが、最高裁判所の判例である。(22-5Aの応用)

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27
2B
 使用者は、労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には、神経科の医院への通院、その診断に係る病名、神経症に適応のある薬剤の処方など労働者の精神的健康に関する情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきであるとするのが、最高裁判所の判例である。

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2.労働契約
2.1 労働契約の成立(6条):合意の原則
 「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」

 6条の内容(通達(H30.12.28、基発1228-17(6条関係))
@6条は、労働契約の成立は労働者及び使用者の合意によることを規定するとともに、「労働者が使用者に使用されて労働」すること及び「使用者がこれに対して賃金を支払う」ことが合意の要素であることを規定したものであること。
A6条に「労働者が使用者に使用されて労働し」と規定されているとおり、労働契約は、使用従属関係が認められる労働者と使用者との間において締結される契約を把握する契約類型であり、労働者側からみた場合には、一定の対価(賃金)と一定の労働条件のもとに、自己の労働力の処分を使用者に委ねることを約する契約であること。
B民法623条の「雇用」は、労働契約に該当するものであること。
 また、民法632条の「請負」、同法643条の「委任」又は非典型契約であっても、契約形式にとらわれず実態として使用従属関係が認められ、当該契約で労務を提供する者が2条1項の「労働者」に該当する場合には、当該契約は労働契約に該当するものであること。
C6条に「合意することによって成立する」と規定されているとおり、労働契約は、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者の合意のみにより成立するものであること。したがって、労働契約の成立の要件としては、契約内容について書面を交付することまでは求められないものであること。
 また、6条の労働契約の成立の要件としては、労働条件を詳細に定めていなかった場合であっても、労働契約そのものは成立し得るものであること」
のものは成立しうる。
 就業規則との関係(7条)
 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
 ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については12条(就業規則で定める基準に達しない労働条件)に該当する場合を除き、この限りでない」
 
 7条の意味(通達(H30.12.28、基発1228-17(7条関係))
 「7条は、労働契約において労働条件を詳細に定めずに労働者が就職した場合において、「合理的な労働条件が定められている就業規則」であること及び「就業規則を労働者に周知させていた」ことという要件を満たしている場合には、就業規則で定める労働条件が労働契約の内容を補充し、「労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件による」という法的効果が生じることを規定したものであること。
 これは、労働契約の成立についての合意はあるものの、労働条件は詳細に定めていない場合であっても、就業規則で定める労働条件によって労働契約の内容を補充することにより、労働契約の内容を確定するものであること。
・7条は、就業規則により労働契約の内容を補充することを規定したものであることから、同条本文の規定による法的効果が生じるのは、労働契約において詳細に定められていない部分についてであり、「就業規則の内容と異なる労働条件」を合意していた部分については、同条ただし書により、法12条に該当する場合(合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合)を除き、その合意が優先するものであること」
・「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において」と規定されているとおり、法第7条は労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されないものであること。
 ここで、
@「就業規則」とは、労働者が就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称をいい、労働基準法89条の「就業規則」と同じであるが、ここでいう「就業規則」には、常時10人以上の労働者を使用する使用者以外の使用者が作成する労働基準法89条では作成が義務付けられていない就業規則も含まれる。
A「合理的な労働条件」とは、個々の労働条件について判断されるものであり、合理的でない労働条件を定めた部分については、7条本文の法的効果は生じないこととなる(労働契約の内容とはならない)
B「周知」とは、常時見やすい場所に掲示又は備え付ける、交付する、パソコン等を常時設置するなどして、労働者が知ろうと思えばいつでも内容を知り得るようにすること。 
24
1C
 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことによって成立する」 ものとされており、当事者の合意、認識等の主観的事情は、労働契約の成否に影響を与えない。(基礎)

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28
1イ
 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が必ず書面を交付して合意しなければ、有効に成立しない。 (24-1Cの応用)

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26
1C
 労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当であるとするのが、最高裁判所の判例である。(発展)

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3B
 就業規則に定められている事項であっても、例えば、就業規則の制定趣旨や根本精神を宣言した規定、労使協議の手続に関する規定等労働条件でないものについては、労働契約法第7条本文によっても労働契約の内容とはならない。

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3
3A
 労働契約法第7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。
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27
1E
 労働契約法第7条にいう就業規則の「周知」とは、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておくことをいい、労働基準法第106条の定める「周知」の方法に限定されるものではない。

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2.2 労働契約内容の変更
 合意による労働契約内容の変更(8条)
  「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」
何気なく読んではいけない。労働契約を変更するときは、労使の合意が必要である。(書面の有無とは関係ない)。
 なお、就業規則により変更する場合は、9条10条の制約がかかる。

 就業規則による労働契約の不利益変更(9条)
 「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない
 ただし、次条の場合は、この限りでない」
⇒原則として、「合意することなく、労働者に不利益になるような就業規則の変更はできない」

  不利益変更が許される場合(10条)
 「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
 ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、12条に該当する場合を除き、この限りでない」

 通達(H30.12.28、基発1228-17(9条、10条関係))
(1)9条の内容
 9条本文は、8条の労働契約の変更についての「合意の原則」に従い、使用者が労働者と合意することなく就業規則の変更により労働契約の内容である労働条件を労働者の不利益に変更することはできないという原則を確認的に規定したものであること。 
 9条ただし書は、10条の場合は、9条本文に規定する原則の例外であることを規定したものであること。
⇒「労働者と使用者が合意した部分については、就業規則の基準に達しない部分を除き、変更後の就業規則によらない」ということ。
⇒なお、7条ただし書きにある「労働者と使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分」については、
・10条本文を適用して、変更後の就業規則によるものとすることもできるし、
・10条ただし書きを適用して、変更後の就業規則にはよらず個別の合意内容とすることもできる。
(2)10条の内容
@10条は、「就業規則の変更」という方法によって「労働条件を変更する場合」において、使用者が「変更後の就業規則を労働者に周知させ」たこと及び「就業規則の変更が合理的なものであること」という要件を満たした場合に、労働契約の変更についての「合意の原則」の例外として、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果が生じることを規定したものであること。
A10条は、就業規則の変更による労働条件の変更が労働者の不利益となる場合に適用されるものであること。
 なお、就業規則に定められている事項であっても、労働条件でないものについては、法第10条は適用されないものであること。
B10条の「就業規則の変更」には、就業規則の中に現に存在する条項を改廃することのほか、条項を新設することも含まれるものであること。
C10条本文の合理性判断の考慮要素
・「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況」は、就業規則の変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たっての考慮要素として例示したものであり、個別具体的な事案に応じて、これらの考慮要素に該当する事実を含め就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮され、合理性判断が行われることとなるものであること。
・「労働者の受ける不利益の程度」については、実際に紛争となる事例は、就業規則の変更により個々の労働者に不利益が生じたことに起因するものであり、個々の労働者の不利益の程度をいうものであること。
 また、「変更後の就業規則の内容の相当性」については、就業規則の変更の内容全体の相当性をいうものであり、変更後の就業規則の内容面に係る制度変更一般の状況が広く含まれるものであること。
・「労働条件の変更の必要性」は、使用者にとっての就業規則による労働条件の変更の必要性をいうものであること。
・「労働組合等との交渉の状況」は、労働組合等事業場の労働者の意思を代表するものとの交渉の経緯、結果等をいうものであること。
 就業規則変更の合理性に関する代表的な最高裁判例(厚生労働省・労働契約法についての中の参考となる裁判例
秋北バス事件(S43.12.25) 概要
 就業規則の変更により、定年制度を改正して主任以上の職の者の定年を55歳に定めたため、新たに定年制度の対象となった労働者が解雇された事例で、新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解すべきとし、不利益を受ける労働者に対しても変更後の就業規則の適用を認めた。
 大曲市農業協同組合事件(S63.2.16) 概要
 農協の合併に伴い、新たに作成・適用された就業規則上の退職給与規定が従前の退職給与規定より不利益なものであった事例で、秋北バス事件の最高裁判決の考え方を踏襲した上、就業規則の合理性について示し、新規則の合理性を認めて、不利益を受ける労働者に対しても拘束力を生ずるものした。
判決要旨
 新たな就業規則条校が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、
 それによつて労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであることをいうと解される。
 特に、賃金、退職金など労働者にとつて重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである。
第四銀行事件
(H9.2.28)
 
概要
 就業規則により定年を延長する代わりに給与が減額された事例で、秋北バス事件、大曲市農協事件の最高裁判決の考え方を踏襲し、さらに合理性の有無の判断に当たっての考慮要素を具体的に列挙し、その考慮要素に照らした上で、就業規則の変更は合理的であるとした。
判決要旨
 合理性の有無は、具体的には、
@就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、A使用者側の変更の必要性の内容・程度、
B変更後の就業規則の内容自体の相当性、C代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、
D労働組合等との交渉の経緯、E他の労働組合又は他の従業員の対応、F同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべき。 

 就業規則の変更手続き(11条)
 「就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法89条及び90条の定めるところによる」
⇒単に就業規則の変更に必要な手続を規定したものであって、「就業規則による労働契約の不利益変更」を行う場合は、10条の要件を満足していなければならない。
 就業規則違反の労働契約(12条)
 「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による」
⇒12条の「就業規則」には、労働基準法89条の「就業規則」だけでなく、常時10人以上の労働者を使用する使用者以外の使用者が作成し労働基準法89条では作成が義務付けられていない就業規則も含まれる。
 法令及び労働協約と就業規則との関係(13条)
 「就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、7条(就業規則との関係)、10条(不利益変更が許される場合)及び条(就業規則違反の労働契約)の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない」

 通達(H30.12.28、基発1228-17(法令及び労働協約と就業規則との関係(法第13条関係))によれば、
@就業規則が法令に反してはならないこと及び労働組合と使用者との間の合意により締結された労働協約は使用者が作成する就業規則よりも優位に立つことは、法理上当然であり、就業規則は法令又は労働協約に反してはならないものである。
 7条、10条、12条においては、一定の場合に就業規則で定める労働条件が労働契約の内容となることを規定しているので、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その労働条件は労働契約の内容とはならないことを規定したものである。
A13条の「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいうものであること。なお、罰則を伴う法令であるか否かは問わないものであり、労働基準法以外の法令も含むものであること。
B「労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については」とは、事業場の一部の労働者のみが労働組合に加入しており、労働協約の適用が事業場の一部の労働者に限られている場合には、労働協約の適用を受ける労働者に関してのみ、13条が適用されることをいう。
個別合意による変更 24
1D
 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができるとされている。(基礎)

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正しい 誤り
29
1B
 「労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであるが、就業規則に定められている労働条件に関する条項を労働者の不利益に変更する場合には、労働者と使用者との個別の合意によって変更することはできない」とするのが、最高裁判所の判例である。(24-1Dの発展)

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23
4C
 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、 労働契約法第10条ただし書に該当する場合を除き、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとされている。(基礎)

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3E
 労働契約法第10条の「就業規則の変更」には、就業規則の中に現に存在する条項を改廃することのほか、条項を新設することも含まれる。

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25
1D
 使用者が社内の多数労働組合の同意を得て就業規則を変更し、55歳以降の賃金を54歳時よりも引き下げつつ、定年年齢を引き上げた事案について、本件就業規則の変更は、多数労働組合との交渉、合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであるから、変更後の就業規則の内容は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等にかかわらず、労使間の利益調整がされた結果として合理的なものとみなすことができるとするのが最高裁判所の判例である。(23-4Cの類型)

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30
3ウ
 就業規則の変更による労働条件の変更が労働者の不利益となるため、労働者が、当該変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとはされないことを主張した場合、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負う。(23-4Cの応用)

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22
5B
 使用者は、労働者との合意がなければ労働者の不利益に労働条件を変更することはできないが、事業場の労働者の過半数を代表する労働組合の意見を聴いて就業規則を変更する場合には、労働条件を労働者の不利益に変更することができる。(23-4Cの応用)

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3
3B
 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。(発展)

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変更手続 29
1C
 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、労働契約法第11条に定める就業規則の変更に係る手続を履行されていることは、労働契約の内容である労働条件が、変更後の就業規則に定めるところによるという法的効果を生じさせるための要件とされている。

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26
1B
 就業規則で定める基準と異なる労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準によるとされている。 (基礎)

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3
3C
 労働契約法第13条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれる。

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3 労働契約の継続・終了
3.1 出向(14条)
 「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする」
⇒ここでいう出向とは「在籍型出向」(出向元と出向を命じられた労働者との間の労働契約関係が継続している出向)のこと。 
23
4D

 

 労働者に在籍出向を命ずる場合において、使用者の当該命令は、当該労働者の個別の同意を得た上で、当該出向が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、権利を濫用したものと認められない態様で行われた場合のみ有効であるとされている。(基礎)

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28
1ウ
 いわゆる在籍出向においては、就業規則に業務上の必要によって社外勤務をさせることがある旨の規定があり、さらに、労働協約に社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金その他の労働条件や処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられているという事情の下であっても、使用者は、当該労働者の個別的同意を得ることなしに出向命令を発令することができないとするのが、最高裁判所の判例である。(23-4Dの応用)

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3.2 懲戒(15条)
 「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」

 懲戒(通達(H30.12.28、基発1228-17(15条関係))
 「15条の「懲戒」とは、労働基準法89条9号の9号の「制裁」と同義であり、同条により、当該事業場に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に記載することが義務付けられているものであること」

3.3 解雇(16条) 基礎講座
 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

 解雇(通達(H30.12.28、基発1228-17(16条関係))
@16条は、最高裁判所判決で確立しているいわゆる解雇権濫用法理を規定し、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、権利濫用に該当するものとして無効となることを明らかにしたものであること。
 なお、16条は、旧労働基準法18条の2と同内容であること。
A旧労働基準法18条の2については、「解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち、圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判実務を何ら変更することなく最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理を法律上明定したもの」であり、「最高裁判所で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものであることを踏まえ、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない」ことが立法者の意思であることが明らかにされており、これについては本法16条においても同様であること」   
 解雇権の濫用に関する代表的な最高裁判例(厚生労働省・労働契約法についての中の参考となる裁判例
日本食塩製造事件(S50.4.25) 概要
 ユニオン・ショップ協定に基づき労働者を解雇した事例で、解雇権の濫用であるとして、解雇を無効とした。
判決要旨
・使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。
 なお、参考までに同判決において、
・ユニオン・ショップ協定に基づき使用者が労働組合に対し解雇義務を負うのは、当該労働者が正当な理由がないのに労働組合に加入しない、労働組合から有効に脱退若しくは除名されて組合員たる資格を喪失した場合に限定され、除名が無効な場合には、使用者は解雇義務を負わない。
24
1E
 使用者が労働者を懲戒することができる場合においても、当該懲戒が、その権利を濫用したものとして、無効とされることがある。(基礎)

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26
1A
 「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

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3C
 労働契約法第15条の「懲戒」とは、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同義であり、同条により、当該事業場に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に記載することが義務付けられている。

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30
3エ
  使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことをもって足り、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていない場合でも、労働基準法に定める罰則の対象となるのは格別、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずることに変わりはない」とするのが、最高裁判所の判例である。

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14
5A
 採用内定に関しては、「企業の求人募集に対する大学卒業予定者の応募は労働契約の申込であり、これに対する企業の採用内定通知は右申込に対する承諾であって、誓約書の提出とあいまって、これにより、大学卒業予定者と企業との間に、就労の始期を大学卒業の直後とし、それまでの間誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である」旨の最高裁判決がある。

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5
1
選択
 最高裁判所は、会社から採用内定を受けていた大学卒業予定者に対し、会社が行った採用内定取消は解約権の濫用に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
 大学卒業予定者(被上告人)が、企業(上告人)の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知(以下「本件採用内定通知」という)を受け、企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書(以下「本件誓約書」という)を提出し、その後、企業から会社の近況報告その他のパンフレットの送付を受けたり、企業からの指示により近況報告書を送付したなどのことがあり、他方、企業において、「 | A |)ことを考慮するとき、上告人からの募集(申込みの誘引)に対し、被上告人が応募したのは、労働契約の申込みであり、これに対する上告人からの採用内定通知は、右申込みに対する承諾であつて、被上告人の本件誓約書の提出とあいまつて、これにより、被上告人と上告人との間に、被上告人の就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の5項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当とした原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない」企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の「採用内定の取消事由は、採用内定当時| B  |、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である」

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25
1C
 いわゆる採用内定の制度の実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一義的に論断することは困難というべきであり、採用内定の法的性質を判断するに当たっては、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即してこれを検討する必要があるとするのが、最高裁判所の判例である。(14-5Aに関連する?愚問)

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30
3ア
   いわゆる採用内定の制度は、多くの企業でその実態が類似しているため、いわゆる新卒学生に対する採用内定の法的性質については、当該企業における採用内定の事実関係にかかわらず、新卒学生の就労の始期を大学卒業直後とし、それまでの間、内定企業の作成した誓約書に記載されている採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立しているものとするのが、最高裁判所の判例である。'(14-5A25-1Cの類型)

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労基
16
3B
 労働契約法第16条の規定は、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という要件に当たる場合は無効となることを定めたものであり、同条の規定に基づき解雇の効力を争う事案については、労働基準法第104条第1項に定める労働基準監督機関に対する申告の対象にならない。
  (関連問題 労基法23-3B)

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労基

18
 労働契約法第16条において、「解雇は、|    |場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されている。 ((基礎)

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29
1D
 従業員が職場で上司に対する暴行事件を起こしたことなどが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとして、使用者が捜査機関による捜査の結果を待った上で当該事件から7年以上経過した後に諭旨退職処分を行った場合において、当該事件には目撃者が存在しており、捜査の結果を待たずとも使用者において処分を決めることが十分に可能であったこと、当該諭旨退職処分がされた時点で企業秩序維持の観点から重い懲戒処分を行うことを必要とするような状況はなかったことなど判示の事情の下では、当該諭旨退職処分は、権利の濫用として無効であるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

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27
1D
 裁判例では、労働者の能力不足による解雇について、能力不足を理由に直ちに解雇することは認められるわけではなく、高度な専門性を伴わない職務限定では、改善の機会を与えるための警告に加え、教育訓練、配置転換、降格等が必要とされる傾向がみられる。 (発展)

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 期

















4.14.期間の定めのある労働契約
4.1 契約期間中の解雇等(17条) 基礎講座を参照のこと
 「使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」
 「同2項 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなけしなければならない」

 通達(H30.12.28、基発1228-17(17条関係)
@17条1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解されるものであること。
A契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって17条1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるものであること。
B17条1項は、「解雇することができない」旨を規定したものであることから、使用者が有期労働契約の契約期間中に労働者を解雇しようとする場合の根拠規定になるものではなく、使用者が当該解雇をしようとする場合には、従来どおり、民法628条が根拠規定となるものであり、「やむを得ない事由」があるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負うものであること」
 参考:「民法628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」
4.2 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(18条)  法改正 (H25.04.01新設)
 「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く)の契約期間を通算した期間(通算契約期間)が5年を超える労働者が、
 当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす
 この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く)と同一の労働条件(契約期間を除く労働条件について別段の定めがある部分を除く)とする」
ただし、一定の有期契約労働者には例外規定がある。詳しくはこちらを。 

 通達(H30.12.28、基発1228-17(18条関係)
 趣旨:有期労働契約については、契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されずに終了する場合がある一方で、労働契約が反復更新され、長期間にわたり雇用が継続する場合も少なくない。
 こうした中で、有期契約労働者については、雇止め(使用者が有期労働契約の更新を拒否することをいう)の不安があることによって、年次有給休暇の取得など労働者としての正当な権利行使が抑制されるなどの問題が指摘されている。
 こうした有期労働契約の現状を踏まえ、18条において、以下のような、「無期転換ルール」を設けることにより、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図ることとしたものであること。
@18条1項は、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(通算契約期間)が5年を超える有期契約労働者が、使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、無期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者が当該申込みを承諾したものとみなされ、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される無期労働契約が成立することを規定したものであること。
A「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断されるものであること。
・ただし、使用者が、就業実態が変わらないにもかかわらず、18条1項に基づき有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利(無期転換申込権)の発生を免れる意図をもって、派遣形態や請負形態を偽装して、労働契約の当事者を形式的に他の使用者に切り替えた場合は、法を潜脱するものとして、同項の通算契約期間の計算上「同一の使用者」との労働契約が継続していると解されるものであること。
・なお、派遣労働者の場合は、労働契約の締結の主体である派遣元事業主との有期労働契約について18条1項の通算契約期間が計算されるものであること。
B無期転換申込権は、「二以上の有期労働契約」の通算契約期間が5年を超える場合、すなわち更新が1回以上行われ、かつ、通算契約期間が5年を超えている場合に生じるものであること。
 したがって、労働基準法14条1項の規定により一定の事業の完了に必要な期間を定めるものとして締結が認められている契約期間が5年を超える有期労働契約が締結されている場合、一度も更新がないときは、18条1項の要件を満たすことにはならないこと。
⇒通算の開始は、平成25年4月1日以後、新規あるいは更新によって開始される有期労働契約から。
C無期転換申込権は、当該契約期間中に通算契約期間が5年を超えることとなる有期労働契約の契約期間の初日から当該有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に行使することができるものであること。
 なお、無期転換申込権が生じている有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に無期転換申込権を行使しなかった場合であっても、再度有期労働契約が更新された場合は、新たに無期転換申込権が発生し、有期契約労働者は、更新後の有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、無期転換申込権を行使することが可能であること。
⇒申込み期間の例
・H25.4.1に3年の契約を締結し、H28.4.1に更に3年の契約更新をしたときは、H28.4.1からH31.3.31の間。
・H25.4.1から1年契約を締結し、毎年更新したときは、H30,4.1からH31.3.31の間。
D無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結以前に、無期転換申込権を行使しないことを更新の条件とする等有期契約労働者にあらかじめ無期転換申込権を放棄させることを認めることは、雇止めによって雇用を失うことを恐れる労働者に対して、使用者が無期転換申込権の放棄を強要する状況を招きかねず、18条の趣旨を没却するものであり、こうした有期契約労働者の意思表示は、公序良俗に反し、無効と解されるものであること。
E現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日をもって当該有期契約労働者との契約関係を終了させようとする使用者は、無期転換申込権の行使により成立した無期労働契約を解約(解雇)する必要があり、当該解雇が16条に規定する「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合」には、権利濫用に該当するものとして無効となること。
F無期労働契約への転換は期間の定めのみを変更するものであるが、同項の「別段の定め」をすることにより、期間の定め以外の労働条件を変更することは可能であること。
 この「別段の定め」は、労働協約、就業規則及び個々の労働契約(無期労働契約への転換に当たり従前の有期労働契約から労働条件を変更することについての有期契約労働者と使用者との間の個別の合意)をいうものであること。
⇒無期労働契約への転換後の労働条件は、「別段の定め」がない限り、転換前と契約期間を除いて同じである。
G無期転換申込権を行使することにより、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される無期労働契約がその行使の時点で成立していることから、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日をもって当該有期契約労働者との契約関係を終了させようとする使用者は、無期転換申込権の行使により成立した無期労働契約を解約(解雇)する必要があり、当該解雇が16条に規定する「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合」には、権利濫用に該当するものとして無効となること。
H有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、無期労働契約への転換後も従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解されること。
I無期労働契約に転換した後における解雇については、個々の事情により判断されるものであるが、一般的には、勤務地や職務が限定されている等労働条件や雇用管理がいわゆる正社員と大きく異なるような労働者については、こうした限定等の事情がない、いわゆる正社員と当然には同列に扱われることにならないと解されること。

 空白期間(18条2項)
 「当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間に、これらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下「空白期間」という)があり、当該空白期間が6月
 
(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間)が1年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に2分の1を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない
チョッと補足
 一定以上の空白期間を設けて有期労働契約を更新した場合、1項にある通算契約期間はそこから再スタートとなる。
 いわゆるクーリングといわれており、それより前の期間はすべてカウントされなくなる(連続しているとは認められなくなる)
@空白@空白期間が6か月以上
⇒6か月以上空いて有期雇用契約を開始したときは、過去の通算契約期間とは全く関係なく、ゼロからスタートする。
A契約期間(連続している契約が複数あればすべての期間を合算したもの)が1年未満の場合)
・通算契約期間が2か月以下:空白期間が1か月以上あれば、連続したものとはみなされないので再スタート
・2か月超から4か月以下:2か月以上(月単位計算のため)
・4か月超から6か月以下:3か月以上
・6か月超から8か月以下:4か月以上 
・8か月超から10か月以下:5か月以上
・10か月超:空白期間が6か月以上
⇒きわめて短期の契約期間が複数個ある場合は、上記のルールを上から順番に適用して、連続とみなされる期間を次々に積算していく。
 例:1回目の契約期間が3か月、2か月未満の空白を置いて2回目の契約期間が4か月であれば連続しているとみなされ、通算契約期間は7か月となる。
 よって、4か月未満の空白を置いて3回目の契約期間が4か月であれば、連続しているとみなされ、通算契約期間は11月となる。
 以降 以降は、空白期間が6か月未満であれば、全部通算できる。
4.3 有期労働契約の更新等(19条 法改正(H24.08.10新設)
 「有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合、
 又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、
 使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」
@当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
A当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 有期労働契約の更新等 通達(H30.12.28、基発1228-17(19条関係)
 趣旨
 有期労働契約は契約期間の満了によって終了するものであるが、契約が反復更新された後に雇止めされることによる紛争がみられるところであり、有期労働契約の更新等に関するルールをあらかじめ明らかにすることにより、雇止めに際して発生する紛争を防止し、その解決を図る必要がある。
 このため、19条において、最高裁判所判決で確立している雇止めに関する判例法理(いわゆる雇止め法理)を規定し、一定の場合に雇止めを認めず、有期労働契約が締結又は更新されたものとみなすこととしたものである。
@19条は、有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合(同条第1号)、又は労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合(同条第2号)に、使用者が雇止めをすることが、
 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、したがって、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新又は締結の申込みを承諾したものとみなされ、有期労働契約が同一の労働条件(契約期間を含む)で成立することとしたものであること。
A19条は、次に掲げる最高裁判所判決で確立している雇止めに関する判例法理(いわゆる雇止め法理)の内容や適用範囲を変更することなく規定したものであること。
・1号は、有期労働契約が期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していた場合には、解雇に関する法理を類推すべきであると判示した東芝柳町工場事件最高裁判決の要件を規定したものであること。
・2号は、有期労働契約の期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合には,解雇に関する法理が類推されるものと解せられると判示した日立メディコ事件最高裁判決の要件を規定したものであること。
・19条1号又は2号の要件に該当するか否かは、これまでの裁判例と同様、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無などを総合考慮して、個々の事案ごとに判断されるものであること。
B19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよいこと。
⇒「要式行為」とは、意思表示が、一定の定められた書面や届出の方式に従って行われないと効力が生じない法律行為のこと。

 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(旧20条) (R02.04.01削除)、法改正 (H25.04.01新設)
 「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、
 当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」

 本条は削除となり、令和2年4月以降は、パートタイム・有期雇用労働法8条による。
チョッと補足(参考) 通達(H30.12.28、基発1228-17(20条関係)
 「20条は、有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容(労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、有期契約労働者にとって不合理と認められるものであってはならないことを明らかにしたものであること。
 したがって、有期契約労働者と無期契約労働者との間で労働条件の相違があれば直ちに不合理とされるものではなく、20条に列挙されている要素を考慮して「期間の定めがあること」を理由とした不合理な労働条件の相違と認められる場合を禁止するものであること。








22
5E
 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)については、やむを得ない事由がある場合であっても、その契約が満了するまでの間においては、労働者を解雇することができない。 (基礎)

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正しい 誤り
28
1エ
 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができないが、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解される。 (22-5Eの応用)

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正しい 誤り


3D
 有期労働契約の契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合、当該事由に該当することをもって労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断される。

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正しい 誤り
23
4E
 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しな ければならないとされている。(基礎)

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29
1E
 有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合、又は労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合に、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、この場合において、労働者が、当該使用者に対し、期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる。

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正しい 誤り

4
2

  最高裁判所は、期間を定めて雇用される臨時員(上告人)の労働契約期間満了により、使用者(被上告人)が行った雇止めが問題となった事件において、次のように判示した。
「(1)上告人は、昭和45年12月1日から同月20日までの期間を定めて被上告人のP工場に雇用され、同月21日以降、期間2か月の本件労働契約が5回更新されて昭和46年10月20日に至つた臨時員である。
(2)P工場の臨時員制度は、景気変動に伴う受注の変動に応じて雇用量の調整を図る目的で設けられたものであり、臨時員の採用に当たつては、学科試験とか技能試験とかは行わず、面接において健康状態、経歴、趣味、家族構成などを尋ねるのみで採用を決定するという簡易な方法をとつている。
(3)被上告人が昭和45年8月から12月までの間に採用したP工場の臨時員90名のうち、翌46年10月20日まで雇用関係が継続した者は、本工採用者を除けば、上告人を含む14名である。
(4)P工場においては、臨時員に対し、例外はあるものの、一般的には前作業的要素の作業、単純な作業、精度がさほど重要視されていない作業に従事させる方針をとつており、上告人も比較的簡易な作業に従事していた。
(5)被上告人は、臨時員の契約更新に当たつては、更新期間の約1 週間前に本人の意思を確認し、当初作成の労働契約書の「4 雇用期間」欄に順次雇用期間を記入し、臨時員の印を押捺せしめていた(もつとも、上告人が属する機械組においては、本人の意思が確認されたときは、給料の受領のために預かつてある印章を庶務係が本人に代わつて押捺していた)ものであり、上告人と被上告人との間の5回にわたる本件労働契約の更新は、いずれも期間満了の都度新たな契約を締結する旨を合意することによつてされてきたものである」
 「P工場の臨時員は、季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のために雇用されるものではなく、その雇用関係はある程度の| D |ものであり、上告人との間においても5回にわたり契約が更新されているのであるから、このような労働者を契約期間満了によつて雇止めにするに当たつては、解雇に関する法理が類推され、解雇であれば解雇権の濫用、信義則違反又は不当労働行為などに該当して解雇無効とされるような事実関係の下に使用者が新契約を締結しなかつたとするならば、期間満了後における使用者と労働者間の法律関係は| E |のと同様の法律関係となるものと解せられる」

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3
3D
 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。

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正しい 誤り
30
3オ
 労働契約法第18条第1項の「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断される。(発展)

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有期労働契約の更新
3
3E
 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。

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不合理な労働条件 25
1E
 労働契約法第20条に定める、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止における「不合理性」は、有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違について、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、本肢において「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されるものであり、とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して特段の理由がない限り合理的とは認められないと解される。

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5.1 船員に関する特例(20条)
 「12条及び前章の規定は、船員法の適用を受ける船員に関しては、適用しない」  
⇒そのほかに、船員法への読み替え規定もある。
5.2 適用除外(21条)
 「この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない」
 「同2項 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない」
⇒家事使用人については適用される。
22
5D
 労働契約法は、労働基準法と異なり、民法の特別法であるから、同居の親族のみを使用する場合の労働契約についても適用される。(基礎)

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24
1A
 労働契約法における「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいうとされており、これに該当すれば家事使用人についても同法は適用される。(発展)

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28
1オ
 労働契約法は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約及び家事使用人の労働契約については、適用を除外している。(24-1Aの類型)

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