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1D 不服申立て
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1.保険給付に関する審査請求等(38条)
 「保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる」
請求期間
・審査請求については、労働保険審査官法8条により、「処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内」である。
・審査請求の結果(決定)が出た場合、労働保険審査会法38条により、
 「再審査請求は、審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月以内
 「2項 法改正(H28.04.01) 前項の審査請求をしている者は、審査請求をした日から3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる」
⇒厚生年金保険法等、社会保険に関しては「2月」経過である。
⇒「棄却したものとみなす」とあるから、「審査官の決定」が出たと同じことであり、次のステップとして、再審査請求ができるし、訴訟の提起もできる。
雇用保険の保険給付などに不服のある者は、雇用保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者、あるいは、審査請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても決定がないときは決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求することができる」
 ⇒雇用保険法には翌日起算と明記してある。労災保険法では明記されていないが、翌日起算であることに変わりはない。
 「3項 法改正(R02.04.01) 1項の審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、これを裁判上の請求とみなす」
 行政不服審査法の一部適用除外(39条)
 「38条1項に規定する処分(保険給付の処分)に対する審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法の2章(審査請求)及び4章(再審査請求)の規定は、適用しない」
⇒保険給付の処分に対する不服申立てについては、労災保険法による。
⇒保険給付以外の処分(事業主からの特別費用の徴収(31条)、不正受給者からの費用徴収(12条の3)、特別加入に関わる処分など)に対する不服申立てについては、行政不服審査法に基づき、厚生労働大臣に審査請求する。
2.不服申し立ての前置(40条)法改正(H28.04.01)
 「保険給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない」

・2審制の案件(保険給付に関する処分):審査官の決定が出た後であれば、訴訟を提起することができる。(3月経っても決定が出ない場合も提起できる)
・1審制の案件(上記以外の処分、すなわち事業主からの特別費用の徴収(31条)、不正受給者からの費用徴収(12条の3)、特別加入に関わる処分など):行政不服審査法に基づく厚生労働大臣への審査請求を経ないで、直ちに訴訟を提起することもできる。(行政事件訴訟法8条) 
2審制の場合の審査請求に対するもの  ⇒ 決定
 2審制の場合の再審査請求に対するものあるいは1審制の場合の審査請求に対するもの⇒ 裁決
チョッと補足:取消訴訟と処分性・原告適格
@処分(行政処分)とは、「行政庁がその権力を行使して、国民に対して一方的に義務を課したり、権利を制限したりする行為であり、例えば、命令、禁止、許可、免除、認可、権利剥奪、確認、通知などがあり、保険給付等の不支給の決定もこれに当たる」
A処分に不服があるものは、一般的には行政不服審査法に基づき不服申立てを行うことができる。ただし、労働保険、社会保険に関するものは、それぞれの法律による不服申立ての規定があれば、それが優先して適用される。
B不服申立てによっても納得できないときは(あるいは不服申立てを経ないでできる場合もある)、行政事件訴訟法に基づいて、「処分取消しの訴え」(抗告訴訟)を提起することができる。
Cただし、取消訴訟の対象となるためには、以下が求められる。
処分性(公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められている処分であること)
原告適格(処分の取消しを求めるにつき、法律上の利益を有する者であること)
3.徴収法による異議申立て(41条) 法改正(H28..04.04)削除
 「徴収法37条(異議申立て)の規定は、31条(事業主等からの費用徴収)1項の規定による徴収金について、徴収法38条(訴訟との関係)の規定は12条の3(不正受給者からの費用徴収)の1項、2項並びに31条(事業主等からの費用徴収)1項の規定による徴収金について準用する」
⇒「事業主等からの費用徴収」に対する処分に不服がある場合は、徴収法の規定を準用して都道府県労働局長に異議申立てをするのではなく、行政不服審査法に基づいて、厚生労働大臣に審査請求をする。
12
7A
 保険給付の決定に不服がある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査の請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。この場合において、審査請求をしてから3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、決定を経なくても労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。(基礎)

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正しい 誤り
29
1
選択
 労災保険の保険給付に関する決定に不服のある者は、|  A |に対して審査請求をすることができる。審査請求は、正当な理由により所定の期間内に審査請求することができなかったことを疎明した場合を除き、原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときはすることができない。
 審査請求に対する決定に不服のある者は、|  B |に対して再審査請求をすることができる。
 審査請求をしている者は、審査請求をした日から| C |を経過しても審査請求についての決定がないときは、|  A |が審査請求を棄却したものとみなすことができる。(12-7Aの類型)

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22
7A

 保険給付に関する不支給決定に不服のある被災者や遺族は、審査請求をした日から1か月を経過しても労働者災害補償保険審査官の決定がないときは、当該審査請求に係る処分について決定を経ないで労働保険審査会に対し再審査請求をすることができる。(12-7Aの類型)

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正しい 誤り

21
2
選択

 保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができ、当該審査請求をした日から3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分についての決定を経ないで、| E |に対して再審査請求をすることができる。(12-7Aの類型)

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13
6E

 

 保険給付に関する決定に不服のある者が労働者災害補償保険審査官に対して行う審査請求及び労働者災害補償保険審査官の決定に不服のある者が労働保険審査会に対して行う再審査請求は、保険給付を受ける権利の時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされる。(R02改)、(基礎)

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22
7C
 保険給付に関する不支給決定に不服のある被災者や遺族が、労働者災害補償保険審査官に対して行う審査請求は、保険給付を受ける権利について時効の完成猶予及び更新の効力を生じる。(R02改)、(13-6Eの類型)

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12
7C
  保険料の決定に不服がある者は、労働者災害補償保険審査官又は雇用保険審査官に対して審査の請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。(H28改)
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22
7B
 「事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故」について保険給付を行ったときに該当するとして、政府からその保険給付に要した費用に相当する金額の全部または一部を徴収する処分を受けた事業主は、当該処分に不服がある場合でも審査請求をすることはできない。(H28改)

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12
7B
 保険給付に関する処分の取消しの訴えは、この処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができないが、再審査請求がされた日から6か月を経過しても裁決がないときは、この限りでない。(基礎)

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23
4B
 保険給付に関する決定についての審査請求に係る労働者災害補償保険審査官の決定に対して不服のある場合、若しくは審査請求をした日から3か月を経過しても決定がない場合であっても、再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経ずには処分の取消しの訴えを提起することはできない。(12-7Bの類型)(H28改)

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12
7E
 保険給付に関する処分の取消しの訴えは、この処分についての審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができないが、審査請求がされた日から2か月を経過しても決定がないときは、この限りでない。(12-7Bの類型)(H28改)

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22
7E

 保険給付に関する不支給決定についての審査請求に係る労働者災害補償保険審査官の決定に対して不服のある被災者や遺族は、労働保険審査会に対し再審査請求をし、それに対する裁決を経た後でなければ、処分の取消の訴えを提起することができない。(12-7Bの類型)(H28改)

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12
7D
 保険料に関する処分の取消しの訴えは、この処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。(H28改)(発展)

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正しい 誤り
29
7B
 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使とはいえず、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。 (発展)

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正しい 誤り