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R11

変形労働時間制

 
KeyWords  1週間単位の非定型的変形労働時間制1か月単位の変形労働時間制1年単位の変形労働時間制
 変形労働時間制の趣旨は、業務の繁閑に応じた労働時間の配分を行う等労使自らが工夫して、労働時間の短縮を進めることを目的としたものであり、あくまでも、労働者の生活設計を損なわない範囲内で行うことになっている。
 業務の繁閑の周期によって、1週間単位、1か月単位、1年単位がある。これらの枠組み内であれば、割増賃金を支払うべき時間外労働には該当しないが、実際には、これに割増賃金の支払い義務のある時間外労働・休日労働が上乗せになることが多いので、話が複雑になってくる。
 変形労働時間制の狙いは、業務の繁閑を見込んだ労働時間の配分により、
 @繁忙時における恒常的な時間外労働を減らす、
 A閑散時の労働時間を最初から短縮する(1日8時間にこだわらない)、ことにある。
 なお、もう一つの変形労働時間制に「フレックスタイム制」があるが、これは次のR12にゆずる。
 
1.1週間単位の非定型的変形労働時間制(32条の5)
 「使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業(小売業旅館料理店飲食店)であって、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数未満(30人未)のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、1日について10時間まで労働させることができる」
⇒ 1週間は40時間以内
⇒ 労使協定は届出義務あり
 「2項 使用者は、前項の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところ(1週間の開始する前に書面)により、当該労働させる1週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない」
⇒ 緊急でやむを得ない事由がある場合には、前日までに書面により当該労働者に通知することにより、労働時間を変更できる(施行規則12条の5の3項) 
 
 趣旨
 「日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多く、かつその繁閑が定型的に決まっていない場合に、1週40時間の範囲内で、就業規則等により予め特定することなく、1日の労働時間を10時間まで延長することを認めることにより、労働時間のより効率的な配分を可能とし、全体として労働時間を短縮しようとするもである」(S63.1.1基発1)
 対象事業場
 「小売業については、「今後、必要に応じ、その範囲等について検討を行うべき」とされており、日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多いものに限って利用されるなど、制度の趣旨に則って適切に運用されるよう十分指導すること」(S63.1.1基発1)
 繁閑の周期が日ごと
 ⇒ お祭りがある日、野球やサッカーの試合がある日等々は忙しく、その他の日は暇で、1週間ならすと40時間以内ですむなどが格好の例。
 時間外(以下のいずれかで、ダブルカウントは除く)
 @その日の通知労働時間が8時間超過で、かつこれを超えたとき  ⇒  (実労働時間−通知労働時間)
 Aその日の通知労働時間が8時間以内で、かつ8時間を超えたとき  ⇒ (実労働時間−8時間)
 B1週間合計で40時間を超えたとき               ⇒ (実労働時間合計−40時間)
  その日の通知労働時間が10時間であって、実労働時間も10時間の場合、時間外労働に該当しない。 

2.1か月単位の変形労働時間制(32条の2)
 「使用者は、
 @当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、ない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、 又は、
 A就業規則その他これに準ずるものにより、
 B1箇月以内の一定の期間を均し1週間当たりの労働時間が40時(特例事業の場合は44時間)を超えない定めをしたときは、
 C特定された週において40時間(特例事業の場合は44時間)又は、特定された日において8時間を超えて、労働させることができる」
 「2項 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない」
 
 対象事業場
 繁閑の周期が1月以内であって、これを予め予測できる事業場にメリットがある。
 月のうちの前半であるとか後半であるとか、5の付く日・10日の付く日であるとか、週のうち金曜日から日曜日であるとか、月のうち1週と2週であるとか、とにかく、繁忙である特定の日又は(及び)特定の週を予め指定できるところでなければならない。
 あるいは、4週5休制、6休制などの場合、勤務ダイヤによる場合もこの変形労働時間制を利用する。
 就業規則その他これに準ずるもの (S22.9.13発基173号32条の2関係)
 「その他これに準ずるもの」とは、89条による就業規則を作成する義務のない(常時使用する労働者数が10人未満の)使用者についてのみ適用があること」
⇒ 「その他これに準ずるもの」については、89条による就業規則ではないから届出の義務はない。
 「その他これに準ずるものによる定めをした場合には、これを労働者に周知させるものとする」(施行規則12条)
⇒ 「「周知」については、使用者がこれを行わない場合においても罰則適用の問題は生じないが、何らかの方法によって関係労働者に周知させなければ「定め」とは認められない」(S29.6.29基発355)
 労使協定か就業規則か(H11.1.29基発45(32条の2関係))
 法改正前は、「就業規則その他」により実施するものとなっていたが、
 「労使の話合いによる制度の導入を促進するため、また、1か月単位の変形労働制以外の変形労働時間制の導入要件は労使協定により定めることとされていることも勘案し、就業規則その他これに準ずるものによる定め、又は労使協定の定めのいずれによっても導入できることとした。いずれにするかは、最終的には使用者が決定できる」
 ただし、労使協定は、特に労働組合がない場合は過半数労働者代表との協定でよいことから、労働者全員に「この協定に従って労働せよ」という強い拘束力までは有していないとされており、結局は就業規則において(労働組合があれば労働協約でもよい)、労使協定に従う旨の定め又は同様の定めをしておく必要がある。
 免罰効果(S63.1.1基発1号)
 「労使協定の効力は、その協定の定めによって労働者を労働させても労基法に違反しないという免罰効果であり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要である」)
⇒ 1週間単位の非定型的変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制については、必ず労使協定で実施しなければならないが、この場合でも同様の理由により、労働協約、就業規則等の根拠が必要である。
 労使協定の有効期間
 「労使協定は有効期間の定めをしなければならない。不適切な制度が運用されることを防ぐため、有効期間は3年以内とすることが望ましい」(H11.3.31基発169)
 労働時間の特定
 「労使協定による定め又は就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、変形期間を平均し週40時間の範囲内であっても、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度は、1か月単位の変形労働時間制に該当しない。
 なお、就業規則においては、各日の労働時間だけでなく、始業及び終業の時刻も定める必要がある」(H11.3.31基発168)
 特定された日 ⇒ 就業規則等により、予め、8時間を超えて労働させると定められている日
 特定された週 ⇒ 就業規則等により、予め、週40(44)時間を超えて労働させると定められている週
 勤務ダイヤ
 「就業規則においてできる限り具体的に労働時間を特定すべきであるが、業務の実態から月毎に各人の勤務割(勤務ダイヤ)を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業 ・終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続き及びその周知方法等を定めておき、それに従って各日ごとの勤務割は変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りる」(S63.3.14基発150)
⇒病院、発電所など24時間操業の事業場における交代勤務制等がこれに該当する。
 法定労働時間の総枠
 「1か月単位の変形労働時間制を採用する場合には、変形期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間を超えない定めをすることが要件とされているが、これは要するに、変形期間における所定労働時間の合計が次式による法定労働時間の総枠の範囲内とすることが必要であるということ」
 法定労働時間の総枠=40(44)×(変形期間の暦日数)/7 (H9.3.25基発195)
 時間外(以下のいずれかで、ダブルカウントは除く)
 @8時間を超える定めをした日で、 かつこれを超えたとき  ⇒  (実労働時間−定めた労働時間)
 A8時間を超える定めをした日以外でかつ8時間を超えたとき  ⇒ (実労働時間−8時間)
 B40(44)時間を超える定めをした週でかつこれを超えたとき  ⇒ (実労働時間−定めた週労働時間)
 C40(44)時間を超える定めをした週以外でかつ40(44)時間を超えたとき ⇒ (実労働時間合計−40(44)時間)
 D変形期間における実労働時間合計が法定労働時間の総枠を超えたとき ⇒ (実労働時間合計−法定労働時間の総枠)
  
 特定された日であれば、実労働時間が10時間でも、定められた時間以内であれば時間外労働に該当せず。
 特定された週であれば、実労働時間が50時間でも、定められた時間以内であれば時間外労働に該当せず。 

3.1年単位の変形労働時間制(32条の4)
 「使用者は、
 @当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、ない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、
 A次に掲げる事項を定めたときは、
 Bその協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、
 C特定された週において1週40時間、又は特定された日において1日8時間を超えて、労働させることができる」
1  適用する労働者の範囲
2  対象期間(1か箇月を超え1年以内の期間に限るものとする)
3  特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)
4  対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間
 (対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する場合は、最初の期間における労働日及び労働日ごとの労働時間、並びに以降の各期間における労働日数及び総労働時間)

 「2項 使用者は、1項4号の区分をし、最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、各期間の初日の少なくとも30日前に、過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者の)同意を得て、書面により、当該労働日数を超えない範囲内 で労働日、及び総労働時間を超えない範囲内で各労働日ごとの労働時間を定めなければならない」
 「4項 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない」
 趣旨
 「年間単位で休日増を図ることが所定労働時間の短縮のために有効であり、そのためには年間単位の労働時間管理をすることができるような制度を普及させる必要があることから、年間単位の休日増による労働時間短縮が可能となるよう変形期間を3か月から最長1年まで延長したものであり、変形期間を平均して週40時間労働制を実現し、適正かつ計画的な時間管理をすることで、労働時間の短縮を図るものである。
 また、予め業務の繁閑を見込んで、それに合わせて労働時間を配分するものであるので、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度であること」(H6.1.4基発1)
 対象事業場
 繁閑の周期が1年以内であって、これを予め予測できる事業場にメリットがある。
 たとえば、歳末・年始、中元などはかき入れ時であるが2月8月(ニッパチ)はだめであるとか、春・秋がいい、夏がシーズン、冬場向けなど。最近は、冬にアイスクリームやビールが売れるなどもあるが、需要が季節等に依存する事業場は多い。 
 労働時間の特定
 「労使協定により、変形期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間を具体的に定めることを要し、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しないこと。
 従って、例えば貸切観光バス等のように、業務の性質上1日8時間、週40時間を超えて労働させる日又は週の労働時間を予め定めておくことが困難な業務、又は労使協定で定めた時間が業務の都合によって変更されることが通常行われるような業務については、1年単位の変形労働時間制を適用する余地はない」(H6.1.4基発1)
⇒ 予め定めた労働時間で不足するときは時間外でと、最初から時間外をあてにしたものは認められない。
 労働時間の特定の仕方
  対象期間全体について、各労働日ごとの労働時間を1度に定める必要はない。例えば、対象期間が1年で、これを1か月ごとに区分した場合は、次のようにすればよい。
@  最初の1か月分について労働日及び各労働日ごとの労働時間+その後11か月分について各月の労働日数及び総労働時間を定める。
A  各月初日の30日前に、 次の1か月分について労働日及び各労働日ごとの労働時間を定める。ただしその合計値は、@で定めた各月の労働日数及び総労働時間を超えてはならない

 「変形期間(対象期間)を1か月以上の期間に区分した場合、労働日数及び総労働時間のみを定めた期間について、労働時間の特定をする際、過半数労働者代表等の同意が得られなかった場合は、労使協定により定められている労働日数及び総労働時間の範囲内で、32条の規定(1日8時間、1週40時間以内)により労働させることとなる」(H11.3.31基発168)
 特定された労働時間の変更
 「労使協定において、「労使双方が合意すれば、協定期間中であっても変形制の一部を変更することができる」旨が明記されている場合であっても、変形期間の途中で変更することはできない」(S63..3.14基発150)
 夏季休暇
 「労働日を特定するということは反面、休日を特定することであるから、7月から9月までの間に労働者の指定する3日間について休日を与える制度がある場合のように、変形期間開始後にしか休日が特定できない場合には、労働日が特定されたことにはならない」(H6.5.31基発330)
⇒ 1年単位の変形労働時間制で、たとえば1か月ごとに区分して実施する場合、少なくとも30日前にまでには、次ぎの月の各日について、休日か労働日か、労働日の場合はその労働時間を具体的に定めないといけない。
 よって、7月から9月までの間に労働者が任意の3日間について休日をとってもよいとなると、会社側が具体的に休日と労働日を特定したことにはならない。
 実際問題として労働者は、会社が指定した休日以外の労働日の中から、任意の3日を選ぶことになるであろう。 つまり、全労働日について労働時間を特定したことにはならない。
 特定期間 (H11.1.29基発45(特定期間))
 「特定期間は対象期間中の特に業務が繁忙な期間であることから、対象期間の相当部分を特定期間として定める労使協定は、法の趣旨に反する。また、対象期間中に特定期間を変更することはできない」
 特定期間を設定する必要がない場合 (H11.3.31基発169(特定期間不要))
 「特定期間を設定する必要がない場合においても、「特定期間を定めない」旨定めることが必要である。ただし、特定期間について何ら定めがない協定については「特定期間を定めない」旨定められているものとみなす」
 休日振替
 「使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することができないことを前提とした制度であるので、通常の業務の繁閑等を理由として休日振替が通常行われるような場合は、1年単位の変形労働時間制を採用できない。なお、労働日の特定時には予期しえない事情が生じ、やむを得ず休日の振替を行わなければならなくなること が考えられるが、そのような休日振替までも認めない趣旨ではない」
 法定労働時間の総枠
 「1年単位の変形労働時間制は、週40時間労働制を前提とする制度であり、変形期間を平均し1週間の労働時間が40時間を超えない定めをすることが要件とされているが、その趣旨は、変形期間における労働時間の合計を次式による時間の範囲内とすることが必要であるということ」
 法定労働時間の総枠=40×(変形期間の暦日数)/7 (H9.3.25基発195)
 時間外(以下のいずれかで、ダブルカウントは除く)
 @8時間を超える定めをした日で、 かつこれを超えたとき  ⇒  (実労働時間−定めた労働時間)
 A8時間を超える定めをした日以外でかつ8時間を超えたとき  ⇒ (実労働時間−8時間)
 B40時間を超える定めをした週でかつこれを超えたとき      ⇒ (実労働時間 −定めた週労働時間)
 C40時間を超える定めをした週以外でかつ40時間を超えたとき ⇒ (実労働時間合計−40)時間)
 D変形期間における実労働時間合計が法定労働時間の総枠を超えたとき ⇒ (実労働時間合計−法定労働時間の総枠)
⇒ 特例事業における週44時間の特例は適用されない。 
⇒ 「変形期間における実労働時間合計が法定労働時間の総枠を超えたときの割増賃金は、一般的に変形期間終了時点で初めて確定するものであり、その部分については、変形期間終了直後の賃金支払期日に支払えば足りる 。この場合の時効については、当該変形期間終了直後の賃金支払期日が起算日となる」(H9.3.25基発195)
 定年後嘱託再雇用者への適用
 「就業規則等において、労働者が希望すれば引き続き再雇用し、又は継続勤務とすることが明確に規定されている場合には、変形期間途中で定年退職を迎える者に1年単位の変形労働時間制を適用することは可能である」(H6.5.31基発330)
 派遣労働者に対する適用
 「派遣労働者を派遣先において1年単位の変形労働時間制の下で労働させる場合には、派遣元の使用者は、派遣元事業場において労使協定を締結し、@1年以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、A労働日及び各労働日ごとの労働時間を具体的に定める必要がある」(H9.3.25基発195)
⇒ 派遣元事業主が具体的に労働時間を特定する。

 
3' 労働時間の限度
 「3項 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、対象期間における労働日数の限度、1日及び1週間の労働時間の限度、対象期間(特定期間を除く)及び特定期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる」
 
「1年単位の変形労働時間制における労働時間の限度等」(施行規則12条の4) 
3項  労働日数の限度は、対象期間が3箇月を超える場合は対象期間について1年当たり280日とする。
 ただし、対象期間が3箇月を超える場合において、当該対象期間の初日の前1年以内の日を含む3箇月を超える期間を対象期間として定める旧協定があった場合において、1日の労働時間のうち最も長いものが、旧協定の定める1日の労働時間のうち最も長いもの若しくは9時間のいずれか長い時間を超え、又は1週間の労働時間のうち最も長く、旧協定の定める1週間の労働時間のうち最も長いもの若しくは48時間のいずれか長い時間を超えるときは、旧協定の定める対象期間について1年当たりの労働日数から1日を減じた日数又は280日のいずれか少ない日数とする。
⇒ 原則 1年280日
⇒ 旧協定がある場合で一定の要件のときは、旧協定日数-1日より少ないこと。
⇒ 対象期間が3か月を超え、1年未満であるときは
   280日(旧協定ありのときは、旧協定日数-1)×対象期間の暦日数/365
4項  1日の労働時間の限度は10時間とし、1週間の労働時間の限度は52時間とする。
 対象期間が3箇月を超えるときは、次の各号のいずれにも適合しなければならない。

1 

 対象期間において、労働時間が48時間を超える週が連続する場合、3週間以下であること。
⇒ 4週間以上連続してはだめ。

 2

 対象期間をその初日から3箇月ごとに区分した各期間において、その労働時間が48時間を超える週の初日の数が3以下であること。
⇒ 初日の数が3以下とは、その週の最終日が次の3か月にずれこむ場合でも、初日の属する3か月期間における1週間としてカウントするということ。
⇒ 週とは、対象期間の初日の曜日から起算した7日間である。
5項  対象期間における連続して労働させる日数の限度は6日とし、特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度は、1週間に1日の休日が確保できる日数(すなわち12日)とする。
 豪雪地域の建設業の屋外労働者等に対する1年単位の変形労働時間制の暫定措置(施行規則附則65条)
 「積雪の度が著しく高い地域として厚生労働大臣が指定する地域に所在する事業場において、冬期に当該地域における事業活動の縮小を余儀なくされる事業として厚生労働大臣が指定する事業に従事する労働者であって、屋外で作業を行う必要がある業務であって業務の性質上冬期に労働者が従事することが困難であるものとして厚生労働大臣が指定する業務(建設工事業、建設工事用の資材、機械、廃棄物等の貨物自動車運送業)に従事するものについては、12条の4の4項の規定にかかわらず、当分の間、厚生労働省令で定める1日の労働時間の限度は10時間とし、1週間の労働時間の限度は52時間とする」
⇒ 豪雪地域の一定事業場では、週48時間を超える週に関して、連続の週の数とか3か月で区切った初日の数とかに関係なく、1日10時間、1週52時間を限度とする ことができる。
 隔日勤務のタクシー運転者に対する1年単位の変形労働時間制の暫定措置
 「隔日勤務のタクシー運転者については、実質的には1勤務で2日分の労働を行っているという実態を考慮し、当分の間、1年単位の変形労働時間制における1日の労働時間の限度を16時間にする」(H11.3.31基発168)

3" 1年単位の変形労働時間制における賃金の清算(32条の4の2)
 「使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(33条 の災害等臨時の必要がある場合の時間外労働等、又は36条の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く)の労働については、37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない」