17年度 法改正トピックス(育児休業・介護休業に関連する主要改正点) | ||||||||||||||
育児・介護休業法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法 | ||||||||||||||
育児・介護休業法 | ||||||||||||||
改正後 | 改正ポイント | |||||||||||||
育児休業の申出 | 「5条 労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。 ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる」
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1.対象労働者の拡大 期間を定めて雇用される者で、左記の1号、2号いずれにも該当する者も、育児休業の申出が可能になった。 従来は、いわゆる正社員だけが可能であった。 |
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2.育児休業期間の延長(期間を定めて雇用される者にも適用) 左記の1号、2号いずれにも該当する者は、最大で1歳6か月に達するまで、休業可能になった。 従来は、最大で1歳に達するまでであった。 さらに、期間を定めて雇用される者に対しては、契約更新日前日までの休業と、契約更新日以後の休業と2回の申し出が可能となった。 従来は1人の子に対しては、特別の事情がない限り、1回しか休業できなかった。 |
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「同3項 労働者は、その養育する1歳から1歳6か月に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者であって、その配偶者が当該子の1歳到達日において育児休業をしているものにあっては、1項各号のいずれにも該当するものに限る」
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介護休業の申出 | 「11条 労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる」
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1.対象労働者の拡大 期間を定めて雇用される者で、左記の1号、2号いずれにも該当する者も、育児休業の申出が可能になった。 従来は、いわゆる正社員だけが可能であった。 注 育児休業における「子が1歳に達する日」が、介護休業では、「93日を経過する日」に対応している。 |
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介護休業期間と回数 | 「15条 介護休業申出をした労働者が介護休業をすることができる期間は、休業申出に係る介護休業開始予定日とされた日から、介護休業終了予定日(その日が開始予定日とされた日から起算して93日から、対象家族について既に行った介護休業日数、勤務時間短縮日数などを差し引いた日数を経過する日より後の日であるときは、当該経過する日までの間とする」 |
一人の対象家族のための、休業日数と勤務時間短縮その他の実施日数の積算値が93日を超えない限り、回数の制限はない。
ただし、同じ介護状態については、1回だけである。あくまでも要介護状態と回復の繰り返し
があり、別の病名などによる別の介護状態になったとき、各々の介護状態について1回、全部合計して93日以内ということ 従来は、対象家族1人につき、1回限り、3か月以内であった。 |
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子の看護休暇の申出 | 「16条の2
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日を限度として、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇(子の看護休暇)を取得することができる」 「16条の3 事業主は、労働者からの前条1項による申出があったときは、当該申出を拒むことができない。ただし、事業主と過半数組織労働組合または過半数代表者との書面による協定で、子の看護休暇を申し出ることができないと定められた場合(引き続き雇用された期間が6月に満たない労働者等)はこの限りでない」 「16条の4 事業主は、労働者が子の看護休暇の申出をし、又は子の看護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」 | 新設 | ||||||||||||
勤務時間の短縮等の措置 | 「23条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する労働者のうち、その1歳(当該労働者が5条3項の申出をすることができる場合にあっては、1歳6か月)に満たない子を養育する労働者で育児休業をしないものにあっては 、労働者の申出に基づく勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を、その雇用する労働者のうち、その1歳から3歳に達するまでの子を養育する労働者にあっては育児休業の制度に準ずる措置又は勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない」 | 育児休業期間の拡大に伴い、育児休業をしないものに対しても、最大で1歳6ヵ月まで、勤務時間短縮等の措置をうけることができるようになった。(その後、3歳に達するまでについては、従来どおり、育児休業制度に準ずる措置、又は勤務時間短縮等の措置を受けることができる) | ||||||||||||
「同2項 事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する93日の期間(雇入れの日から連続する期間の初日の前日までに介護休業等日数がある場合、93日から当該介護休業等日数を差し引いた日数の期間。介護休業をしたことがある場合にあっては、当該連続する期間は、最初の介護休業開始予定日とされた日から起算した連続する期間のうち、介護休業をしない期間とする)以上の期間における、勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置を、講じなければならない」 | 介護のための勤務時間の短縮等の措置が受けられる日数は、介護休業と通算して93日以上となった。 | |||||||||||||
その他 | 「1条 この法律は、育児休業及び介護休業に関する制度並びに子の看護休暇に関する制度を設けるとともに、子の養育及び家族の介護を容易にするため勤務時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする」 | 目的条文において、「子の看護休暇に関する制度を設ける」を追加した。(選択式要注意) | ||||||||||||
「2条 育児休業とは労働者(日々雇用される者を除く)が、次章に定めるところにより、その子を養育するためにする休業をいう」 |
「及び期間を定めて雇用される者を除く」を削除。 「1歳に満たない子」を単に「子」に変更。 |
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健康保険法 | ||||||||||||||
保険料免除 |
「159条 育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない」 ⇒終了する日の翌日(復帰日)が属する月の前月までとは、 3月31日終了のときは、3月まで免除(4月分から支払う) 3月30日終了のときは、2月まで免除(3月分から支払う) |
1.保険料免除開始月 「事業主が申出をした日の属する月以後」から、「育児休業等を開始した日の属する月」に変更。 2.保険料免除期間 育児休業等(育児休業の制度に準ずる措置により3歳に満たない子を養育する休業も含めて)が終了する 日の翌日が属する月の前月まで、すなわち最大で3年となった。(従来は最大1年) |
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育児休業終了時の標準報酬月額の改定 |
「43条の2 保険者は、育児・介護休業法に規定する育児休業、育児休業の制度に準ずる措置による休業又は政令で定める法令(地方公務員の育児休業等に関する法律)に基づく育児休業(以下「育児休業等」)を終了した被保険者が、 育児休業等を終了した日において、育児休業に係る3歳に満たない子を養育し、 事業主を経由して、保険者に申出をしたときは、 終了日の翌日が属する月以後3月間(終了日の翌日以降、継続して使用された期間に限るものとし、 かつ、報酬支払基礎日数が17日未満である月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として 標準報酬月額を改定する」 「2項 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月(当該翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする」 |
育児休業またはこれに準ずる措置による休業中は159条により、保険料免除(標準報酬月額は変更されない)であるが、復帰すると、復帰日(休業終了日の翌日)が属する月から保険料の支払義務が生じる。 復帰後であって、まだ子供が3歳になっていないため、勤務時間の短縮措置などを受けると、報酬が通常より下がってしまう。 そこで、復帰日の属する月とその翌月、翌々月の3か月間の実際の報酬によって標準報酬月額を改定し、翌々々月からは新保険料を適用するというのが、この法改正の趣旨である。 ⇒ 随時改定(固定的賃金の変動があって、2階級以上の差が出た場合)の要件を満足しなくても、改定を行うことができるのだ。 |
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厚生年金保険法 | ||||||||||||||
保険料免除 | 「81条の2 育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより社会保険庁長官に申出をしたときは、当該被保険者に係る保険料であってその育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない」 | 健康保険法と同様の扱い。 休業中の保険料は免除 年金額は休業開始前の標準報酬月額で計算 |
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標準報酬月額 | ||||||||||||||
1.育児休業終了時の標準報酬月額の改訂(23条の2) |
健康保険法と同様の扱い ⇒ 保険料の支払は、復帰日の属する月とその翌月、翌々月の3か月間の実際の報酬によって標準報酬月額を改定し、翌々々月からは新保険料を適用する。(2等級以上の差でなくてもよい) |
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2.3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例(26条) 「3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者が、厚生労働省令で定めるところにより社会保険庁長官に申出(被保険者にあっては、その使用される事業所の事業主を経由して行う)をしたときは、当該子を養育することとなった日の属する月から次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、標準報酬月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回る月については、従前標準報酬月額を当該下回る月の平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす」
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3歳に満たない子を養育する被保険者が、育児期間中に勤務時間短縮措置等によって、標準報酬月額が低下した場合でも、社会保険庁長官に申し出ることにより、従前標準報酬月額が 保障される。 ⇒ 年金額は従前標準報酬月額に基づいて計算される。 ⇒ 保険料の支払は、低下した実際の標準報酬月額に基づいて納付すればよい。 |
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雇用保険法 | ||||||||||||||
育児休業給付 | 「61条の4 育児休業基本給付金は、被保険者(高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)が、その1歳(その子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、1歳6か月)に満たない子を養育するための休業をした場合において、当該休業を開始した日前2年(負傷、疾病、産等により最大4年の場合もある)、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給単位期間について支給する」 | 育児・介護休業法に対応して ( )内を追加。 | ||||||||||||
「同4項 育児休業基本給付金の額は、一支給単位期間について、休業を開始した日の前日を離職日とみなし、賃金日額相当額「休業開始時賃金日額」に、次の各号に掲げる支給単位期間の区分に応じて定める日数(支給日数)を乗じて得た額の100分の30に相当する額とする」
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「休業開始時賃金日額×支給単位期間について30×0.3」から 「休業開始時賃金日額×支給日数×0.3」に |
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「61条の5 2項 育児休業者職場復帰給付金の額は、休業期間内における支給単位期間(育児休業基本給付金の支給を受けることができるものに限る)における支給日数を合計した数に、休業開始時賃金日額の100分の10に相当する額を乗じて得た額とする」 | 「休業開始時賃金日額×支給単位期間について30×0.1」から 「休業開始時賃金日額×支給日数×0.1」に |
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介護休業給付金 |
「61条の6の4項 介護休業給付金の額は、一支給単位期間について、休業を開始した日の前日を離職日とみなし、17条の規定による賃金日額相当額「休業開始時賃金日額」に、次の各号に掲げる支給単位期間の区分に応じて定める日数(支給日数)を乗じて得た額の100分の40に相当する額とする」
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「休業開始時賃金日額×支給単位期間について30×0.4」から 「休業開始時賃金日額×支給日数×0.4」に |
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「同6項 被保険者が対象家族を介護するための休業についてこの款の定めるところにより介護休業給付金の支給を受けたことがある場合であって、当該休業を開始した日から起算して93日を経過する日後において、当該被保険者が次の各号のいずれかに該当する休業をしたときは、介護休業給付金は、支給しない」
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一人の対象家族のための、休業日数が93日を超えない限り、回数の制限はない。ただし、同じ介護状態が継続しているときは、3か月以内でかつ、1回だけである。あくまでも要介護状態と回復の繰り返し があり、別の病名などによる別の介護状態になったとき、各々の介護状態について1回、全部合計して93日以内ということ |