18年度 法改正トピックス(国民年金法に関する主要改正点) |
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併給調整、老齢基礎年金額、保険料納付済要件、保険料の免除、脱退一時金、申出による支給停止 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
改正後 | 改正ポイント | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
併給調整 | 1.障害基礎年金との併給 (H18.4.1施行) 「20条1項 遺族基礎年金又は寡婦年金は、その受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)又は被用者年金各法による年金たる給付(当該年金給付と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。 老齢基礎年金の受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)又は被用者年金各法による年金たる給付(遺族厚生年金並びに退職共済年金及び遺族共済年金を除く)を受けることができる場合における当該老齢基礎年金及び、 障害基礎年金の受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)を受けることができる場合における当該障害基礎年金についても、同様とする」 ⇒ つまり、障害基礎年金と被用者年金各法による年金給付との併給は認められることになった。 「附則9条の2の4 (法改正(H18.4.1施行)による読替え) 20条1項は当分の間、年金給付(老齢基礎年金及び障害基礎年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)、並びに付加年金を除く)は、その受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)又は被用者年金各法による年金たる給付(当該年金給付と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。 老齢基礎年金の受給権者(65歳に達している者に限る)が他の年金給付(付加年金を除く)又は被用者年金各法による年金たる給付(遺族厚生年金並びに退職共済年金及び遺族共済年金を除く)を受けることができる場合における当該老齢基礎年金及び、 障害基礎年金の受給権者(65歳に達している者に限る)が他の年金給付(付加年金を除く)を受けることができる場合における当該障害基礎年金についても、同様とする」 |
新法において、異なる支給事由による年金同士の併給(65歳以上の場合): @老齢基礎年金+遺族厚生年金(又は遺族共済年金)のほかに A障害基礎年金+老齢厚生年金、 B障害基礎年金+遺族厚生年金 が可能になった。 まとめ
1号被保険期間中に初診日がある障害基礎年金受給者は、国民年金保険料は法定免除であるため、老齢基礎年金額は低額(満額には程遠い)。 その後会社勤め等により2号被保険者(厚生年金保険料の納付者)となった後に65歳になったときは、従来の規定による「老齢基礎年金+老齢厚生年金」あるいは「障害基礎年金だけ」よりも、新規定による「障害基礎年金+老齢厚生年金」の方が支給額は多い。 |
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老齢基礎年金額 | 2.老齢基礎年金額(27条)(H18.7.1施行) 「老齢基礎年金の額は、780,900円に改定率を乗じて得た額とする。ただし、保険料納付済期間の月数が480に満たない者に支給する場合は、780,900円×改定率に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(480を限度とする)を480で除して得た数を乗じて得た額とする」
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基礎年金の国庫負担割合が法文上は3分の1から2分の1に引き上げられる(実際は財源の確保先が決まっていないため、いつから実施されるかはいまだ不明)ため、老齢基礎年金額の計算が本則と暫定措置の2段構えになっている。 さらにこのたび、保険料の多段階免除制度が導入されるため、ますます複雑になってきた。 分母を8にすれば、分子は7、6、5、4、3、2、1となる。
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保険料免除 | 3.保険料の4分の1免除、4分の3免除関係(H18.7.1施行) 「5条3項 この法律において、「保険料免除期間」とは、保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間及び保険料4分の1免除期間を合算した期間をいう」 4分の3免除(90条の2の1項) 「次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があったときは、社会保険庁長官は、その指定する期間に係る保険料につき、既に納付されたもの及び前納されたものを除き、その4分の3を納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料4分の3免除期間(追納が行われた場合は、追納期間を除く)に算入することができる。 ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない(以下略)」 4分の1免除(90条の2の3項) 「次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があったときは、社会保険庁長官は、その指定する期間に係る保険料につき、既に納付されたもの及び前納されたものを除き、その4分の1を納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料4分の1免除期間(追納が行われた場合は、追納期間を除く)に算入することができる。 ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない(以下略)」 |
施行はH18.7.1 ⇒ 一般常識として出題される可能性はある。 |
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保険料納付済要件 | 4.保険料納付済み要件の特例(昭和60年改正法附則20条)(H18.4.1施行) 「初診日が平成28年4月1日前にある傷病による障害については、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間(初診日において被保険者でなかった者については、初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がない(保険料滞納期間がない)こと。ただし、当該初診日において65歳以上であるときは、この特例は適用しない」 「同2項 平成28年4月1日前に死亡した者については、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間(死亡日において被保険者でなかった者については、死亡日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)のうちに、 保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がない(保険料滞納期間がない)こと。ただし、当該死亡日において65歳以上であるときは、この特例は適用しない」 |
初診日あるいは死亡日が平成18年4月1日前にある場合 ⇒ 平成28年4月1日前にある場合 障害基礎年金 ⇒ 初診日 |
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脱退一時金 | 5. 脱退一時金(附則第9条の3の2)(H18.7.1施行) 「当分の間、請求の日の前日において、請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る、保険料納付済期間の月数と保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が6月以上である日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る)であって、26条ただし書に該当するものその他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。 ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない(以下略)」 |
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申出による支給停止 | 6.受給権者の申出による支給停止(20条の2)(H19.4.1施行) 「年金給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。 ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する」 「2項 前項ただし書のその額の一部につき支給を停止されている年金給付について、この法律の他の規定又は他の法令の規定による支給停止が解除されたときは、前項本文の年金給付の全額の支給を停止する」 「3項 1項の申出は、いつでも、将来に向かって撤回することができる」 「4項 1項又は2項の規定により支給を停止されている年金給付は、政令で定める法令の規定の適用については、その支給を停止されていないものとみなす」 |
自ら申し出て、年金の受給を辞退する制度である。世の中には、奇特な人も結構いるもので、今の制度だと辞退する方法がないという意見があって作られた。 現状 裁定請求をしないと、年金は支給されない(永遠の辞退)。途中で気が変わったか、気がついたかして、たとえば68歳で裁定請求すると、 @65歳までさかのぼって(最大5年さかのぼり可能)全額支給、あるいは A請求時点から、3年間の繰下げ増額された年金が支給されるかのいずれか ⇒ いずれにしても3年間の辞退?は許されなかった。 |