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労働者派遣法(派遣契約、派遣期間、派遣事業主の講ずべき措置、調停)
関連過去問 13-3B16-2A16-2E20-4B28-2D30-4B
別ページ掲載:目的派遣業の届出・許可個人情報事業主の講ずべき措置

1.労働者派遣契約
1.1 契約の内容(26条) 
 「労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない」
@従事する業務の内容
A法改正(H27.09.30) 労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称、所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位(労働者の配置の区分であつて、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者が当該労働者の業務の配分に関して直接の権限を有するものとして厚生労働省令で定めるものをいう)
⇒「組織」とはいわゆる「課」や「グループ」などで、業務としての類似性、関連性があり、かつその組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有していることが必要。
B労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
C労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
D派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
E安全及び衛生に関する事項
F苦情処理に関する事項
G法改正(H24,10.01)派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たつて講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
H法改正(H24,10.01)紹介予定派遣に係る場合にあっては、職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項
I前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
 「4項法改正(H27.09.30) 派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣(40条の2の1項ただし書き各号いずれれかに該当するもの、すなわち派遣可能期間の制約がないものを除く)の役務の提供を受けようとする者は、当該労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、当該派遣元事業主に対し、当該労働者派遣の役務の提供が開始される日以後当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする者の事業所その他派遣就業の場所の業務について、派遣可能期間を超えることとなる最初の日を通知しなければならない」
派遣可能期間は「業務単位(いわゆる26業務か否か)」ではなく、「業務に関係なく事業所単位」で定められることになり、その派遣可能期間を超える最初の日を、あらかじめ通知しなければならない。
 「5項 派遣元事業主は、新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣(派遣可能期間の制約がないものを除く)の役務の提供を受けようとする者から前項の規定による通知がないときは、当該者との間で、当該者の事業所その他派遣就業の場所の業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない」
 「6項 労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」
 派遣先の派遣元に対する情報提供義務(7項、8項、9項)
 「7項 法改正(R02.04.01新規) 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約を締結するに当たつては、あらかじめ、派遣元事業主に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定め る情報を提供しなければならない」
 「同8項 法改正(R02.04.01新規) 前項の「比較対象労働者」とは、当該労働者派遣の役務の提供 を受けようとする者に雇用される通常の労働者であつて、その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、当該労 働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他 の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令 で定めるものをいう」

 「同9項 法改正(R02.04.01新規) 派遣元事業主は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者 から7項の規定による情報の提供がないときは、当該者との間 で、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない」

 派遣料金に対する派遣先の配慮
 「同10項 法改正(R02.04.01新規) 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先は、当該労働者派遣に関する料金の額について、派遣元事業主が、30条の4の1項の労使協定による労働者派遣以外の労働者派遣にあつ ては30条の3の規定、同項の協定に係る労働者派遣にあつて は同項2号から5号までに掲げる事項に関する協定の定めを遵守することができるものとなるように配慮しなければならない」

1.2 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置(29条の2)法改正(H24,10.01新設)
 「労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たつては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならない]
⇒派遣先事業主は、その者の都合により派遣契約期間の満了前に派遣契約を解除する場合は、ほかの派遣先の紹介や派遣元事業主による休業手当支払いのための費用負担その他の措置を講じなければならない。
 労働者派遣の期間
 派遣先事業所単位の期間制限
(35条の2)
 「派遣元事業主は、派遣先が当該派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受けたならば40条の2(派遣役務の提供を受ける期間)の規定に抵触することとなる場合には、当該抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行ってはならない」
⇒派遣先同一事業所に対する派遣可能期間は原則3年を超えてはならない。(派遣可能期間の制限がない派遣の場合は当然除く) 
 ただし、意見聴取期間内に過半数労働組合等の意見を聴取すれば、事業所単位の期間制限を延長することができる。(40条の2の4項)
 派遣労働者個人単位の期間制限(35条の3)法改正(27.09.30新規)
 「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(42条の2の1項各号のいずれかに該当するもの(派遣可能期間の制約のない派遣は除く)を行つてはならない」
⇒同一組織単位における派遣業務に引き続き3年を超えて派遣してはならない(派遣可能期間の制限がない派遣は除く) 
 派遣可能期間の例
(1)派遣可能期間の原則(派遣先X社Y事業所に派遣を開始した場合)
@Aさんを継続して派遣する場合:3年を超えてはならない。:
AAさんを2年派遣後直ちにBさんを派遣する場合:Bさんは1年(派遣開始からは3年)を超えてはならない。
BAさんの派遣を開始してから1年後に、Aさんとは別の組織単位にCさんを派遣する場合:Cさんは2年を超えてはならない。
(2)派遣可能期間の延長(派遣先X社Y事業所が派遣受入れ開始から3年経過後も引き続き受入れを希望する場合)
 Y事業所は過半数労働組合等の意見聴取をした上で、3年を限りに、受入れ期間の延長が可能。(再延長も同様)
 ただし、その場合でも個人単位の期間制限(3年)を超えてはならない。
@の例 Aさんの場合:同じ組織単位の派遣は不可。別の組織単位であれば3年を限度に派遣可能
 別の人Dさんの場合:同じ組織単位でも別の組織単位でも3年を限度に派遣可能
Aの例 Bさんの場合:同じ組織単位であれば引き続き2年を限度に派遣可能、別の組織単位であれば3年が限度
Bの例:Cさんの場合:同じ組織単位であれば引き続き1年を限度に派遣派遣可能、別の組織単位であれば3年が限度
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2E
 労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為である派遣就業前の事前面接や履歴書の送付等はしないように努めなければならないが、紹介予定派遣の場合には、派遣労働者を特定することを目的とする行為は可能である。

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正しい 誤り
28
2D
 労働者派遣法第35条の3は、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く)を行つてはならない」と定めている。(基礎)

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正しい 誤り

2.日雇労働者についての労働者派遣の禁止(35条の4)法改正(H24,10.01新設) 「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために 派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針」についてはこちらを
 「派遣元事業主は、
@その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者 (日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者) を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合 、又は
A雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場合
 を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行つてはならない」
 「同2項 厚生労働大臣は、前項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない」
 政令で定める業務等(施行令4条)法改正(H24,10.01新設)
 「法35条の4の1項の政令で定める業務(日雇派遣が例外的に認められる業務)は、次のとおりとする」
 @電算機システム、プログラムの設計、開発、 A機械等の設計、製図、
 B電算機等事務用機器の操作、C通訳、翻訳、速記、D秘書、
 E文書等のファイリング、F市場調査、分析、G経理・財務、
 H外国貿易、国内取引文書等の作成、I電算機、自動車等の性能、操作方法等のデモ、
 J旅程管理業務、旅行者送迎案内、K受付、案内、L研究、開発、
 M事業企画、調査、立案、N出版物の編集、O商品・包装のデザイン、商品の陳列・広告デザイン等
 P電算機システム等のインストラクター、Qセールスエンジニアによる機械設備、プログラム等の営業、金融商品などの営業
 「同2項 法35条の4の1項の政令で定める場合は、派遣元事業主が労働者派遣に係る日雇労働者の安全又は衛生を確保するため必要な措置その他の雇用管理上必要な措置を講じている場合であつて次の各号のいずれかに該当するときとする」
 @当該日雇労働者が60歳以上の者である場合
 A当該日雇労働者が学校教育法による学校の学生又は生徒(定時制課程に在学する者等は除く)である場合
 B当該日雇労働者及びその属する世帯の他の世帯員について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が厚生労働省令で定める額以上である場合
 ⇒Bを満足する者とは、
 ・本人の本来の年収が500万円以上ある者
 ・本人が主たる生計者でない場合は、生計同一の世帯に年収が500万円以上ある者

(1)日雇派遣(期間が30日以内)は原則禁止
(2)政令で定める業務は例外的に日雇派遣可
(3)以下に該当する者は例外的に日雇派遣可(ただし、安全又は衛生を確保するため必要な措置等を講じている場合)
 @60歳以上
 A昼間学生
 B副業として日雇派遣をする者で、生業の年収が500万円以上
 C主たる生計者でない者で、世帯の年収合計が500万円以上
(4)「安全又は衛生を確保するため必要な措置」とは、安全衛生法による「雇入れ時の安全衛生教育」のほか、 作業変更時教育、危険有害業務に従事させるときは特別教育を派遣元事業主は確実に行うこと。
 また、派遣先事業主も、業務内容についての情報提供や、派遣元から教育を委託されたときは可能な限り実施するなど、必要な協力や配慮を行うこと。
 政令専門業務(派遣可能期間の定めのない業務) (施行令5条)
 「法40条の2の1項1号の政令で定める業務 (派遣可能期間の定めのない業務) は、前条1項各号に掲げる業務((雇派遣が例外的に認められる業務)及び次に掲げる業務とする」
 R放送用映像機器、音声機器等の操作  S放送番組等の制作、演出
 21建築物の清掃、22 建築設備の運転、点検、整備 23 駐車場の管理、
 24照明、家具等のデザイン、配置等、25 放送番組等における原稿の朗読、司会
 26電話等による商品、契約等の勧誘の業務、27放送番組用舞台、大小道具等の調達、製作、設置、操作
 28下水道設備、廃棄物処理設備等の運転、点検、整備
 離職した労働者についての労働者派遣の禁止(35条の5)法改正(H24,10.01新設)
 「派遣元事業主は、労働者派遣をしようとする場合において、派遣先が当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば40条の9の1項(離職労働者の派遣受入れの禁止)の規定に抵触することとなるときは、当該労働者派遣を行つてはならない」
16
2A
 物の製造の業務への労働者派遣が平成16年3月1日からできるようになった。派遣期間の上限は当面1年であったが、派遣法の改正法の施行3年後の平成19年3月1日からは上限が撤廃され、期間制限が無くなった。そして、現在に至っている。(H28改)

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正しい 誤り
13
3B
 労働者派遣法によれば、同一の派遣労働者を派遣先が受け入れることのできる期間は原則1年、最長3年とされているが、派遣先と派遣労働者が合意するならば、派遣先は同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れることができる。

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正しい 誤り
20
4B
 厚生労働省では、日雇派遣について、労働者派遣法等の法令違反が少なからずみられることや、派遣労働者の雇用が不安定であることなどの問題があり、緊急の取組が必要となっていることから、平成20年2月に労働者派遣法施行規則を改正するとともに、指針を公布し、これを期に、違法派遣を一掃するための取組を強化する「緊急違法派遣一掃プラン」を実施することとし、違法派遣や偽装請負の一掃に向けて努力を行 ってきた。
 その後、平成24年10月からは、労働者派遣法を改正し、政令で定める例外的な一部業務あるいは政令で定める例外的な場合を除いて、 日雇派遣そのものが禁止されるにいたった。(H25 改定)

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正しい 誤り

























3.派遣先の講ずべき措置等 「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」についてはこちら
 労働者派遣契約に関する措置(39条)
 「派遣先は、26条(契約の内容)1項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項に関する労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければならない」 
 適正な派遣就業の確保等(40条)
 「派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者から当該派遣就業に関し、苦情の申出を受けたときは、当該苦情の内容を当該派遣元事業主に通知するとともに、当該派遣元事業主との密接な連携の下に、誠意をもつて、遅滞なく、当該苦情の適切かつ迅速な処理を図らなければならない」
 「同2項 法改正(H27.09.30追加) 派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣労働者を雇用する派遣元事業主からの求めに応じ、当該派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事するその雇用する労働者が従事する業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、当該派遣労働者が既に当該業務に必要な能力を有している場合その他厚生労働省令で定める場合を除き、派遣労働者に対しても、これを実施するよう配慮しなければならない」
 「同3項 法改正(H27.09.30追加) 派遣先は、当該派遣先に雇用される労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であつて、業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない」
⇒「厚生労働省令で定めるもの」とは、給食施設、休憩室、更衣室
 「同4項 前3項に定めるもののほか、派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所等の施設であつて現に当該派遣先に雇用される労働者が通常利用しているもの(前項に規定する厚生労働省令で定める福利厚生施設を除く)の利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるように努めなければならない」
 「同5項 法改正(H27.09.30追加) 派遣先は、30条の3(均衡を考慮した待遇の確保)の1項の規定により賃金が適切に決定されるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する当該派遣先に雇用される労働者の賃金水準に関する情報又は当該業務に従事する労働者の募集に係る事項を提供することその他の厚生労働省令で定める措置を講ずるように配慮しなければならない」
⇒「厚生労働省令で定める措置」とは、同種の業務に従事する派遣先労働者の賃金水準に関する情報の提供、同種の業務に従事させる労働者の募集情報(賃金に関する部分に限る)の提供、派遣先労働者の賃金を適切に決定するための措置
 「同6項 法改正(H24,10.01追加) 前項に定めるもののほか、派遣先は、30条の2(段階的かつ体系的な教育訓練等)、(30条の3(均衡を考慮した待遇の確保)の規定による措置が適切に講じられるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する当該派遣先に雇用される労働者に関する情報であつて当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように努めなければならない」

 労働者派遣の役務の提供を受ける期間 (40条の2) 法改正(H27.09.30)
 「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。 ただし、当該労働者派遣が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、この限りでない」
@法改正(H27.09.30追加) 無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣
A法改正(H27.09.30追加) 雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者であつてその雇用の継続等を図る必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める者(60歳以上の者)に係る労働者派遣
⇒60歳以上の派遣労働者の派遣には期間制限はない。
B次のイ又はロに該当する業務に係る労働者派遣
イ:事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であつて一定の期間内に完了することが予定されているもの
ロ:その業務が1か月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下(通常の労働者の半分以下かつ10日以下)である業務
C当該派遣先に雇用される労働者が労働基準法65条1項及び2項の規定により休業し、並びに育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律2条1号に規定する育児休業をする場合における当該労働者の業務その他これに準ずる場合として厚生労働省令で定める場合における当該労働者の業務に係る労働者派遣
⇒産前産後休業とそれに先行する休業、育児休業とそれに後続する休業であって、母性保護又は子の養育のための休業を取得する労働者の業務に派遣する場合は期間制限はない
D当該派遣先に雇用される労働者が育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律2条の2号に規定する介護休業をし、及びこれに準ずる休業として厚生労働省令で定める休業をする場合における当該労働者の業務に係る労働者派遣
⇒介護休業とそれに後続する休業であって対象家族を介護するための休業を取得する労働者の業務に派遣する場合は期間制限はない
 「2項法改正(H27.09.30全改) 前項の派遣可能期間は、3年とする」
⇒派遣先の同一事業所においては、継続3年を超えて、労働者派遣を受け入れてはならない。
 派遣先事業所が労働者派遣を受け入れ始めてからカウントを開始。(派遣労働者毎に、あるいは業務毎に3年ではない) 
⇒旧「政令専門業務」も含めて、派遣可能期間は3年。
 「3項法改正(H27.09.30全改) 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して労働者派遣(1項各号のいずれかに該当するものを除く)の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務に係る労働者派遣の役務の提供が開始された日(この項の規定により派遣可能期間を延長した場合にあつては、当該延長前の派遣可能期間が経過した日)以後当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について1項の規定に抵触することとなる最初の日の1月前の日までの間(意見聴取期間)に、厚生労働省令で定めるところにより、3年を限り、派遣可能期間を延長することができる。当該延長に係る期間が経過した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とする」
⇒派遣先事業所が労働者派遣を受け入れ始めてから3年を超過する日に1か月前までであれば、4項の手続きを踏むことにより、派遣可能期間(事業所単位の期間制限)をさらに3年延長することができる。(その後も同様にして、3年を超過するごとに再延長が可能)
 「4項法改正(H27.09.30)派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、過半数労働組合等(当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者をいう)の意見を聴かなければならない」
⇒派遣可能期間(事業所単位の期間制限)を延長するためには、意見聴取期間内に、過半数労働組合等の意見を聴取しなければならない。
 「5項法改正(H27.09.30追加)派遣先は、前項の規定により意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、当該過半数労働組合等に対し、派遣可能期間の延長の理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない」
⇒派遣可能期間の延長について異議が出された場合には、誠実に対応方針を検討し説明する等の義務があるが、延長が無効になるわけではない。あくまでも労使自治の立場にそって解決策を探ることになる。
 「7項法改正(H27.09.30)派遣先は、3項の規定により派遣可能期間を延長したときは、速やかに、当該労働者派遣をする派遣元事業主に対し、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について1項の規定に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない」 
⇒派遣可能期間を延長したときは、派遣元事業主に、延長後の事業所単位の期間制限に抵触する最初の日を、文書で、通知しなければならない。
 40条の3法改正(H27.09.30新規) 派遣先は、前条3項の規定により派遣可能期間が延長された場合において、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(同条1項各号のいずれかに該当するもの、すなわち期間制限のないものを除く)の役務の提供を受けてはならない」
⇒派遣可能期間(事業所単位の期間制限)が延長された場合であっても、個人単位の期間制限(同一派遣労働者の同一組織単位での派遣は3年まで)を超えてはならない。
 派遣可能期間の延長に係る意見の聴取(施行規則33条の3)(H27.09.30)  
 「法40条の2の4項の規定により労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見を聴くに当たつては、当該過半数労働組合又は過半数代表者に、次に掲げる事項(派遣可能期間を延長しようとする事業所等と延長しようとする期間)を書面により通知しなければならない」 
 「3項法改正(H27.09.30)派遣先は、40条の2の4項の規定により意見を聴いた場合には、次に掲げる事項意見を聞いた日、意見の内容など)を書面に記載し、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存しなければならない」
 過半数労働組合等が異議をとなえたとき(施行規則33条の4) 法改正(H27.09.30)
 「法40条の2の5項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする」
 @派遣可能期間の延長の理由及びその延長の期間
 A当該異議(労働者派遣により労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行が損なわれるおそれがある旨の意見に限る)への対応に関する方針
⇒上記についての説明内容に関しても、派遣可能期間が経過した日から3年間保存しなければならない。
 不利益な取り扱いの禁止(施行規則33条の5)法改正(H27.09.30新規)
 「派遣先は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、当該労働者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければならない」 
 特定有期雇用派遣労働者の雇用(40条の4) 法改正(H27.09.30全面改定)
  「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの同一の業務について派遣元事業主から継続して1年以上の期間同一の特定有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣(40条の2の1項各号のいずれかに該当するもの、すなわち期間制限のないものを除く)の役務の提供を受けた場合において、引き続き当該同一の業務に労働者を従事させるため、当該労働者派遣の役務の提供を受けた期間((派遣実施期間)が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該同一の業務に派遣実施期間継続して従事した特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者として厚生労働省令で定めるものに限る)を、遅滞なく、雇い入れるように努めなければならない

 厚生労働省令で定める者」(施行規則33条の7)
 「法40条の4の厚生労働省令で定める者は、法30条1項の規定により同条1項1号の措置(派遣元事業主による派遣先への直接雇用の依頼)が講じられた者とする」
⇒派遣先は、派遣元事業主から雇用安定措置として特定有期雇用派遣労働者への直接雇用の依頼を受けた場合において、引き続き当該特定有期雇用派遣労働者(派遣先の同一の組織単位で1年以上3年以内継続して労働に従事する見込みがあるもので、契約終了後も継続して就業することを希望する者)が従事していた業務に労働者を従事させるため、当該労働者派遣の役務提供期間が終了した日以後に労働者を雇い入れようとするときは、当該直接雇用の依頼の対象となった特定有期派遣労働者であって、継続して就業することを希望している者を遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない。
  派遣先に雇用される労働者の募集に係る事項の周知(40条の5) 法改正(H27.09.30全面改定)
 「派遣先は、当該派遣先の同一の事業所その他派遣就業の場所において派遣元事業主から一年以上の期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている場合において、当該事業所その他派遣就業の場所において労働に従事する通常の労働者の募集を行うときは、当該募集に係る事業所その他派遣就業の場所に掲示することその他の措置を講ずることにより、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該派遣労働者に周知しなければならない」 
⇒「通常の労働者」とは、派遣先のいわゆる正規雇用労働者(常用雇用的な長期勤続を前提として雇用される者)をいい、派遣労働者の中には、いわゆる正社員での直接雇用を希望しつつも、やむを得ず派遣就労に従事している者も存在していることから、これらの者について正社員として雇用される可能性の機会をできるだけ提供しようとする趣旨である。
 「2項 派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して三年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者として厚生労働省令で定めるものに限る)に係る前項の規定の適用については、同項中「労働者派遣」とあるのは「労働者派遣(期間の制限がない者を除く)」と、「通常の労働者」とあるのは「労働者」とする」
⇒継続して派遣可能期間(3年間)従事する見込みがあり、さらに継続して就業することを希望する派遣労働者の場合は通常ならはそれで派遣は終了となるところ、その事業所において労働者(正規雇用だけでなく、直接雇用であればパートタイム労働者、契約社員等も含む)の募集を行うときは、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を、当該派遣労働者に周知して、応募の機会を与えなければならない。 
 労働契約申込みみなし制度(40条の6)法改正(H27.10.01新規) 
 「労働者派遣の役務の提供を受ける者(国(行政執行法人を含む)及び地方公共団体(特定地方独立行政法人を含む)の機関を除く)が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。
 ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行つた行為が次の各号のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかつたことにつき過失がなかつたときは、この限りでない」
@4条3項の規定に違反して派遣労働者を同条1項各号のいずれかに該当する業務に従事させること。
⇒派遣労働者を禁止業務に従事させること
A24条の2の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
⇒無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
B40条の2の1項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること(同条4項に規定する意見の聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるものが行われないことにより同条1項の規定に違反することとなつたときを除く)
⇒事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
⇒ただし、期間延長のための意見徴収の手続き違反が軽微な場合(書面による通知上の不備、意見聴取に関する記録上の不備、意見聴取結果の周知上の不備に関する不備)は除く
C40条の3の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
⇒個人単位の期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
Dこの法律又は次節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、26条1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。
⇒いわゆる偽装請負などにより、労働者派遣の役務の提供を受けること
 「2項 前項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から一年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができない」
⇒労働契約の申込みみなしは、違法状態が解消された日から1年間までの間有効である。
チョット補足
@上記@からDの違法派遣が発生したた場合、派遣先はその時点で派遣労働者に対して、派遣元と同じ労働条件で労働契約も申込をしたものとみなされれる。(ただし、派遣先が違法派遣について善意無過失の場合は除く)
A当該派遣労働者がこの申込みを承諾すると意思表示した時点で、労働契約が成立し、その労働者を派遣先が直接雇用することになる。
Bただし、その時の労働条件(賃金、雇用契約期間など)は、違法派遣を受け入れた時点でのその派遣労働者のと派遣元の間にあったものと同じとなる(賃金が上がるとか、雇用契約期間が伸びるということではない)
C労働契約申込みみなしは、違法状態が続いている限り、毎日申込みがあったことになり、違その後も法状態が終了した日から1年間有効である(あるいはその期間内に、申込みを拒絶したという意思表示があれば、その時点で終了となる) 
D違法派遣となり「労働契約申込みのみなし」に対して、派遣労働者が申込みを承諾したにもかかわらず、派遣先が就労させない場合は助言、指導又は勧告を行うことができる。(40条の8の2項) 

  「40条の7 法改正(H27.10.01新規) 労働者派遣の役務の提供を受ける者が国又は地方公共団体の機関である場合であつて、前条1項各号のいずれかに該当する行為を行つた場合(同項ただし書に規定する場合を除く)においては、当該行為が終了した日から1年を経過する日までの間に、当該労働者派遣に係る派遣労働者が、当該国又は地方公共団体の機関において当該労働者派遣に係る業務と同一の業務に従事することを求めるときは、当該国又は地方公共団体の機関は、同項の規定の趣旨を踏まえ、当該派遣労働者の雇用の安定を図る観点から、国家公務員法、国会職員法、自衛隊法又は地方公務員法その他関係法令の規定に基づく採用その他の適切な措置を講じなければならない」
⇒派遣先が国や地方公共団体である場合も、違法派遣後も引き続き本人が同一業務への従事を希望する場合は、採用その他の措置を講じなければならない。
 「40条の8 法改正(H27.10.01新規) 厚生労働大臣は、労働者派遣の役務の提供を受ける者又は派遣労働者からの求めに応じて、労働者派遣の役務の提供を受ける者の行為が、40条の6の1項各号のいずれかに該当するかどうかについて必要な助言をすることができる」
⇒厚生労働大臣(都道府県労働局長)は、派遣先あるいは派遣労働者からの求めに応じて、違法派遣であるか否かについて助言を行うことができる。

 「2項 厚生労働大臣は、40条の6の1項の規定により申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働者が当該申込みを承諾した場合において、同項の規定により当該労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が当該派遣労働者を就労させない場合には、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、当該派遣労働者の就労に関し必要な助言、指導又は勧告をすることができる」
⇒厚生労働大臣(都道府県労働局長)は、違法派遣となり「労働契約申込みのみなし」に対して、派遣労働者が申込みを承諾したにもかかわらず、派遣先が就労させない場合は助言、指導又は勧告を行うことができる
  「3項 厚生労働大臣は、前項の規定により、当該派遣労働者を就労させるべき旨の勧告をした場合において、その勧告を受けた40条の6の1項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる」
⇒2項による勧告に従わないときは、公表することができる。
 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止(40条の9) 法改正(H24,10.01新設)
 「派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く) に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない」
⇒派遣先を退職した(退職させた)労働者を離職後1年間は派遣労働者として受け入れてはならない。ただし、60歳以上の者は除く。
 「同2項 派遣先は、35条1項の規定による通知を受けた場合において、当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば前項の規定に抵触することとなるときは、速やかに、その旨を当該労働者派遣をしようとする派遣元事業主に通知しなければならない」 
⇒「この通知は書面の交付等により行わなければならない」(施行規則33条の10の2項)
 厚生労働省令で定める者(施行規則33条の10)  
 「法40条の9の1項の厚生労働省令で定める者は、60歳以上の定年に達したことにより退職した者であつて当該労働者派遣をしようとする派遣元事業主に雇用されているものとする」

@派遣先を離職した者が派遣社員になった場合、1年経過しない間は、
・派遣元事業主がその者を離職前にいた派遣先へ派遣することを禁止(35条の5)
・派遣先事業主がその者を派遣受入することを禁止(40条の9)
 派遣先がその労働者を派遣会社に転籍等させて雇用関係を断ち、改めて派遣労働者として受け入れることを防止するため。
A派遣元事業主が上記のことに気がつかなく、派遣先が気がついた場合は、速やかにその旨を派遣元に通知しなければならない。(40条の9の2項)
Bただし、60歳以上の定年で派遣先を離職したものであれば、受け入れはできる。
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4B
 派遣先は、当該派遣先の同一の事業所その他派遣就業の場所において派遣元事業主から1年以上継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合に、当該事業所その他派遣就業の場所において労働に従事する通常の労働者の募集を行うときは、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該派遣労働者に周知しなければならない。

解説を見る

正しい 誤り






























4.労働基準法の適用に関する特例等
 労働基準法の適用に関する特例
(44条) 概要のまとめはこちらを
 「派遣元事業主に雇用され、派遣先事業主の事業に派遣就業のために派遣されている労働者(同居の親族のみを使用する事業に使用される者及び家事使用人を除く)であって、 派遣先の事業主に雇用されていない派遣中の労働者に関しては、派遣先の事業もまた、派遣中の労働者を使用する事業とみなして、均等待遇、強制労働の禁止、徒弟の弊害排除の規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む)を適用する」
 「2項 派遣中の労働者の派遣就業に関しては、派遣先の事業のみを、派遣中の労働者を使用する事業とみなして、労働基準法7条(公民権行使の保障)、32条(労働時間)、32条の2(1か月単位の変形労働時間制)の1項、32条の3(フレックスタイム制)、32条の4(1年単位の変形労働時間制)の1項から3項まで、33条(災害時等の時間外労働)、34条(休憩)、35条(休日)、36条(時間外労働及び休日労働)の1項、40条(労働時間及び休憩の特例)、41条(労働時間等の規定の適用除外)、60条(年少者の労働時間及び休日)、61条(年少者の深夜業)、62条(年少者の危険有害業務の就業制限)、63条(年少者の坑内労働の禁止)、64条の2(妊産婦等の坑内業務の就業制限)、64条の3(妊産婦等の危険有害業務の就業制限)、66条(妊産婦の時間外労働等)、67条(育児時間)、68条(生理日の措置)までの規定並びに当該規定に基づいて発する命令の規定(罰則の規定を含む)を適用する」
注1:変形労働時間制については、その定めを派遣元事業主が設けた場合においてのみ、派遣先事業主がその定めに基づいて労働させることができる。
 なお、「1週間単位の非定型的変形労働時間制」は派遣労働者には適用されない。
注2:「妊娠中の女性が請求した場合は、他の軽易な業務に転換させなければならない」は65条(産前産後)の3項であるから、派遣元事業主である。 
 労働安全衛生法の適用に関する特例等(45条)概要のまとめはこちらを
 「労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、当該派遣先の事業を行う者もまた当該派遣中の労働者を使用する事業者と、当該派遣中の労働者を当該派遣先の事業を行う者にもまた使用される労働者とみなして、労働安全衛生法3条1項(事業者等の責務)、4条(労働者の義務)、10条(総括安全衛生管理者)、12条(衛生管理者)、12条の2(安全衛生推進者等)、13条(産業医)、13条の2(50人未満の事業場の場合)、18条(衛生委員会)、19条の2(安全管理者等に対する教育)、59条2項(作業内容変更時教育)、60条の2(安全衛生の水準向上のための教育)、62条(中高齢者等についての配慮)、66条の5(健康診断実施後の措置)の1項、69条(健康教育)及び70条(体育活動等についての便宜供与)の規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む)を適用する」
⇒派遣元と派遣先いずれの事業者にも適用
 「同3項 労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、当該派遣先の事業を行う者を当該派遣中の労働者を使用する事業者と、当該派遣中の労働者を当該派遣先の事業を行う者に使用される労働者とみなして、労働安全衛生法11条(安全管理者)、14条(作業主任者)、15条(統括安全衛生責任者)、15条の2(元方安全衛生管理者)、15条の3(店社安全衛生管理者)、17条(安全委員会)、20条から27条(事業者の講ずべき措置)、28条の2(事業者の行うべき調査)、29条から29条の2(元方事業者の講ずべき措置)、30条(特定元方事業者の講ずべき措置)、30条の2(製造業等元方事業者の講ずべき措置)、30条の3(数次の請負の場合の元方事業者の講ずべき措置)、31条の3(注文者の講ずべき措置)、36条(厚生労働者省令への委任(一定のものに限る)、45条(定期自主検査、ただし2項の特定自主検査は除く)、化学物質の有害性の調査(57条の3、57条の4)、国の援助(57条の5)、特別の安全衛生教育(59条3項)、職長等の教育(60条)、就業制限(61条)、作業環境測定(65条、65条の2)、作業の管理(65条の3)、作業時間の制限(65条の4)、特別な健康診断(66条2項3項4項5項)、結果の記録(66条の3)及び医師等からの意見聴取(66条の4)、病者の就業禁止(68条)、快適な職場環境の形成のための事業者の講ずる措(71条の2)、安全衛生計画(9章1節)、計画の届出等(88条)等等とこれらに係る罰則の規定を適用する」
⇒派遣先事業者に適用
 「同5項 その事業に使用する労働者が派遣先の事業における派遣就業のために派遣されている派遣元の事業に関する3項に掲げる規定及び労働安全衛生法45条2項(特定自主検査)の規定の適用については、当該派遣元の事業の事業者は当該派遣中の労働者を使用しないものと、当該派遣中の労働者は当該派遣元の事業の事業者に使用されないものとみなす」
⇒3項に掲げるものについては、派遣先事業者が行うので、派遣元は当該業務に派遣している労働者は雇用していないものとして取り扱う(派遣元には措置を講じる義務はない)
 なお、特定自主検査を派遣元事業者が自前で行う場合、派遣中の労働者にこれをさせてはならない。
 「同10項  3項の規定により派遣中の労働者を使用する事業者とみなされた者は、当該派遣中の労働者に対し3項の規定により適用される66条2項(特別な健康診断、66条3項(歯科医師の健康診断)若しくは66条4項(都道府県労働局長の指示による臨時の健康診断)の規定による健康診断を行つたとき、又は当該派遣中の労働者から66条5項ただし書の規定による健康診断の結果を証明する書面の提出があつたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該派遣中の労働者に係る66条の3の規定による記録に基づいてこれらの健康診断の結果を記載した書面を作成し、当該派遣元の事業の事業者に送付しなければならない」
 「同11項  前項の規定により同項の書面の送付を受けた派遣元の事業の事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該書面を保存しなければならない」
 男女雇用機会均法の適用に関する特例(47条の2)
 「労働者派遣の役務の提供を受ける者がその指揮命令の下に労働させる派遣労働者の就業に関しては、役務の提供を受ける者もまた、派遣労働者を雇用する事業主とみなして、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律を規定を適用する」 
 派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて 通達(H14.04.24保保発0424001/庁保険発24)
1 被保険者資格の取扱い  労働者派遣事業の事業所に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者(登録型派遣労働者)の適用については、派遣就業に係る一の雇用契約の終了後、最大1月以内に、同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約(1月以上のものに限る。)が確実に見込まれるときは、使用関係が継続しているものとして取り扱い、被保険者資格は喪失させないこととして差し支えないこと。
 なお、登録型派遣労働者以外の被保険者に係る適用の取扱いについては、従前のとおりであること。
2 被保険者資格の喪失手続等
(1) 上記1の登録型派遣労働者について、1月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではないこと。
(2) 被保険者資格の喪失に当たっては、事業主は、被保険者証の回収を確実に行うとともに、登録型派遣労働者の使用関係終了日及び国民健康保険の資格取得日を明確にするため、資格喪失届の写しの交付、国民健康保険の被保険者資格取得届提出の遅延防止指導等を確実に実施させるよう、事業主を指導すること。
 また、被保険者の年金権を確保する観点から、国民年金第1号被保険者又は第3号被保険者の届出を確実に行うべき旨、被保険者への周知を図るよう、事業主を指導すること。
 事業主団体等の責務(47条の3)法改正(H27.09.30新規) 
 「派遣元事業主を直接又は間接の構成員とする団体(事業主団体)は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等が図られるよう、構成員に対し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならない」




















5.紛争の解決
 苦情の自主的解決(47条の4)  法改正(R02.04.01新規)
 「派遣元事業主は、30条の3(均衡を考慮した待遇の確保)、30条の4(派遣労働者等の福祉の増進)及び31条の2(説明)の2項から5項までに定める事項に関し、派遣労働者から苦情の申出を受けたとき、又は派遣労働者が派遣先に対して申し出た苦情の内容が当該派遣先から通知されたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならない」
 「同2項 派遣先は、40条2項及び3項に定める事項に関し、派遣労働者から苦情の申出を受けたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならない」

  紛争の解決の促進に関する特例(47条の5) 法改正(R02.04.01新規)
 「前条1項の事項についての派遣労働者と派遣元事業主との間の紛争及び同条2項の事項についての派遣労働者と派遣先との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条(助言・指導)、5条(あっせん)及び12条から19条までの規定は適用せず、次条から47条の9までに定めるところによる」
 紛争の解決の援助(47条の6) 法改正(R02.04.01新規)
 「都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる」

 「同2項 派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならない」

 調停の委任(47条の7) 法改正(R02.04.01新規)
 「都道府県労働局長は、47条の5に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律6条1項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする」
 「同2項 前条2項の規定は、派遣労働者が前項の申請をした場合について準用する」

 調停(47条の8) 法改正(R02.04.01新規)
 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律19条、20条1項及び21条から26条までの規定は、前条1項の調停の手続について準用する。
 この場合において、同法19条1項中「前条1項」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律47条の7の1項」と、同法20条1項中「関係当事者」とあるのは「
関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」と、同法25条1項中「18条1項」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律47条の7の1項」と読み替えるものとする」
     
   








6.雑則
 指導及び助言等(48条)
 「厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、労働者派遣事業の適正な運営又は適正な派遣就業を確保するために必要な指導及び助言を(することができる」

 「同3項 法改正(H24.10.01追加) 厚生労働大臣は、23条3項(派遣割合の報告)、23条の2(関係派遣先への派遣の制限)又は30条2項(同一組織単位に継続して3年派遣する派遣労働者に対する雇用安定措置)の規定により読み替えて適用する同条1項の規定に違反した派遣元事業主に対し、1項の規定による指導又は助言をした場合において、当該派遣元事業主がなお23条3項、23条の2又は30条2項の規定により読み替えて適用する同条1項の規定に違反したときは、当該派遣元事業主に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる」
⇒「派遣割合の報告」、「関係派遣先への派遣の制限」、「同一組織単位に継続して3年派遣する派遣労働者に対する雇用安定措置」の規定に違反した場合は、次の流れになる。
 指導・助言→必要な措置の指示→派遣事業許可の取消し(14条C)

 改善命令等(49条)
 「法改正(H24.10.01施行) 厚生労働大臣は、派遣元事業主が当該労働者派遣事業に関しこの法律(23条3項(派遣割合の報告)、23条の2(関係派遣先への派遣の制限及び30条2項(同一組織単位に継続して3年派遣する派遣労働者に対する雇用安定措置)の規定により読み替えて適用する同条1項の規定の規定を除く)その他労働に関する法律の 規定(命令を含む)に違反した場合において、適正な派遣就業を確保するため必要があると認めるときは、当該派遣元事業主に対し、派遣労働者に係る雇用管理の方法の改替その他当該労働者派遣事業の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる」

 「同2項 厚生労働大臣は、派遣先が4条3項(派遣禁止業務)の規定に違反している場合において、同項の規定に違反している派遣就業を継続させることが著しく不適当であると認めるときは、当該派遣先に労働者派遣をする派遣元事業主に対し、当該派遣就業に係る労働者派遣契約による労働者派遣の停止を命ずることができる」

 公表等(49条の2) 法改正(H27.09.30)、法改正(H24.10.01施行)
 「厚生労働大臣は、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、4条3項(派遣禁止業務)、24条の2(許可を受けた派遣元事業主以外からの派遣受入れの禁止)、40条の2の1項(派遣役務の提供を受ける期間)、4項若しくは5項、40条の3(派遣可能期間延長後の個人単位の期間制限)若しくは40条の9の1項(離職労働者の受入れ)の規定に違反しているとき、又はこれらの規定に違反して48条1項の規定による指導若しくは助言を受けたにもかかわらずなおこれらの規定に違反するおそれがあると認めるときは、
 当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、4条3項、24条の2、40条の2の1項、4項若しくは5項、40条の3若しくは40条の9の1項の規定に違反する派遣就業を是正するために必要な措置又は当該派遣就業が行われることを防止するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる」
⇒是正勧告ができるのは、
 @上記列挙規定に違反しているとき (指導・助言を経ないで)
 A上記列挙規定に違反して、指導・助言を受けたにもかかわらず、なお違反する恐れがあるとき。

 「2項 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる」