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R10-1

災害等臨時の必要がある場合の時間外労働 

 
1.災害等臨時の必要がある場合の時間外労働等(33条)
 「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない」
 「2項 前項ただし書の規定による届出があった場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる」
⇒ 事後に届けたが、「働かせるべきでなかった」と判定されると、代休を与えるなどの措置を命ぜられることがある。
 「3項 公務のために臨時の必要がある場合においては、1項の規定にかかわらず、官公署の事業に従事する国家公務員及び地方公務員については、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」  
⇒ 3項の場合は、行政官庁の許可は不要。
   S23.9.20基収3352)
 「3項における、公務のため臨時の必要があるか否かの認定は、一応使用者たる当該官庁に委ねられており、広く公務のための臨時の必要を含むものである
 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について
 (基発0607第1号、令和元年6月7日)
 労働基準法33条1項の運用については、昭和22年9月13日付け発基第17号及び昭和26年10月11日付け基発第696号による許可基準(以下旧許可基準)により示してきたところであるが、今般、旧許可基準の一部を下記のとおりに改正することとしたので、了知の上、取扱いに遺漏なきを期されたい。
 なお、今回の改正は、労働基準法33条1項の「災害その他避けることのできない事由によつて臨時の必要がある場合」について、現代的な事象等を踏まえて解釈の明確化を図るものであること。また、旧許可基準及び関連通達で示している基本的な考え方に変更はないこと   
 
 第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定であるからその臨時の必要の限度において厳格に運用すべきものであって、その許可又は事後の承認は、概ね次の基準によって取り扱うこと。
(1)単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。
(2)地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫った恐れがある場合における事前の対応を含む)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要は認めること。
 例えば、災害その他避けることのできない事由により被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインや安全な道路交通の早期復旧のための対応、大規模なリコール対応は含まれること。
(3)事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な保安は認めないこと。
 例えば、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応は含まれること。
(4)上記(2)及び(3)の基準については、他の事業場からの協力要請に応じる場合においても、人命又は公益の確保のために協力要請に応じる場合や協力要請に応じないことで事業運営が不可能となる場合には、認めること。 
 派遣労働者の場合(S61.6.6基発333)
 「派遣先の使用者は、派遣先の事業場において、災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合には、派遣中の労働者に、法定時間外又は法定休日に労働させることができる。この場合に、事前に行政官庁の許可を受け、又はその暇がない場合に事後に遅滞なく届出をする義務を負うのは、派遣先の使用者である」
 年少者への適用(通達S23.07.05基収1685)
@年少者を33条1項(災害等臨時の必要がある場合の時間外労働等)の規定により、労働時間を延長し又は休日に労働させる場合には、年少者に関する労働時間、休日労働及び深夜労動の規制は適用されない
⇒年少者(18歳未満)であっても、18歳以上の者と同様に、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせることができる。
A官公署の事業に従事する官吏、公吏その他の公務員を、33条3項の規定により、労働時間を延長し又は休日に労働させる場合には、年少者に関する労働時間及び休日労働の規制は適用されないが、深夜業の規制は適用される。
⇒公務員については、年少者(18歳未満)に対する深夜労働の規制だけは残る。