社会保険に関する一般常識
6I 子ども手当特別措置法(平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法) (平成23年10月1日施行、24.03.31まで)
別ページ掲載:児童手当法児童扶養手当法子ども手当法
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趣旨等

1.1 趣旨等
 趣旨(1条)
 「この法律は、現下の子ども及び子育て家庭をめぐる状況に鑑み、平成24年度からの恒久的な子どものための金銭の給付の制度に円滑に移行できるよう、平成23年度における子ども手当の支給等について必要な事項を定めるものとする」
 受給者の責務(2条)
 「子ども手当の支給を受けた者は、これを子ども及び子育て家庭に資するよう用いなければならない」
 定義(3条)
 「この法律において「子ども」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の厚生労働省令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう」
 ⇒子どもは国内居住(留学中は除く)であること。外国人の場合は国内在留資格者(短期滞在は不可)であること。
 「同2項 この法律にいう「父」には、母が子どもを懐胎した当時婚姻の届出をしていないが、その母と事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含むものとする」
1.2 児童手当法との関係
 基本的認識(19条)
 「21条に規定する児童手当等受給資格者に対する子ども手当に関しては、前二章に定めるもののほか、当該子ども手当の額のうち旧児童手当法の規定により支給する児童手当その他給付の額に相当する部分が旧児童手当法の規定により支給する児童手当その他給付であるという基本的認識の下に、この章に定めるところによる」 
 旧児童手当法の適用(20条)
 「一般受給資格者のうち旧児童手当法6条1項に規定する受給資格者(5条1項の所得制限の規定により児童手当が支給されない者を含む)に該当する者に支給する子ども手当については、当該子ども手当の額のうち旧児童手当法の規定によりこれらの者に対して支給されるべき児童手当の額(所得制限の規定により児童手当が支給されない者については、その規定の適用がないとしたならば支給されるべき児童手当の額)に相当する部分を、旧児童手当法の規定により支給する児童手当とみなして、旧児童手当法18条(4項を除く)、20条から22条まで、23条(2項を除く)、24条から25条まで及び30条の規定を適用する」
 「2項 一般受給資格者のうち旧児童手当法附則7条4項1号に規定する小学校修了前特例給付受給資格者(同条2項の所得制限の規定により支給されない者を含む)に該当する者に支給する子ども手当については、当該子ども手当の額のうち同条1項の規定によりこれらの者に対して支給されるべき給付の額(所得制限の規定により支給されない者については、同その規定の適用がないとしたならば支給されるべき額)に相当する部分を、旧児童手当法の規定により支給する同条1項の給付とみなして、旧児童手当法18条2項及び3項並びに30条並びに旧児童手当法附則7条8項の規定を適用する」
 平成23年10月から平成24年3月までの月分の児童手当等の支給に係る特例(21条)
 「旧児童手当法6条1項に規定する受給資格者又は旧児童手当法附則6条1項の給付の支給要件に該当する者、旧児童手当法附則7条4項1号に規定する小学校修了前特例給付受給資格者若しくは旧児童手当法附則8条1項の給付の支給要件に該当する者(児童手当等受給資格者)に対する、平成23年10月から平成24年3月までの月分の児童手当又は特例給付等については、当該児童手当等受給資格者は、児童手当又は特例給付等の支給要件に該当しないものとみなす」

 児童育成事業の特例(22条)(H27.04.01削除)
 「この法律の規定が適用される場合における児童手当法29条の2の規定の適用については、同条中「児童手当」とあるのは、「児童手当及び平成23年度における子ども手当特別措置法による子ども手当」とする。
 まとめ
 @子ども手当のうち、児童手当法で規定されている支給額は、児童手当であると認識する(19条)。
  両方から重複して支給されるものではない(21条)。
 A子ども手当は児童手当法の適用により支給されるのものではないが、費用負担、事業主からの拠出金の徴収の規定は、そのまま適用される。
   
   

 

 

 



 


 

2.支給
 支給要件(4条)
 「子ども手当は、次の各号のいずれかに該当する者に支給する」

1

 次のイ又はロに掲げる子ども(支給要件子ども)を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母(未成年後見人があるときはその未成年後見人)であって、日本国内に住所を有するもの
 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子ども(施設入所等子どもを除く。以下では中学校終了前の子どもという)
 中学校終了前の子どもを含む2人以上の子ども(施設入所等子どもを除く)
2  日本国内に住所を有しない父母等がその生計を維持している支給要件子どもと同居し、これを監護し、かつこれと生計を同じくする者のうち、当該支給要件子どもの生計を維持している父母等が指定する者であって、日本国内に住所を有するもの(父母指定者)
3  父母等又は父母指定者のいずれにも監護されず又はこれと生計を同じくしない支給要件子どもを監護し、かつ、その生計を維持する者であって、日本国内に住所を有するもの 
4

 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある施設入所等子ども(中学校終了前の施設入所等子どもという)が委託されている小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親又は中学校終了前の施設入所等子どもが入所している児童福祉施設、障害者支援施設、旧身体障害者更生援護施設等、のぞみの園、救護施設、更生施設若しくは婦人保護施設(以下児童福祉施設等)の設置者
 まとめ
 @子どもは国内居住(留学中は除く)であること。外国人の場合は国内在留資格者(短期滞在は不可)であること。(3条)
 A支給対象者は
  ・父母(又は未成年後見人)も国内居住で、子どもと生計同じくし監護している者。
  ・父母が国外にいる場合は、国内居住で、子どもと生計同じくし監護している者としてされた「父母指定者」
  ・他人の子であっても、国内居住で、その子を父母の代わりに監護し、かつ生計を維持している者
  ・児童福祉施設等に入所している子どもについては、その施設設置者等。
 B2人以上の者が子どもを監護し、かつ生計を同じくしている場合は
  ・生計を維持する程度の高い者に支給
  ・いずれか1人の者が同居している場合は、同居している者に支給
 支給額(5条)
 「子ども手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、次の各号に掲げる子ども手当の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする」
 3歳まで  15,000円
 3歳から小学校修了まで  10,000円(第1子、第2子)、15,000円(第3子以降)
 小学校修了後から中学校修了まで  10,000円
 注: 第1子からの数え方は、18歳到達年度末までの子から数える。 
 認定(6条)
 「子ども手当の支給要件に該当する者(4条1項の1号から3号までに係る一般受給資格者)は、子ども手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び子ども手当の額について、厚生労働省令の定めるところにより、住所地の市区町村長(特別区の区長を含む)認定を受けなければならない」
  
 「同2項 子ども手当の支給要件に該当する者(4条1項の4号に係る施設等受給資格者)は、子ども手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び子ども手当の額について、厚生労働省令の定めるところにより、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者の認定を受けなければならない」
 @ 小規模住居型児童養育事業を行う者:当該小規模住居型児童養育事業を行う住居の所在地の市町村長
 A 里親:当該里親の住所地の市町村長
 B 児童福祉施設等の設置者:当該児童福祉施設等の所在地の市町村長

 「同3項 前二項の認定を受けた者が、他の市区町村(特別区を含む)の区域内に住所(施設等受給資格者が小規模住居型児童養育事業を行う者である場合にあっては当該小規模住居型児童養育事業を行う住居の所在地とし、児童福祉施設等の設置者である場合にあっては当該児童福祉施設等の所在地とする)を変更した場合において、その変更後の期間に係る子ども手当の支給を受けようとするときも、また前二項と同様とする」  

 支給及び支払(7条)
 「市町村長は、前条の認定をした受給資格者(一般受給資格者及び施設等受給資格者)に対し、子ども手当を支給する」
 「2項 子ども手当の支給は、受給資格者が前条の規定による認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、平成24年3月(同年2月末日までに子ども手当を支給すべき事由が消滅した場合には、当該子ども手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月)で終わる」
 「3項 受給資格者が住所を変更した場合又は災害その他やむを得ない理由により、認定の請求をすることができなかった場合において、
 住所を変更した後又はやむを得ない理由がやんだ後15日以内にその請求をしたときは、 子ども手当の支給は、前項の規定にかかわらず、受給資格者が住所を変更した日又はやむを得ない理由により認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始める」
 「4項 子ども手当は、平成24年2月に前月までの分を、同年6月に同年2月分及び3月分を、それぞれ支払う。
 ただし、前支払期月に支払うべきであった子ども手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の子ども手当は、その支払月でない月であっても、支払うものとする」  
 ⇒平成23年6月から23年9月分 平成23年10月14日に支給(「平成22年度等における子ども手当の支給に関する法律」(つなぎ法案)による))
  平成23年10月から平成24年1月分まで 平成24年2月に(本特別措置法による)
 公務員に対する特例(16条)
 「公務員である一般受給資格者についてこの章の規定を適用する場合においては、「住所地の市町村長」とあるのは、それぞれ次のように読み替えるものとする」
  @常勤の国家公務員その他政令で定める国家公務員は、
    所属する各省各庁の長(裁判所にあつては、最高裁判所長官)又はその委任を受けた者
  A常勤の地方公務員その他政令で定める地方公務員は、
    所属する都道府県知事若しくは市町村の長又はその委任を受けた者 
 子ども手当の額の改定(8条)
 「子ども手当の支給を受けている者につき、子ども手当の額が増額することとなるに至った場合における子ども手当の額の改定は、その者がその改定後の額につき認定の請求をした日の属する月の翌月から行う」
 「3項 子ども手当の支給を受けている者につき、子ども手当の額が減額することとなるに至った場合における子ども手当の額の改定は、その事由が生じた日の属する月の翌月から行う」
   
   

 

 

 

 

 

 

 

 

3 費用
 費用の負担(17条)
 「子ども手当の支給に要する費用(児童手当法の規定により支給する児童手当又は児童手当とみなされる部分(3歳以上小学校修了前の児童に係る特例給付の支給)に要する費用を除く))については、国が負担する」 
 「2項 次の各号に掲げる子ども手当の支給に要する費用は、前項の規定に関わらず、それぞれ各号に定める者が負担する」
 @各省各庁の長又はその委任を受けた者が認定をした国家公務員に対する子ども手当の支給に要する費用:国
 A都道府県知事又はその委任を受けた者が認定をした地方公務員に対する子ども手当の支給に要する費用:都道府県 
 B市町村長又はその委任を受けた者が認定をした地方公務員に対する子ども手当の支給に要する費用:市町村 
 「3項 国庫は、予算の範囲内で、子ども手当に関する事務の執行に要する費用を負担する」
 市町村に対する交付(18条)  
 「政府は、政令で定めるところにより、市町村に対し、市町村長が支給する子ども手当の支給に要する費用のうち、次の各号に掲げる費用の区分に応じ、各号に定める割合に相当する額を交付する」
 @被用者のうち3歳に満たない子どもであって特定施設入所等子ども(父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない施設入所等子ども)でないものがいる者に対する費用(3歳に満たない子どもに係る子ども手当の部分に限る):13/15
 A被用者でも公務員でもない者であって3歳に満たない子ども(特定施設等子どもを除く)がいる者に対する費用(3歳に満たない子どもに係る子ども手当の部分に限る):5/9
 B3歳に満たない特定施設入所等子ども(3歳未満特定施設入所等子ども)がいる者に対する費用(3歳未満特定施設入所等子どもに係る子ども手当の部分に限る):10/10
 C3歳以上の子どもであって12歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるもの(3歳以上小学校修了前の子ども)がいる者に対する費用(3歳以上小学校修了前の子どもに係る子ども手当の額に係る部分に限り、5号から8号までに掲げる費用を除く):2/3
 Dその者に係る3歳以上の子ども(施設入所等子どもを除く)が全て3歳以上小学校修了前の子どもであり、かつ、当該3歳以上小学校修了前の子どもが3人以上いる者に対する費用(3歳以上小学校修了前の子どもの数から2を控除して得た数に15,000円を乗じて得た額に係る部分に限る):5/9
 E3歳以上小学校修了前の子ども(施設入所等子どもを除く)が2人以上あり、かつ、12歳に達する日以後の最初の3月31日を経過した子ども(施設入所等子どもを除く。小学校修了後高等学校修了前の子ども)が1人いる者に対する費用(3歳以上小学校修了前の子どもの数から1を控除して得た数に15,000円を乗じて得た額に係る部分に限る):5/9
 F3歳以上小学校修了前の子ども(施設入所等子どもを除く)が1人以上あり、かつ、小学校修了後高等学校修了前の子どもが2人以上いる者に対する費用(3歳以上小学校修了前の子どもの数に15,000円を乗じて得た額に係る部分に限る):5/9
 G3歳以上の特定施設入所等子どもであって12歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるもの(3歳以上小学校修了前特定施設入所等子ども)がいる者に対する費用(3歳以上小学校修了前特定施設入所等子どもに係る子ども手当の額に係る部分に限る):10/10
 H12歳に達する日以後の最初の3月31日を経過した子どもであって15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるもの(小学校修了後中学校修了前の子ども)がいる者に対する費用(小学校修了後中学校修了前の子どもに係る子ども手当の額に係る部分に限る) 10/10

   費用負担のまとめ
  新たな支給分 児童手当等に関する部分
 公務員  任命権者である国、都道府県、市町村が全額負担  任命権者である国、都道府県、市町村が全額負担
 公務員以外  国が全額負担  児童手当法による負担
   
   

 

 

 


 


 


 

5.1 支給の制限・不正利得の徴収等
 支給の制限(9条)
 「子ども手当は、受給資格者が、正当な理由がなくて、32条1項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったときは、その額の全部又は一部を支給しないことができる」
 「10条 子ども手当の支給を受けている者が、正当な理由がなくて所定の届出をせず、又は所定の書類を提出しないときは、子ども手当の支払を一時差止めることができる」」
 不正利得の徴収(13条)
 「偽りその他不正の手段により子ども手当の支給を受けた者があるときは、市区町村長は、国税徴収の例により、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる」 
 受給権の保護(14条)
 「子ども手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」
 公課の禁止(15条)
 「租税その他の公課は、子ども手当として支給を受けた金銭を標準として、課することができない」
 時効(28条)
 「子ども手当の支給を受ける権利及び13条1項の規定による徴収金を徴収する権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する」 
 罰則(37条)
 「偽りその他不正の手段により子ども手当の支給を受けた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
 ただし、刑法に正条があるときは、刑法による」 
5.2 その他
 子ども手当に係る寄附(24条)
 「受給資格者が、子ども及び子育て家庭を支援するため、当該受給資格者に子ども手当を支給する市町村に対し、当該子ども手当の支払を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該子ども手当の額の全部又は一部を当該市町村に寄附する旨を申し出たときは、当該市町村は、厚生労働省令で定めるところにより、当該寄附を受けるため、当該受給資格者が支払を受けるべき子ども手当の額のうち当該寄附に係る部分を、当該受給資格者に代わって受けることができる」
 「2項 市町村は、前項の規定により受けた寄附を、子ども及び子育て家庭を支援するために使用しなければならない」 
 届出(31条)
 「子ども手当の支給を受けている者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長に対し、厚生労働省令で定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令で定める書類を提出しなければならない」