趣旨 通達(H11.1.29基発45(裁量労働制の趣旨))
「経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等が進む中で、活力ある経済社会を実現していくためには、事業活動の中枢にある労働者が創造的な能力を十分に発揮し得る環境づくりをすることが必要である。また、労働者の側にも、自らの知識、技術や創造的な能力をいかし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいという意識が高まっており、こうした状況に対応した新たな働き方のルールを設定することが重要である。
このような考え方から、事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社等の中枢部門において、企画、立案、調査及び分析を行う事務系労働者であって、業務の遂行手段や時間配分を自らの裁量で決定し、使用者から具体的な指示を受けない者を対象とする新たな裁量労働制を設けることとした」
労働条件の最低基準を定め、労働者を保護するという労基法の原点からすると違和感もあるが、企画部門等で働く労働者の過労や健康不安も結構深刻化しつつあるのである。 |
対象事業場
当初は本社など「事業運営上の重要な決定がが行われる事業場」に限られていたが、平成15年の改正で「労使委員会が設置された事業場」となり、
対象事業場が非常にわかりにくくなった。
「労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」(厚生労働省告示353号(H15.1.22)によると、
「対象事業場とは対象業務が存在する事業場であり、具体的に次に掲げる事業場である。
(1)本社・本店である事業場
(2)その他にあっては次に掲げる事業場
イ 全社台での事業運営に大きな影響をを及ぼす決定が行われる事業場(例えば、主要製品・サービスについての事業計画の決定を行う事業本部、主要地域における生産、販売等の事業計画・営業計画の決定を行う地域本社・支社、本社・本店の具体的な指示を受けることなく独自に事業計画の決定を行う主要工場など)
ロ 本社・本店の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場の事業運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行う支社・支店等」(抜粋) |
対象業務
「次のいずれにも該当するものであること。
@事業の運営に関する事項についての業務であること、
A企画、立案、調査及び分析の業務であること、
Bその性質上、適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務であること(H15.12.26基発1226002) |
適用期間
「通常は非対象業務に従事している労働者が、特定の期間(例えばプロジェクトを組む場合)に限り対象業務に常態として従事することとなる場合、決議の有効期間内であれば、短期間であろうと長期間であろうと適用可能である」(H12.3.28基発180) |
派遣労働者への適用
「労働者派遣法44条(労働基準法の適用に関する特例)に38条の4に関する規定がない以上、派遣労働者に企画業務型裁量労働制を適用することはできない」(H12.3.28基発180) |
労働時間
「1日についての対象労働者の労働時間数を具体的に定めること」(H15.12.26基発1226002)
⇒ フレックスタイム制においては、清算期間内における総労働時間数 |
健康及び福祉を確保するための措置
企画業務型裁量労働制で一番問題になるのは、自らの意思とはいいながらも働きすぎになったり、あるいは間接的に長時間労働を強いられることになりはせぬかということである。
よって、次のいずれにも該当する措置を講ずることと、その結果を報告することが要求されている。
1 |
対象労働者の労働時間の状況等の勤務状況を把握する方法として、対象事業場の実態に応じて適当なものを具体的に明らかにしていること。
その方法としては、いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供しうる状態にあったか等をあきらかにしうる出退勤時刻または入退室時刻の記録等によるものであること。 |
2 |
上記により把握した勤務状況に基づいて、対象労働者の勤務状況に応じ、使用者がいかなる健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にするものであること。 |
|
対象労働者からの苦情処理に関する措置
苦情の申出の窓口及び担当者、取扱う苦情の範囲、処理の手順・方法等その具体的内容を明らかにするものであることが必要である。 |