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解雇をめぐるトラブルの防止

 
KeyWords  解雇解雇制限解雇予告解雇予告の除外退職時等の証明打切補償
 解雇は労働者にとって死活問題であり、極力避けるべきことです。
 しかしながら一方では、事業活動を法律でしばらずに、自由な競争や経営者の創意工夫に委ねるとするのが、自由主義社会のよいところでもあります。経営者は、会社を持続可能(Going Concern)にするために、時にはやむを得ず、不採算部門や余剰人員の整理をすることがあります。
 ここで、労働者と使用者の利害が大きく食い違うわけです。
 労基法では解雇を禁止することろまではいっていませんが、労働者保護の観点から、解雇にさまざまな制約を課しているのです。
1.解雇(18条の2) (現労働契約法16条)
 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」  
 
 趣旨
 「解雇が労働者に与える影響の重大性や、解雇に関する紛争が増大している現状にかんがみ、解雇に関するルールをあらかじめ明確にすることにより、解雇に際して発生するトラブルを防止し、その解決を図ることを目的として、最高裁判所判決で確立しているいわゆる解雇権濫用法理を法律に明記することとした」
 「解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち、
 「圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない」ことが立法者の意思である」(いずれもH15.10.22基発1022001)
⇒ 使用者は解雇権を持っているが、これを濫用し(みだりにも用い)てはならない。
解雇  労働契約を解約するという、使用者側からの一方的な意思表示
任意退職  労働契約を解約するという、労働者側からの一方的な意思表示。
 辞職願を提出したとしても、使用者の有形、無形の圧力によるものであれば、解雇となる場合もある。
期間満了  契約期間に定めがある場合の期間満了による退職は、解雇ではない。
 ただし、臨時工について1か月ごとの期限付契約を更新した事例について、「形式的には雇用期間を定めて契約が反復更新されても実質においては期間の定めのない労働関係と認められる場合は、解雇の予告を必要とする」(S27.2.2基収503)
定年  「就業規則に定めた定年制が労働者の定年に達した翌日を以ってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が消滅する慣行となっていて、それが従業員に徹底している限り、解雇の問題は生じない」(S26.8.9基収3388)
⇒ 定年制があっても、その通りに実施されない例があって、労働者が引き続き雇用されるものと期待するような状況の場合は、定年であっても解雇とみなされることがある。
 解雇についての民法上の位置づけは、契約自由の原則に則った雇用契約の解約であり、使用者であろうと労働者であろうと契約の当事者はいつでも解約の申入れができ、原則として2週間の告知期間を経て、雇用契約は終了となる。
 しかしながら、労基法などいわゆる労働法においては、労働者保護の立場から、解雇に特別な規制を課している。
 「解雇をめぐる紛争について解決を求められた場合は、個別労働紛争の簡易迅速な解決を図ることを目的とする「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」により解決を図ることができる紛争の対象となることについて、周知を図るなどの対応を行うこと」(H15.10.22基発1022001)
 「事業場が赤字のため閉鎖して、労働者を使用者の責任において他の事業場へあっせん就職させた場合でも、任意に退職を申し出ない限り、解雇である」(S23.5.14基発769)
 解雇権濫用に関する最高裁判例の一例(高知放送事件、S52.01.31最高裁第2小法廷)
 「午前6時からの10分間のニュース担当の宿直のアナウンサーが2週間に2回寝過ごして番組に穴を空けたために、勤務成績・勤務態度不良で解雇された」
 これに対する判決は、
 「就業規則の普通解雇事由に該当するが、その場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、解雇権の濫用というべきである。
 本件の場合、悪意や故意ではないこと、アナウンサーを起こすべき記者も寝過ごしたこと、本人のこれまでの無事故暦等から、解雇をもってのぞむことは、いささか苛酷にすぎ、合理性を欠くうらみがあり、必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできないとして、解雇を無効とした」
 会社側の経営事情等から一定人数の従業員を削減しようとする整理解雇の場合、これが解雇権の濫用になるのかどうかの ひとつの基準として、裁判所の判例により次の4条件が確立されているといわれている。
 @ 人員削減の必要性が明確であること。
 A 解雇回避の努力がなされていること。
 B 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること。
 C 事前の説明・協議義務が適切であること。 
2.解雇制限(19条)
 「使用者は、
 @労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間、並びに、
 A産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、
解雇してはならない。ただし、使用者が、
 @81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は、
 A天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、
この限りでない」                                              
 
 使用者が解雇権を有していることを前提とし、労働者がやむなく解雇された場合で、再就職活動に支障をきたす場合(業務上疾病等による休業と産前産後の休業の場合)は、一定期間(前記休業期間中とその後の30日間)は解雇してはならないこととした。
・業務外の私傷病による休業期間については、解雇制限なし。
・「休業」とは全く就労していないことをいうので、就労しながら通院している場合は休業ではない。
・治療中であっても全く休業していない場合は、解雇制限はない。
⇒1日だけ休業した場合は、31日後に解雇制限が解除される。
業務上の休業後、完治してはいないが復職した場合(S24.4.12基収1134)
 「業務上負傷し又は疾病にかかり療養していた労働者が完全に治癒したのではないが、稼働し得る程度に回復したので出勤し、元の職場で平常通り稼働していたところ、使用者が就業後30日を経過してこの労働者を法20条に定める解雇予告手当を支給して即時解雇した場合、法19条に違反するか」というお伺いに対して、
 「設問の場合は、法19条に抵触しない」と回答された。
.⇒ 無理をして会社に出てくると、ろくなことはない。
  ただし、休んでいてもずる休みなどであって、療養のためでない場合はだめである。
 「産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間」とあるから、特に、産前の場合および産後6週間後は、実際に休業しないで無理して出勤していると解雇制限が適用されなくなる。
産前休業の請求がない場合も労働基準法第19条の解雇制限が適用されるか、また、私病で欠勤中の者についても産前休業期間に入っていた場合は解雇制限が適用されるか( S25.06.16基収1526)
@6週間内に出産する予定の女性労働者が休業を請求せず引き続き就労している場合は、19条の解雇制限の期間となるか。
A女性労働者が私病により所定の手続きの上長期欠勤中解雇しようとしたところ産前の解雇制限期間に入っていたが、65条による休業請求の意思表示が全くなされていなかった場合、解雇できるか。なお、65条1項の休業(産前の休業)の請求を行うためには就労していることが前提要件とはならない法意と解してよいか。
 というお伺いに対する回答は、
@6週間以内に出産する予定の女性労働者が休業を請求せず引き続き就業している場合は、19条の解雇制限期間にはならないが、その期間中は女性労働者を解雇することのないよう指導されたい。
A見解のとおりであるが、@と同様に指導されたい。
 派遣労働者の場合 ⇒
 「労働契約と派遣契約は別個のものであり、派遣先による労働者派遣契約の解除について、労基法の解雇に関する規制が適用されることはない。
 従って、派遣先が、派遣中の労働者の解雇制限期間中に予告期間なく派遣契約を解除することは労基法上の問題はないが、派遣元の使用者がこの労働者を解雇しようとする場合には、労基法が適用される。つまり、解雇制限中は解雇できず、解雇制限に該当しない場合でも解雇予告あるいは解雇予告手当ての支給が必要である」(S61.6.6 基発333)
 打切補償(81条)
 「75条の規定(業務上負傷し又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない)によって補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい」
 業務上疾病による休業が続く限り、永久に解雇はできないのかというとそうではない。
⇒ 3年経過しても治らないときは、平均賃金の1200日分を支払えば、療養補償の義務がなくなるだけでなく、解雇制限も解除される。
 実際には、3年後で、労災保険により傷病補償年金が支給されている場合には、打切り補償を支払ったものとみなされ、解雇可能になる。
 「業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、
@療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は、
A3年経過後において傷病補償年金を受けることとなった場合には、
 労基法の解雇制限の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、打切補償を支払ったものとみなす」 (労災保険法19条)  

 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能の場合」については、事業主が勝手に判断してはならない。
⇒ 「解雇予告・解雇制限除外認定申請書」を提出して、所轄労働基準監督署長の認定を受けなければならない。

   やむを得ない事由とは(S63.3.14基発150)
 「やむを得ない事由とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由の意味であり、経営者として、社会通念上採るべき必要な措置をもってしても通常いかんともなし難いような状況をいう」
(1) 次のごとき場合は、これに該当する。
イ:事業場が火災により焼失した場合(ただし、事業主の故意または重大な過失に基づく場合を除く)
ロ:震災に伴う工場、事業場等の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合
(2) 次のごとき場合は、これに該当しない。
イ:事業主が経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械、資材等を没収された場合
ロ:税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合
ハ:事業経営上の見通しの齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由に起因して資材入手難、金融難に陥った場合。個人企業で別途に個人財産を有するか否かは本条の認定には直接関係がない。
ニ:従来の取引事業場が休業状態となり、発注品なく、ために事業が金融難に陥った場合。。
 
 法令による解雇の禁止(「不利益な取扱い(解雇を含む)をしないようにしなければならない」という努力義務も含む)
 労基法(3条)  「国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件(解雇を含む)について、差別的取扱解雇してはならない」
 労基法(19条)  「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間、並びに、産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は解雇してはならない。ただし、使用者が、81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない」                                            
 労基法(104条)  「労基法又はこれに基づいて発する命令に違反する事実がある場合に、その事実を行政官庁に申告することができるが、この申告をしたことを理由として、解雇してはならない」
 労基法(施行規則6条の2)  「3項 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない」
 労基法(38条の4、施行規則24条の2の4)  「使用者は、労働者を企画型裁量労働制の対象業務に就かせたときは、協定で定める時間労働したものとみなすことについて当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかつた当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと」
 「施行規則24条の2の4の6項 使用者は、労働者が労使委員会の委員であること若しくは労使委員会の委員になろうとしたこと又は労使委員会の委員として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない」
 育児介護休業法(10条、16条)  「事業主は、労働者が育児(介護)休業申出をし、又は育児(介護)休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 男女雇用機会均等法(8条)  「2項 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない」
 「3項 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労基法による産前・産後の休業の請求し、又は休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 「4項 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない」
 労働組合法(7条)  「不当労働行為によって解雇してはならない。また、不当労働行為が行われたとして申立てを行ったこと等を理由として、解雇してはならない」
 個別労働紛争解決法(4条、5条)  「4条3項 事業主は、労働者が労働局長の助言・指導の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 「5条2項 紛争調整委員会へのあっせんの申請をした場合も同様とする」
 労働者派遣法(施行規則33条の4)  「3項 派遣先は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない」
 雇用保険法(73条)  「事業主は、労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認を請求をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」

3.解雇予告(20条)
 「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
 但し、
@天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は、
A労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない」
 「2項 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる」  
 
趣旨:
 解雇が適法かどうかは別として、突然の解雇により労働者が被る経済的困窮を少しでも緩和するために、少なくとも30日前の予告(その間は、労働者は労働する義務が、使用者には賃金の支払義務がある)か、少なくとも30日分の平均賃金の支払い義務、あるいはこれらの組み合わせを、使用者に課した。
 「法定の予告期間を設けず、また法定の予告に代わる平均賃金を支払わないで行った即時解雇の通知は即時解雇としては無効であるが、使用者が解雇する意思があり、かつその解雇が必ずしも即時解雇であることを要件としていないと認められる場合には、その即時解雇の通知は法定の最短期間である30日経過後において解雇する旨の予告として効力を有する」(S24.5.13基収1483)
⇒ 解雇予告もせず、予告手当も支給せず、「すぐ首だ」といっても、即時解雇は認められないが、30日後に解雇するという解雇予告をしたことになる。
⇒ 30日間は解雇は無効であるから、就業すれば賃金を、有給休暇を取得すれば就業規則や労使協定による金額を、休業を命ずれば休業手当を支払う義務がある。
 「解雇予告手当は労働の対償となる賃金ではないから、必ずしも通貨支払、直接支払などの要件を具備しなくても差し支えないものと解されるが、労働者の予測しない収入の中絶を保護するものであるから、賃金に順ずるものとして通貨で直接支払うよう指導されたい」(S23.8.18基収2520)
 「3項 1項の但書は、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない」

 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能の場合」については、
⇒ 「解雇予告・解雇制限除外認定申請書」を提出して、所轄労働基準監督署長の認定を受けなければならない。 ただし、19条と20条について2度提出する必要はない。
 「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」については、
⇒ 「解雇予告除外認定申請書」を提出して、所轄労働基準監督署長の認定を受けなければない」

 「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者の故意、過失又はこれと同視すべき事由であるが、判定に当たっては、労働者の地位、職責、継続勤務年限、勤務状況等を考慮の上、総合的に判断すべきであり、「労働者の責に帰すべき事由」が20条の保護を与える必要のない程度に重大又は悪質なものであり、従って又使用者をしてかかる労働者に30日前に解雇の予告をなさしめることが当該事由と比較して均衡を失するようなものに限って認定すべきものである」
 「労働者の責に帰すべき事由」として認定すべき事例を挙げれば、
(1)原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為、あるいは事業場外で行われた盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為であっても、著しく当該事業場の名誉もしくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの、労使間の信頼関係を喪失しるものと認められる場合、
(2)賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合、これらが事業場外で行われた場合は上記(1)と同様、
(3)雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合など、
(4)他の事業場へ転職した場合、
(5)原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合、
(6)出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意をうけても改めない場合など。(以上S31.3.1基発111)
4.解雇予告の除外(21条)
 「前条(20条)の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない」
1  日日雇い入れられる者  1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は除く
2  2か月以内の期間を定めて使用される者  所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は除く
3  季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
4  試の使用期間中の者  14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は除く
 1か月を超えて引き続き使用される」とは'(S24.0205基収408)
 「1か月とは労働日のみならず休日を含む暦による1か月をいう。
 また、「引き続き使用される」とは、もっぱら同一事業場で業務に従事しておれば、休日以外に当該事業場の業務に従事しない日が多少あっても、1か月間継続して労働したという事実を中断するものではない。(労働しない日数が何日あればだめかということは、具体的な事情により判断される)」
⇒健康保険法についてはこちらを
 「試の使用期間中」とは:
 本採用するかどうかを判断するための試験的な使用期間中(つまり試用期間中)のことであり、本採用に適しないと判断されたときは、その理由が合理的であれば、試用期間中であっても解雇は可能である。
 ただし、解雇予告が必要かどうかというのがこの21条の規定である。
 この試用期間については、その上限が厳密に規定されているわけではないが、労働能力や態度などから本採用にふさわしいか否かを判断するに必要は期間である、という趣旨を逸脱するような長期の期間は無効とされている。
 一般的には、3か月から6か月程度以内が一つのめやすといわれている。
 ここに認められている臨時的性質の労働者に対しては、解雇予告をさせることが困難又は不適当であると、又、労働者としても臨時的な就労と考えていることが多いのであえて予告させる必要はないと、判断されたものである。
 一日単位の契約で雇われている場合、その日の終了とともに労働契約も終了するから、解雇の問題が発生する余地はないはずである、しかしながらこのような形態であっても、1か月を超えて引き続き雇用されるにいたった場合は、単に契約の形式上そうしているだけであって、実態的には雇用が継続しているものと判断されて、解雇の予告義務が発生する。
21条は、適用除外してもよいように見える労働者であっても、解雇予告義務が発生する場合があるとする、上表の右の欄の方が重要である。
21条は少し複雑な問題を含んでいると思われる。例えば、所定の期間を終了したため労働契約が解除になった場合は当然、解雇には該当しない。ということは、21条、特に2号、3号の意味するところは、「契約期間内に解雇する場合に解雇予告は必要ない」ことにお墨つきを与えているのである。そのような解雇がどのような場合に可能であるかについては何も述べていない。
 「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」(民法628条)とあり、民法では、「やむを得ない事由があるとき」に期間前における契約の解除(使用者側から行う場合は解雇)を認めているが、損害賠償責任が発生することもあ りうる。
 21条は特別な条件下で解雇が成立した場合に限り、解雇予告が不要と読む必要がある。
5.退職時等の証明(22条)
 「1項 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない」
⇒退職後における証明書発行
 「同2項 労働者が、20条1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない 。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない」
⇒解雇予告期間中における証明書発行
 「同3項 前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない」
 
 退職の事由、解雇の理由 : 細かいところにも気をつけよう(選択式対策)
 趣旨:退職事由を明らかにしてトラブルを防止すること、労働者の再就職活動に役立てることなどのため、退職時の証明書の交付を義務化した。ただし、労働者から請求がない場合は義務がない。
 以前は、特定グループの労働者の就職を妨害するための「ブラックリスト(秘密の記号)」の禁止の意味合いも強かった。
 「同4項 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第1項及び第2項の証明書に秘密の記号を記入してはならない」
5.1 退職の事由:
 「自己都合退職、勧奨退職、解雇(解雇の理由も含む)、定年退職、契約期間満了等労働者が身分を失った事由を記入すること。解雇の理由については、具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当することを理由とする場合には、就業規則の当該条項の内容および当該条項に該当するに至った事実関係を記入しなければならない」(H15.12.26基発1226002)
 「解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合、使用者は、解雇の理由を記載してはならない」(H15.12.26基発1226002)
5.2 請求の時期、回数
 退職と同時とは限らない。ただし、請求権の時効は2年である。(H11.3.31基発169)
 また、請求は何度でもできる。(H11.3.31基発169)
5.3 離職票との関係
 「退職時の証明書は、労働者が次の就職に役立たせる等その用途は労働者に委ねられているが、離職票は公共職業安定所に提出する書類であるため、退職時の証明書に代えることはできない」(H11.3.31基発169)
「事業主は、その雇用する労働者が離職したときは、その翌日から起算して10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届に、労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の被保険者でなくなったことの事実及びその事実のあった年月日を証明できる書類、および次の各号の区分に応じた書類を添えて、所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない 」(雇用保険法施行規則7条抜粋) 
1 次号に該当する者以外の者    雇用保険被保険者離職証明書及び賃金台帳その他の離職の日前の賃金の額を証明することができる書類
2 特定受給資格者に該当する場合  前号に定める書類及び特定受給資格者に該当する理由(解雇等)により離職したことを証明することができる書類