3.2.5 業務終了後会社でお茶の稽古をしたのち帰宅 (S49.9.26基収2023)
「被災労働者は、当日午後5時10分に業務を終えてから会社内の茶道室においてお茶の稽古に参加した。茶の稽古は午後7時30分頃に終了したので、更衣室で着替えをした後、午後8時頃退社し、通常の通勤経路を徒歩で帰宅する途中、会社から400メートルほどのところで暴漢に襲われて付近のブドウ畑にひきずりこまれたうえ、暴行殺害(死亡推定時刻午後8時頃)されたと推測され、翌々日死体となって発見された」
「回答 通勤災害ではない。
業務終了後事業場施設内においてサークル活動等に要した時間(稽古時間約2時間、着替え等の時間約30分)は、社会通念上就業と帰宅との直接関連性を失わせるほど長時間であって、その後の帰宅については通勤に該当しない」
⇒サークル活動等に要した時間のトータルが2時間程度が限界か。(着替えを要する場合は、その分を考慮しなければなるまい)
3.2.6 業務終了後、労使協議会に出席したのち帰宅 通達(S50.11.04基収2043)
「被災労働者はS.Kは当日午後5時20分に所定の業務を終え,午後6時より事業場内で開催された労使協議会に出席し,同協議会終了(午後11時20分ごろ)後、通勤に使用している50t原動機付自転車により通常の経路を帰宅途上,道路のくぼみに前輪を落とし,転倒し全治4週間の負傷をした。
なお,災害発生当日の協議事項は,賃金引上げを含め,経営全般に関することが協議されたので,相当の長時間を要したものであることが認められる」
これに対する回答は,「通勤災害とは認められない。その理由は,本件被災労働者は労働組合の執行委員として労使協議会に出席したことは、使用者との雇用契約の本旨に基づいて行う行為、すなわち「業務」であるとはいえず、むしろ労働組合の役員としての職務で出席したものと解される。
また、業務終了後、当該労使協議会等のために事業場施設内に滞留した時間(約6時間)も、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間であることから、当該帰宅行為が労災保険法にいう通勤とは認められない」