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 個別労働関係紛争解決促進法
関連過去問 14-4A14-4B16-5C16-5D18-5E29-2イ令2-3D

1.1 目的(1条)
 「この法律は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする」
 [背景]
 そもそも労働条件などをめぐる労・使間の争いは昔から絶え間ない。以前は労働者階級というか労働者全体と使用者側が対決する、いわゆる「集団的労働紛争」が主流であった。 (1970年代がピークといわれている)
 その頃は、労働組合の役割が大きく、解決する機関として「中央・地方労働委員会」などが大きな役割を果たしてきた。
 その後、とくに1990年代からは個々の労働者が使用者と、権利とか義務をめぐって民事裁判として争うことが多くなった。
 このような背景にあって、平成13年に「個別労働紛争解決促進法」が制定されたのだ。
 これを契機に、それまでは原則として民事不介入の立場をとってきた都道府県労働局や労働基準監督署も、個別労働紛争にかかわる民事上の争いごとの相談にのってくれるようになってきた。
 「個別労働関係紛争解決法1条の言葉の解釈」通達(H13.09.19基発832号他)
(1)趣旨:個々の労働者と事業主との間の紛争は、解雇や労働条件の変更等労働条件に関する紛争に加えて、会社分割の際の労働契約の承継に関する紛争等その内容も多様化していることから、本法においては、「労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争」を個別労働関係紛争と定義し、労働関係から生じるあらゆる紛争を本法の対象としたものであること。
(2)労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争
@法1条の「労働関係」とは、労働契約又は事実上の使用従属関係から生じる労働者と事業主の関係をいうこと。
A個別労働関係紛争は、「個々の労働者」が一方の紛争当事者となる紛争であること。したがって、労働組合、労働者の家族、労働者が死亡した場合の相続人等が紛争当事者となる紛争は、個別労働関係紛争には該当しないものであること。
 法1条の「労働者」とは、職業の種類を問わず、他人に使用され、労務を提供し、その対価である賃金を支払われる者であること。ただし、現に使用され、及び労務を提供していることは必ずしも必要ではなく、例えば、事業主から解雇され、その当否をめぐり紛争を提起している者については、紛争の対象となっている解雇の時点で「労働者」の要件を満たしていれば、本法の「労働者」に該当するものであること。
 「労働者」であるか否かは、単に契約内容のみによって外形的に判断するのではなく、実態を踏まえて判断するものであること。
B法1条の「事業主」とは、事業の経営の主体をいい、個人企業にあってはその企業主が、会社その他の法人組織の場合にはその法人そのものが事業主であること。
 個別労働関係紛争においては、労働契約に係る債務不履行、労働関係から生じる不法行為責任等が紛争の対象になるものであるが、この場合、労働契約又は事実上の使用従属関係の主体であり、かつ、不法行為の責任を最終的に負うべきなのは「事業主」であり、また、労働関係における各種行為の主体である「使用者」の行為は事業主のために行われるものであることから、本法においては、「事業主」を個別労働関係紛争の一方の紛争当事者として規定したものであること。
C個別労働関係紛争は、「個々の労働者と事業主との間」の紛争であり、紛争当事者双方が労働者である場合はこれに該当しないものであること。
D法1条の「紛争」とは、紛争の一方の当事者の主張に対し、他方の当事者がそれに同意せず、両当事者の主張が一致していない状態をいうものであること。
(3)労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争
@労働者の募集及び採用に関する事項は、労働関係に入る以前の事項であるが、労働関係が生じる入り口段階である募集及び採用は、労働者の職業生活を決定づける重要な段階であり、これらの紛争が生じた場合にも簡易・迅速な解決が求められることから、個別労働関係紛争に含めることとしたものであること。
A「募集」とは、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいうが、法1条の「募集」には、加えて公共職業安定所その他の職業紹介機関を介して、行うものも含まれるものであること。
 なお、労働者派遣事業を行う事業主が派遣労働者になろうとする者に対し、いわゆる登録を呼びかける行為及びこれに応じた者を労働契約の締結に至るまでの過程で登録させる行為は、「募集」に該当するものであること。
B「採用」とは、一般には労働契約の締結をいうものであるが、法1条の「採用」には、応募の受付、採用のための選考等募集を除く労働契約の締結に至る一連の手続も含まれるものであること。
(4)法1条の「求職者」とは、対価を得るべく自己の労働力を提供して職業に就くために他人に雇用されようとし、その意思を表示している者をいうものであること。
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇に関する事業主の措置で厚生労働省令で定めるもの(募集・採用、配置・昇進・教育訓練、住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置、定年・退職・解雇)についての女性労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争解決促進法の規定は適用しない」(男女雇用機会均等法12条)
⇒ 男女雇用機会均等にかかわる一定の問題については、個別労働紛争解決法にはよらずに「男女雇用機会均等法」で処理することになっている。
1.2 紛争の自主的解決(2条)
 「個別労働関係紛争が生じたときは、当該個別労働関係紛争の当事者は、早期にかつ、誠意をもって、自主的な解決を図るように努めなければならない」  
1.3 当事者に対する助言及び指導(4条) 法改正(H27.04.01)
 「都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働関係調整法に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律に規定する紛争を除く)に関し、紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、必要な助言又は指導をすることができる」
 「3項 事業主は、労働者が1項の援助を求めたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」  
18
5E
 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律は、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間との間に生じた民事に関する紛争について、当事者の申立てにより、事件を審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、審判による解決を図ることを目的とする 。

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正しい 誤り
14
4A
 個別労働紛争解決促進法の目的は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争について、迅速かつ適正な解決を図ることである。解雇、労働条件の変更等の労働条件やセクシュアルハラスメント等に関する紛争はこの法律の対象になるが、労働者の募集及び採用に関する個々の求職者と事業主との間の紛争はこの法律の対象にならない。

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正しい 誤り
令2
3D
 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第1条の「労働関係」とは、労働契約に基づく労働者と事業主の関係をいい、事実上の使用従属関係から生じる労働者と事業主の関係は含まれない。

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正しい 誤り









2.1 あっせんの委任(5条)
 「都道府県労働局長は、前条1項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く)について、当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において、当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする」
 「2項 事業主は、労働者が1項の申請をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
2.2 あっせん
 「12条 委員会によるあっせんは、委員のうちから会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員によって行う」
 「同2項 あっせん委員は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならない」
 「15条 あっせん委員は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる」 
 「16条 法改正(R02.04.01) 前条の規定によりあっせんが打ち切られた場合において、当該あっせんの申請をした者がその旨の通知を受けた日から30日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、あっせんの申請の時に、訴えの提起があったものとみなす」
16
5C
 個別労働紛争法においては、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という)について、当該個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を含む)の当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合で、都道府県労働局長が当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、同法に基づいて設置された紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとしている。

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正しい 誤り
29
2イ
 個別労働関係紛争解決促進法第5条第1項は、都道府県労働局長は、同項に掲げる個別労働関係紛争について、当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において、その紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとすると定めている。(16-5Cの類型)

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正しい 誤り
  3.その他
3.1 地方公共団体の施策(20条)
 「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対する情報の提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとする」
 「2項 国は、地方公共団体が実施する前項の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする」
3.2 適用除外(22条)法改正(H27.04.01)
 「この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。ただし、行政執行法人の職員、地方公営企業の企業職員、地方独立行政法人の職員、及び単純な労務に雇用される一般職地方公務員であって地方公営企業の職員以外のものの勤務条件に関する事項についての紛争については、この限りでない」
⇒特定独立行政法人は行政執行法人に(H27.04.01)
   
   









 施行状況に関する過去問
14
4B
 個別労働紛争解決促進法の施行状況を、平成13年10月からの3か月間の相談件数でみると、労働関係法令の違反を伴わない、民事上の個別労働関係紛争において、解雇に関するものが最も多く、次いで賃金等の労働条件の引下げに関するものが多かった。

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正しい 誤り
16
5D
 個別労働紛争法に基づく個別労働紛争解決制度は、平成13年10月から施行されたところであるが、平成15年度における利用実態は、人事労務管理の個別化等の雇用形態の変化、厳しい経済・雇用情勢等を反映し、民事上の個別労働紛争に係る相談件数は14万件を超え、あっせん申請受理件数についても5千件を超えるなど制度の利用が進んでいる。

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正しい 誤り