令和2年度受験用 法改正トピックス(共通的な改正点) Tome塾Homeへ | ||
改正後 | 改正ポイント | |
時効の起点 | 徴収法(41条)その他各法における時効規定において 「労働保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する」 |
民法の規定に合わせるために、「これらを行使することができる時から」を追加し、時効の起算点を明確化した。 (民法では、このほか、「これらを行使することができることを知った時から」という起算点も設けられた) |
旧 時 効 中 断 に つ い て |
パターン1 「審査請求等は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす」において、「時効の中断」は「時効の完成猶予及び更新」に。 改正後条文(細部は上記と異なる場合がある) 労基法(85条5項) 労災保険法(38条3項) 雇用保険法(69条3項) 健康保険法(189条3項) 厚生年金保険法(90条4項) 国年法(101条3項) |
民法の改正に伴うものであって、 @完成猶予:審査請求等がなされた場合は、その結果が確定する(確定することなく終了した場合はその終了から6か月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。 A更新:結果が確定したときは、時効は、確定した時から、新たにその進行を始める。(リセットされて、ゼロから再びスタートする) |
パターン2 「時効の中断」は「時効の完成猶予」に 改正後条文 雇用機会均等法(24条) 個別労働関係紛争解決促進法(16条) |
「あっせんが打ち切られた場合において、打ち切りの通知を受けた日から30日以内に訴えを提起したとき」 訴えの提起(裁判上の請求)があったものとみなし、時効の完成猶予に。 ⇒その後、訴訟の結果が確定したときは、時効の更新に。 |
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パターン3 「保険料等の納入の告知又は督促等は、時効中断の効力を有する」において、「時効の中断」は「時効の更新」に。 改正後条文(細部は上記と異なる場合がある) 徴収法(41条2項) 健康保険法(193条2項) 厚生年金保険法(92条3項) 国民年金法(102条5項) |
「保険料等の納入の告知又は督促」があったときは、 「(保険料の徴収権に関する)時効は、時効の更新となる。すなわち、そのときから新たに進行を始める(それまで進行していた時効はリセットされ、ゼロから再スタートとなる) 参考:民法150条 ⇒民法では、単なる催告の場合、それから6か月間は時効の完成が猶予されるが、6か月以内に裁判上の請求などをしないと、時効の更新(リセットによる再スタート)とはならない。 |
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法定利率の改正 |
民法(404条)法定利率に関する改正がなされた。 社労士各法において、これに関連する条文の大きな改正はないが、令和2年4月1日以降3年間は、年利3%になったことを、承知しておかなければならない。 |
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補足 |
@時効の更新とは「時効がいったん進行し始めた後、時効の基礎となる状態と相容れない事実が発生(判明)した場合、その進行を止め、それまでの期間をリセットして、新たにゼロから進行をはじめること」 A時効の完成猶予とは「時効の更新の手続きが取られた場合や時効期間が満了となった場合であっても、時効の更新の措置が不可能あるいは著しく困難にする事情がある場合に、一定期間、時効の完成を猶予すること」 B改正前では、時効の完成猶予と時効の更新は「時効の中断」として同時に発生するものとしてひとくくりにされていた。改正後は、その事態の進捗状況に応じて、「時効の完成猶予」⇒「時効の更新」と動いていく場合がある。 たとえば、「裁判上の請求」では、まず「時効の完成猶予」となり、裁判を途中でやめてしまうとそれで終了。裁判の結果が確定すれば「「時効の更新」に進む。(催告だけの場合は、時効の完成猶予で終わり」 C改正前には「時効の停止」という言葉も使われていて、誤解を生じることが多かったが、これは「時効の完成猶予」に。 |
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民法における関連規定 |
裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新(民法147条) 改正後 「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6か月を終経過する)までの間は、時効は、完成しない。 @裁判上の請求、A支払督促、B民事訴訟法275条1項の和解又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停、C破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加 「同2項 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める」 催告による時効の完成猶予(民法150条) 改正後 「催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は完成しない」 「同2項 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」 |
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債権等の消滅時効(民法166条1項) 改正後 「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する」 @債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき A権利を行使することができる時から10年間行使しないとき |
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会計法における関連規定 |
会計法30条 「金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、これを行使することができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。 国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする」 会計法31条 「金銭の給付を目的とする国の権利の時効については、別段の規定がないときは、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。 国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする」 「同2項 金銭の給付を目的とする国の権利について、消滅時効の完成猶予、更新その他の事項(前項に規定する事項を除く)に関し、適用すべきで他の法律の規定がないときは、民法の規定を準用する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする」 会計法32条 「法令の規定により、国がなす納入の告知は、時効の更新の効力を有する」 |