基礎講座 労働基準法   Tome塾Homeへ

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 技能者の養成

 
KeyWords  職業訓練に関する特例徒弟の弊害排除
 技能者の育成については、かっての職業訓練の手段であった「徒弟制度」の弊害をなくすことと、新しい合理的な技能労働者の育成を図る施策の推進の2面があり、かっての労基法はこの両面から記述されていた。
 徒弟制度の弊害排除については、強制労働の排除のところで述べてきた通りである。
 後者の技能労働者育成については、技術立国としてのわが国の産業発展とともにその重要性がまし、昭和33年に職業訓練法が制定され、現在では職業能力開発促進法において体系化されるにいたった。
 よって現在の労基法では、事業主等が行う職業訓練の際に必要な最小限の範囲で、労基法による制限緩和の特例を認めるとともに、職業訓練生の保護・監督について規定するにとどまっている。
 
 職業訓練に関する特例
1.1 年少者及び妊産婦等の保護規定等に関する特例(70条)
 「職業能力開発促進法の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、
@契約期間、
A年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限並びに、
B年少者の坑内労働の禁止並びに妊産婦等の坑内業務の就業制限に関する規定について、
 厚生労働省令で別段の定めをすることができる。
 ただし、年少者の坑内労働の禁止に関する規定については、満16才に満たない者に関しては、この限りでない」             
 「71条 前条の規定に基いて発する厚生労働省令は、当該厚生労働省令によって労働者を使用することについて行政官庁(都道府県労働局長)の許可を受けた使用者に使用される労働者以外の労働者については、適用しない」  
 「73条 71条の規定による許可を受けた使用者が70条の規定に基いて発する厚生労働省令に違反した場合においては、行政官庁は、その許可を取り消すことができる」
 
 職業能力開発促進法の認定を受けて行う職業訓練とは
 
@事業主等が行う職業訓練であって、教科、訓練時間、設備その他について厚生労働省令で定めた基準に適合するものを、申請に基づき、都道府県知事が認定したものをいう。
 A実施できる事業主等は、事業主のほか、事業主団体、職業訓練法人、中央及び都道府県職業能力開発協会、労働組合その他であって、都道府県労働局長の許可を得たものでなければならない。
 特例の適用
都道府県知事により認定された職業訓練を、都道府県労働局長の許可を受けて実施する使用者に対してのみ、特例が認められる。
@契約期間の特例(施行規則34条の2の2)
 「許可を受けた使用者が行う職業訓練を受ける労働者(訓練生)に係る労働契約の期間は、当該訓練生が受ける職業訓練の訓練課程に応じ職業能力開発促進法施行規則の範囲内で定めることができる。この場合、当該事業場において定められた訓練期間を超えてはならない」
⇒ 3年を超える労働契約を定めることができる場合もある。
A年少者の危険有害業務、坑内労働の特例(施行規則34条の3)
 「使用者は、訓練生に技能を習得させるために必要がある場合においては、満18歳に満たない訓練生を62条の危険有害業務に就かせ、又は満16歳以上の男性である訓練生を坑内労働に就かせることができる」
⇒ 訓練生を就かせることができる危険有害業務及び坑内労働の範囲は、定めれらた教科のうちの実技に係る実習を行うために必要な業務であって、こと細かに施行規則別表第1に規定されている。
B妊産婦等の危険有害業務、坑内労働の特例(施行規則等による定めはない)

 
1.2 年次有給休暇に関する特例(72条)
 「70条の規定に基づく厚生労働省令の適用を受ける未成年者についての39条(年次有給休暇)の規定の適用については、1項中「10労働日」とあるのは「12労働日」と、2項の表 6年以上の項中「10労働日」とあるのは「8労働日」とする」
勤続年数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
付与日数 未成年訓練生  12  13  14  16  18  20
一般  10  11  12  14  16  18  20

 
 趣旨
 「70条、71条の適用を受ける労働者は、ある種の労働条件について一般労働者より不利な取扱を受けることとな るため、特にその未成年者に対しては、年次有給休暇については一般労働者より高い基準によって取扱う趣旨である」(S22.12.9 基発53)