令和3年度受験用 法改正トピックス(国民年金法に関する主要改正点) Tome塾Homeへ
  改正後 改正ポイント
改定率の改定  改定率の改定(27条の2) 新規裁定者(68歳到達年度前)(R03.04.01) 
 「旧3項削除 名目手取り賃金変動率が1を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合における改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、物価変動率を基準とする。ただし、物価変動率が1を上回る場合は、1を基準とする」
3項  前項の規定による改定率の改定の措置は、政令で定める」
 新規裁定者(68歳到達年度前)に対する改定率の改定は、
名目賃金変動率を基準とするが、改正前では、その例外として旧3項が設けられていた。
・改正後は、旧3項は削除され、、名目手取り賃金が上がろうと下がろうと、また物価が上がろうと下がろうと、1項により、名目賃金変動率を基準とすることに。
・新3項は、旧4項からの繰り上げにすぎない。
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 基準年度(68歳到達年度)以後改定率の改定(27条の3) (R03.04.01)
 「受給権者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年の3年後の年の4月1日の属する年度(27条5の1項1号及び3項1号において「基準年度」という)以後において適用される改定率(基準年度以後改定率)の改定については、前条の規定にかかわらず、物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)を基準とする
 「旧2項削除 次の各号に掲げる場合における基準年度以後改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする」
@物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が1以上となるとき:名目手取り賃金変動率
A物価変動率が1を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が1を下回るとき:1
 「2項 前項の規定による基準年度以後改定率の改定の措置は、政令で定める」
 既裁定者(68歳到達年度以後)に対する改定率の改定は、
・1項:「物価変動率を基準とする」から、( )を追加して、「物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)を基準とする」ことに。
・改正前は、「物価変動率を基準とする」の例外として、旧2項が設けられていた。
・改定後は、この例外規定は削除され、特に名目手取り賃金変動率が1以上あるいは物価変動率が1を上回りの部分にかかわりなく、改正後の1項にあるように、「物価変動率を基準とするが、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率を基準とする」ことに
・新2項は、旧3項からの繰り上げにすぎない 
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 調整期間における改定率の改定の特例:マクロ経済スライドの適用(27条の4の2項)R03.04.01)
 「同2項 名目手取り賃金変動率が1を下回る場合の調整期間における改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、名目手取り賃金変動率を基準とする」
 「名目手取り賃金変動率が1を下回る場合の調整期間における改定率の改定については」
 改正前は、「次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める率を基準」とあったが、各号に区分することはやめて、「名目手取り賃金変動率をのみを基準とすることとし、マクロ経済スライドによる調整は行わないことに」
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 調整期間中における基準年度(68歳到達年度)以後改定率の改定:マクロ経済スライドの適用(27条の5の2項)R03.04.01)
 「同2項 次の各号に掲げる場合の調整期間における基準年度以後改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする」
@物価変動率が1を下回るとき:物価変動率
A物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が1を下回るとき: 名目手取り賃金変動率
A号:「物価変動率が1を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が1を下回るときは1(すなわち、改定しない)とあったのを、「名目手取り賃金変動率が1を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率で改定することに。
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寡婦年金  寡婦年金の支給要件(49条) (R03.04.01)
 「寡婦年金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上である夫(保険料納付済期間又は学生納付特例以外の保険料免除期間を有する者に限る)が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む)が10年以上継続した65歳未満の妻があるときに、その者に支給する。
 ただし、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがある夫が死亡したときは、この限りでない」
 「その夫が障害基礎年金の受給権者であったことがあるとき、または老齢基礎年金の支給を受けていたとき」を
 「老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがある夫が死亡したとき」に。 
 すなわち、障害基礎年金については現実の受給の有無に関係なく受給権を取得したときは、寡婦年金の支給は行われないことになっていたが、改正後は、老齢基礎年金と同じ扱いに。
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保険料の全額申請免除  全額申請免除(90条) (R03.04.01)
 「次の各号のいずれかに該当する被保険者等(被保険者又は被保険者であった者)から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし・・・」
3号:地方税法に定める障害者、寡婦その他の同法の規定による市町村民税が課されない者として政令で定める者であつて、当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
4号:旧5号の繰上げ
 全額申請免除(90条)において。
・旧3号(地方税法に定める障害者)と旧4号(地方税法に定める寡婦)を新3号にするとともにに「その他の同法の規定による市町村民税が課されない者として政令で定める者(実際にはひとり親)」を追加
・これにより,旧4号は削除
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 「施行令6条の7 (R03.04.0) 90条1項1号に規定する政令で定める額は、同号に規定する扶養親族等の数に1を加えた数を35万円に乗じて得た額に32万円を加算した額とする」
 「施行令6条の7の2 90条1項3号に規定する政令で定める者は、地方税法292条に規定する障害者、寡婦及びひとり親とする」
 「施行令6条の8 90条1項3号に規定する政令で定める額は、135万円とする」
・全額申請免除の所得基準は,
 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円から,(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円に。
・障害者,寡婦の所得基準は,125万からひとり親を含めて135万円に。
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一部申請免除  一部申請免除 (R03.04.01)
 
4分の3免除(90条の2の1項),半額免除(90条の2の2項),4分の1免除(90条の2の3項) (R03.04.01)
 「2号 前条1項(全額申請免除)の2号(生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けるとき)及び3号(地方税法に定める障害者、寡婦,ひとり親で所得が135万以下)に該当するとき」
 
・全額申請免除に該当する者は,4分の3免除,半額免除,4分の1免除のいずれの申請も可能である。(条文上の改定は,全額申請免除90条における3条の改定,旧4号の削除に合わせたこと)
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 「施行令6条の8の2 (R03.04.01) 90条の2の1項(4分の3免除)1号(所得基準)に規定する政令で定める額は、同号の扶養親族等がないときは88万円とし、同号の扶養親族等があるときは88万円に当該扶養親族等一人につき38万円(扶養親族等が同一生計配偶者又は老人扶養親族であるときは一人につき48万円とし、当該扶養親族等が特定扶養親族等であるときは当該特定扶養親族等一人につき63万円)を加算した額とする」  基礎控除が38万円から48万円に引き上げられたことにより,所得基準額は
・4分の3免除:88万円(改正前は78万円)+扶養親族等一人あたり原則的には38万)基礎知識と過去問学習はこちら
・半額免除:128万円(改正前は118万円))+扶養親族等一人あたり原則的には38万)
・4分の1免除:168万円(改正前は158万円))+扶養親族等一人あたり原則的には38万)にそれぞれ改定。
 
   学生納付特例(90条の3) 法改正(R03.04,01)、法改正(H26.04.01) 
 「次の各号のいずれかに該当する学生等である被保険者又は学生等であった被保険者等から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(学生等である期間、又は学生等であった期間に限る)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、・・・・・」
 
任意加入被保険者    任意加入被保険者(附則5条) (R03.04.01)
 「次の各号のいずれかに該当する者(第2号被保険者及び第3号被保険者を除く)は、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる」
1号:日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)
2号:日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)
 「附則5条7項 1項1号(日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であつて、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)に掲げる任意加入被保険者は、前項に規定によって被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日に、被保険者の資格を喪失する」
D(R03.04.01追加) この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき。
 「附則5条8項 1項2号(日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)に掲げる者である被保険者は、附則5条6項の規定によつて被保険者の資格を喪失するほか、・・・・・・及び前項Dに該当するに至つた日の翌日に、被保険者の資格を喪失する」 
 1号、2号において、(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)を追加
 具体的にはこちらに該当する者は、任意加入できないものとする。
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 上記に対応して、
 1号、2号の任意加入被保険者が、「この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったときは、その翌日に任意加入の資格を喪失する。
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   特例任意加入被保険者 (平成6年改正法附則11条) (平成16年改正法附則23条)(R03.04.01)
 「昭和30年4月1日以前に生まれた者(H16改正法附則23条により昭和40年4月1日以前に生まれた者)であって、次の各号のいずれかに該当するもの(第2号 被保険者を除く)は、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。
 ただし、その者が老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合は、この限りでない」  
1号:日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)
 「同8項 1項1号に掲げる者(日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の者)である国民年金の被保険者は、前項の規定によって当該被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日に、当該被保険者の資格を喪失する」
B国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき。
 任意加入被保険者(附則5条)と同様に、
1号において、(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)を追加
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 上記に対応して、
 1号の任意加入被保険者が、「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったときは、その翌日に任意加入の資格を喪失する。
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  .脱退一時金(附則9条の3の2) (R03.04.01)、
 「当分の間、保険料納付済期間等の月数(請求の日の前日において、請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数をいう。3項において同じ)が6月以上である日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る)であって、26条ただし書に該当するもその他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。
 ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない」
1項:従来からあった「第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数・・・・・保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数」を「保険料納付済期間等の月数」と定義することに。
 規定の内容自体は変わらない。
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 脱退一時金の額(附則9条の3の2の3項)(R03.04.01)
 「基準月(請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間または保険料4分の3免除期間のうち請求の日の前日までに、当該期間の各月の保険料として納付された保険料に係る月のうち直近の月をいう)の属する年度における保険料の額に2分の1を乗じて得た額に保険料納付済期間等の月数に応て政令で定める数を乗じて得た額とする」
 「同8項 (R03.04.01削除)基準月が平成18年度以後の年度に属する月である場合の脱退一時金の額は、毎年度、第3項の表に定める額に当該年度に属する月分の保険料の額の平成17年度に属する月分の保険料の額に対する比率を乗じて得た額を基準として、政令で定める」
 法附則9条の3の2の3項に規定する政令で定める数(施行令14条の3の2)R03.04.01新規)
 「次の表の上欄に掲げる同条1項に規定する保険料納付済期間等の月数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に定める数とする」
 脱退一時金の額:
 基準月(最終の保険料の支払い月))の年度の保険料×2分の1×政令で定める額とすることに。
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 改正前までは、8項により、
 基準月(最終の保険料の支払い月)の年度の保険料×基準月数とあったが、8項は削除。

 脱退一時金の額(最終保険料の支払い月が令和3年度以降)=最終支払年度の保険料×2分の1×政令で定める数(上限は60)
 脱退一時金の額(最終保険料の支払い月が令和2年度以前)=最終支払年度の保険料×基準月数(上限は18) 
 ここで、「政令で定める数」=「基準月数」×2であるので、法改正により、脱退一時金の額が大きくかわったわけではない。
 ただし、保険料納付済期間等の月数が36月頭打ちから60月頭打ちに増えたので、一時金の額の上限も増額となった。
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