3A 労働基準法 基礎知識と関連過去問 Tome塾Homeへ
 解雇の予告、解雇予告手当、即時解雇、解雇予告除外
別ページ掲載:解雇解雇制限
関連条文 解雇予告(20条)、解雇予告の適用除外(21条)
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 30-1選択令4-1選択




























1.解雇予告(20条) 基礎講座  
 「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
 但し、
@天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、又は
A労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない」
 「2項 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる」
 「3項 1項ただし書きの適用にあたっては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない」
労働法コンメンタール「労働基準法(令和3年版)上による補足
 趣旨(解雇予告):同コンメンタール上p295-296
 本条は、いわゆる解雇自由の原則については直接修正を加えることなく、ただ労働者が突然の解雇から被る生活の困窮を緩和するために、使用者に対し、労働者を解雇する場合に30日前に解雇の予告をすべきことを義務づけている。
 この解雇予告義務については、企業の実情に即応させることを考慮し、予告日数について平均賃金による換価を認めるとともに、天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、解雇予告義務それ自体を免除している。
 予告:労働法コンメンタール「労働基準法上P303−308
(1)予告期間
 予告は、少なくとも30日前にしなければならない。30日前であればこれより長くても差し支えないが、労働契約締結の直後に数年後の解雇を予告するなど14条(契約期間)の趣旨に反するものは許されない者と解すべきであろう。
 予告期間の計算については、本法に特別規定がないから民法の一般原則によることになり、解雇予告がなされた日は算入されず、その翌日から計算され、期間の末日の終了をもって期間の満了となるので、予告の日と、解雇の効力発生の日との間に、中30日間の期間を置く必要がある。
 また、30日間は労働日ではなく、暦日で計算されるので、その間に休日または休業日があっても延長されない。
 従って、例えば、6月30日に解雇(その日の終了をもって解雇の効力発生)するためには遅くとも5月31日には解雇の予告をしておかなければならない」
(2)予告の方法
 30日前の予告は、いつ解雇されるのであるかが明確に認識できるように解雇の日を特定して予告しなければならない。
 予告は、直接個人に対して解雇の意思表示が明確に伝わる方法でなされるべきであり、文書で行うのが確実な方法であるが、口頭で行っても有効である。
(3)予告の取消
 解雇の予告は、使用者が一方的になす労働契約解除の意思表示であって、これを取り消すことはできない。これは、使用者の単独行為たる予告を一方的に取り消し得るとすると、予告通知を受けた労働者の法律上の地位が極めて不安定な状態に置かれるからで、このような状態をもたらさない取消し、いいかえれば労働者の同意を得て取り消すことは差し支えないと解される。
(4)予告後の解雇月日の変更
・一旦特定してなされた解雇月日を繰り上げることは、その限りにおいて解雇予告の取消変更となるので、たとえ短縮した日数に相当する予告手当の支払いがなされても、解雇月日を使用者が一方的に変更することはできないと解すべきであろう。
 しかしながら、予告手当によって換算されれば現実に就労しなくてもその間の賃金が労働者に支払われるので、このような条件のもとにおける予告月日の変更については、現実には労働者が同意する場合が多く、また明示的に同意しなかった場合においても、短縮日数に相当する予告手当を異議なく受領した場合は、解雇月日の変更について同意がなされたものと解されよう。
・逆に、30日分の予告手当を支払って即時解雇するといっておきながら、その支払が遅れたので予告に切り換えるという場合は、労働者にとっては予期した予告手当を受けられないこととなり、さらに新しい就職口の定まった労働者にとっては解雇月日の延期された日数だけ新使用者のもとにおいて労働することができない場合も生ずるので、このような解雇月日の変更は許されないと解すべきであろう。
 もちろん、労働者の同意が得られた場合は、その変更の結果が本条の要件に合致する限り差し支えないであろう。
・また、解雇の予告をした後に、労働者の責に帰すべき事由が生じ、又はその事由があったことが発覚した場合、労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けて、即時解雇することができるかという問題が生ずるが、予告期間中も労働関係が継続していることであり、新たに即時解雇の意思表示をすることは、解雇月日の変更とはいえないので、差し支えないと解される。 
23
3A
 労働基準法第20条は、雇用契約の解約予告期間を2週間と定める民法第627条第1項の特別法に当たる規定であり、労働者が一方的に労働契約を解約する場合にも、原則として30日前に予告することを求めている。(基礎)

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正しい 誤り


4D
 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならないが、予告期間の計算は労働日で計算されるので、休業日は当該予告期間には含まれない。

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正しい 誤り

4
1

 労働基準法第20条により、いわゆる解雇予告手当を支払うことなく9月30日の終了をもって労働者を解雇しようとする使用者は、その解雇の予告は、少なくとも| A |までに行わなければならない。
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12
3A
 使用者が行った解雇の予告の意思表示は、一般的には取り消すことができないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができると解されている。(発展) 

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正しい 誤り

2
5ウ
 使用者の行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことができないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができる。(12-3Aの類型)

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正しい 誤り
16
3D

 

 ある労働者を解雇しようと思い、労働基準法第20条の規定に従って、5月1日に、30日前の予告を行った。しかし、その後になって思い直し、同月10日、当該労働者に対し、「考え直した結果、やはり辞めてほしくないので、このままわが社にいてくれないか」と申し出てみたが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。
 その場合、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は自己退職(任意退職)したこととなる。

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正しい 誤り
24
3ア
 使用者が、ある労働者を整理解雇しようと考え、労働基準法第20条の規定に従って、6月1日に、30日前の予告を行った。
 その後、大口の継続的な仕事が取れ人員削減の必要がなくなったため、同月20日に、当該労働者に対して、「解雇を取り消すので、わが社に引き続きいてほしい」と申し出たが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。
 この場合、使用者が解雇を取り消しているので、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は、解雇されたのではなく、任意退職したこととなる。(16-3Dの類型)

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正しい 誤り




























18
7A
  最高裁判所の判例によると、使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じ得ないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである、とされている。(発展)

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正しい 誤り
21
2D
 使用者が、労働基準法第20条所定の予告期間を置かず予告手当の支払もしないで労働者に解雇の通知をした場合には、解雇の通知後30日の期間を経過したとしても解雇の効力は発生しないとするのが最高裁判所の判例である。(18-7Aの類型)

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正しい 誤り
22
2B

 

 使用者が労働基準法第20条の規定による解雇の予告をすることなく労働者を解雇した場合において、使用者が行った解雇の意思表示が解雇の予告として有効であり、かつ、その解雇の意思表示があったために予告期間中に解雇の意思表示を受けた労働者が休業したときは、使用者は解雇が有効に成立するまでの期間、同法第26条の規定による休業手当を支払わなければならない。(18-7Aの応用)

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正しい 誤り
19
4C
 使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は解雇予告手当の支払をしないで労働者に解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は同上所定の解雇の予告がないとして無効を主張することができ、又は解雇の無効を主張しないで解雇予告手当の支払を請求することができるとするのが、最高裁判所の判例である。(18-7Aの類型)

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正しい 誤り


解雇制
22
2A
  定年に達したことを理由として解雇するいわゆる「定年解雇」制を定めた場合の定年に達したことを理由とする解雇は、労働基準法第20条の解雇予告の規制を受けるとするのが最高裁判所の判例である。

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中に業



15
4E
  使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告をした日から10日目に、業務上の負傷をし療養のため3日間休業したが、当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているところから、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。 (発展)

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24
3エ
 使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告をした日から5日目に、業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。
 当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。 (15-4Eの類型)

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11
6A
 契約期間1年の労働契約を締結して使用している満15歳未満の労働者を解雇する場合であっても、解雇事由が解雇予告除外認定事由でなければ、使用者は解雇予告を行うか又は解雇予告手当を支払う必要があるが、その際、親権者又は後見人の承諾が必要である。(発展)

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17
5D
 労働基準法第56条に定める最低年齢違反の労働契約のもとに就労していた児童については、そもそも当該労働契約が無効であるので、当該児童を解雇するに当たっては、同法第20条の解雇予告に関する規定は適用されない。 (11-6Aの応用)

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解雇予告除外認定事由
@天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、又は、労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受ければ、解雇予告及び解雇予告手当いずれも不要である。 
Aやむを得ない事由のために事業の継続が不可能」の内容はこちらの通りであり、19条(解雇制限)の場合と同じである。  
23
3E
 天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時に解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。(基礎)

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正しい 誤り

2
5エ
 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。(発展)

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5
5E
 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合には、労働基準法第19条及び第20条にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」に該当しない。

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7
3E
  事業主が犯した経済法令違反を原因として購入した諸機械、資材等を没収され、事業の継続が不可能となったときは、労働基準法第20条第1項にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」に該当することから、当該事業主が、これを理由として労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をしなければならない等の同条同項に定める解雇の予告を行う必要はない。

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正しい 誤り
21
2E
 使用者は、労働者の責に帰すべき事由によって解雇する場合には、労働者の帰責性が軽微な場合であっても、労働基準法第20条所定の解雇予告及び予告手当の支払いの義務を免れる。(発展)

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正しい 誤り













15
4C
 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項但書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が、即時解雇の意志表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。(発展)

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18
7E
 労働基準法第20条第1項ただし書きの事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものではあるが、それは、同項ただし書きに該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。(発展)

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正しい 誤り
24
3イ

 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意志表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。(15-4Cの類型)

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 解雇予告手当
・30日前に予告をしない時は、平均賃金の30日分以上
・平均賃金1日分の支払いにつき、予告日数を1日短縮できる
12
3B
 労働基準法第20条第1項の即時解雇の場合における解雇の予告に代わる30日分以上の平均賃金の支払いは、解雇の申し渡しと同時に行うべきものである。

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30
2オ
 労働基準法第20条に定める解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければ解雇の効力を生じないものと解されており、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じないとされている。(12-3Bの関連。発展)

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16
3A
 労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。(応用)

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7
2B
 労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。(16-3Aの応用)
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数と





18
7B
 使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条第1項の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければならないが、その予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。 
 例えば、8月27日をもって労働者を解雇しようとする場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、少なくとも平均賃金の17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。(基礎)

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16
3E
  使用者は、ある労働者を5月31日をもって解雇するため、5月13日に解雇予告をする場合には、平均賃金の12日分の解雇予告手当を支払わなければならない。(18-7Bの類型)

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24
3ウ
 使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。(18-7Bの類型)

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26
2B
 労働基準法第20条に定める解雇の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。(18-7Bの類型)

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正しい 誤り
13
2D
 使用者が平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇を行う意思表示をする場合には、解雇予告手当を支払った日数分を限度として当該解雇による労働契約の終了日を遡ることができる。
 例えば、5月1日に平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇の意思表示をする場合には、当該解雇による労働契約の終了日をその年の4月1日にまで遡ることができる。

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正しい 誤り












12
3C
 解雇予告期間の30日は労働日ではなく暦日で計算され、その間に休日や休業日があっても延長されないから、5月31日の終了をもって解雇の効力を発生させるためには、遅くとも5月1日には解雇の予告をしなければならない。(基礎)

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26
2E
 平成26年9月30日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年9月1日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。(12-3Cの類型)

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2.解雇予告の適用除外(21条) 基礎講座
 「前条(20条)の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない」
1  日日雇い入れられる者  ただし、
 1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合はこの限りでない。
2  2か月以内の期間を定めて使用される者  ただし、
 所定の期間を超えて
引き続き使用されるに至った場合はこの限りでない。
3  季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
4  試の使用期間中の者  ただし、
 14日を超えて引き続き使用されるに至った場合ははこの限りでない。

労働法コンメンタール「労働基準法(令和3年版)上(P333-340)による補足

(1) 日日雇い入れられる者:
 ・1日単位の契約期間で雇われ、その日の終了によって労働契約を終了する契約形式の労働者である。このような労働者は、使用された翌日は契約が存しないので、新たに翌日の契約が結ばれない限り、使用関係は継続せず、理論的には解雇の問題は発生する余地がないから、解雇予告制度は当然適用されない。 
 このような性質の契約形式についても、本条ただし書きにより、1カ月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、解雇予告制度の適用があるとする規定に重点があると考えるのが妥当であろう。
 日々雇用される労働者であるか否かは、契約期間で判断すべきものであるから、たとえ賃金が日給制であっても1日以上継続勤務すべきことが明示又は黙示に約束されている場合は、ここにいう日々雇用される労働者には該当しない。
 日々雇用とは原則として暦日単位の雇用と考えられるが、継続24時間制もこれに該当するものと解されよう。
1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合
 解雇の問題が理論上生ずる余地のない日々雇い入れられる者についても、1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合には、本条ただし書きにより、期間の定めなき労働契約で使用される労働者と同様、解雇予告制度が適用される。
 この場合には、法律上の形式においては継続的契約関係を将来に向かって解約する本来の意味における解雇には該当しない使用者側の日雇契約の継続拒否という事実を、解雇の意思表示とみなして、20条を適用することとなる。
 ここにいう「1か月」とは、労働日のみならず、休日も含む暦による1か月の意であり、その計算は民法143条により、起算日から翌月の起算日に応答する日の前日までと解される。 
⇒通達(S24.0205基収408)も参照のこと。
(2)2か月以内の期間を定めて使用される者:
・2か月、1か月、2週間等の契約期間で使用される労働者がこれに該当する。
 契約期間の満了によって労働契約が終了するのは解雇ではないから、20条の規定が適用されないことは当然であるが、本条は、2か月以内の短期契約について、期間満了前に解雇する場合も20条の適用がないことを明らかにしたものである。
・契約に期間の定めがある場合において、民法628条、労働契約法17条1項により、「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」とされ、無条件には解雇することができない。(ことにも注意すべきである)
(3)季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
・季節的業務という特殊な臨時的業務の性質から、(2)の短期契約の契約期間を4か月以内に広げて企業経営の実態に即応させたものである。
・ここに「季節的業務」とは、春夏秋冬の四季、あるいは結氷期、積雪期、梅雨期等の自然現象に伴う業務に限られ、夏季の海水浴場の業務、農業における収穫期の手伝い、冬の除雪作業、業業における魚の種類別の漁獲期業務などがその例である。(昔は、茶摘み、養蚕、酒の仕込などがよくいわれていた)
 その季節の長さが4か月以内であることは必要ないが、契約期間は4か月以内であることを要する。
(4)試の使用期間中の者
・「試の使用期間中の者」とは、本採用決定前の試験的使用期間中の労働者であって、その期間中に勤務態度、能力、技能、性格等を見て正式に採用するか否かが決定されるものである。
 一般には、本採用に適しないと判断されたときは、その期間中といえども解雇し得るように、解約権が本採用者に比して広範に留保されており、その期間中の賃金その他の労働条件も低く定められている。  
 なお、右留保された解約権を行使する場合は、本採用に適しないとする合理的事由が必要であると解される。
・試みの使用期間は、労働契約上の一態様であるから、就業規則又は労働契約において明確に定められている必要がある。
チョッと補足
@ここに認められている臨時的性質の労働者に対しては、解雇予告をさせることが困難又は不適当であると、又、労働者としても臨時的な就労と考えていることが多いのであえて予告させる必要はないと、判断されたものである。
A21条は、適用除外してもよいように見える労働者であっても、解雇予告義務が発生する場合があるとする、上表の右の欄の方が重要である。
B一方、契約に期間の定めがある場合において、原則として、その期間満了前に契約解除することはできず、解雇の問題が発生する恐れがある。
 よって、21条はやむを得ない事由があるなどの条件下で解雇が成立した場合に限り、解雇予告が不要と読む必要がある
・民法626条(期間の定めのある雇用の解除)
 「雇用の期間が5年を超え、又はその周期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる」
・民法(628条)(やむを得ない事由による雇用の解除)
 「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」
・労働契約法(17条)契約期間中の解雇等
 「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」するまでの間において、労働者を解雇することができない」
13
2E
 日々雇入れられる者については、労働基準法第20条に定める解雇予告に関する規定は適用されることはない。(基礎)

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正しい 誤り
30
1
選択
 日日雇い入れられる者には労働基準法第20条の解雇の予告の規定は適用されないが、その者が| A |を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。(13-2Eの類型)
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15
4D
 使用者が、2か月の期間を定めて雇い入れた労働者を、雇入れ後1か月経過した日において、やむを得ない事由によって解雇しようとする場合には、解雇の予告に関する労働基準法第20条の規定が適用される。(基礎)

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正しい 誤り
23
3D
 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。(15-4Dの類型) 

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正しい 誤り
19
4E
 季節的業務に8月25日から10月30日までの雇用期間を定めて雇い入れた労働者を、使用者が、雇入れ後1か月経過した日において、やむを得ない事由によって解雇しようとする場合には、解雇の予告に関する労働基準法第20条の規定が適用される。(基礎)

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正しい 誤り
11
6C
 使用者は、試みの使用期間中の労働者を当該使用開始後10日後に解雇する場合、解雇予告する必要はない。(基礎)

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正しい 誤り
26
2C
 試みの使用期間中の労働者を、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告について定める労働基準法第20条の規定は適用されない。 (11-6Cの類型) 

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正しい 誤り
23
3C
 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試みの使用をされている者には適用されることはない。(11-6Cの類型) 

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正しい 誤り