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 解雇、解雇制限、解雇制限(有期労働契約)
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関連条文 解雇制限(19条)
関連過去問 11-6B13-2A13-2B13-2C15-2B19-4B21-2C23-3B26-2A26-2D27-3E、29-3D30-2エ30-5C令元ー4C令5-3C令7-3D
 28-1選択


 解雇(旧18条の2) (H20.3.31削除、今後は労働契約法16条による) 基礎講座
 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」   
23
3B
 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇をした使用者は、労働基準法に基づき、罰則に処される。(基礎)

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正しい 誤り


















 解雇制限(19条) 基礎講座
 「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間、並びに、産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。
 ただし、使用者が、81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない」
 「同2項 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない」 
 労働法コンメンタール「労働基準法(令和3年版)上による補足
 趣旨(解雇制限):同コンメンタール上p273
 「労働基準法は、いわゆる解雇自由の原則については直接修正を加えることなく、ただ、19条において、労働者が解雇後の就業活動に困難を来すような場合に一定の期間について解雇を一時制限し、労働者が生活の脅威を被ることのないよう保護している。
 しかして、本条は、その解雇制限期間として、労働者が業務上の傷病又は産前産後のため、労働能力を喪失している期間及び労働能力の回復に必要なその後の30日間を掲げている」
⇒使用者が解雇権を有していることを前提とし、労働者がやむなく解雇された場合で、再就職活動に支障をきたす場合(業務上疾病等による休業と産前産後の休業の場合に限る)は、休業期間中とその後の30日間、解雇してはならない。
 解雇とは:同コンメンタール上p274
 「解雇とは、労働契約を将来に向かって解約する使用者側の一方的意思表示である。したがって、労働関係の終了事由のうちでも、労使間の合意による解約、労働契約に期間の定めがある場合の期間満了、労働者側からするいわゆる任意退職等は、解雇ではない」
⇒労働関係の終了事由についてのまとめはこちらを参照のこと。
 「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間」に関して:同コンメンタール上p287
 「業務外の私傷病による休業期間については解雇が制限されず、また、業務上の傷病により治療中であってもそのために休業しないで出勤している場合は解雇の制限を受けない。
 また本条の「業務上」とは、当該企業の業務により負傷し、又は疾病にかかった場合を意味するものであり、他の企業の業務により負傷し、又は疾病にかかった場合は、本条の業務上とはいえない。
 「その後30日間」は、療養のため休業する必要が認められなくなって出勤した日又は出勤し得る状態に回復した日から起算されるものであり、休業と引き続いて計算される。この30日間は、休業期間の長短にかかわらないから、たとえ傷病による休業期間が1日であっても、その後30日間は解雇が制限される。また、右のような休業が傷病の再発による場合であっても同じである。
  「産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間」に関して:同コンメンタール上p288
 「65条の産前産後の休業における産前の休業は、労働者の請求があった場合にはじめて使用者に付与義務が発生するものであるから、出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては。14週間)前以内であっても労働者が休業せずに就労している場合には、解雇が制限されない。
 また、出産予定日前6週間(14週間)の休業を与えられた後においても分娩が出産予定日より遅れて、休業している期間は65条の産前休業期間と解されるので、この期間も解雇が制限される。
 産後の休業は、出産当日の翌日から8週間が法定の休業期間であるから、これを超えて休業している期間は、たとえ出産に起因する休業であっても、本条にいう「休業する期間」には該当しない。
 また、産後6週間を経過すれば労働者の請求により就業させることができるが、これにより就業している期間も本条にいう「休業する期間」には該当しない。
 したがって、その後30日間の起算日は、産後8週間経過した日又は産後8週間経過しなくても6週間経過後その請求により就労させている労働者についてはその就労を開始した日となる。
 「81条の規定によって打切補償を支払う場合」に関して:同コンメンタール上p290-291
・解雇制限のひとつである業務上傷病による休業期間及びその後30日間中でも、打切補償を支払った場合には、当該労働者を解雇することができる。
・業務上傷病により療養をしている労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治癒しない場合において、使用者は、平均賃金の1200日分を支払い、その後の療養補償、休業補償等本法の規定による補償義務を打ち切るのが打切補償である。
 本法上の補償を継続して行う場合には、打切補償を支払う必要はないのであるが、療養開始後3年を経過しても打切補償を行わない限り、解雇することは認められない。
・業務上の災害補償が労災保険によってなされる場合は打切り補償を支払う必要がないことになるが、労災保険法19条により、「療養開始後3年経過した日において傷病補償年金を受けている場合は、3年経過日に、3年経過日後において傷病補償年金を受けることとなった場合は、受けることとなった日に、使用者は、打切補償を支払ったものとみなされるので、この場合も解雇制限は解除となる。
 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に関して:同コンメンタール上p291-293
・この除外事由は、その性質上個々の具体的事実に基づいて判断する必要があり、また第一次的にせよ使用者の一方的判断に委ねる場合には実際上労働者が損害を被ることも多くなる関係からこれを防止する必要もあるので、本条2項においてはその事由の存否について所轄労働基準監督署長の認定を受けるべきことを規定している。
・「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった」とは、「天災事変その他やむを得ない事由」と解されるだけでは十分ではなく、そのために「事業の継続が不可能」になることが必要であり、また逆に「事業の継続が不可能」になってもそれが「やむを得ない事由」に起因するものでない場合には、これに該当しない。
・「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由であり、事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいう。
 具体例については、通達(S63.3.14基発150(やむを得ない事由)を参照のこと
・「事業の継続が不可能になる」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいう。ここで、「事業」とは本法の適用単位とされている事業をいう。









29
3D
  使用者は、労働者が業務上の傷病により治療中であっても、休業しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。
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30
2エ
 労働基準法では、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならないと規定しているが、解雇予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合には、この解雇制限はかからないものと解されている。(発展)
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正しい 誤り

7
3D
  事業主が同一人でないX社とY社に使用される労働者が、X社の業務により負傷し、その療養のために休業する期間及びその後30日間については、X社もY社も当該労働者を解雇してはならない。(発展)
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令元
4C
 使用者は、女性労働者が出産予定日より6週間( 多胎妊娠の場合にあっては、14週間) 前以内であっても、当該労働者が労働基準法第65条に基づく産前の休業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。
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5
3C
  6週間以内に出産する予定の女性労働者が休業を請求せず引き続き就業している場合は、労働基準法第19条の解雇制限期間にはならないが、その期間中は女性労働者を解雇することのないよう行政指導を行うこととされている。(令元-4Cの類型)
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26
2D
 労働基準法第19条第1項に定める産前産後の女性に関する解雇制限について、同条に定める除外事由が存在しない状況において、産後8週間を経過しても休業している女性の場合については、その8週間及びその後の30日間が解雇してはならない期間となる。
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育児休業期間 13
2A
 使用者は、労働者が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という)の規定によって育児休業又は介護休業をする期間及びその後30日間は、当該労働者を解雇してはならない。
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定年退職制 26
2A
 就業規則に定めた定年制が労働者の定年に達した日の翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が終了する慣行になっていて、それが従業員にも徹底している場合には、その定年による雇用関係の終了は解雇ではないので、労働基準法第19条第1項に抵触しない。(基礎)
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有期契約と解雇制限
13
2C
 一定の事業に限ってその完了に必要な期間を契約期間とする労働契約を締結している労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している期間中に、当該事業が完了し当該労働契約の終期が到来するような場合においては、当該労働者の労働契約はその契約期間の満了によって終了するものであって、労働基準法第19条第1項の解雇制限の規定の適用はない。
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15
2B
 一定の期間を契約期間とする労働契約により雇い入れられた労働者が、契約期間の途中で業務上負傷し、療養のため休業する場合には、使用者は、少なくとも当該休業期間中及びその後30日間は、当該労働契約を終了させることのないよう当該労働契約の契約期間を更新し、又は延長しなければならない。(発展)
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13
2B
 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している労働者については、使用者が労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む)にのみ労働基準法第19条第1項の解雇制限の規定の適用が除外される。
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19
4B
 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している労働者については、使用者が、労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む)又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となりその事由について行政官庁の認定を受けた場合には、労働基準法第19条第1項の規定による解雇制限は適用されない。
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27
3E
 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の30日間は、労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となりその事由について行政官庁の認定を受けた場合を除き、労働者を解雇してはならない。(19-4Bの類型)
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28
1
選択
 最高裁判所は、労働基準法第19条第1項の解雇制限が解除されるかどうかが問題となった事件において、次のように判示した。
 「労災保険法に基づく保険給付の実質及び労働基準法上の災害補償との関係等によれば、同法(労働基準法)において使用者の義務とされている災害補償は、これに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合にはそれによって実質的に行われているものといえるので、使用者自らの負担により災害補償が行われている場合とこれに代わるものとしての同法(労災保険法)に基づく保険給付が行われている場合とで、同項(労働基準法第19条第1項)ただし書の適用の有無につき取扱いを異にすべきものとはいい難い。
 また、後者の場合には| A |として相当額の支払がされても傷害又は疾病が治るまでの間は労災保険法に基づき必要な療養補償給付がされることなども勘案すれば、これらの場合につき同項ただし書の適用の有無につき異なる取扱いがされなければ労働者の利益につきその保護を欠くことになるものともいい難い。
 そうすると、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者は、解雇制限に関する労働基準法19条1項の適用に関しては、同項ただし書が| A |の根拠規定として掲げる同法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれるものとみるのが相当である。
 したがって、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後| B |を経過しても疾病等が治らない場合には、労働基準法75条による療養補償を受ける労働者が上記の状況にある場合と同様に、使用者は、当該労働者につき、同法81条の規定による| A ||の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法19条1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当である」(19-4Bの類型)
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6B
 産前産後の女性が労働基準法第65条に基づき休業する期間及びその後30日間に当該女性労働者を解雇することは、原則として禁じられているが、天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合は、この限りではない。(基礎)
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正しい 誤り
21
2C
 使用者は、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合であっても、解雇してはならない。(11-6Bの類型)
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正しい 誤り
30
5C
 使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。 (11-6Bの応用)
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正しい 誤り