6E 労働者災害補償保険法 基礎知識と過去問 Tome塾Homeへ
 給付基礎日額、自動変更対象額
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関連条文 給付基礎日額(8条)、政府が算定する給付基礎日額(8条2項)、複数事業労働者に係る給付基礎日額算定の特例(8条3項)、給付基礎日額の特例(施行規則9条1項)、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定(施行規則9条の2の2)、給付基礎日額の最低保障額(自動変更対象額)(施行規則9条1項の5号)、自動変更対象額の変更(施行規則9条2項)、給付基礎日額の端数処理(8条の5)、自動変更対象額変更の端数処理(施行規則9条3項)




















1. 給付基礎日額(8条) 法改正(R02.09.01)
 「給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とする。この場合において、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、
@業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に規定する負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日、又は
A診断によって業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に規定する疾病の発生が確定した日とする」
 ⇒いわゆる「休業給付基礎日額」、「年金給付基礎日額」、「一時金給付基礎日額」いずれもこの給付基礎日額をベースに計算されたものである。 
 ここで、労基法12条による平均賃金とは
 「この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」 
@「事由の発生した日以前3か月」とあるが、事由の発生した日は含まれない。
A賃金締切日がある場合においては、事由の発生した日直前の賃金締切日から起算する。

 政府が算定する給付基礎日額(8条2項)
 「労働基準法12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、前項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額を給付基礎日額とする」
 給付基礎日額の特例(施行規則9条1項)
 「8条2項(政府が算定する給付基礎日額)の規定による給付基礎日額の算定は、所轄労働基準監督署長が、次の各号に定めるところによって行う」
@労基法12条に規定する平均賃金の算定対象期間中に業務外の事由による負傷又は疾病(私傷病)の療養のために休業した労働者の平均賃金計算額が、当該休業した期間を業務上休業とみなして算定した平均賃金額(3か月間の賃金総額−休業期間中に受けた賃金額)/(3か月間の総日数−休業した日数))に満たない場合には、 後者の額とする。
 (注、私傷病を業務上の傷病と見なして算定するということ)
A じん肺にかかったことにより保険給付を受けることとなつた労働者について、労基法12条による平均賃金計算額が、じん肺にかかったため粉じん作業以外の作業に常時従事することとなった日を算定事由発生日とみなして算定した平均賃金に相当する額に満たない場合には、 後者の額とする。
 (注、通常は、粉じん作業時代の賃金の方が高いため)
B 法改正(H22.01.01新設) 1年を通じて船員法1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者の賃金について、基本となるべき固定給のほか、船舶に乗り組むこと、船舶の就航区域、船積貨物の種類等により変動がある賃金が定められる場合には、
 基本となるべき固定給に係る平均賃金に相当する額と変動がある賃金に係る平均賃金に相当する額とを基準とし、
 厚生労働省労働基準局長が定める基準に従つて算定する額
とする
C前3号に定めるほか、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合は、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額 とする。
 複数事業労働者に係る給付基礎日額算定の特例(8条3項) 法改正(R02.09.01新規)
 「前二項の規定にかかわらず、複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族その他厚生労働省令で定める者(注:葬祭を行う者)に対して保険給付を行う場合における給付基礎日額は、前二項に定めるところにより当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところによつて政府が算定する額とする」

@複数事業労働者の業務災害(一つの事業の業務における労災事故)、複数業務要因災害(複数事業の業務における負荷を総合評価したときの労災事故)、通勤災害のいずれに対しても、保険給付を行う場合の給付基礎日額は、使用する事業ごとに算定した給付基礎日額を合算した額を基礎として政府が定める。
Aつまり、災害の発生には無関係な事業であっても、そこを休業することによる収入も補填すべきという考え方に基づく。 
B複数業務要因災害に係る事業場のうち、一部について既に離職している場合であっても、離職した事業所において算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金額を基に給付基礎日額を算定する。(通達R04.08.21基発0821-2)

 複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定(施行規則9条の2の2)法改正(R02.09.01新規)
 「法8条3項の規定による複数事業労働者の給付基礎日額の算定は、所轄労働基準監督署長が、次に定めるところによつて行う。
@当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額とする。ただし、施行規則9条1項5号(自動変更対象額)の規定は、適用しない。⇒を参照
A前号の規定により算定して得た額が施行規則9条1項5号に規定する自動変更対象額に満たない場合には、前号の規定により算定して得た額を施行規則9条1項5号に規定する平均賃金相当額とみなして同号の規定を適用したときに得られる同号の額とする。
自動変更対象額は、事業ごとの給付基礎日額計算値に対して適用するのではなく、合算した後の額に対して適用する。
B前2号に定めるもののほか、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従つて算定する額とする。
11
2C
 給付基礎日額の算定に際し、算定期間内に業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業をした期間や労働基準法上の規定により産前産後の休業をした期間、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による育児休業をした期間などがある場合には、その期間の日数は、総日数から除かれるが、その期間の賃金は賃金総額に算入される。(基礎)

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正しい 誤り
19
2A
 給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とされているが、この場合において、同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務上の事由、複数業務要因又は通勤による負傷、疾病若しくは死亡の原因である事故が発生した日とされる。(R03改)(基礎)

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正しい 誤り
21
2A
 給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされ、この場合において、同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害による疾病の発生が診断によって確定した日である。(R03改)(19-2Aの類型)

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正しい 誤り
日雇労働者の場合 11
2B
 給付基礎日額の算定方法は、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日以前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定することを原則とするが、この算定方法は日雇労働者の場合も同様である。(発展)

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正しい 誤り












15
1B
 給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされているが、この平均賃金相当額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額が給付基礎日額とされる。(基礎)

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正しい 誤り
12
6A
 給付基礎日額は、原則として労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とするが、平均賃金相当額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、政府が算定する額を給付基礎日額とする。(15-1Bの類型)

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正しい 誤り
21
2B
 労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とする。(15-1Bの類型)

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正しい 誤り
複数事業労働者の場合の給付基礎日額
5
7
A
B
C
D
E

 新卒で甲会社に正社員として入社した労働者Pは、入社1年目の終了時に、脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した。Pは死亡前の1年間、毎週月曜から金曜に1日8時間甲会社で働くと同時に、学生時代からパートタイム労働者として勤務していた乙会社との労働契約も継続し、日曜に乙会社で働いていた。
 また、死亡6か月前から4か月前は丙会社において、死亡3か月前から死亡時までは丁会社において、それぞれ3か月の期間の定めのある労働契約でパートタイム労働者として、毎週月曜から金曜まで甲会社の勤務を終えた後に働いていた。
 Pの遺族は、Pの死亡は業務災害又は複数業務要因災害によるものであるとして所轄労働基準監督署長に対し遺族補償給付又は複数事業労働者遺族給付の支給を求めた。
 当該署長は、甲会社の労働時間のみでは業務上の過重負荷があったとはいえず、Pの死亡は業務災害によるものとは認められず、また甲会社と乙会社の労働時間を合計しても業務上の過重負荷があったとはいえないが、甲会社と丙会社・丁会社の労働時間を合計した場合には業務上の過重負荷があったと評価でき、個体側要因や業務以外の過重負荷により発症したとはいえないことから、Pの死亡は複数業務要因災害によるものと認められると判断した。
 Pの遺族への複数事業労働者遺族給付を行う場合における給付基礎日額の算定に当たって基礎とする額に関して、正しいものはどれか。

A:甲会社につき算定した給付基礎日額である。
B:甲会社・乙会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
C:甲会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
D:甲会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
E:甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

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A B C D E
自動変更対象額の変更 2.給付基礎日額の最低保障額(自動変更対象額)(施行規則9条1項の5号)
 「平均賃金に相当する額又は前各号に定めるところによつて算定された額(平均賃金相当額)が自動変更対象額(3,970円)に満たない場合には、自動変更対象額とする。
 ただし、次の@らCまでに掲げる場合においては、それぞれ@からCまでに定める額とする」
@平均賃金相当額を給付基礎日額とみなしてスライド適用後の休業給付基礎日額算定額が自動変更対象額以上であるとき :平均賃金相当額
⇒スライド適用した額が最低保障額(自動変更対象額)を超えるなら、平均賃金相当額に最低保障額を適用しなくてもよい。
A上記@のスライド適用後の休業給付基礎日額算定額が自動変更対象額に満たないとき:自動変更対象額/スライド率(1円未満切り捨て)
⇒スライド適用後の休業給付基礎日額が最低保障額額(自動変更対象額)になるようにする
B平均賃金相当額を給付基礎日額とみなして完全自動賃金スライド適用後の年金給付基礎日額算定額が自動変更対象額以上であるとき:平均賃金相当額
⇒スライド適用した額が最低保障額(自動変更対象額)を超えるなら、平均賃金相当額に最低保障額を適用しなくてもよい。
C上記Bの完全自動賃金スライド適用後の年金給付基礎日額算定額が自動変更対象額に満たないとき:自動変更対象額/完全自動賃金スライド率(1円未満切り捨て)
⇒スライド適用後の年金給付基礎日額が最低保障額額(自動変更対象額)になるようにする。 
 自動変更対象額の変更(施行規則9条2項)
 「厚生労働大臣は、年度平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者1人当たりの毎月きまって支給する給与の額(平均定期給与額)の4月分から翌年3月分までの各月分の合計額を12で除して得た額)が、平成6年4月1日から始まる年度(自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない」
11
2E
 厚生労働大臣は、給付基礎日額の最低限度の保障額について、直近の当該保障額の変更のあった年度の前年度の賃金構造基本統計調査に基づく平均給与額と比較して、年度の平均給与額が変動した場合、その変動した比率に応じてその翌年度の4月1日から変更するものとされている。

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正しい 誤り
端数処理 3. 給付基礎日額の端数処理(8条の5)
 「給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする」 
⇒給付額において端数が出た場合は、1円未満は切り捨てである。
 端数処理法の一覧はこちらへ
3' 自動変更対象額変更の端数処理(施行規則9条3項)
 「自動変更対象額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする」
15
1E
 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。(基礎)

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正しい 誤り
21
2C
 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、それが1円に切り上げられる。(15-1Eの類型)

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正しい 誤り
27
7イ
 年金たる保険給付の支給に係る給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、その端数については切り捨てる。 (15-1Eの類型)

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正しい 誤り