30年度 法改正トピックス(健康保険法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント














70歳以上高額療養費算定基準額(自己負担限度額) (H29.08.01)
 所得区分  算定基準額2:(70歳以上各自外来に対して適用)
 (施行令42条5項)
 算定基準額3:(70歳以上各自の入院に適用。さらに70歳以上外来と入院の世帯合算額に対して適用)
 (施行令42条3項)
 一定以上所得者(一部負担金が3割の者)  44,400円 ⇒57,600円  80,100円+(医療費合算額‐267,000円)×0.01
 一般  12,000円
14,000円
(また、8月から翌年7月までの年間で144,000円)
 44,400円
 ⇒57,600
 市町村民税非課税者等   8,000円  24,600円
 基準所得が0円の者等   8,000円  15,000円
・29年8月1日以降の診療について、「70歳以上の高額療養費の算定基準額(自己負担額の限度額)が、一部、増額になった。
・また、一般所得者及び低所得者の場合の年間144,000円を新規創設
 




 基礎知識と過去問学習はこちらを
高額療養費多数(回)該当  (H29.08.01)、
 70歳以上(施行令42条3項)
 所得区分 多数(回)該当
 一定以上所得者(一部負担金が3割の者) 44,400
 一般 44,400(新設)
 低所得者(市町村民税非課税者等)
 70歳以上で一般区分の算定基準額が44,400円から57,600円に引き上げられたことに伴い、多数回該当 44,400円を新設
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 年間の高額療養費の支給要件及び支給額(施行令41条の2抜粋)(H29.08.01 新規)
 「高額療養費は、基準日(7月31日)に健康被保険者の被保険者で一般所得区分又は低所得区分に該当する者は、
・計算期間(前年8月1日から当年7月31日)までにおける外来療養(70歳到達月の翌月以降に限る)の一部負担額の合算額(基準日被保険者合算額)、
・基準日に被扶養者である者の被扶養者期間中の外来療養の自己負担額の合算額(基準日被扶養者合算額)、
・基準日には被扶養者でない者が被扶養者であった期間中の外来療養の自己負担額の合算値(元被扶養者合算額)
のいずれかが高額療養費算定基準額を超える場合に、基準日被保険者に支給する。」
 その額は、基準日被保険者合算額、基準日被扶養者合算額、元被扶養者合算額それぞれからから高額療養費算定基準額(144,000円)を控除した額(各々の額が零を下回る場合には零とする)の合計額とする」
 平成29年8月1日以降の診療に対して、一般所得者及び低所得者の70歳以上の外来については、1年間(8月から翌年7月)の外来の一部負担等額の合計が年間限度額(144,000円)を超えた場合、超えた分が「高額療養費」として支給される。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
食事療養

生活療養負担額 
 食事療養標準負担額
 「一般所得者は、1食当たり460円とする」
 360円から460円に
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 生活療養標準負担額のうち食費に係る部分の見直し(H30.04.01)
 「65歳以上の医療療養病床に入院する者のうち、医療の必要性の高い患者(指定難病患者を除く)の一般所得の食費の負担額を、医療の必要性の低い者の一般所得者と同様に、生活療養1の場合は、1食当たり460円、生活療養2の場合は1食420円とする」
 生活療養区分はなくて「360円」であったのを「460円と420円の2区分に」
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 生活療養負担額のうち居住費に係る部分の見直し(H30.04.01)
@65歳以上の医療療養病床に入院する者のうち、医療の必要性の低い患者の一般所得並びに減額対象者(除く境界層該当者)の居住費は、平成29年10月1日以降、370円とする」の食費の負担額
A同じく、医療の必要性の高い患者(除く指定難病患者)の一般所得並びに減額対象者(除く境界層該当者)の居住費は、平成29年10月1日以降200円、平成30年4月1日以降370円とする」の食費の負担額を
B指定難病患者の場合は、引き続き0円。
@320円から370円に。
A0円から、暫定的に200円、H30年4月からは370円に。
 
 

  生活療養標準負担額の減額対象者(施行規則62条の3)(H30.04.01)
 「法85条の2の2項の厚生労働省令で定める者は、次の各号のいずれかに該当する者とする」
E(H29.10.01追加) 被保険者又はその被扶養者が療養のあった月において生活保護法による要保護者である者であって、B及びD号の適用を受ける者として生活療養標準負担額について減額があれば生活保護法の規定による保護を要しなくなるもの(境界層該当者)
 食費を1食当たり100円、居住費を1日当たり0円とすれば、生活保護法の規定による保護を必要としない状態になる者(境界層該当者)については、そのようにする。 
 基礎知識と過去問学習はこちらを
訪問看護療養費  訪問看護療養費(88条) 法改正(H30.04.01) 
 「被保険者が、厚生労働大臣が指定する指定訪問看護事業者から、指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関又は介護保険法に規定する介護老人保健施設若しくは介護医療院によるものを除く)を行う事業)を行う事業所により行われる指定訪問看護を受けたときは、その指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費を支給する」
 太字部分を追加;
 居宅等において訪問看護を受けた場合であっても、病院等が行うものは療養の給付であるから訪問看護療養費から除かれるほか、介護保険法もよる療養のサービスを受けた場合も除かれる。
 介護保険法において、介護老人保健施設のほかに介護医療院が創設されたので、そこで受けた療養上の世話又は必要な診療の補助は、健康保険法からの保険給付である訪問看護療養費から除かれる。基礎知識と過去問学習はこちらを
国庫
補助
 国庫補助(153条2項)(H29.07.01削除)
 「国庫は、国庫負担及び前項に規定する費用のほか、協会が拠出すべき介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く)の納付に要する費用の額に1項の政令で定める割合を乗じて得た額を補助する」
 介護納付金における総報酬割の(逐次)導入に伴い、標準報酬額が比較的低い協会健保が負担する介護納付金は負担割合が少し減ることになり、介護納付金に対する国庫補助は本則では廃止となった(ただし、経過的な措置はある)
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 2号被保険者の介護保険料率(160条16項) (H30.04.01)
 「介護保険料率は、各年度において保険者が納付すべき介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く)の額を当該年度における当該保険者が管掌する介護保険第2号被保険者である被保険者の総報酬の総額の見込額で除して得た率を基準として、保険者が定める」
 健保協会の介護保険料率を算定する際、介護納付金に対する国庫補助がなくなったので、「全国健康保険協会管掌健康保険においては、その額から国庫補助額を控除した額」の部分を削除 基礎知識と過去問学習はこちらを
届出  氏名変更届(施行規則28条) (H30.03.05)
 「事業主は 36条(氏名変更)の規定による申出を受けたときは、遅滞なく、健康保険被保険者氏名変更届を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない(当該被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき及び当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき(当該健康保険組合が、当該事業主に対し、当該被保険者の氏名に係る情報を求めないときときに限る)を除く)。
  この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者が同時に厚生年金保険の被保険者であるときは、個人番号又は基礎年金番号及び第3種被保険者に該当することの有無を付記しなければならない」
 (  )を追加
 つまり、事業主による氏名変更届は
・協会健保においては、厚生労働大臣が機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、不要に。
・組合健保においては、健保組合が機構保存本人確認情報の提供を受けることができ、かつ、健保組合が氏名情報必要としないときは、不要に。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 住所変更の申出(施行規則36条の2)(H30.03.05)
 「被保険者は、その住所を変更したときは、速やかに変更後の住所を事業主に申し出なければならない。ただし、当該被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき又は当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときは、この限りでない」
 ただし書きを追加。
 つまり、被保険者からの住所変更の申出(とそれに続く事業主からの届出)は、
協会健保においては、機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、不要に。
・組合健保においては、健保組合が住所情報を必要としないときは、不要に。
 基礎知識と過去問学習はこちらを