5B 労働基準法 基礎知識と関連過去問 Tome塾Homeへ
 割増賃金、時間外労働時間の計算
 関連過去問 12-4D12-4E13-5D13-6C13-6D16-5B18-5B19-3D19-3E23-4E25-3B28-3C29-1E30-3ABCDE令元-6D令2-6D令4-7C令4-7D
 一般18-2C令3-2選択
関連条文 時間外、休日及び深夜の割増賃金(37条代替休暇(3項)、深夜業の割増賃金(4項))
 通常の労働時間・労働日の賃金の計算額(施行規則19条)、代替休暇に関する協定(施行規則19条の2)















1.時間外、休日及び深夜の割増賃金(37条)基礎講座
  時間外労働・休日労働の割増賃金(37条1項) 法改正(H22.04.01)
 「使用者が、33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)又は前条1項(時間外及び休日の労働)の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」   
 「2項 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする」
 時間外労働が1か月で60時間を超えた場合は、それ以降の時間外労働に対して、5割以上の割増賃金を払うこと
 
これは事業の規模にかかわらず適用される強制義務である。
 対象となる時間外労働(H21.05.29基発0529001)
@1か月とは暦による1か月(労働日数の多い少ないには関係ない)
 起算日は就業規則等で定めること。
 起算日の定めがない場合は、労使慣行等から別意に解さない限り、賃金計算期間の初日を起算日とする。
A起算日から累計した時間外労働が60時間に達した時点より後に行われた時間外労働が、5割以上の割増賃金の対象となる、
 (1か月60時間以上の時間外労働であって、法定休日における休日労働とは関係ない)
 通常の労働時間・労働日の賃金の計算額 (施行規則19条)
 「法37条1項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法33条若しくは法36条1項の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後10時から午前5時(一定地域の一定期間については11時から午前6時)までの労働時間数を乗じた金額とする」
@時間によつて定められた賃金については、その金額
A日によつて定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額
B週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、4週間における1一週平均所定労働時間数)で除した金額
C月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額
D月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額
E出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額
F労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額。
 「同2項 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす」
1.2 法定休日
 休日の起算点
 通達(H6.5.31基発331)
 「労働基準法35条の休日は原則として暦日を指し、午前0時から24時までをいう」
 法定休日
 法定休日とは、「1週間に1日」あるいは「4週間に4日」の休日である。
 法定休日をどの日にするか就業規則などで定めておくことが望ましい。
 定めてない場合は、その日を休日としないと「1週間に1日」あるいは「4週間に4日」に違反する日が法定休日であり、その日に労働させた場合が「休日労働」になる。
 法定休日の定めがない場合の法定休日
@土・日が所定休日の場合、後の休日のみが法定休日となる。(ただし、最初の休日に実際に休んでおればその日が法定休日で、後の休日は法定休日ではない。
 この場合、1週の初めは日曜日が通常であるから(月曜開始と定めても構わないが)、土曜日が法定休日となる。
 よって、土・日と2日連続で労働しても、別の週になるのでそれだけでは法定休日労働は発生しない。
A土・日が所定休日でかつ4週4日休日制の場合、とにかく4週間で4日さえあれば、それ以外の休日は法定休日ではない。
1.3 深夜業の割増賃金(37条4項)
 「使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」  
 時間外労働+深夜業の場合の割増賃金 (施行規則20条)法改正(H22.04.01)
 「労基法33条又は36条1項の規定によつて延長した労働時間が午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時 まで)の間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、施行規則19条1項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の5割以上(その時間の労働のうち、1箇月について60時間を超える労働時間の延長に係るものについては、7割5分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」
 「同2項 労基法33条又は36条1項の規定による休日の労働時間が午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時 まで)の間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、施行規則19条1項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の6割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」
注:「厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで」)とあるが、実施例はない。
⇒時間外労働+深夜業の場合、5割以上の割増賃金
 時間外労働が1か月で60時間を超えた場合は、それ以降に発生した深夜労働に対して、7割5分以上の割増賃金を払うこと。これは強制義務であり、令和5年4月1日以降は中小事業主にも適用。
⇒休日労働+深夜業の場合、6割以上
 
1.4 中小事業主に対する経過措置 法改正(R05.04.01削除)
 「附則138条 法改正(H22.04.01新設) 中小事業主(資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主)の事業については、当分の間、37条1項ただし書の規定(1か月60時間を超えた場合は、5割以上の割増率)は、適用しない」
⇒当分の間とは、令和5年3月31日まで。

 ・37条1項ただし書の規定(1か月60時間を超えた場合は、5割以上の割増率)が適用されなかった期間中は、37条3項(代替休暇)の適用もなかったが、令和5年4月1日以降は、中小企業においても、代替休暇の適用があることに。                

 「施行規則68条 法改正(R05.04.01削除)、法改正(H22.04.01新設) 中小事業主の事業に係る施行規則20条の規定の適用については、同項中「5割以上(その時間の労働のうち、1箇月について60時間を超える労働時間の延長に係るものについては、7割5分以上)」とあるのは、「5割以上」とする」
1.5 割増賃金の算定基礎(37条5項) 詳細はこちらを
 「1項及び4項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない」
1.6 割増率のまとめ(施行規則20条、S22基発366他)  
 時間外労働または深夜労働  2割5分以上
 休日労働  3割5分以上
 時間外労働かつ深夜労働  5割以上
 休日労働かつ深夜労働  6割以上
 1月60時間を超えた時間外労働  5割以上(中小事業主にも適用)
 1月60時間を超えた時間外労働でかつ深夜労働の場合  7割5分以上(中小事業主にも適用)
 


















18
5B
 労働基準法第37条には、「使用者が、第33条又は前条1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定されていることから、同法37条に規定する割増賃金は、同法第33条又は第36条第1項の規定に基づき労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合に支払うべきものであって、これらの規定による手続きを必要とする時間外又は休日の労働であっても、これらの規定による手続きをとらずに行なわれたものに対しては割増賃金の支払いの必要はない。 (H22改)

解説を見る

正しい 誤り
23
4E
 労働基準法第33条又は第36条に規定する手続きを経ずして時間外又は休日の労働をさせた場合においても、使用者は、同法第37条第1項に定める割増賃金の支払い義務を免れない。(18-5Bの類型)

解説を見る

正しい 誤り

2
6D
 労働基準法第37条は、「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合」における割増賃金の支払について定めているが、労働基準法第33条又は第36条所定の条件を充足していない違法な時間外労働ないしは休日労働に対しても、使用者は同法第37条第1項により割増賃金の支払義務があり、その義務を履行しないときは同法第119条第1号の罰則の適用を免れないとするのが、最高裁判所の判例である。(18-5Bの類型)

解説を見る

正しい 誤り



給に対する割増賃金
22
4E
 タクシー料金の月間水揚高に一定の歩合を乗じて賃金を算定・支給する完全歩合制においては、時間外労働及び深夜の労働を行った場合に歩合給の額の増額がなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することができないものであったとしても、歩合給の支給によって労働基準法第37条に規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたと解釈することができるとするのが、最高裁判所の判例である。

解説を見る

正しい 誤り
令3
2
選択
 最高裁判所は、歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の定めがある賃金規則に基づいてされた残業手当等の支払により労働基準法第37条の定める割増賃金が支払われたといえるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
 「使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには、割増賃金として支払われた金額が、| B |に相当する部分の金額を基礎として、労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ、その前提として、労働契約における賃金の定めにつき、| B |に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である[…(略)…]。
 そして、使用者が、労働契約に基づく特定の手当を支払うことにより労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったと主張している場合において、上記の判別をすることができるというためには、当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることを要するところ、当該手当がそのような趣旨で支払われるものとされているか否かは、当該労働契約に係る契約書等の記載内容のほか諸般の事情を考慮して判断すべきであり[…(略)…]、その判断に際しては、当該手当の名称や算定方法だけでなく、[…(略)…]同条の趣旨を踏まえ、| C |等にも留意して検討しなければならないというべきである」

解答と解説を見る

語群はこちらを
年俸制の場合

7C
 医療法人と医師との間の雇用契約において労働基準法第37条に定める時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていた場合、「本件合意は、上告人の医師としての業務の特質に照らして合理性が
あり、上告人が労務の提供について自らの裁量で律することができたことや上告人の給与額が相当高額であったこと等からも、労働者としての保護に欠けるおそれはないから、上告人の当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないからといって不都合はなく、当該年俸の支払により、時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということができる」とするのが、最高裁判所の判例である。
解説を見る
正しい 誤り
遅刻した場合 13
6C
 変形労働時間制を採用せず、始業時刻が午前8時、終業時刻が午後5時である事業場において、ある労働者が午前8時から午前9時直前まで遅刻した日において、当該労働者を午前9時から午後6時まで労働させた場合、その午後5時から6時まで労働した時間については、労働基準法第37条に基づく割増賃金を支払う必要はない。なお、当該事業場における休憩時間は正午から1時間である。 

解説を見る

正しい 誤り










18
2C
 就業規則で所定内労働時間が、午後10時から午前5時までと定められている企業においては、午後10時から午前6時まで労働させた場合は、労働基準法第37条の規定により、使用者は7時間分の深夜業の割増賃金を支払うのはもとより、所定内労働時間を超えて労働させた1時間分について、時間外割増賃金を支払わなければならない。
解説を見る
正しい 誤り


8

13
6D
 週の法定労働時間及び所定労働時間が40時間であって変形労働時間制を採用していない事業場において、月曜日に10時間、火曜日に9時間、水曜日に8時間、木曜日に9時間労働させ、金曜日は会社創立記念日であるので午前中4時間勤務とし午後は休業としたときは、その週の総労働時間は40時間であるので、この月曜から金曜までについては、労働基準法第37条に基づく割増賃金を支払う必要はない。

解説を見る

正しい 誤り




13
5D
 変形労働時間制を採用していない事業場において、使用者が具体的に指示した仕事が客観的に見て一日の法定労働時間内では完了することができないと認められる場合のように、超過勤務の黙示の指示によって労働者が当該法定労働時間を超えて労働した場合には、使用者は、労働基準法第37条の規定による割増賃金を支払わなければならない。
解説を見る 
正しい 誤り




12
4E
 所定休日を定める事業場でその2日とも休日労働させた場合、労働基準法上、休日労働に関し、3割5分以上の割増賃金の支払いが必要とされるのはそのうちの1日のみであり、残る1日の賃金については、就業規則の定め等当事者の合意に委ねられる。
解説を見る 
正しい 誤り






6D
 「いわゆる定額残業代の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみなすことができるのは、定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払を請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており、これらの仕組みが雇用主により誠実に実行されているほか、基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり、その他法定の時間外手当の不払や長時間労働による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる」とするのが、最高裁判所の判例である。(発展)

解説を見る

正しい 誤り




































2.割増賃金の計算   こちらも参照を 
 参考図1 平日から休日をまたがって連続して労働した場合
  








・平日の17時から深夜12時(24時)までの7時間が時間外労働(2時間の時間外+深夜労働を含む) 
・深夜0時から正午12時までは12時間の休日労働(5時間の休日+深夜労働を含む)
時間外労働と休日労働とは別の概念である。法定休日当日の午前0時は前日からの労働の延長ではなく、休日労働の始まりである。この法定休日に労働すれば、1時間であろうと12時間であろうと、時間外労働とはいわず、休日労働なのである。

 参考図2 休日から平日にまたがって連続して労働した場合
 上図において、平日が休日で。翌日の休日が平日の場合
・休日の8時から深夜12時(24時)までの15時間(除く休憩1時間)が休日労働(2時間の休日+深夜労働を含む)
・深夜0時から正午12時までの12時間は、前日(休日)の15時間労働後の労働と見るので、12時間が時間外(5時間の時間外+深夜労働を含む)(H6.5.31基発331のA)
⇒もし、翌日の労働が深夜1時までであった場合は、前日(休日)の15時間の休日労働後の時間外労働と見るので1時間の時間外+深夜労働となる。
 暦日休日の場合の場合の休日労働日及び時間外労働の取扱い(H6.5.31基発331)
 「労働基準法35条の休日は原則として暦日を指し、午前0時から24時までをいうものであるが、当該休日を含む2暦日にまたがる勤務を行った場合の37条に基づく割増賃金を支払うべき休日労働及び時間外労働の考え方は次の通りである」」
@休日労働となる部分:法定休日である日の午前0時から午後12時(24時)までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。したがって,法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合、及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても,法定休日の日の午前0時から午後12時(24時)までの時間帯に労働した部分が割増賃金の支払を要する休日労働となる」
A時間外労働となる部分:@で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。この場合、1日及び1週間の労働時間の算定に当たっては、労働時間が2暦日にわたる勤務については、勤務の開始時間が属する日の勤務として取り扱う」

 参考図3   平日2日間をまたがって、連続して労働した場合
 








・平日17時から連続した時間外労働が終わる翌日の平日8時までは、平日1日の労働とみなす
 よって、翌日8時からの通常の労働を行わなくても、翌日8時までの15時間は時間外労働(7時間の時間外+深夜労働を含む)となる。
 もし、翌日8時から通常の労働が始まって、これに従事した場合も、8時までが前日の時間外労働とする。
 1日の取扱い(H63.01.01基発1)
 「32条2項の「1日」とは、原則として午前0時から午後12時(24時)までの「暦日」をいうが、2暦日にわたる一つの勤務については、継続勤務はたとえ暦日を異にする場合でも一つの勤務として取り扱うべきであるから、始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働と解する」

会社が定めた所定労働時間を超過したとしても、それだけで割増賃金を支払う必要はない(もちろん、時間外賃金として根っこの10割は支払う必要がある)。法定労働時間を超えたときにはじめて、割増賃金の支払が必要になる。
 端数処理 通達(S63.3.14基発150号)
 「次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、24条及び37条違反としては取り扱わない」
1  1か月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる
2  1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げる
3  1か月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の割増金額の総額に、1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げる
 端数処理法の一覧はこちらへ
29
1E
 休日労働が、8時間を超え、深夜業に該当しない場合の割増賃金は、休日労働と時間外労働の割増率を合算しなければならない。 (基礎)

解説を見る

正しい 誤り
16
5B
 始業時刻が午前8時、終業時刻が午後5時、休憩時間が正午から午後1時までの事業場において、徹夜残業を行い、翌日の法定休日の正午において当該残業が終了した場合、当該法定休日の午前8時までは前日の労働時間の延長として、その後は法定休日の労働として、割増賃金の計算を行わなければならない。

解説を見る

正しい 誤り
19
3D
 始業時刻が午前8時、終業時刻が午後5時、休憩時間が正午から午後1時までの事業場において、残業を行い、翌日の法定休日の午前2時まで勤務したとき、午後5時から午後10時までは通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上の割増賃金、午後10時から翌日の午前2時までは6割以上の割増賃金を支払わなければならない。

解説を見る

正しい 誤り
30
3
A
B
C
D
E
 労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場において、
 休み 6時間 6時間 6時間 6時間 6時間 6時間
 ただし、労働日における労働時間は全て始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩:午後1時から1時間
A:日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。
B::日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。
C:月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。
D:土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。
E:日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。

解説を見る

A B C D E






















12
4D
 割増賃金の計算の便宜上、1か月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる措置は法違反として取り扱わないこととされている。

解説を見る 

正しい 誤り
28
3C
 1か月における時間外労働の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる事務処理方法は、労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。(12-4Dの類型)

解説を見る

正しい 誤り
19
3E
 割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わないこととされている。(12-4Dの類型)

解説を見る

正しい 誤り
25
3B
 1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。(12-4Dの類型)

解説を見る

正しい 誤り












3.代替休暇(37条3項) 法改正(H22.04.01)
 「使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、
 1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(39条の規定による年次有給休暇を除く)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、
 当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない」

・令和5年4月1日以降は、代替休暇の規定も事業の規模に関係なく適用されることに。(法改正関連)
・代替休暇の付与により、支払いを免除される賃金は、代替休暇時間数×(60時間を超えた場合の割増賃金率ー60時間未満の割増賃金率)である。
・代替休暇時間に対する通常の賃金(1+60時間未満の割増賃金率)の支払義務は免除とはならない。
・代替休暇を付与できなかった時間(半日休暇あるいは1日休暇を取った後の端数時間など)に対しては、代替休暇を付与できなかった時間数×(1+60時間を超えた場合の割増賃金率)の支払い義務が残っている。
 代替休暇に関する協定(施行規則19条の2) 法改正(H22.04.01新設)
 「使用者は、法37条3項の協定をする場合には、次の各号に掲げる事項について、協定しなければならない」
 @法37条3項の休暇(代替休暇)として与えることができる時間の時間数の算定方法
 A代替休暇の単位(1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日又は半日を含む)とする)
 B代替休暇を与えることができる期間(33条又は36条1項の規定によつて延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とする)
 「2項 前項1号の算定方法は、労基法33条又は36条1項の規定によつて1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかつた場合に当該時間の労働について労基法37条1項ただし書の規定により支払うこととされている割増賃金の率と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について同項本文の規定により支払うこととされている割増賃金の率との差に相当する率(換算率)を乗じるものとする」
 「3項 労基法37条3項の厚生労働省令で定める時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする」

 時間外労働が1か月で60時間を超えた場合は、5割以上の割増賃金の支払いが必要であるが、そのうち2割5分以上を超える分の支払いに代えて、有給の休暇(代替休暇)を与えることを、労使協定により定めてもよい。
@代替休暇の付与を実施したい場合のみ、労使協定を結び、就業規則にも記載すること。(就業規則の変更届は必要)
Aまとまった時間にして休息の機会を確保するのが目的であるから、1日又は半日単位で与えること。
B半日とは、1日当たり所定労働時間の2分の1をいうが、必ずしも厳密に2分の1とする必要はない。
 労使協定により、「午前3時間半あるいは午後4時間半を半日とする」などと定めてもよい。
C半日にならない端数の時間については、代替休暇としない、
  あるいは「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(その事業場が独自に設けている有給休暇)や時間単位年次有給休暇と合わせて半日にすることもできる。
D代替休暇は年次有給休暇とは別個のものであるので、6か月継続勤務や出勤率の制約はない。
 また、代替休暇を取って1日中労働しなかったとしても、正当な手続により労働者が労働義務を免除された日であることから、年次有給休暇の算定基礎となる全労働日に含まないものとして取り扱う。
E代替休暇を与えることができる期間
 特に長い時間外労働が行われた月から一定の近接した期間に与えられることによって労働者の休息の機会とする観点から、「時間外労働させた時間が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2箇月以内」
F代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日
 代替休暇については、賃金の支払額を早期に確定させる観点から、労使協定で定められるべきものとして、次のものが考えられる(通達H21.05.29基発0529001)
ア 労働者の意向を踏まえた代替休暇の取得日の決定方法:労働者の代替休暇取得の意向については、1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた当該1か月の末日からできる限り短い期間内において、確認されるものとすること。代替休暇を取得するかどうかは、労働者の判断によるため、代替休暇が実際に与えられる日は、当然、労働者の意向を踏まえたものとなること。
イ 1か月について60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払日:労働者の代替休暇取得の意向に応じて、次のようになるものであること。
・労働者に代替休暇取得の意向がある場合には、1.25以上の割増賃金を、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払うこと。(なお、実際には代替休暇を取得できなかったときには、1.50以上の法定割増賃金金を、代替休暇を取得できないことが確定した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う必要があること。
・労働者に代替休暇取得の意向がない場合、意向が確認できない場合等の場合には、1.50以上の法定割増賃金について、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払うこと。
 なお、法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に、労働者から代替休暇取得の意向があった場合には、代替休暇を与えることができる期間として労使協定で定めた期間内であっても、労働者は代替休暇を取得できないこととすることを労使協定で定めても差し支えないものであること。あるいは、労使協定で定めた期間内であれば代替休暇を取得できることとし、既に支払われた法定割増賃金について精算することとすることを労使協定で定めることも妨げられるものではないこと。  
 補足 代替休暇として与えることができる時間数
@算定式=(1か月の時間外労働時間数ー60)×換算率
 ここで、換算率=(代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増率(5割以上)ー(代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増率(2割5分以上))
A例
 例1
  60時間を超えたときの割増率が50%、60時間以下のときの割増率が25%のとき、換算率は25% 
  時間外労働が76時間であれば、代替休暇時間数は(76-60)×0.25=4時間(半日) よって、以下のいずれかを選択
  a 割増率50%の賃金16時間分の受取り又は、
 b割増率25%の賃金16時間分の受取り+半日の代替休暇の取得
  例2
  60時間を超えたときの割増率が55%、60時間以下の割増率が30%のとき、換算率は25%
  時間外労働が92時間であれば、代替休暇時間数は(92-60)×0.25=8時間(1日) よって、以下のいずれかを選択
  a 割増率55%の賃金32時間分の受取り又は、
 b割増率30%の賃金32時間分の受取り+1日の代替休暇の取得
⇒代替休暇は半日あるいは1日単位となるため、代替休暇として与えることができる時間数に端数が残る場合は、
協定に定めがあれば、その方法により、時間単位での年次有給休暇との合算、翌月の60時間を超える時間外労働数との合算も可能。

4
7D
 労働基準法第37条第3項に基づくいわゆる代替休暇を与えることができる期間は、同法第33条又は同法第36条第1項の規定によって延長して労働させた時間が 1か月について60 時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月以内の範囲内で、労使協定で定めた期間とされている。

解説を見る

正しい 誤り