22年度 法改正トピックス( 労働基準法に関する主要改正点) | ||
改正後 | 改正ポイント | |
時 間 外 労 働 |
時間外・休日労働(36条) (H22.04.01) 「2項 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる」 |
厚生労働大臣が定める基準として、 「当該労働時間の延長に係る割増賃金の率」を追加
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労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(H10.12.28労働省告示154、H22.04.01改正)
「3条 労使当事者は、時間外労働協定において、一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、 期間の区分に応じ、それぞれ別表1に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。 ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続きを経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨及び限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定める場合(特別条項付き36協定を締結した場合)は、この限りでない」 「2項 労使当事者は、前項ただし書きの規定により限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定めるに当たっては、当該延長することができる労働時間をできるだけ短くするように努めなければならない」 「3項 労使当事者は、1項ただし書きの規定により限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、基準法36条1項の規定により延長した労働時間の労働について基準法37条1項の政令で定める率(2割5分以上)を超える率とするように努めなければならない」 「4条2項 前条1項ただし書、2項及び3項の規定は、基準法32条の4(1年単位の変形労働時間制)の協定が締結されている事業場の労使当事者について準用する」 |
限度基準 1項 「割増賃金の率」を追加 ⇒特別条項付き時間外協定を締結して、臨時的に限度時間を超える時間外労働を行わせる場合は、同協定に、限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金の率を定めること。 ⇒就業規則にも記載する義務がある。 同2項 新規 ⇒限度時間を超える時間外労働は、できるだけ時間を短くするように努めること。 同3項 新規 ⇒限度時間を超える時間外労働に対する、割増賃金率はできるだけ2割5分以上を超える率とするよう努めること。 これは努力義務である。 中小事業主にも適用する。 4条2項 1年単位の変形労働時間制の場合の限度時間はさらに短い時間が定められているが、それらに対しても、3条2項、3項の規定が準用される。 基礎知識と関連過去問の学習はこちら 基礎講座はこちら |
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割 増 賃 金 |
時間外、休日及び深夜の割増賃金(37条) H22.04.01 「使用者が、33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)又は前条1項(時間外及び休日の労働)の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。 ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」 深夜業の割増賃金(施行規則20条) H22.04.01 「労基法33条又は36条1項の規定によつて延長した労働時間が午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に及ぶ場合においては、 使用者はその時間の労働については、施行規則19条1項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の5割以上(その時間の労働のうち、1箇月について60時間を超える労働時間の延長に係るものについては、7割5分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」 中小事業主に対する経過措置(附則138条) H22.04.01新設 「中小事業主(資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主)の事業については、当分の間、37条1項ただし書の規定は、適用しない」 中小事業主に対する経過措置(施行規則68条) 「中小事業主の事業に係る施行規則20条の規定の適用については、同項中「5割以上(その時間の労働のうち、1箇月について60時間を超える労働時間の延長に係るものについては、7割5分以上)」とあるのは、 「5割以上」とする」 |
37条1項 ただし書き以降追加 ⇒時間外労働が1か月で60時間を超えた場合は、それ以降の時間外労働に対して、5割以上の割増賃金を払うこと @これは強制義務である。 ただし、中小事業主には、当面の間適用しない。 A1か月とは暦による1か月(労働日数とは関係ない)起算日は就業規則に記載すること。 B1か月60時間以上の時間外労働であって、法定休日における休日労働とは関係ない。 深夜業の割増賃金 ⇒時間外労働が1か月で60時間を超えた場合は、それ以降に発生した深夜労働に対して、7割5分以上の割増賃金を払うこと @これは強制義務である。 ただし、中小事業主には、当面の間適用しない。 基礎知識と関連過去問の学習はこちら |
代 替 休 暇 |
「37条3項 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、 1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(39条の規定による 年次有給休暇を除く)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、 当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、 同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない」 代替休暇に関する協定(施行規則19条の2) H22.04.01新設 「使用者は、法37条3項の協定をする場合には、次の各号に掲げる事項について、協定しなければならない」 @法37条3項の休暇(代替休暇)として与えることができる時間の時間数の算定方法 A代替休暇の単位(1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日又は半日を含む)とする) B代替休暇を与えることができる期間(33条又は36条1項の規定によつて延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とする) なお、通達により、、 「C 代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日も、労使協定で定めることになっている」 「2項 前項1号の算定方法は、労基法33条又は36条1項の規定によつて1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかつた場合に当該時間の労働について労基法37条1項ただし書の規定により支払うこととされている割増賃金の率と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について同項本文の規定により支払うこととされている割増賃金の率との差に相当する率(換算率)を乗じるものとする」 「3項 労基法37条3項の厚生労働省令で定める時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする」 |
37条3項 (代替休暇)新設 ⇒時間外労働が1か月で60時間を超えた場合は、5割以上の割増賃金のうち2割5分を超える分の支払いに代えて、有給の休暇(代替休暇)を与えることを、労使協定により定めてもよい。 就業規則にも記載すること。 @まとまった時間にして休息の機会を確保するのが目的であるから、1日又は半日単位で与えること。 A半日とは、1日当たり所定労働時間の2分の1をいうが、必ずしも厳密に2分の1とする必要はない。 労使協定により、「午前3時間半あるいは午後4時間半を半日とする」などと定めてもよい。 B半日にならない端数の時間については、代替休暇としない、 あるいは「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(その事業場が独自に設けている有給休暇)や時間単位有給休暇と合わせて半日にする。 C代替休暇は年次有給休暇とは別個のものであるので、6か月継続勤務や出勤率の制約はない。 また、代替休暇を取って1日中労働しなかったとしても、「全労働日」ではない。 換算率とは、 代替休暇を取得しない場合の割増率ー替休暇を取得しない場合の割増率 @限度時間を超えたときの割増率が30%、 60時間を超えたときの割増率が50%のとき、 換算率は20% (時間外労働が80時間であれば、代替休暇は 20×0.2=4時間) A限度時間を超えたときの割増率が25%、 60時間を超えたときの割増率が50%のとき、 換算率は25% (時間外労働が80時間であれば、代替休暇は20×0.25=5時間、 よって、時間外労働が80時間であれば、 @の場合、20%の割増賃金20時間分、又は4時間の代替休暇 (130%×20時間の賃金は当然のこととして別途支給) Aに場合 25%の割増賃金20時間分、又は5時間の代替休暇 (125%×20時間の賃金は当然のこととして別途支給) 労働者の意向 「代替休暇は長時間労働した労働者に休息を与えることを目的とするが、あくまでも本人の意向に基づくものであるから、できるだけ早期(60時間を超えた月の末日の翌日から2箇月以内)に意向を確認し、取得しない場合は割増賃金の支払日を確定しなければならない」 基礎知識と関連過去問の学習はこちら |
年 次 有 給 休 暇 |
年次有給休暇(39条)(H22.04.01) 「4項 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、 1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、 前3項の規定による有給休暇の日数のうち2号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、 当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる」 @時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲 A時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る) Bその他厚生労働省令で定める事項」 その他厚生労働省令で定める事項(施行規則24条の4)(H22.04.01) 「基準法39条4項3号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする」 @時間を単位として与えることができることとされる有給休暇1日の時間数(1日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数)を下回らないものとする) 所定労働時間が7時間30分の場合は、「8時間」に切上げる。 A1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数(1日の所定労働時間数に満たないものとする) |
4項: 労使協定により、5日以内の分については時間単位の有給休暇としてもよい。 就業規則にも記載すること。 @繰越分があったとしても、時間単位の年有給休暇は5日以内 A時間単位の年有給休暇に対しても、時季変更権の対象となりうる。 ただし、日単位を時間単位に、時間単位を日単位に変更させることはできない。 B計画的付与を時間単位とすることは認められない。 |
年次有給休暇中の賃金(旧39条7項) (H22.04.01) 「使用者は、1項から3項までの規定による有給休暇の期間又は4項の規定による有給休暇の時間については、 就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、 それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。 ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間にについて、それぞれ、健康保険法99条1項に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない」 施行規則25条 H22.04.01 「2項 厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金は、平均賃金若しくは前項の規定により算定した金額をその日の所定労働時間数で除して得た額の賃金とする」 「3項 ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額をその日の所定労働時間数で除して得た金額とする」 |
「4項の規定による有給休暇の時間」を対象に追加」
施行規則25条2項、3項 |
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企画業務型裁量労働制 |
企画業務型裁量労働制(38条の4の5項 代替決議)(H22.04.01) 「1項の労使委員会において、その委員の5分の4以上の多数による議決により、 @からKまでについて決議が行われた場合には、協定を締結したものと、 1年単位の変形労働時間制において最初の区分を除く各期毎の労働日、労働時間について の決議は、労働者の同意を得たものと、 36協定については、決議を届けることで、協定を届けたものと、 また、延長時間を基準に適合するようにしなければならないのは、労働者の過半数を代表する者にかわって決議をする委員と、 することができる」 @1か月単位の変形労働時間制 Aフレックスタイム制 B1年単位の変形労働時間制 C1週間単位の非定型的変形労働時間制 D休憩時間の一斉付与適用除外 E時間外及び休日労働 F代替休暇の付与 G事業場外労働のみなし労働時間 H専門業務型裁量労働制 I有給休暇の時間単位付与 J年次有給休暇の計画的付与 K年次有給休暇中の賃金」 |
労使員会の4/5以上の多数による決議が、労使協定の代替とないうるものとして、 F代替休暇の付与 I有給休暇の時間単位付与 を追加した。 |
周 知 義 務 |
法令等の周知義務(106条) H22.04.01 「使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、18条2項(貯蓄金管理)、24条1項ただし書(賃金の一部控除)、32条の2の1項(1か月単位の変形労働時間制)、32条の3(フレックスタイム制)、32条の4の1項(1年単位の変形労働時間制)、32条の5の1項(1週間単位の非定型的変形労働時間制)、34条2項ただし書(休憩時間の一斉付与適用除外)、36条1項(時間外及び休日労働)、37条3項(代替休暇の付与)、38条の2の2項(事業場外労働のみなし労働時間)、38条の3の1項(専門業務型裁量労働制)並びに39条4項(有給休暇の時間単位付与)、6項年次有給休暇の計画的付与、及び7項ただし書(年次有給休暇中の賃金)に規定する協定並びに38条の4の1項(企画業務型裁量労働制)及び5項(前期の労使協定(貯蓄金管理と賃金の一部控除を除く)にかわる決議)に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない」 |
・代替休暇の付与 ・有給休暇の時間単位付与 に関する労使協定または決議を、周知義務に追加
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過 半 数 代 表 者 |
過半数代表者(施行規則6条の2)(H22.04.01) 「労働基準法18条2項(貯蓄金管理)、24条1項ただし書(賃金の一部控除)、32条の2の1項(1か月単位の変形労働時間制)、32条の3(フレックスタイム制)、32条の4の1項 及び2項(1年単位の変形労働時間制)、32条の5の1項(1週間単位の非定型的変形労働時間制)、34条2項ただし書(休憩時間の一斉付与適用除外)、36条1項 、3項及び4項(いずれも時間外及び休日労働)、37条3項(代替休暇の付与)、38条の2の2項(事業場外労働のみなし労働時間)、38条の3の1項(専門業務型裁量労働制)並びに38条の4の2項1号(企画業務型裁量労働制)、39条4項(有給休暇の時間単位付与)、6項(年次有給休暇の計画的付与、及び7項ただし書(年次有給休暇中の賃金)並びに90条1項(就業規則)に規定する 労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)は、 次の各号のいずれにも該当する者とする」 「2項 前項1号に該当する者がいない事業場にあっては、18条2項(貯蓄金の委託管理に関する労使協定)、24条1項ただし書(賃金からの一部控除に関する労使協定)、39条4項(有給休暇の時間単位付与に関する労使協定)、39条6項(年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定)及び7項ただし書(年次有給休暇中の賃金に関する労使協定)並びに90条1項(就業規則の作成・変更時の意見聴取)に規定する労働者の過半数を代表する者は、前項2号に該当する者とする」 |
・代替休暇の付与 ・有給休暇の時間単位付与 などの追加に伴う措置 基礎知識と関連過去問の学習はこちら |