25年度 法改正トピックス( 国民年金法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント
保険料
の免除
 国民年金保険料の免除に関する厚生労働省令で定める事由(施行規則77条の7)(H24.07.09追加)
 「90条1項5号、90条の2の1項3号、2項3号及び3項3号並びに90条の3の1項3号等に規定する厚生労働省令で定める事由は、次に掲げる事由とする」
 B被保険者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律1条に規定する配偶者からの暴力を受けたとき、ただし、次に掲げる者が、それぞれ当該各号に該当するときに限る。
 イ被保険者及び世帯主(被保険者又は配偶者が世帯主である場合にあっては、被保険者):被保険者の保険料を納付することが困難と認められること。
 ロ配偶者:「配偶者からの暴力」を行った者であること。
 Cその他前3号に掲げる事由に準ずる事由により保険料を納付することが困難と認められるとき。
Bの追加: 通常は、被保険者本人、その配偶者(事実婚も含む)、世帯主いずれの所得も一定基準値以下であること。
 ただし、被保険者がDV被害者、その配偶者がDV加害者であって、住居を異にしている場合は、
(1)DV被害者が世帯主又はその配偶者が世帯主の場合:
 本人の所得が基準値以下
(2)配偶者以外の者が世帯主で、本人が同居の場合:本人と世帯主いずれの所得も基準値以下
(3)配偶者以外の者が世帯主で、配偶者が同居している場合:4号により、本人の所得のみが基準値以下

 「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力等((身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの、又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を)いい、それらを受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むもの」
 
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保険料の
収納
 政令に規定する厚生労働省令で定める場合(施行規則119条)(H24.10.30)
 「施行令11条の13の4号に規定する厚生労働省令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とする」
A 納付義務者が納入告知書又は納付書において指定する納付場所(年金事務所を除く)での納付が困難であると認められる場合
 機構が例外的に保険料等の収納を行うことができるケースとして、Aを追加
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情報提供  被保険者に対する情報の提供:いわゆる年金定期便(施行規則15条の2)(25.04.01)
 「2項 被保険者が35歳、45歳及び59歳に達する日の属する年度における通知は、当該被保険者に係る1項各号に掲げる事項(重複する事項は除く)のほか、次の各号に掲げる事項を記載した書面によつて行うものとする」
 年金定期便は、被保険者の誕生月に毎年送付され、過去1年間の保険料納付状況などが通知される仕組みになっている。
 また、35歳、45歳及び59歳の誕生月には、節目の年として、過去全期間の保険料納付状況などが通知される。
 25年度からは、節目の年として、従来の「58歳」を、「59歳」に変更
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 被保険者及び被保険者であつた者に対する情報の提供等(施行規則133条)(H25.04.01新設)
 「厚生労働大臣は、被保険者及び被保険者であつた者に対し、必要に応じ、年金たる給付を受ける権利の裁定の請求に係る手続に関する情報を提供するとともに、当該裁定を請求することの勧奨を行うものとする」
 「2項 厚生労働大臣は、前項の規定による情報の提供及び勧奨を適切に行うため、被保険者であつた者その他の関係者及び関係機関に対し、被保険者であつた者に係る氏名、住所その他の事項について情報の提供を求めることができる」
1項:従来からもターンアラウンド裁定請求書(基礎的な事項は既に書きこまれているので、必要に応じてその修正を行うとともにその他の本人記載事項のみを追加するだけですむ書類)やはがき形式の案内などの送付サービスは行われてきたが、さらに徹底するために法整備を。
2項:60歳から65歳までの間のいわゆる年金受給待期者は、被保険者でない限り住所変更届・氏名変更届の提出が不要であるため、その対策が課題になっていた。
 25年10月からは住基ネットの活用など、さらに徹底した対策が予定されている。基礎知識と過去問学習はこちらを
後納納付制度  後納制度(国民年金保険料の納付の特例) (年金確保支援法附則2条)  (H24.10.01) 
 「政令で定める日(平成24年10月1日)から起算して3年を経過する日(すなわち平成27年9月30日)までの間(において、国民年金の被保険者又は被保険者であつた者(老齢基礎年金の受給権者を除く)は、厚生労働大臣の承認を受け、その者の被保険者期間のうち、保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間(承認の日の属する月前10年以内の期間であつて、当該期間に係る保険料を徴収する権利が時効によつて消滅しているものに限る)の各月につき、当該各月の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額の 国民年金の保険料(後納保険料)を納付することができる」
 「同2項 厚生労働大臣は、前項の承認を行うに際して、同項の承認を受けようとする者が納期限までに納付しなかつた保険料であつてこれを徴収する権利が時効によつて消滅していないもの(滞納保険料)の全部又は一部を納付していないときは、当該滞納保険料の納付を求めるものとする」
 「同3項 後納保険料の納付は、先に経過した月の国民年金の保険料に係る後納保険料から順次に行うものとする」
 「同4項 後納保険料の納付が行われたときは、納付が行われた日に、納付に係る月の保険料が納付されたものとみなす」
⇒後納した日から、保険料納付済月数に加算される。
 後納保険料の額(後納納付制度施行に伴う経過措置に関する政令)
 「年金確保支援法附則2条1項に規定する政令で定める額は、後納保険料を納付する月が次の表の上欄に掲げる年度に属する場合において、当該納付対象月に係る国民年金の保険料に相当する額にそれぞれ同表の下欄に定める率を乗じて得た額とする」
 申し出た月より、過去2年から10年以内の未納分があれば納付することができるように。
 ○24年10月にすぐに申し出た者は平成14年10月まで遡ることが可能。
 ○任意加入できるのに任意加入していなかった期間は、もともと納付義務がない(徴収する権利もない)ので、対象外。
 ○すでに老齢基礎年金を受給している者(繰上げして受給している者を含めて)は対象外。 
 ○付加保険料を後納することはできない。
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国庫負担  平成21年度から25年度における基礎年金の国庫負担に関する経過措置の特例(平成16年改正法附則14条の2) 法改正(24.11.26)
 「国庫は、平成21年度から平成25年度までの各年度における国民年金事業に要する費用のうち基礎年金の給付に要する費用の一部に充てるため、国庫負担1/2化に伴う必要な額(1/2と(1/3+32/1000)との差額)を負担する。
 この場合において、当該額については、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律の規定により、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から一般会計に繰り入れられる繰入金を活用し、
 平成23年度にあっては、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に規定する公債の発行による収入金を活用して、確保するものとし、
 平成24年度及び平成25年度にあっては財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の規定により発行する公債の発行による収入金を活用して、確保する」
・平成21年度から平成23年度までを、21年度から25年度までに
・平成24年度及び平成25年度については、特例公債法に基づく公債の発行による。
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 特定年度の前年度(平成16年改正法附則16条の2)  法改正(24.11.26)
 「特定年度の前年度が平成26年度以後の年度である場合において、
 当該特定年度の前年度まで(平成25年度以前の年度を除く)の各年度における国民年金事業に要する費用のうち基礎年金の給付に要する費用の一部に充てるため、
 当該各年度について附則14条の2前段の規定の例により算定して得た差額に相当する額を、必要な税制上の措置を講じた上で、国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるものとする」  
・(特定年度の前年度が)平成24年度以降とあったのを、平成26年度以降に。
 すなわち、特定年度を24年度と予定したのを26年度とすることにし、もし27年度以降にずれ込んだ場合においても、その前年度までの国庫負担が実質上1/2となるように、必要な法律上と財政上の措置をとることに。
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 免除期間に対する給付に要する費用(平成21年度以降)(平成16年改正法附則14条2項) 法改正(24.11.26))
 「保険料免除期間を有する者に支給する平成21年4月以後の月分の国民年金法による老齢基礎年金も給付に要する費用の額については、
 平成21年4月から平成26年3月までの期間及び特定月以降の期間
に対しては、85条2号(国庫負担1/2による給付費用)により、
 平成21年3月以前の期間に対しては、16年改正法附則13条7項2号(国庫負担1/3による給付費用)によるものとする」
 (平成21年4月から)平成24年3月までの期間とあったのを、平成26年3月間での期間に。
 すなわち、平成21年4月以降の免除期間のみについて国庫負担を1/2とし、それに対応した年金額とする。
 この措置は、特定年度を26年度と予定し、平成21年4月から26年3月までの期間に対しても適用されるように。
 免除期間に対する給付に要する費用(特定月の前月まで)(平成16年改正法附則16条の2の2項) 法改正(H24.11.26)、
 「特定月の前月までの期間(平成26年3月以前の期間を除く)に係る保険料免除期間を有する者の老齢基礎年金の額の計算においては、当該期間に係る保険料免除期間の月数について、平成21年4月から平成26年3月までの期間に係る保険料免除期間の月数の算定と同様に取り扱われるよう、必要な法制上の措置を講ずるものとする」  
・24年3月を26年3月に
 すなわち、特定年度を24年度と予定したのを26年度とすることにし、もし27年度以降にずれ込んだ場合においても、26年4月以降特定年度の特定月前月までに保険料免除期間がある場合も、なんとかして、国庫負担が1/2であるとして年金額を計算する。
国民
年金基金
 任意加入(附則5条)
 「12項(H25.04.01追加)任意加入被保険者(日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者に限る)は、116条1項(地域型基金)及び2項(職能型基金)並びに127条(加入員)1項の規定の適用については、第1号被保険者とみなす」
 「13項 H25.04.01追加)任意加入被保険者が中途脱退者であつて再びもとの基金の加入員となつた場合における130条2項(137条の17の5項において準用する場合を除く)の規定の適用については、130条2項項中「当該基金の加入員であつた期間」とあるのは「当該基金の加入員であつた期間であつて、連合会がその支給に関する義務を負つている年金又は一時金の額の計算の基礎となる期間を除いたもの 」とする。
 この場合においては、137条の18の規定は、適用しない」
12項:日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者で、国民年金に任意加入しているものは、国民年金基金の地域型、職能型いずれの加入員にもなることができる。

 13項:基金の加入者であったものが中途脱退し、60歳以後に再び同じ基金の加入員になった者が、老齢基礎年金にあわせて受給する年金額は、連合会が支給する義務のある期間を除いた期間に応じて、130条2項の額を基金から支給する。
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 加入員資格喪失届(国民年金基金規則8条)H25.04.01
 「加入員の資格の喪失の届出 (@死亡した、A60歳に達した、B国民年金に任意加入していた者が65歳になった 、C老齢基礎年金の額の計算月数が480月に達して満額になることになったことによる資格喪失の届出を除く) は、当該事実のあった日から十四日以内に、所定の事項を記載した届書を基金に提出することによって行わなければならない」
  日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者で国民年金に任意加入中の者は、国民年金基金も加入できることになった。
 これに伴い、B国民年金に任意加入していた者が65歳になった、C老齢基礎年金の額の計算月数が480月に達して満額になったことにより、国民年金の任意加入被保険者の資格喪失した場合は、基金の加入員資格も同時に失うことになる。
 ただし、この2例については資格喪失届不要の事由として追加されたので、改めて基金への届出は不要である。
 なお、@、Aについては、従来から、基金への喪失届は不要であった。
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 国民年金基金からの年金受給権者の現況届(国民年金基金規則15条)
 「年金の受給権者 (年金の全額につき支給を停止されている者及び基金が生存の事実を確認することができる者(基金から情報の収集に関する業務を委託された連合会が住民基本台帳法の規定により当該受給権者に係る本人確認情報の提供を受けることにより確認が行われた者に限る) を除く) は、規約の定めるところにより、自ら署名した書面その他の生存を明らかにすることができる書面を基金に提出しなければならない」
 
 国民年金基金から年金を受給している者についても、毎年、誕生月には現況届の提出が義務付けられていた。
 法改正後は、基金→国民年金基金連合会→市区町村住基ネットワーク(現在は地方公共団体情報システム機構)のルートで、住所情報(生存情報)の提供を受けることができる場合は、現況届を毎年提出する必要はないことに。
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