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有害物の製造等禁止、製造の許可、表示、文書の交付 | |||||||||||||||||
関連過去問 11-9C、11-9D、11-9E、令3-8D、令3-8E | |||||||||||||||||
関連条文 製造等の禁止(55条)、製造等が禁止される有害物(施行令16条)、製造の許可(56条)、製造の許可を受けるべき有害物(施行令17条)、表示等(57条)、名称等を表示すべき危険物・有害物(製造許可物質以外のもの)(安全衛生法施行令18条)、人体に及ぼす作用についての表示(安全衛生規則33条の2)、 文書の交付等(57条の2)、名称等を通知すべき危険物及び有害物(製造許可物質以外のもの)(施行令18条の2)、名称等の通知(安全衛生規則34条の2の3)、通知(安全衛生規則34条の2の5)、 57条1項の政令で定める物及び通知対象物について事業者が行うべき調査等(57条の3)、化学物質の有害性の調査(57条の4、57条の5)、化学物質管理者が管理する事項等(安全衛生規則12条の5)、保護具着用管理責任者の選任等(安全衛生規則12条の6)、リスクアセスメントの実施時期等(安全衛生規則34条の2の7)、リスクアセスメントの結果等の記録及び保存並びに周知(安全衛生規則34条の2の8)、指針の公表(安全衛生規則34条の2の9)、改善の指示等(安全衛生規則34条の2の10)、ばく露の程度の低減等(安全衛生規則577条の2) | |||||||||||||||||
製 造 禁 止 |
1.製造等の禁止(55条) 「黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。 ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない」 製造等が禁止される有害物(施行令16条) @黄りんマツチ、Aベンジジン及びその塩、B4-アミノジフェニル及びその塩、C石綿(一定のものを除く)、D四―ニトロジフエニル及びその塩、Eビス(クロロメチル)エーテル、Fベータ―ナフチルアミン及びその塩、Gベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む)の5%を超えるもの、H上記A、B若しくはDからFまでに掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又はCに掲げる物をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物 「同2項 55条ただし書きの政令で定める要件は、次の通り」 @製造、輸入又は使用について、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けること。この場合において、輸入貿易管理令の規定による輸入割当てを受けるべき物の輸入については、輸入割当てを受けたことを証する書面を提出しなければならない。 A厚生労働大臣が定める基準に従つて製造し、又は使用すること。 | ||||||||||||||||
11 9C |
ベンジジンは労働者に重度の健康障害を生ずる物として製造等が禁止されているが、試験研究のために製造し、輸入し、又は使用する場合で、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受ける等の要件に該当するときは、この禁止が解除される。 | ||||||||||||||||
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製 造 許 可 |
2.製造の許可(56条) 「ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない」 製造の許可を受けるべき有害物(施行令17条) 「56条の政令で定める物は、別表第3の1号に掲げる第一類物質及び石綿分析用試料等とする」 ⇒第一類物質とは、ジクロルベンジジン及びその塩、アルファナフチルアニン及びその塩、塩素化ビフェニル(PCB)、ベリリウム及びその化合物、ベンゾトリクロリドなど |
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11 9D |
ジクロルベンジジン等労働者に重度の健康障害を生ずる恐れのある一定の物を製造する場合には、あらかじめ製造する場所を管轄する都道府県労働局長の許可を受けることが必要である。 | ||||||||||||||||
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表 示 |
3.表示等(57条) 法改正(H28.06.01)法改正 H18.12.1施行) 「爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で、 政令で定めるもの又は前条1項の物(製造許可物質)を 容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。 ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない」 @次に掲げる事項: イ名称、ロ人体に及ぼす作用、ハ貯蔵又は取扱い上の注意、二前記イからハなでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項 A当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの 「同2項 前項の政令で定める物又は前条1項の物(製造許可物質)を前項に規定する方法(容器に入れるか、包装する方法)以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところ(継続的な場合を除き、譲渡、又は提供する際に)、同項各号の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない」 ⇒タンクローリーなどで継続的に輸送する場合は、一度だけでよいから文書を交付する。 名称等を表示すべき危険物・有害物(製造許可物質以外のもの) (安全衛生法施行令18条) @別表第9に掲げる物(アルミニウム、イットリウム、インジウム、カドミウム、銀、クロム、コバルト、すず、タリウム、タングステン、タンタル、銅、鉛、ニッケル、白金、ハフニウム、フェロバナジウム、マンガン、モリブデン又はロジウムにあつては、粉状のものに限る) A別表第9に掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令(安全衛生規則30条)で定めるもの B別表第3の1号1から7までに掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令(安全衛生規則31条)で定めるもの ⇒表示対象物は、 爆発性、発火性、引火性の物その他で労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で上記の施行令18条によるもの及び製造許可物質 人体に及ぼす作用についての表示(安全衛生規則33条の2) 法改正(R05.04.01新規) 「事業者は、施行令17条に規定する物(製造許可物質)又は同18条(名称等を表示すべき危険物・有害物(製造許可物質以外のもの))各号に掲げる物を容器に入れ、又は包装して保管するとき(法57条1項の規定による表示がされた容器又は包装により保管するときを除く)は、当該物の名称及び人体に及ぼす作用について、当該物の保管に用いる容器又は包装への表示、文書の交付その他の方法により、当該物を取り扱う者に、明示しなければならない」 |
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11 9E |
ベンゼンを容器に入れて譲渡する者は、その名称をその容器に表示しなければならないが、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意等一定の事項については表示するよう努めることで足りる。(H29改) | ||||||||||||||||
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文
書
の
交
付
等 |
4.文書の交付等(57条の2) (法改正H18.12.1施行) 「労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は56条1項の物(製造許可物質)(あわせて通知対象物という)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(57条2項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。 ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない」
「同2項 通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の同項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない」 ⇒変更があったときの通知は努力義務。 ただし、「人体に及ぼす作用」についてはこの例外とすることに。こちらを 名称等を通知すべき危険物及び有害物(製造許可物質以外のもの)(施行令18条の2) @別表第9に掲げる物(アルミニウム、イットリウム、インジウム、カドミウム、銀、クロム、コバルト、すず、タリウム、タングステン、タンタル、銅、鉛、ニッケル、白金、ハフニウム、フェロバナジウム、マンガン、モリブデン又はロジウムにあつては、粉状のものに限る) A別表第9に掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令(安全衛生規則34条の2)で定めるもの B別表第3の1号1から7までに掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令(安全衛生規則34条の2)で定めるもの ⇒通知対象物は、 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で上記の政令で定めるもの及び製造許可物質で、表示対象物とほぼ同じである。 名称等の通知(安全衛生規則34条の2の3) 法改正(R04.05.31) 「法57条の2の1項及び2項の厚生労働省令で定める方法は、磁気ディスク、光ディスクその他の記録媒体の交付、ファクシミリ装置を用いた送信若しくは電子メールの送信又は当該事項が記載されたホームページのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む)及び当該アドレスに係るホームページの閲覧を求める旨の伝達とする」 厚生労働省令で定める事項(安全衛生規則34条の2の4) 法改正(R06.04.01:C号追加、D、Eは旧4号、5号の繰下げ)) 「法57条の2の1項7号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする」 @法57条の2の1項の規定による通知を行う者の氏名(法人にあつては、その名称)、住所及び電話番号 A危険性又は有害性の要約 B安定性及び反応性 C想定される用途及び当該用途における使用上の注意 D適用される法令 Eその他参考となる事項 通知(安全衛生規則34条の2の5) 法改正(R05.04.01、2項と3項を追加) 「法57条の2の1項の規定による通知は、同項の通知対象物を譲渡し、又は提供する時までに行わなければならない。ただし、継続的に又は反復して譲渡し、又は提供する場合において、既に当該通知が行われているときは、この限りでない」 「同2項 法57条の2の1項の通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、同項4号の事項(人体に及ぼす作用)について、直近の確認を行つた日から起算して5年以内ごとに1回、最新の科学的知見に基づき、変更を行う必要性の有無を確認し、変更を行う必要があると認めるときは、当該確認をした日から1年以内に、当該事項に変更を行わなければならない」 「同3項 前項の者は、同項の規定により人体に及ぼす作用に変更を行つたときは、変更後の事項を、適切な時期に、譲渡し、又は提供した相手方の事業者に通知するものとし、文書若しくは磁気ディスク、光ディスクその他の記録媒体の交付、ファクシミリ装置を用いた送信若しくは電子メールの送信又は当該事項が記載されたホームページのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む)及び当該アドレスに係るホームページの閲覧を求める旨の伝達により、変更後の当該事項を、当該相手方の事業者が閲覧できるようにしなければならない」 ・57条2項によれば、通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、相手方に通知するよう努めなければならない」とあるが、 ・「人体に及ぼす作用」については、継続的に、変更の必要性の有無を確認し、変更の必要性があるときは、変更を実施し、変更事項を通知しなければならないことに。 |
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リ ス ク ア セ ス メ ン ト |
5.リスクアセスメント 57条1項の政令で定める物及び通知対象物について事業者が行うべき調査等(57条の3) 法改正(H28.06.01新規) 「事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、57条1項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない」 「同2項 事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない」 「同3項 厚生労働大臣は、28条1項及び3項に定めるもののほか、前2項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする」 「同4項 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる」 化学物質管理者が管理する事項等 (安全衛生規則12条の5) 法改正(R06.04.01新規) 「事業者は、法57条の3の1項の危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く。以下「リスクアセスメント」という)をしなければならない施行令18条各号に掲げる物及び法57条の2の1項に規定する通知対象物(以下「リスクアセスメント対象物」という)を製造し、又は取り扱う事業場ごとに、化学物質管理者を選任し、その者に当該事業場における次に掲げる化学物質の管理に係る技術的事項を管理させなければならない。 ただし、法57条1項の規定による表示(表示する事項及び標章に関することに限る)、同条2項の規定による文書の交付及び法57条の2の1項の規定による通知(通知する事項に関することに限る)(以下この条において「表示等」という)並びに7号に掲げる事項(表示等に係るものに限る。以下この条において「教育管理」という)を、当該事業場以外の事業場において行つている場合においては、表示等及び教育管理に係る技術的事項については、他の事業場において選任した化学物質管理者に管理させなければならない」 @法57条1項の規定による表示、同条2項の規定による文書及び法57条の2の1項の規定による通知に関すること。 Aリスクアセスメントの実施に関すること。 Bばく露の程度の低減措置等 Cリスクアセスメント対象物を原因とする労働災害が発生した場合の対応に関すること。 D、E結果の記録の作成及び保存並びにその周知に関すること。 F@からC号までの事項の管理を実施するに当たつての労働者に対する必要な教育に関すること。 @「リスクアセスメント」とは、危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く)をいう。 A「リスクアセスメント対象物」とは、リスクアセスメントをしなければならない施行令18条各号に掲げる物(製造許可物質以外の表示対象物)及び法57条の2の1項に規定する通知対象物(製造許可物質を含む)をいう。 「同2項 事業者は、リスクアセスメント対象物の譲渡又は提供を行う事業場(前項のリスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場を除く)ごとに、化学物質管理者を選任し、その者に当該事業場における表示等及び教育管理に係る技術的事項を管理させなければならない。ただし、表示等及び教育管理を、当該事業場以外の事業場において行つている場合においては、表示等及び教育管理に係る技術的事項については、他の事業場において選任した化学物質管理者に管理させなければならない。 「同3項 前2項の規定による化学物質管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない」 @化学物質管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。 A次に掲げる事業場の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること。 ・リスクアセスメント対象物を製造している事業場:厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習を修了した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者 ・上記事業場以外の事業場 上記に定める者のほか、1項各号の事項を担当するために必要な能力を有すると認められる者 「同4項 事業者は、化学物質管理者を選任したときは、当該化学物質管理者に対し、1項各号に掲げる事項をなし得る権限を与えなければならない」 「同5項 事業者は、化学物質管理者を選任したときは、当該化学物質管理者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知させなければならない」 保護具着用管理責任者の選任等(安全衛生規則12条の6) 法改正(R06.04.01新規) 「化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、次に掲げる事項を管理させなければならない」 @保護具の適正な選択に関すること。 A労働者の保護具の適正な使用に関すること。 B保護具の保守管理に関すること。 ⇒「保護具」については、こちらも参照のこと。 「同2項 前項の規定による保護具着用管理責任者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない」 @保護具着用管理責任者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。 A保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任すること。 ⇒3項、4項は、化学物質管理者の4項、5項と同様。 リスクアセスメントの実施時期等(安全衛生規則34条の2の7) 法改正(R06.04.01)、法改正(R04,05.31) 「リスクアセスメントは、次に掲げる時期に行うものとする」 @リスクアセスメント対象物を原材料等として新規に採用し、又は変更するとき。 Aリスクアセスメント対象物を規に採用し、又は変更するとき。 B前2号に掲げるもののほか、リスクアセスメント対象物による危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。 実施方法(安全衛生規則34条の2の7の2項)法改正(R04,05.31) 「リスクアセスメントは、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務ごとに、次に掲げるいずれかの方法(リスクアセスメントのうち危険性に係るものにあつては、@又はBのうち@に準ずる方法)に掲げる方法に限る))により、又はこれらの方法の併用により行わなければならない」 @当該リスクアセスメント対象物が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は当該リスクアセスメント対象物により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度及び当該危険又は健康障害の程度を考慮する方法(すなわち、発生可能性と重篤度を考慮する方法) A当該業務に従事する労働者が当該リスクアセスメント対象物にさらされる程度及び当該リスクアセスメント対象物の有害性の程度を考慮する方法(すなわち、暴露濃度と有害性の程度を考慮する方法) B前2号に掲げる方法に準ずる方法) ⇒法改正(R05.04.01)により、「調査対象物」から「リスクアセスメント対象物」に名称変更。 リスクアセスメントの結果等の記録及び保存並びに周知(安全衛生規則34条の2の8)法改正(R04,05.31) 「事業者は、リスクアセスメントを行つたときは、次に掲げる事項について、記録を作成し、次にリスクアセスメントを行うまでの期間(リスクアセスメントを行つた日から起算して3年以内に当該リスクアセスメント対象物についてリスクアセスメントを行つたときは、3年間)保存するとともに、当該事項を、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければならない」 @当該リスクアセスメント対象物の名称、A当該業務の内容、 B当該リスクアセスメントの結果、 C当該リスクアセスメントの結果に基づき事業者が講ずる労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置の内容。 「同2項 法改正(R05.12.27) 前項の規定による周知は、次に掲げるいずれかの方法により行うものとする。 @当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けること。 A書面を、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に交付すること。 B事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもつて調製するファイルに記録し、かつ、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う各作業場に、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 指針の公表(安全衛生規則34条の2の9) 「安全衛生規則24条の規定は、法57条の3の3項の規定による指針の公表について準用する」 改善の指示等(安全衛生規則34条の2の10) 法改正(R06.04.01新規) 「労働基準監督署長は、化学物質による労働災害が発生した、又はそのおそれがある事業場の事業者に対し、当該事業場において化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると認めるときは、当該事業場における化学物質の管理の状況について改善すべき旨を指示することができる」 「同2項 前項の指示を受けた事業者は、遅滞なく、事業場における化学物質の管理について必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(化学物質管理専門家という)から、当該事業場における化学物質の管理の状況についての確認及び当該事業場が実施し得る望ましい改善措置に関する助言を受けなければならない」 「同3項 前項の確認及び助言を求められた化学物質管理専門家は、同項の事業者に対し、当該事業場における化学物質の管理の状況についての確認結果及び当該事業場が実施し得る望ましい改善措置に関する助言について、速やかに、書面により通知しなければならない」 「同4項 事業者は、前項の通知を受けた後、1月以内に、当該通知の内容を踏まえた改善措置を実施するための計画を作成するとともに、当該計画作成後、速やかに、当該計画に従い必要な改善措置を実施しなければならない」 「同5項 事業者は、前項の計画を作成後、遅滞なく、当該計画の内容について、3項の通知及び前項の計画の写しを添えて、改善計画報告書(様式第四号)により、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない」 「同6項 事業者は、4項の規定に基づき実施した改善措置の記録を作成し、当該記録について、3項の通知及び4項の計画とともに3年間保存しなければならない。 チョッと補足(リスクアセスメント) (1)ここでいうリスクとは化学物質やその製剤が持っている危険性や有害性(労働災害を誘発するリスク)のことで、それをアセスメントするとは、危険性や有害性を特定して、それによるリスクの程度を見積もり、さらにはリスクの低減対策を検討・実施することをさす。 (2)義務化事業場:業種、事業規模に関わらず、スクアセスメント対象物の製造・取扱を行うすべての事業場 (3)実施体制 ・統括安全衛生管理者など:実施を統括管理 こちらを参照 ・安全管理者・衛生管理者、作業主任者、職長など:実施を管理 ・化学物質管理者:技術的業務を実施 ・安全委員会:付議事項 ・衛生委員会:付議事項 ・労働衛生コンサルタント、労働安全コンサルタントなど:技術的な助言を得るために、活用が望まれる。 (4)関連用語 ・SDS(安全データシート):有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡又は、提供する際に、対象化学物質等の性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書。 ・GHS:化学品の危険有害性ごとの分類基準、安全データシート、ラベルなどについて、世界的に統一されたルール。これに基づき、危険険有害性を表すためのラベル(容器、外部梱包に貼付あるいは印刷された絵表示)が普及している。 |
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衛生基準 有害な作業環境からの関連規定 ばく露の程度の低減等(安全衛生規則577条の2) 法改正(R06.04.01:2項から9項追加、10項以降は旧2項以下を繰下げ)、法改正(R05.04.01新規) 「事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場において、リスクアセスメントの結果等に基づき、労働者の健康障害を防止するため、代替物の使用、発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置の設置及び稼働、作業の方法の改善、有効な呼吸用保護具を使用させること等必要な措置を講ずることにより、リスクアセスメント対象物に労働者がばく露される程度を最小限度にしなければならない」 「同2項 事業者は、リスクアセスメント対象物のうち、一定程度のばく露に抑えることにより、労働者に健康障害を生ずるおそれがない物として厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う業務(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く)を行う屋内作業場においては、当該業務に従事する労働者がこれらの物にばく露される程度を、厚生労働大臣が定める濃度の基準以下としなければならない。 リスクアセスメント対象物健康診断(3項健診) (安全衛生規則577条の2の3項) [事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、法66条の規定による健康診断のほか、リスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師又は歯科医師が必要と認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない」 リスクアセスメント対象物健康診断(4項健診) (安全衛生規則577条の2の4項) 「事業者は、2項の業務に従事する労働者が、同項の厚生労働大臣が定める濃度の基準を超えてリスクアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、当該労働者に対し、医師又は歯科医師が必要と認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない」 健診結果についての個人票の作成と保存(同5項) 「事業者は、前二項の健康診断(リスクアセスメント対象物健康診断という)を行つたときは、リスクアセスメント対象物健康診断の結果に基づき、リスクアセスメント対象物健康診断個人票を作成し、これを5年間(リスクアセスメント対象物健康診断に係るリスクアセスメント対象物ががん原性がある物として厚生労働大臣が定めるものである場合は、30年間)保存しなければならない」 健診の結果異常の所見がある場合の医師等からの意見聴取(同6項) 「事業者は、リスクアセスメント対象物健康診断の結果(リスクアセスメント対象物健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、次に定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない」 @リスクアセスメント対象物健康診断が行われた日から3月以内に行うこと。 A聴取した医師又は歯科医師の意見をリスクアセスメント対象物健康診断個人票に記載すること。 健診の結果異常の所見がある場合に適切な措置を講ずる義務(同8項) 「事業者は、6項の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、衛生委員会又は安全衛生委員会への当該医師又は歯科医師の意見の報告その他の適切な措置を講じなければならない」 「同9項 事業者は、リスクアセスメント対象物健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、リスクアセスメント対象物健康診断の結果を通知しなければならない」 その他重要事項(労働者からの意見聴取、労働者への周知) 「同10項 事業者は、1項、2項及び8項の規定により講じた措置について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けなければならない」 「同11項 事業者は、次に掲げる事項(3号については、がん原性物質を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に限る)について、1年を超えない期間ごとに1回、定期に、記録を作成し、当該記録を3年間(2号(リスクアセスメント対象物ががん原性物質である場合に限る)及び3号については、30年間)保存するとともに、1号及び4号の事項について、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければならない」 @1項、2項及び8項の規定により講じた措置の状況 Aリスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者のリスクアセスメント対象物のばく露の状況 B労働者の氏名、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間並びにがん原性物質により著しく汚染される事態が生じたときはその概要及び事業者が講じた応急の措置の概要 C前項の規定による関係労働者の意見の聴取状況 「同12項 前項の規定による周知は、次に掲げるいずれかの方法により行うものとする」 @当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けること。 A書面を、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に交付すること。 B事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもつて調製するファイルに記録し、かつ、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う各作業場に、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドラインからの抜粋 @基本的な考え方 事業者による自律的な化学物質管理の一環として、リスクアセスメントの結果に基づき、 健康障害発生リスクが高いと判断された労働者に対し、医師等が必要と認める項目について、リスクの程度及び有害性の種類に応じた頻度で実施するものである。 化学物質による健康障害をばく露防止対策が適切に実施され、労働者の健康障害発生リスクが許容される範囲を超えないと事業者が判断すれば、基本的にはリスクアセスメント対象物健康診断を実施する必要はない。 A費用負担 リスクアセスメント対象物健康診断は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務による健康障害発生リスクがある労働者に対して実施するものであることから、その費用は事業者が負担しなければならないこと。 また、派遣労働者については、派遣先事業者にリスクアセスメント対象物健康診断の実施義務があることから、その費用は派遣先事業者が負担しなければならないこと。 なお、リスクアセスメント対象物健康診断の受診に要する時間の賃金については、労働時間として事業者が支払う必要があること。 B既存の特殊健康診断との関係 特殊健康診断の実施が義務づけられている物質(歯科健康診断も含む)物質については、リスクアセスメント対象物健康診断を重複して実施する必要はないこと。 |
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6.有害性調査 化学物質の有害性の調査(57条の4) 「化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質(3項の規定によりその名称が公表された化学物質を含む))以外の化学物質(新規化学物質という)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従つて有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときその他政令で定める場合は、この限りでない」 @当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。 A当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、既に得られている知見等に基づき厚生労働省令で定める有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。 B当該新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき。 C当該新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品(当該新規化学物質を含有する製品を含む))として輸入される場合で、厚生労働省令で定めるとき。 「2項 有害性の調査を行つた事業者は、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない」 「3項 厚生労働大臣は、1項の規定による届出があつた場合(同項Aの規定による確認をした場合を含む)には、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質の名称を公表するものとする」 がんなどに対する化学物質の有害性調査(57条の5) 「厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができる」 「2項 前項の規定による指示は、化学物質についての有害性の調査に関する技術水準、調査を実施する機関の整備状況、当該事業者の調査の能力等を総合的に考慮し、厚生労働大臣の定める基準に従つて行うものとする」p 「3項 厚生労働大臣は、1項の規定による指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならない」 「4項 1項の規定による有害性の調査を行つた事業者は、その結果に基づいて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない」。 「5項 3項の規定により1項の規定による指示について意見を求められた学識経験者は、当該指示に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」 |
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令 3 8D |
労働安全衛生法では、化学物質による労働者の健康障害を防止するため、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう)を行うよう努めなければならないとされている。 | ||||||||||||||||
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令 3 8E |
労働安全衛生法では、厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができることとされ、また、その指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならないとされている。 | ||||||||||||||||
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