労働基準法 解答の解説
1A  10-7D11-1D11-1E13-1D14-1C14-7C16-1A16-1B20-7D23-1D29-1イ29-2ウ
1B  10-1E11-1B12-1D13-1C14-2A15-1D19-1A19-1B19-1C24-4D26-1D26-1E、27-1E27-3C29-2ア29-2エ29-2オ29-5オ21-1選択
1C  10-1D10-2C10-2E11-5C12-2A12-2E13-1A13-1B13-1E13-4C14-1D14-2D14-2E14-7A15-1C15-3D16-1C17-7A18-1C18-2D20-1A20-1B20-1C20-1D20-7A20-7B20-7C20-7E21-1D22-1A22-1B22-3C23-1B23-2C23-2D23-2E24-1E25-6D25-6E26-1A26-1B27-1D27-3D28-1エ28-2C28-2D28-2E29-5イ29-5ウ11-選択11-2選択
1D  12-1B14-1E16-1D21-1E23-1C24-4C26-1C29-5エ20-2選択
1E  09-2D10-1C11-1A11-2C11-2D12-1A12-1C12-2C12-2D13-5C14-1A14-2C14-2B14-6C15-2A15-2C15-2E16-1E18-1A18-3C19-1E20-1E21-1A、21-1B21-1C21-2B21-3C23-1A23-2B23-5A23-5B23-6C24-2D24-2E24-3オ24-4A24-4B24-7A24-7E25-1B25-1D25-5A25-5B25-5C25-5D25-5E25-6C26-7エ27-1A27-1B27-1C28-1ア28-1イ28-1ウ28-2B28-5C29-3B29-3E29-5ア一般15-5E19-1選択19-2選択
10
7D
 労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用されない。
 それ以外には、ごく一部の例外(一般職の国家公務員)を除いて、事業に使用されるすべての労働者に適用される。
 通達(S43.10.9基収4194)によると、
 「わが国で行われる事業については、事業主又は労働者が外国人であると否とを問わず、法令又は条約に特別の定めがある場合を除き、法の適用がある。
 ただし、外国政府及び国際法によっていわゆる外交特権を有する外交官等については、原則としてわが国の裁判権は及ばない」
 よって、労基法の適用に当たっては、それが日本人であるか外国人であるか、その外国人の就労が不法であるか否かには左右されない。
14
1C

 116条2項により、労基法は、同居の親族のみを使用する事業を除き、労働者を使用するすべての事業に適用される。
 「別表1に掲げる事業以外の事業であっても、原則として、労働者を使用する事業又は事務所はすべて、労働基準法の適用を受けることになる」(H11.1.29基発45)

11
1D
 116条2項により、労基法は、同居の親族のみを使用する事業を除き、労働者を使用するすべての事業に適用される。
 「別表1に掲げる事業以外の事業であっても、原則として、労働者を使用する事業又は事務所はすべて、労働基準法の適用を受けることになる」(H11.1.29基発45)
20
7D
 116条2項に、
 「労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」とある。
 「同居の親族のみを使用する事業」とある点が重要。
 一方、その他の者も雇っている場合には、同居の親族についても適用される可能性がある。
 詳細についてはこちらを
 なお、親族とは、
 「民法の規定にいう6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族」と解されている。
29
2ウ
 「同居の親族」に対する労働基準法の適用可能性については、116条2項に、
 「同居の親族のみを使用する事業については、適用しない」とある。
 その理由は、通達(S54.4.2基発153)によれば、
 「同居の親族は、事業主と居住及び生計を一にするものであり、原則として、その就労の実態にかかわらず労働基準法上の労働者に該当しない」とある。
 ただし、同通達によりと、「同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において一般事務又は現場作業等に従事し、かつ次の@及びAの条件を満たすものについては、一般に私生活面での相互協力関係とは別に独立した労働関係が成立しているとみられるので、労働基準法上の労働者として取扱うものとする」
@業務を行なうにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること。
A就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等及び賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期等について、就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること」とある。
 つまり、同居の親族以外のものを一人でも使用している場合は、その事業には労働基準法が適用され、同居の親族以外の者は労働者、同居の親族は労働者でない、ということになるが、
 「一般事務又は現場作業等に従事し、かつ上記@及びAの条件を満たす同居の親族に限っては、労働基準法が適用される」
⇒「同居の親族」とあるから、いわゆる通いの親族については、親族以外の一般の者と同様の判定基準に従う。
16
1B
 16条2項により、「家事使用人には労働基準法は適用されない」とあるから、労働基準法が適用される労働契約とはならない」
 ここでいう「家事使用人」とは、家事一般に使用される者をいっている。
 本肢の場合、「家事一般に従事するための契約」とあるから、労働基準法が適用されない文字通りの「家事使用人」としての雇用契約である。
 ただし実際問題としては、ここでいう「家事使用人」に該当するかどうかは、「従事する作業の種類、性質など具体的な実態を見て判断しないといけない」とされている
 また、家事が専業でない場合は、どちらが本来業務であるかを見極めないといけない。
 たとえば、個人事業の見習い雇い人などであって、
 家事の手伝いが主で空いた時間に見習いを行なっている場合は、労基法の適用がない雇用契約であるが、 仕事の見習い修業が主であって、その合間に家事も手伝わせている場合は、労基法の適用がある労働契約である。(ただし、これも契約のタイトルだけで判断してはいけない)。
13
1D
 116条2項に より、
 「労働基準法は、家事使用人については、適用しない」
 これが原則であるが、実際問題として、ここでいう「家事使用人」に該当するかどうかの判定が容易でないこともある。通達(S63.3.14基発150号)によると、
1  家事使用人であるか否かを決定するに当たっては、従事する作業の種類、性質の如何等を勘案して、具体的に当該労働者の実態が家事一般に従事している者がこれに該当する。
2  法人に雇われ、その役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で、家事一般に従事している者も家事使用人である。
3  個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者は、家事使用人に該当しない。
 本肢の場合は、上記3に該当する。
23
1D
 前段にある労働者の定義については、9条
 「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」の通り。
 よって、「この定義に該当する場合には、(家事使用人であっても)労働者である」というのは、当たり前のように思われる。しかし、問題文ではしつこく、「いかなる形態の家事使用人も労働者か」と迫っている。
 一方、家事使用人については、116条2項により、
 「労働基準法は、家事使用人については、適用しない」とあり、これだけを見れば逆に、「いかなる形態の家事使用人も労働者でない」ということになってしまう。
 結論からいうと、一つの条文だけで、「労働者か否かの区別を明確にすることなどできはしない」ということ。
 これは他の法律も同様であって、こみいった問題に対しては、その法律全体の目的・趣旨(少なくとも関連規定一つ一つの目的・趣旨)と、対象としている事象の実態に即して判断すべきということ。
 本肢の場合、9条の定義はあくまでも原則的なものであって、別途に適用除外などの規定があれば、原則が修正されることもありうる。
 つまり、原則の定義に該当する場合であっても、家事一般に従事するいわゆる家事使用人と認められる場合であれば、労働基準法は適用されないのだ。
 実際問題としては、116条2項にいう「家事使用人」に該当するかどうかの判定が難しく、ケースバイケースになることも多い。
 たとえば、通達(S63.3.14基発150)では、
 「個人家庭における家事を事業として請け負う者(たとえば家政婦の派遣業者)に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者は、家事使用人に該当しない」が、
 「法人に雇われてその役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で、家事一般に従事している者は家事使用人である」としている。
 わかりやすくいえば、前者にはその者を雇った使用者となるべき者がいるが、後者では、指揮命令する家族に使用者責任を負わせることはできないということ。
  このように、「物事は言葉ではなく、実態に即して判断すべき」である。
29
2イ
 「法人に雇われ」とあり、賃金もその法人から支払われていると想定できることから、労働者の定義9条の「事業に使用され、賃金を支払われる者」に該当し、労働者のように思える。
 一方、「家事一般に従事している者」とあるから、116条2項の「家事使用人については、労働基準法は適用されない」とある。
 よって、これらの知識だけでは、解決できない。
 本肢の場合、重要なことは「家族の指揮命令の下で家事一般に従事している」とある点。つまり、その者の労働を指示しているのは家族ということになる。
 この点、通達(S63.3.14基発150)においても、
 「個人家庭における家事を事業として請け負う者(たとえば家政婦の派遣業者)に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者は、家事使用人に該当しない」
 この場合は、事業は家政婦派遣業であり、そこの事業主が使用者である。
 一方、「法人に雇われてその役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で、家事一般に従事している者は家事使用人である」とされている。
 この場合は、事業は家事であり、その家族が使用者ということになりうるであろうが、労働基準法における使用者責任を負わせるのは適当でないということ。
 参考までに、ベビーシッターのように業務が限定され、勤務時間も明確になっているなど、私生活活動とは区別できる場合は、その家庭が事業場であって指揮命令する者に使用者責任を課す(よって、そのベビーシッターは労働者となる)こともありうる。
16
1A

 116条の通りで、「労働条件の原則、労働条件の決定、均等待遇、男女同一賃金の原則、強制労働の禁止、中間搾取の排除、公民権行使の保障、定義(平均賃金を除く)、罰則の一部」は適用される。

11
1E

 116条の通りで、「労働条件の原則、労働条件の決定、均等待遇、男女同一賃金の原則、強制労働の禁止、中間搾取の排除、公民権行使の保障、定義(平均賃金を除く)、罰則の一部」は適用される。

14
7C

 地方公務員法58条5項によると(抜粋)、
 「労働基準法、労働安全衛生法の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定中3項の規定により職員に関して適用されるものを適用する場合における職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定中、職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、労働基準法別表第1第1号から第10号まで及び第13号から第15号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除き、人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の長)が行うものとする」 
すなわち11号(郵便、信書便、電気通信事業)と12号(教育、研究、調査の事業)に従事する職員は人事委員会等が、それ以外は労働基準監督機関が、職権を行使する。 「すべての」という表現があるときは疑うべし

10
1E
 労基法による労働者の定義は9条の通りであり、
 「事業又は事務所に使用される者」でないといけない。
 より具体的には、「事業又は事務所に使用される者で、他人から指揮命令を受けて労働を提供し、その対償として賃金を得る者をいう」
 ⇒賃金という名称にまどわされず、その賃金なるものをどうやって得たかというプロセス(使用者からの指揮命令により労働を提供した)も考えること。
 問題文は、労働組合法にいう労働者である。
29
2ア
 労基法による労働者の定義は9条の通りであり、「事業又は事務所に使用される者」でないといけない。ここで、「事業」とは、通達(S22.9.13発基17)によれば、「工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において、相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいう」とあり、場所的観念とならんで継続性が重要である。
 本肢の場合、「何ら事業を営むことのない大学生が自身の引っ越しの作業を友人に手伝ってもらい」とあり、その大学生は継続的な事業を行っているわけではないから、その大学生から報酬を受けた友人は労働者には該当しない。
13
1C

 労働者の定義は9条の通り。さらに、通達(S23.3.17基発461号)によると、
 「法人の重役(工場長、部長)であっても、業務執行権又は代表権を持たないで、賃金を受けている場合には、その限りにおいて労基法9条に規定する労働者である」

19
1B
 労働者の定義は9条の通り。さらに通達(S23.3.17基発461号)によると、
 「法人の重役(工場長、部長)であっても、業務執行権又は代表権を持たないで、賃金を受けている場合には、その限りにおいて労基法9条に規定する労働者である」
⇒工場長、部長などの職務を遂行し、その対償として賃金を受けとるという労働者的側面に関する限りにおいて労働者であって、本来の取締役としての業務を行なっている時は労働者ではない。つまり、他の一般の労働者と全く同じ権利・保護があるわけではない。
 雇用保険法の被保険者にもなりうる。
29
2エ
  労働者の定義9条に照らした場合、「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」では判定し難いかもしれないが、労働者とは、「指揮命令を受けて労働(労務)を提供し、その対象として賃金を受け取る者」からすると、取締役は労働者に該当するとは考えにくいであろう。
 しかしながら、取締役と一口にいっても様々であり、社外取締役は論外としても、「工場長や総務部長などが同時に取締役」といったこともありうる。
 もちろんこれらの者は管理監督者ではあるが、工場長、部長などの職務を遂行し、その対償として賃金を受けとるという労働者的側面が完全に否定されるともいえない(報酬についても、いわゆる取締役に対する報酬と、工場長や部長としての賃金からなる場合がありうる。また、より端的にいえば、取締役は解任されても工場長ななどを続けることもありうる)
 このようなことから、通達(S23.3.17基発461号)によると、
 「法人の重役(工場長、部長)であっても、業務執行権又は代表権を持たないで、賃金を受けている場合には、その限りにおいて労基法9条に規定する労働者である」としている。
 ただし、「業務執行権(会社の全体又は一部の部門に対して指揮命令権を有して業務を行う権利)を持たないで賃金を受ける」の判定は、意外のほか難しく、取締役非設置会社(取締役が1人でもよい会社)においては、取締役は原則的には業務執行権を有していると考えてよいが、取締役設置会社(取締役が3年以上の会社)においては、業務執行取締役に選定されたものだけが、業務執行権を有する」 
⇒よって、業務執行権を有する取締役から指揮命令を受けて労働を提供する場面がある取締役は、その場面に限って、労働者ということになる。
29
5オ
 本肢における事案は、「労働基準法9条所定の労働者であり,最低賃金法2条所定の労働者に該当するのに,病院側は奨学金等として最低賃金額に達しない金員しか支払っていなかったとして,最低賃金額と支払われていた奨学金等との差額に相当する賃金の支払を求めた」のを不服として、病院側が上告したものである。
 これに対する最高裁判例[未払賃金請求事件(H17.06.03)]によれば、
 「研修医は,医師国家試験に合格し,医籍に登録されて,厚生大臣の免許を受けた医師であって、医療行為を業として行う資格を有しているものであるところ,医師は,免許を受けた後も,2年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生大臣の指定する病院において,臨床研修を行うように努めるものとすると定めている。
 この臨床研修は,医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり,教育的な側面を有しているが,そのプログラムに従い,臨床研修指導医の指導の下に,研修医が医療行為等に従事することを予定している。
 そして,研修医が医療行為等に従事する場合には,これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり,病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り,上記研修医は労働基準法9条所定の労働者に当たるものというべきである。
 これに加えて,病院側は、被上告人に対して奨学金等として金員を支払い,これらの金員につき給与等に当たるものとして源泉徴収まで行っていたというのである。
 そうすると,被上告人は,最低賃金法2条所定の労働者に当たるから、同法により,最低賃金と同額の賃金を支払うべき義務を負っていたものというべきである」とした。
⇒教育的な側面を強く有してはいるが、病院開設者の指揮監督の下で労務の提供をしているという実態から判断すれば、この研修医は9条にいう労働者に当たる。
27
1E
 労働者の定義は9条から、「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」である。
 しかしながら、その実態をより特徴的に捉えると、「使用される者」とは、「他人の指揮命令を受けて(従属して)労働を提供する者」であり、「賃金を支払われる者」とは、「従属労働の対償として賃金を受けとる者」ということができる。
 問題文にある「使用従属関係」とは、「指揮命令を受けて労働を提供する」関係を端的に言い表したものである。
 いずれにしても、「労働者であるか否かは、契約の名称等には捉われずに、実体で判断しなければならない」とされている。
 たとえば、「労働関係」と「請負関係」については、厚生労働省編「労働基準法(上)」の115ページにおいて、
 「請負契約における下請負人は、当該業務を自己の業務として注文主から独立して処理するものである限り、たとえ本人が労務に従事することがあっても、本条(9条)の労働者となることはない。
 たとえば工場がその事業経営上必要な建物その他の施設を大工に修理させる場合は、一般には請負契約によるので、大工は本条の労働者にはならない。
 しかし、形式上は請負のようなかたちをとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は本条の「労働者」であることになる」としている。
29
2オ
 「工場が建物修理の為に大工を雇う場合」とある。「雇う」とあるから、一見、雇用契約に基づく労働者かとも思える。
 しかし続いて、「そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもない」とあるから、請負すなわち、労働者ではないとも思える。
 つまり、「雇用」とか「請負」などという形式上の言葉からのみ判断するのではなく、実態から判断することが必要である。
 この点については、厚生労働省編「労働基準法(上)」の115pにおいても、「形式上は請負のようなかたちをとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は本条の「労働者」であることになる」としている。
 つまり、本肢の場合、「当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない」と言い切ることはできず、労働者性すなわち使用従属関係の有無について、実態に即した判断が必要なのである。
19
1C
 通達(S24.6.13 基収1073他)によると、
 「組合専従職員と使用者との基本的な法律関係は、労働協約その他により労使の自由に定めるところによるが、使用者が専従職員に対し在籍のまま労働提供の義務を免除し、労働組合の事務に専従することを認める場合には、労働基準法上当該会社との労働関係は存続するものと解される」とある。
 つまり、会社に在籍したまま専ら労働組合で働いている者についても、会社がそのことを認めている場合は、会社との労働関係があるとした。
 よって、その限りにおいては、会社の労働者となりうる。
 ただし、最初から組合が雇用している者は、もちろんその組合の労働者である。
26
1D
 9条に「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」とある。
 この場合の事業とは、通達(S22.9.13発基17)によると、
 「事業とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において、相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいう。
 一つの事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として分割することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは原則として、別個の事業とする」とある。
 ただしこれは原則論であって、実際には、主として場所的観念で決定されるものの、さらに、従業員規模、労働者及び労務管理の区分の有無、組織的関連ないし事務能力等を総合して、個々の事業の適用単位が決定されることになる。
 なお、事務所についてはその意味を深く考える必要はなく、「事業又は事務所」をひっくるめて「事業」と考えればよい。

21
1
選択

 労働基準法において「使用者」とは、「事業主又は事業の経営担当者その他のその事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をする(A:すべての者)をいう」 
 使用者の定義に10条
 「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」とある。
 要するに使用者とは、以下の者全員をいう。
 @事業主(法人であれば法人そのもの、個人事業であれば事業主(オーナー))
 A事業の経営担当者(代表取締役、取締役、理事など)
 B労働者に関する事項について、事業主のために行為をする者(人事、労務などで実質的権限のある者。人事部長、労務課長などの名称ではなく実態で判断する)
  なお、労働時間などの規定が適用されない「管理・監督者」は労働者であるので、これと混同しないように。
 一方、たとえ担当者であって通常は労働者であるが、事業主に代わって業務命令を発するような業務についているときは、その限りにおいて使用者となることもありうる。
24
4D
 使用者の定義は10条
 「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」とあり、管理監督者以上の者とは規定されていない。
 ここで、「労働者に関する事項」とは、人事、給与、厚生等の労働条件の決定や労務管理を行いこと、あるいは業務命令を出したり指揮監督を行うなどのすべてが含まれる。
 要するに、労基法は労働者保護を基礎においていることから、労基法遵守について義務を持っている者(使用者責任を追及されるべき者)は事業主以外の者であってもすべて使用者としてとらえている。
 適用する労基法の規定あるいは場面において、同一人が使用者になったり、労働者になったりすることがあり得るのである。
 なお、問題文にある「管理監督者」がどのような者のことをいうのか書いてないので、これ以上の解説は不要であろう。(出題者もこの点はどうでもよく、勝手に解釈してくれという立場であると思われる)
 念のため、41条にある労働時間等の規定の適用除外者とされている管理監督者のことであるとした場合、「労働時間、休憩、休日等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者」のことをいうが、 その場合のその者は労働時間等については保護されないとしても労働者である。
 実務上でいうと、使用者と41条にいう管理監督者は重なる場合が多いが、(ある場面で)使用者であっても41条の管理監督者ではない者もいるし、逆に41条の管理監督者であっても、部下のいないスタッフ管理職などのように、いかなる場面でも使用者には該当しない者もいる。
26
1E
 労働基準法にいう使用者の定義は10条
 「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」の通り。
 すなわち、賃金を支払う事業主(法人であれば法人そのもの、個人事業であれば事業主(オーナー)だけでなく、
 ・事業の経営担当者(代表取締役、取締役、理事など)
 ・労働者に関する事項について、事業主のために行為をする者(人事、労務などで実質的権限のある者(ただし人事部長、労務課長などの名称ではなく実態で判断する)すべてをいう。
11
1B
 使用者の定義は10条の通りであり、さらに、通達(S22.9.13発基17号)において、
 「使用者とは本法各条の義務についての履行の責任者をいう。その認定は、部長や課長等の形式にとらわれることなく各事業において、本法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによるが、かかる権限が与えられておらず、単に上司の命令の伝達者に過ぎぬ場合は使用者とはみなされない」
15
1D
 使用者の定義は10条の通りであり、さらに、通達(62.3.26基発169号)によると、
 「法令の規定等により事業主等に申請等が義務づけられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、10条にいう「使用者」及び、各法令の両罰規定にいう「代理人、使用人その他の従業者」に該当するものであるので、当該申請等の義務違反の行為者として、各法令の罰則規定及び両罰規定に基づきその責任を問い得る者である」
 「またこの場合、事業主等に対しては、社会保険労務士に必要な情報を与えるなど、申請等をし得る条件を整備していれば、通常は、必要な注意義務を尽くしている者として免責されるものと考えられるが、注意義務を尽したものと認められない場合には、両罰規定に基づき事業主等の責任をも問いうるものである」 
  ⇒ つまり本肢の場合、当該社労士は使用者とみなされて罰則規定の適用を受けることになる。また、この社労士は両罰規定における代理人に相当するので、業務を委任した事業主にも罰則が適用される可能性がある。
 「懈怠(けたい、げたい、けだい):なまけ、怠ること」(広辞苑)
14
2A
 通達(S61.6.6基発333号)によると、
 「在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用がある。
 すなわち、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について、労働基準法等における使用者としての責任を負うものである」とあり、原則的には正しい。
 ただし、「賃金に関する事項については出向元のみが使用者となる」という部分については、出向先が賃金の全部又は一部の支払をするなどの形態もあるので、誤りである。
 参考までに、同通達によると、
 「移籍型出向は、出向先との間にのみ労働契約関係がある形態であり、出向元と出向労働者との労働契約関係は終了している。よって、移籍型出向の労働者については、出向先についてのみ労働基準法等の適用がある」
19
1A
  通達(S61.6.6基発333号)によると、
 「在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用がある。
 すなわち、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について、労働基準法等における使用者としての責任を負うものである」とある。
 過去問14-2Aよりも単純な問題である。
12
1D
 通達(S61.6.6基発333号)によると、
 「在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用がある。
 すなわち、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について、労働基準法等における使用者としての責任を負うものである」とある。
 よって、出向元が労基法の各条文について全面的に使用者としての責任を負うものではなく、出向元と出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者又は出向先の使用者がそれぞれ、使用者としての責任を負うものである。
13
1E
 労働条件の決定に関する2条において、
 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」
 「2項 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない」
 と規定されている。これについては、通達(S63.3.14基発150号)により、
 「労基法2条は、労働条件の決定及びこれに伴う労使両当事者の義務に関する一般的原則を宣言した規定である」とあり、労働条件の原則を定めた1条とともに、罰則の対象となっていない。
13
1A

 「5条は使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止する規定であり、労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係があることが前提となるが、この場合の労働関係は必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りる」(「労働法コンメンタール労働基準法 上」P83)

26
1A
 5条は、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」とあって、確かに、労働者に強制労働を強いることを禁止している。
 ここで労働を強制する者に関して、5条では「何人も」とはなってなく、「使用者」となっていることから、強制する者と強制される者との間には「労働関係」が存在している、ということを前提にした規定といえる。
 本肢の論点は、この労働関係について何か条件が付されているかということであるが、「労働法コンメンタール労働基準法 上」P83によると、
 「労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係があることが前提となるが、この場合の労働関係は必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りる」としている。
20
1A
 5条
 「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」の通り。
21
1D
 5条とは、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」
 これに違反したときは、 117条に、
 「5条(強制労働の禁止)の規定に違反した者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する」とある。これを罰則一覧でみると分かるように、労基法上もっとも重い罰則であり、ほかの労働保険、社会保険に関してみても、もっとも重いことがわかる。
29
5イ
 労働基準法5条に定める強制労働の禁止に違反した場合の罰則は、117条から「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」の通り。
 これを罰則一覧でみると、労基法上もっとも重い罰則であり、ほかの労働保険、社会保険に関してみても、もっとも重いことがわかる。
 戦前に土木建築業界、鉱山業界、旅館や風俗営業業界などにあった長期間にわたる強制労働の実態への反省から、あるいは刑法だけでは対応が困難であったことなどから、最も重い刑罰が設けられたものと思われる。
 なお、本条と同時に暴行罪、脅迫罪などが成立することもありうるが、その場合は、一般には労基法による本条が適用され、刑法と2重に処罰されることはない。
10
1D
 5条により、「暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」とある。
 暴行、脅迫、監禁についてはあってはならないことであり、わかりやすいが、その他の手段については、
 「暴行、脅迫、監禁以外の手段で、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」としては、長期労働契約、労働契約不履行に関する賠償額予定契約、前借金契約、強制貯金のごときものがある」(S22.9.13発基17)
 ここで、長期労働契約とは、労基法では3年(一定条件の場合は5年)を超えて、期間の定めのある労働契約を結ぶことは禁止されており、これを超える労働契約のことをさす。
27
1D
 出だしに、「強制労働を禁止する労働基準法第5条の構成要件に該当する行為」とある。
 5条では、「暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制することを禁止している」
 5条の構成要件とは、強制労働の禁止に該当する要件のことであり、たとえば暴行、脅迫、監禁などの手段によって意思に反した労働をさせたことがこれに該当する。
 問題文では続いて、「同時に刑法の暴行罪、脅迫罪又は監禁罪の構成要件にも該当する場合がある」のは問題なかろう。
 最後に、「労働基準法第5条違反と暴行罪等とは、法条競合の関係(吸収関係)にあると解される」とある。
 ここで気になる「法条競合の関係」とは、一つの犯罪行為が外観上は数個の刑罰法規に当てはまるが、実質的には一つだけが適用される関係にあることをいう。
 つまり、本肢の場合、たとえば脅迫によって強制労働をさせた場合、労基法5条違反と刑法による脅迫罪の両方で罰せられるのではなく、一つ(労基法)だけが適用されるとしてよいかというのが論点。
 これに関しては、厚生労働省編「労働基準法(上)」の89ページに、
 「本条(5条)の構成要件に該当する行為が、同時に刑法の暴行罪、脅迫罪又は監禁罪の構成要件にも該当する場合があるが、このことは、本条が暴行罪等の構成要件をもその構成要件中に含んでいることの当然の結果であって、この場合における本条違反と暴行罪等との関係は、・・・・、法条競合の関係(吸収関係)にあると解すべきである。すなわち、暴行罪等の罪は、本条違反の罪に吸収されているとみるべきである」としている。
20
1C
 中間搾取の禁止を規定する6条
 「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」の通りである。
23
1B
 中間搾取の禁止を規定する6条
 「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」の通りである。
 ここで、「法律に基づいて許される場合」の例としては、
 @職業安定法による「有料職業紹介」、「被用者以外の者による労働者募集」
 A船員職業安定法による「被用者以外の者による船員の募集」がある。
26
1B
 6条とは、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とあり、問題文には「法律に基いて許される外」が抜けているが、他人の就業に介入して中間搾取することを禁止している。
 この規定の対象者は「何人も」とあって、「使用者」など一定の者に限定されているわけではない。この点、通達(S23.03..02基発381)においても、「「何人も」とは本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。従って、公務員であっても、違反行為の主体となる」とある。
 よって、6条違反の場合の罰則規定118条「1年以下の懲役又は50万円以下の罰則」が適用されるのも、「6条の規定対象者である「何人も」であり、法人、個人などを問わない。
 つまり、個人が会社等とは関係なく、業として他人の就業に介入して利益を得た場合は、その者が罰せられる、
 なお、問題文にある、実際の行為者と、業として利益を得た法人との関係については、通達(S34.02.16基収8770)によると、
 「法人の従業者が違反行為を実行した場合、その者が利益を得るのではなく法人が利益を得た場合であっても、法人の従業者である行為者が6条違反となる」とある。
 つまり、行為者が利益を得ていなくても法人が利益を得た場合は6条に該当し、行為者が罰せられる。
 (ただし、法人そのものが違反行為を行った場合は、当然に法人が罰せられる)
28
1エ
 前段については、6条に、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とある通り。
 この規定による規制対象者は、出だしに「何人(ナニビト)も」とあることから、文字通りすべての人(団体も含む)である。
 この点、通達(S23.03..02基発381)においても、「何人もとは本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。従って、公務員であっても(たとえハローワークの職員であっても)、違反行為の主体となる」とある。
 参考ながら、法人が業として他人の就業に介入して利益を得た場合は、その法人のために実際に介入行為を行った行為者が罰せられる。
13
1B
 中間搾取の禁止を規定する6条によれば、
 「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」
 これに関しては、通達(S23.3.2基発381号)において、
 「「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいう。従って1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば充分である。主業としてなされる副業としてなされるとを問わない。
 「利益」とは手数料、報奨金、金銭以外の財物等いかなる名称たるとを問わず、又有形無形たるとを問わない。使用者より利益を得る場合のみに限らず、労働者又は第三者より利益を得る場合をも含む」とある。
 すなわち、「1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば充分であり、それが主業としてなされる場合と副業としてなされる場合とを問わない」のである。 
29
5ウ
 6条によれば、「法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とある。
 ここで、「法律によって許される場合」とは職業安定法に基づき厚生労働大臣の許可による職業紹介委託募集、労働組合等による労働者供給などである。
 「業として利益を得る」とは、通達(S23.3.2基発381号)にあるように、「営利を目的として、同種の行為を反覆継続することをいい、反覆継続して利益を得る意思があれば、1回の行為であっても規制対象となる」
⇒反復継続する意思があれば、初犯だからといって見逃してはくれない。
15
1C
 労働者派遣業については、通達(S61.6.6基発333号)において、
 「労働者派遣事業においては、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたものが、その労働関係として扱われる。よって、派遣元による労働者派遣事業は、労働関係の外にある第三者が「他人の労働関係に介入」する労働者供給事業とはならず、労基法6条違反には該当しない」とされ、お墨付きを得ている。
 問題は、その労働者派遣事業が所定の手続を踏まないで行われている違法なものであった場合、労働者派遣法違反であると思われるが、そのことを持って、労働基準法の6条違反であるか、というのが出題の趣旨である。
 これに対しては、通達(H11.3.31基発168)に、
 「労働者派遣に係る労働関係は、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたものが全体としての労働関係となるものであり、派遣元が行う労働者派遣は、そもそも、労働関係の外にある第三者が他人の労働関係に介入するものではないため、違法であるか適法であるかを問わず、労基法6条の中間搾取には該当しない」とある。
14
1D
 他人の就業に介入するとは、通達(S23.3.2基発381号)において、
 「使用者と労働者の間に、第三者が介入して、その労働関係の開始及び存続について、媒介又はあっせんをなす等その労働関係についてなんらかの因果関係を有する関与をなしていることをいう」
 労働者派遣業については、通達(S61.6.6基発333号)において、
 「労働者派遣事業においては、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたものが、その労働関係として扱われる。よって、派遣元による労働者派遣事業は、労働関係の外にある第三者が「他人の労働関係に介入」する労働者供給事業とはならず、労基法6条違反には該当しない」として、労働者派遣業はお墨付きを得ている。 
23
2C
 16条に、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」とある。
 前段にある違約金については、使用者が採用時に、労働者よりも優位な立場にたって、「途中で労働契約を解除するなど契約を完全には履行しない場合は、(不当に高い)違約金を定めてこれを支払わせる」というような違約金契約は、不当な足止めになることから、これを禁止したのである。
 後段の損害賠償額の予定については、これも使用者が採用時に、労働者よりも優位な立場にたって、「不法行為によるものであろうとなかろうと、労働契約の不履行があった場合は、(不当に高い)一定の額を定めてこれを支払わせる」というような賠償額予定契約は、実際には損害額がないあるいはあっても少額であった場合でも、労働者が賠償責任から免れないという不利な状態に追い込まれることになるから、これも禁止した。
 なお、この16条は、賠償金額を予め定めることを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償請求することそのものを禁止しているわけではない。
 これであれば、損害の有無と賠償金額の正当性などについて、労働者側も争うことができるのだから。
25
6D
 問題文にもあるように、16条に、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と確かに規定されている。
 よって、本肢の論点はこの部分にあるのではなく、この規定で何をしようとしているのかという点にあると思われる。
 この規定の趣旨は過去問解説(23-2C)の通りであるし、問題文に書いてあることも別に間違っていると指摘するところはなさそうである。
 しからば、出題の狙いはどこにあるのか判然としないが、労働法コンメンタール「労働基準法」(厚生労働省労働基準局編)に、
 「労働契約の期間の途中において労働者が転職したり、帰郷する等労働契約の不履行の場合に、一定額の違約金を定めたり、又は労働契約の不履行や労働者の不法行為に対して一定額の損害賠償額を支払うことを労働者本人又はその身元保証人と約束する慣行が従来我が国にみられたが、こうした制度は、ともすると労働の強制にわたり、あるいは労働者の自由意思を不当に拘束し、労働者を使用者に隷属せしめることとなるので、本条は、こうした違約金制度や損害賠償額予定の制度を禁止し、労働者が違約金又は賠償予定額を支払わされることをおそれて心ならずも労働契約の継続を強いられること等を防止しようとするものである」と解説している。
 これを知っているか、というのでは問題としてはあまりにもお粗末。
 また、肝心な箇所である「心ならずも労働契約の継続を強いられること等を防止」ということが書いてないのは、いかがかと。?
14
2D
 前段については、16条の「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」の通りであり、ここは単なる問題文の枕言葉みたいなもの。
 本肢は、後段の「使用者が労働者の親権者又は身元保証人との間で、これら親権者又は身元保証人が当該労働者の行為について違約金又は損害賠償額の支払義務を負担する契約を締結」とある部分をいかに読むかが、重要なカギである。
 採用時に、身元保証人契約の締結が求められることはよくあるが、「労働者の行為について違約金又は損害賠償額の支払義務を負担する契約」とあるのは、やはり「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約」にあたると読むべき。
 ただし、このような契約を労働者と締結するのではなく、親権者又は身元保証人と締結した場合も、その契約は禁止されているかどうかが本肢の論点である。(そこまでたどりつかないと、本肢は解けない)
 そこで16条をもう一度よむと、「使用者は」とはあるが、相手方が労働者とは書いてない。つまり、「違約金契約、賠償額予定契約」は相手が誰であろうと契約そのものが16条違法なのである。
 なお、入社時の身元保証人契約において、違約金や賠償予定額を定めたものではなく、無断欠勤その他で実際に会社に損害を発生させた場合は、連帯して損害賠償に応じてもらうという内容であれば 、16条違反とはいえない。
28
2C
 違約金や損害賠償額を予定する契約については、16条に「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」とある通り、絶対的に禁止である。
 本肢は、労働者本人との契約ではなく、身元保証人との契約であればどうかと念押している。
 これについては、16条をよく読むと、「使用者は」とはあるが、相手方が労働者とは書いてない。つまり、「違約金契約、賠償額予定契約は相手が誰であろうと契約そのものが16条違法なのである」 
20
1B
 16条
 「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」とあるが、
 通達(S22.9.13発基17号)によると、
 「16条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではない
 よって、「使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求してはならない」と、断定することはできない。
 なお、民法では、いわゆる違約金などあらかじめ損害賠償の額を決めることは、合法であり、裁判所であってもこの金額を変えることはできない。
  しかしながら、労働契約の不履行の場合は、民法の特別法である労働基準法が優先されるのだ。
12
2A
 通達(S22.9.13発基17号)によると、
 「16条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではない」
10
2C
 通達(S22.9.13発基17号)によると、
 「16条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではない」
 本肢の場合、「現実に生じた損害について賠償を求めることを予定とする契約であって、損害の有無、大小にかかわらず損害賠償額を予定する契約ではない」ので、禁止されていない。
12
2E
 一般に、労働契約において、遅刻、無断欠勤などの場合に一定額の違約金を定めてこれを徴収することは16条に抵触する可能性もあるとされるが、本肢の場合、欠勤により労務の提供を行っていないので、使用者は欠勤に相当する賃金については支払義務そのものがない。つまり、1日分の賃金を支払わないことは、違約金でも制裁でもない。
 「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」(民法624条1項)すなわち、実際に労働を行った後に初めて、それに相当する報酬の請求権が発生する。
 いわゆる「ノーワーク・ノーペイ」は法規違反ではない。
更に進んで就業規則に基づき、遅刻や無断欠勤に対して、その該当時間以上の賃金を減額しようとすることも、91条による減給の制裁の規制の範囲内なら可能である。
  これは不当な労働強制ではなく、職場規律の保持のために必要な制裁措置と考えられるからである。
20
1D
 17条
 「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」の通り。
 「前借金」とは、労働契約締結の際あるいはその後に、「労働することを条件として使用者から借り入れ、将来受ける賃金でこれを返済することを約束したお金」である。
 昔の人身売買(親が一時に多額のお金を受け取り、娘がただ働きするなど)はもってのほかである。
 17条は、いかなる前借金も全面的に禁止するものではないが、お金を前渡して不当に労働を強制すれば5条(強制労働の禁止)違反、強制はないが賃金と相殺すれば17条違反である とした。 
11
選択
 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。  
[解説]
 「17条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」
 労働者が自らの意思により前借りすることは許される。
 使用者が賃金を前貸しして、働かざるを得ない状況をつくり、身分を拘束すること は5条違反、そこまではいかなくても、賃金から前借金を差し引くことは17条違反である。。
23
2D
 17条に「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」とある通り、労働基準法17条で禁止しているのは、「労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺すること」である。
 前借金そのものをいかなる場合も全面的に禁止しているわけではなく、まして「使用者が労働者に金銭を貸すこと」を一律に禁止しているものでもない。
 これについては、通達(S22.9.13発基17)に、
 「本条の規定は、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し、金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止するのがその趣旨であるから、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上等で、明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働をすることを条件とする債権には含まれない」とある。 
27
3D
 前段については、17条にある通り。
 後段にあるその趣旨については、通達(S22.9.13発基17)にあるように、
 「金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し、金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止する」ことにある。
 つまり、昔よくあった奉公のように、あらかじめ金を(親に)貸しておいて、給金(を渡さずに)をその返済に充てさせ、つまりその間は逃げないで労働することを強制し、完済した時点で奉公明け(雇用契約終了)となるような悪習弊害を防止することにある。
25
6E
 17条に「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」とある通り、労働基準法17条で禁止しているのは、「労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺すること」である。
 すなわち、労働契約を締結する際であろうと、使用者から金を借りることを全面的に禁止しているわけではなく、「その借金と賃金を相殺する」ことを禁止しているのである。
 この点については、労働法コンメンタール「労働基準法」(厚生労働省労働基準局編)においても、
 「本法は、労働者の足留策や強制労働の原因ともなる前借金その他労働をすることを条件とする前貸しの債権に限り、賃金との相殺を一切禁止したものである」と解説している。
 要するに、17条で禁止しているのは、
 @労働をすることを条件とする前貸しの債権に限り、
 Aかつ、その債権と賃金とを相殺すること、にある。
 よって、
・使用者からの個人的な信用に基づいて受ける金銭等の恩恵であって、明らかに身分的拘束を伴わないものは、@の条件に当たらない。
・使用者が債権と賃金を相殺することは駄目であるが、労働者が強制を伴わない完全な自由意思に基づいて、賃金から引いてくれれと申し出ることはAの条件に当たらない。
 ただしこのような場合であっても、後からもめることがありうるので、賃金全額を労働者に渡し、労働者がそこから自主的に借金を弁済するなどの方法が、妥当であろう。
14
2E
 17条では、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」
 一方、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「17条の規定は、前借金により身分的拘束を伴い労働が強制される恐れがあること等を防止するため、「労働することを条件とする前貸の債権」と賃金を相殺することを禁止するものである。
  従って、使用者が労働組合との労働協約の締結あるいは、労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸し付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して、労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定は適用されない」
 よって、問題文にあるがごとく「融資額が相当高額に上り、その返済期間も相当長期間にわたるものについてはすべて賃金との相殺はできない」とは限らない。
28
2D
 前借金と賃金の相殺については、17条に「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」とある。
 ここで、「労働することを条件とする前貸の債権」とは、使用者が賃金から引くつもりでもって、労働者に
お金を貸付けるというように、金銭の貸し借り関係と労働関係を結びつけて身分を拘束する性質をもつ貸付金のこと。
 このようなお金を貸し付けておいて、賃金から相殺してはならないのだ。
 一方、本肢の場合は、「実質的にみて使用者の強制はなく、労働者が真意から相殺の意思表示をした場合」はどうかと聞いている。
 このような場合は、通達(S63.3.14基発150号)に、「17条の規定は、前借金により身分的拘束を伴い労働が強制される恐れがあること等を防止するため、「労働することを条件とする前貸の債権」と賃金を相殺することを禁止するものである。
  従って、使用者が、労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸し付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して、労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定は適用されない」とある。
 つまり、本肢問題文のような場合で、「貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して、労働することが条件となっていないことが極めて明白」であれば、債権と賃金の相殺も許され得る。
23
2E
 18条1項に、「使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない」 とある。
 なお、問題文に「労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定に基づき」とあるのは、
 18条2項の「使用者が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合、すなわち任意貯蓄」の話であり、たとえ、過半数労働組合若しくは労働者の過半数代表者との協定があっても、「労働契約に付随し た貯蓄契約、貯蓄金の管理契約は禁止されている。
 なお、1項にある「労働契約に付随して」とは、労働契約の締結又は存続の条件とすることをいい、例えば、名称は何であれ、「社内貯蓄をしなければ雇わない」、「貯蓄をやめれば解雇する」というような契約は労働契約と付随した強制貯蓄の契約であり、本条違反である。
 また、単に通帳を預かるだけでも、労働契約に付随して行われる場合は違反である。
28
2E
 18条1項にある「労働契約に付随して貯蓄の契約をさせる、又は貯蓄金を管理する契約」は禁止であるが、基礎講座18条2項にあるように、任意貯蓄による貯蓄金を労働者の委託を受けて管理することは、@労使協定の締結と届出、A貯蓄管理規程の整備と周知(届出は不要)があれば許される。
 この、任意貯蓄には、@労働者が自分名義で貯蓄し、使用者が通帳等を保管する(通帳保管)とAいわゆる社内預金で 使用者が預金を受け入れて管理する(預金受入れ)の2タイプがある。
 いずれのタイプであっても、労働者が貯蓄金の返還を請求したときは、18条5項にあるように、「遅滞なく返還」しなければならない。
 「遅滞なく」であるから、こちらにあるように、「正当な理由、合理的な理由がある場合を除き、事情の許す限りできるだけ早く」である。
⇒定期預金のように据え置き期間が必要な場合であっても、返還要求があれば遅滞なく返還しなければならない(途中解約により利率が下がるのはやむを得ないが、その場合であっても下限利率は確保しなければならない)
10
2E
 18条4項において、
 「使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす」とあり、
 下限は定められている。
 なお、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「利子の附加方法として、日歩によることも労使の自由であるが、利率省令による年利率の最低限度を下まわってはならないものであること」とされている。
 上限については、平成6年に市中金利が完全に自由化されたことと、「賃金の支払確保法」によって保全措置が義務化されたことなどに伴い、指導はないことになった。
 利率省令1条
 「労働基準法18条4項の規定に基づき使用者が労働者の預金を受け入れる場合の利率の最低限度は、年5厘とする」
11
5C
 旧法105条の3(平成13年10月1日削除)において、
 「都道府県労働局長は、労働条件についての労働者と使用者との間の紛争に関し、紛争当事者からの解決につき援助を求められた場合には、当該当事者に助言又は指導をすることができる」とされていた。
  ⇒労働基準監督署長とあるのは、都道府県労働局長の誤りである。
 現在は、この規定の趣旨は「個別労働関係紛争解決促進法」の4条に移されて、
 「都道府県労働局長は、個別労働関係紛争に関し、当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該個別労働関係紛争の当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができる」となっている。                                                                                                                             
20
7A
 101条
 「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」とある。
22
1A
 102条に、
 「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」と規定されている。
 なお、労基法にいう「司法警察官」は、措置法により「司法警察員」と読みかえられ、刑事訴訟法190条の
 「森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める」を根拠として、
 労働基準監督官を司法警察職員の中の司法警察員の職務を行うことができるようにしたものである。
 要するに、労働基準監督官は労働基準法の違反事件について捜査し、違反者の逮捕または送検する権限を有しているのだ。
 安全衛生法92条においても同じ規定が設けられている。
22
1B
 報告について規定した104条の2の2項に、
 「労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる」とある。
 なお、1項では「行政官庁は、・・・・・・」とほぼ同文の規定があり、こちらは厚生労働大臣、労働基準局長、都道府県労働局長、労働基準監督署長などのこと。
20
7B
 104条1項、2項から、
 「労働基準法又はこれに基づく命令に違反する事実がある場合に、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができ、使用者は、申告をしたことを理由に、解雇その他不利益な取扱をしてはならない」
 ここで、命令とは施行規則などのことで通達は含まれない。詳しくはこちらを
14
7A

 104条1項、2項の通りであり、この場合の罰則は、119条1号により、
 「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる」

13
4C
 115条によると、
 「退職手当を除く賃金、災害補償その他の請求権は2年間、退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」

22
3C

 時効については、115条に、
 「この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」とある、
 よって、退職手当を除く賃金の時効は2年、労基法上の賃金であるとされた退職手当の時効は5年。

11
2
選択

 労働基準法の規定による賃金(退職手当を除く)の請求権は、2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。
 115条によると、
 「賃金(退職手当を除く)、災害補償、有給休暇その他の請求権は2年間、退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」
16
1C
 労働基準法24条とは、
 「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。以下略」 
 「2項 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。以下略」   
 すなわち、24条は賃金支払の5原則について規定したものである。
  これに違反すると120条により、「30万円以下の罰金」となる。 
 ところで、本問題で聞いているのは、これらの知識のありなしよりも、罰則を支払うべきものは誰かということである。
 一般に労基法で罰則の適用を受けるのは使用者であり、使用者の範囲は広いが、本肢の場合、賃金を支払わなかったのは法人の使用者でもある代表者(社長)であるから、当然のことながら社長が違反行為を行った使用者として罰則を受けることになる。
 
 なお、参考までに、労基法には両罰規定121条があり、これと通達により、
 直接の行為者である社長(この場合は、法人のために行為をした代理人という位置づけ)とともに、事業主(法人そのものあるいは個人事業主)に対しても罰則(罰金に限る)が適用されることになる。

 要するに、
 @通常、罰則を受ける者とは、違反者行為を行った使用者(人事部長や工場長、取締役や社長など)
 A違反行使者が使用者でかつ一定の従業者であったときは、その行為者だけでなく、原則として事業主(法人そのものあるいは個人事業主)も罰せられる。
 本肢は、@について全く触れていない点が誤り。
20
7E
 121条
 「労働基準法の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。
 ただし、事業主(事業主が法人である場合においてはその代表者)が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない」とある。
 つまり、社長が違反防止措置を行った(指示した)場合には、違反行為者は別として、会社にまで罰金を科すことはしない。
 よって、社長はしっかりとした違反防止措置をするように、ということ。  
個人事業であれば、事業主とは誰かがはっきりしているが、法人による事業の場合は少しややこしい。
 「事業主のために行為した」とは法人のために行為をした者となり、代理人とは、代表取締役や商法でいう支配など、またその法人に雇われた弁護士や社労士など、
 使用人とはその法人に雇われている管理監督者など、その他の従業者とは、代表権のない取締役など。
 そして、「事業主に対しても罰金刑を科す」とは、法人そのものに罰金を言い渡すということ。
 後に出てくる「事業主が違反の防止に必要な措置をした場合」の事業主とは、法人の場合は法人の代表者のこと。
17
7A
 両罰規定121条2項において、
 「事業主(法人である場合においてはその代表者)が違反の行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかった場合は、事業主も行為者として罰する」とある。
 この場合は、時間外労働や時間外手当の管理を行なう者だけでなく、代表者も行為者としての罰則(この場合は6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられることになる。
20
7C
 114条に、
 「裁判所は、20条(解雇予告手当)、26条(休業手当)、若しくは37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)の規定に違反した使用者、又は39条7項の規定による賃金(年次有給休暇中の賃金)を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる」とある。
 すなわち、「必ず命じなければならない」とまでは規定されていない。
 なお、問題文にある「労働基準法に基づいて支払うべき賃金又は手当」とは、114条から、以下のものに限定されている。
 @解雇予告手当(ただし、この手当を支払わない場合は解雇そのものが無効であるから、予告手当と付加金の支払請求が発生する余地はないという説もある)
 A休業手当
 B時間外労働・休日労働・深夜業の割増賃金
 C年次有給休暇中の賃金 
15
3D
 付加金の支払いの対象は114条により、
 「解雇予告手当、休業手当、時間外・休日及び深夜の割増賃金、年次有給休暇中の賃金である」
 すなわち、114条で限定列挙されたものが対象であって、
 「24条1項に規定する賃金の全額払の義務違反」に対しては適用されない。
24
1E
 付加金は、114条に 限定列挙された、
@解雇予告手当、A休業手当、B割増賃金、C年次有給休暇中の賃金についてのみ適用される。
 なお、付加金はこれらについて、労働者が2年以内に請求し、裁判所が命じた場合に発生するものである。
 
18
1C
 114条において、
 「裁判所は、一定の規定に違反した使用者に対して、労働者の請求により、使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内にしなければならない」とある。
 つまり、賃金などについて未払いがある場合、労働者が2年以内に訴えを起こし、それが認められると、使用者は未払い分金額の2倍を支払わないといけなくなる。

 もともとの賃金その他の請求権の消滅時効が2年であるから、請求期限も2年と覚えておけばよい。
 ただし、請求期限2年は時効期間ではなく、中断・援用もない除斥期間である。
18
2D
 付加金については、114条通りである。
 この最高裁の判例(細谷服装事件 最高裁第
2二小判 昭35.3.11)は少し話がこみいっている。
@ 事件のあらまし
 ある洋服製造会社の労働者が、昭和24年8月に解雇の通知を受けた。このとき、使用者は20条による解雇予告期間を置かず、予告手当も支払わなかった。
 そこで、労働者は8月分の未払い賃金及び退職金の支払いを求めて提訴したところ、一審の口頭弁論終結日に、未払賃金と予告手当が支払われたが、裁判では敗訴した。
 しかし労働者は納得せず、未払賃金と予告手当を支払った時点まで解雇の効力が発生していないと主張してこの間の賃金支払いと、未払賃金と予告手当不払いに対する付加金の請求について、控訴して争った。
A 解雇の時期についての判決
 「20条の意図するところが、解雇により失職する労働者に対し他に就職の口を求めるに必要なる所定期間内の生活を保障せんとするにあることを思えば、予告期間を設けず且つ予告手当の支払もせずになした解雇の意思表示は、これにより即時解雇としての効力を生じ得ない。
 けれども、その解雇通告の本旨が、使用者において即時であると否とを問わず、要するにその労働者を解雇しようとするにあって即時の解雇が認められない以上解雇しないというのでない限り、右解雇通告はその後30日の期間経過をもってその効力を生ずるに至るものと解するを相当とすべきであり、かく解したからとて労働者の保護を薄からしめることはない。
 それ故、解雇の通告後(予告手当を支払わなくとも)30日経過とともに、解雇の効力を生じる」
B 付加金についての判決
 「114条による附加金なるものは、労働基準法の規定違背に対する一種の制裁たる性質を有し、労働者の請求に基き裁判所の命令によって課せられ、その命令をもって始めて使用者の支払義務が発生するのであり、右規定違反あると同時に、労働者が当然使用者に対し附加金支払請求権を取得するものと解すべきでない。
 よって、解雇に当って20条の違反があっても、その後前記の如く予告手当に相当する金額の支払を完了し、附加金請求の申立前に既に被控訴人の義務違背の状況が消滅している以上、もはや附加金の支払を命ずべき要件は存せざるに至ったものといわなければならない」

20
2
選択

 労働基準法第7条によれば、
 「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は(公の職務を執行するために必要な時間)を請求した場合においては、拒んではならない」とある。
 ここで、公の職務とは、通達(S63基発150)によると、
 衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員など法令に根拠を有するものに限られ、裁判員もこれに該当する。
21
1E
 労働基準法第7条によれば、
 「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる」とある。
 ここで、公の職務とは、通達(S63基発150)によると、
 「「公の職務」とは、法令に根拠を有するものに限られるが、法令に基づく公の職務のすべてをいうものではなく、国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務、たとえば、衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、労働審判員、裁判員、法令に基づいて設置される審議会の委員、その他・・・・」とされている。
 (注:なおこの通達は、平成16年5月12日に労働審判法が、平成16年5月28日に裁判員法が公布されたことに伴ない、H17.9.30基発0930006によって、労働審判員と裁判員が追加された結果である)
 労働審判とは、
 「個別労働紛争の紛争処理のため、民事訴訟手続と連係して、地方裁判所において短期間に実効性のある解決を図ろうとするものであって、当事者から労働審判手続の申立てがあった場合には、相手方の意向にかかわらず手続を進行させ、原則として、調停により解決し、これで解決できない場合は労働審判を行う。
 労働審判に異議申立てがなければ裁判上の和解となり、異議申立てを行なうと自動的に訴訟に移行する」
 詳細についてはこちらを
24
4C
 前段については、7条
 「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない 。
 但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる」とある通り。
 後段の公民権行使時間中の賃金については、通達(S22.11.27基発399)に 
 「本条は、給与に関しては何ら触れていないから、有給たると無給たるとは、当事者の自由にゆだねられた問題である」としている。
 つまり、必ず有給でないといけない、とまでは規定されていない。
26
1C
 7条は、
 「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない 。
 但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる」とあ る。
 ここで、通達(S63基発150)によると、「裁判員など国の公務に民意を反映してその適正を図る職務」は7条が適用される公の職務として認められている。
 本肢の論点は、「労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合の賃金支払い義務の有無」であるが、これに関しては、通達(S22.11.27基発399)に 
 「本条は、給与に関しては何ら触れていないから、有給たると無給たるとは、当事者の自由にゆだねられた問題である」としている。
 つまり、有給であることまで義務づけているわけではない。 
12
1B
 通達(S63.3.14基発150)による該当しない例の1の通り。
14
1E
 通達(63基発150)による該当しない例の2の通り。
16
1D
 この事例は、「ある従業員が十和田市議会議員選挙に当選し、会社の承認を得ないで同市議会議員に就任したところ、従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則に該当するとして、会社側がこの従業員を懲戒解雇にした点についての効力が争われた」ものである。
 最高裁判決(昭和38.06.21十和田観光電鉄事件)によると、
 「懲戒解雇なるものは、普通解雇と異なり譴責、減給、降職、出勤停止等とともに、企業秩序の違反に対し、使用者によって課せられる一種の制裁罰であると解するのが相当である。
 ところで、本件就業規則の前記条項は、従業員が単に公職に就任したため懲戒解雇するというのではなくして、使用者の承認を得ないで公職に就任したために懲戒解雇するという規定ではあるが、それは、公職の就任を、会社に対する届出事項とするにとどまらず、使用者の承認にかからしめ、しかもそれに違反した者に対しては制裁罰としての懲戒解雇を課するものである。
 しかし、労働基準法7条が、特に、労働者に対し労働時間中における公民としての権利の行使および公の職務の執行を保障していることにかんがみるときは、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の前記条項は、労働基準法の規定の趣旨に反し、無効のものと解すべきである。
 従って、所論のごとく公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害する虞れのある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければならない」
23
1C
 争いの顛末は過去問(16-1D)の解説にある通り。
 これに対する最高裁判例「十和田観光電鉄事件」の判決文の一節に、「懲戒解雇は、普通解雇と異なり、企業秩序違反に対して使用者によって課せられる一種の制裁罰である。ところで、本件就業規則の条項は、従業員が単に公職に就任したために懲戒解雇するというのではなくして、使用者の承認を得ないで公職に就任したために懲戒解雇するという規定であるが、それは、公職の就任を、会社に対する届出事項とするにとどまらず、使用者の承認にかからしめ、しかもそれに違反した者に対しては制裁罰としての懲戒解雇を課するものである。
 しかし、労基法7条が、特に、労働者に対し労働時間中における公民としての権利の行使および公の職務の執行を保障していることにかんがみるときは、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の条項は、労基法の規定の趣旨に反し、無効と解するべきである」としている。
29
5エ
 「従業員が公職に就任する・・・・」とあるのは、ある従業員が十和田市議会議員選挙に当選し、会社の承認を得ないで同市議会議員に就任したところ、従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則に該当するとして、会社側がこの従業員を懲戒解雇にした点についての効力が争われた」いわゆる十和田観光電鉄事件である。
 これに対する最高裁判決によれば、「会社業務の逐行を著しく阻害する虞れのある場合においても、普通解雇に附するは格別、当該会社の就業規則における従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の条項を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければならない」とした。
 この判決文を読む限り、公職(市議会議員)に就任したこと(当人は休職を希望したのであるが)自体を解雇理由にはできないとしても、そのことが「会社業務の逐行を著しく阻害する虞れのある場合」は普通解雇もやむを得ないのではないかとも読める。
19
2
選択
 
 労働基準法第1条第1項においては、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければなければならない」と規定されている。
[解説]
 
労働基準法第1条第1項によると、
 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければなければならない」とある。
27
1A
 労働基準法第1条にある通り。
 その精神についてはこちらを参照のこと。
28
1ア
 労働基準法第1条は、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければなければならない」とある。
 そしてその位置付けについては、通達(S22.9.13発基27)において、「労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充たすべき労働条件を保障することを宣明したものであって、労基法各条の解釈に当たり、基本観念として常に考慮されなければならない」とある通り。
 ここで、「宣明」とは、字句とおりで、「宣言して明らかにする」ということ。
「正しいものの組み合わせ」とある問題であっても、基本は通常の1肢選択問題と考えて、1肢づつ攻略
していくのがよい。そして、「正しい」あるいは「誤り」と自信が持って言える肢をキーとして、正しい肢の組み合わせを選択していくことである。
25
5A
 労働基準法第1条1項に
 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければなければならない」とあり、さらに同2項において、
 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、その向上を図るように努めなければならない」とある。
 これらにおける「労働条件」とは、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「労働条件とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう」とある。
18
1A
 1条2項において、
 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、その向上を図るように努めなければならない」とある
25
5B
 1条2項に、
 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」とある通り。
 問題文にある「この最低基準が標準とならないように」とは、労働基準法の基準を上回っているところについて、わざわざ法の基準に合わせようとしてはならないということ。
 なお、「労働関係」とは、「指揮命令により労働をさせる側と、それに従って労務を提供し見返りとして賃金を受ける側との関係」のことである。
 1条2項における「労働関係の当事者」とは、使用者と労働者だけでなく、それぞれが属する使用者団体、労働組合あるいは労働組合団体も含むものと考えられる。
12
1A
 ここでいう1条とは、1条2項のことであり、
 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」とある。
 一方、通達(S22.9.13基発17号、S63.3.14基発150号)によると、
 「労働条件の低下の原因が社会経済情勢の変動等のような決定的なものである場合には、労基法1条に抵触しない」
労働者にとっては有利な条件であったものを、労基法 ではこうなってているからと、基準通りに改めたために労働条件が低下することは許されない。
しかしながら、景気が悪くなったなど決定的な原因があってあむをえず低下させる場合は、1条違反とはならない。
ただしその場合であっても、当然のことながら、基準を下まわってはならない。

19
1
選択

 労働基準法第2条第1項においては、「労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものである」と規定されている。
[解説]
 
労働基準法第2条1項において、
 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」とある。
 参考までに、
 労働組合法1条1項では、
 「労働者が・・・労働者の地位を向上させること・・・」
 雇用対策法1条では、
 「労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、・・・労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図る・・・」
25
5C
 労働基準法第2条第1項に、確かに、「労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものである」とある。
 もともと、「労働者」、「使用者」は平等な人格を有しており、対等な人格同士による自由な契約に基づいて労働条件は決せられるべきものであるが、このような私法上の問題に対して、強硬法規的な労働基準法が規定を設けようとする理由は、労働法コンメンタール労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、
 「概念的な対等者間における現実の力の差と、労働者の人格から切り離すことのできない労働力の提供をその契約の内容とする労働契約の特質のゆえである。
 この現実の力関係の不平等を解決することが労働法の理念であり、本法においても、それは重大な視点である。
 本条第1項において労使対等の原則を宣明しているのは、右の理念を明らかにしたものである」と解説している。
28
1イ
 労働基準法2条1項に、確かに、「労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものである」とある。
 この場合の「対等な立場」とは、「社会的、経済的な力関係を離れて、相互の平等対等な人格を尊重する原則的な立場を意味するもの」と解されている。
 そして、労働法コンメンタール労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によれば、「本条は、原則を明らかにしたのみであって、現実に労働組合があるかどうか、また、団体交渉で決定したかどうかは、本条の問うところではない」としている。
 従って、「労働組合が組織されている事業場では、労働条件は必ず団体交渉によって決定しなければならない」ということまで言い切ることはできない。
 ただし、わざわざこのようなことを出題する意味がどこにあるかという点で疑問がある。
 過去問解説(25-5C)にもあるように、労働者と使用者には労働条件に関する交渉力において、大きな差があるのも現実である。
 よって、このような力関係の不平等を解決するために、日本国憲法28条において、「団結権、団体交渉権、争議権」を保障し、「労働基準法」のほか「労働組合法」、「労働関係調整法」からなる労働3法を制定して、対等の立場を担保しようとしていることも忘れてはならない。
21
1A
 2条1項に、
 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」とあり、
 対等な立場で決めたものであるから、その当然の帰結として、同2項に
 「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない」とあって、労働者にも履行の義務が課せられている。
 ただし、だからといって、履行しないからという理由だけで罰則が課せられるわけではなく、通達(S23.7.13基発1016)においても、
 「2条は労働条件の決定及びこれに伴う両当事者の義務に関する一般的原則を宣言する規定であるにとどまり、(中略)
 労働協約、就業規則及び労働契約の履行に関する争いについては、それが労働基準法各本条の規定に抵触するものでない限り、監督権行使に類する積極的な措置をなすべきものではなく、当事者間の交渉により、又はあっせん、調停、仲裁等の紛争処理機関、民事裁判所等において処理されるべきものであること」としている。
23
6C
 労働協約とは、「労使が団体交渉などによって取り決めた労働条件やその他の事項を書面に作成し、両当事者が署名又は記名押印したもの」である。
 本肢は、労働協約に関する最高裁判例[賃金請求(日本シェーリング)事件](H01.12.14)からの出題である。
 すなわちある会社が、経営状況が良好でないことの一因が従業員の稼働状況にあるとの認識に基づき、稼働率(前年一年間の稼働時間の所定労働時間に対する割合)を向上させるための方策 として、稼働率が80%以下の労働者を賃上げ対象から除外する労働協約をふたつの労働組合と締結した。しかしながら、この稼働率算定の基礎となる不就労として、欠勤、遅刻、早退によるもののほか、年次有給休暇、生理休暇、慶弔休暇、産前産後の休業、育児時間、労働災害による休業ないし通院、同盟罷業等組合活動によるものを含め たために、争いが起きたものである。
 その判決文によると、
 「従業員の出勤率の低下防止等の観点から、稼働率の低い者につきある種の経済的利益を得られないこととする制度は、一応の経済的合理性を有しており、当該制度が、労基法又は労組法上の権利に基づくもの以外の不就労を基礎として稼働率を算定するものであれば、それを違法であるとすべきものではない。
 そして、当該制度が、労基法又は労組法上の権利に基づく不就労を含めて稼働率を算定するものである場合においては、基準となっている稼働率の数値との関連において、当該制度が、労基法又は労組法上の権利を行使したことにより経済的利益を得られないこととすることによって権利の行使を抑制し、ひいては右各法が労働者に各権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるときに、当該制度を定めた労働協約条項は、公序に反するものとして無効となると解するのが相当である」
 よって、問題文にある「労働災害による休業を不就労期間とすること」は、労基法上の権利行使を抑制するものに該当するので、経済的合理性があるとはいえず、公序に反する ものとして無効である。
11
1A

 均等待遇に関する3条では、
 「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とある。
 ここで、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「労働条件とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう」
 参考:
 「信条とは特定の宗教的もしくは政治的信念をいい、社会的身分とは生来の身分をいう」(S22.9.13発基17号)
25
5D
 均等待遇に関する3条に、
 「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とあり、この場合の「労働条件」に関しては、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における切の待遇をいう」
 すなわち、「労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止している」のは正しい。
 差別に至る理由については、労働法コンメンタール労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、
 「本条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、本条で限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じている」と解説している。
 たとえば、「性別」を理由とする差別は3条違反とはならない。
 ただし、賃金についてだけは、4条において男女間での差別的取扱を禁止しており、その他の労働条件に関する男女差別の禁止は「男女雇用機会均等法」で規定されている。
 それ例外の理由による差別を禁止する規定はないが、民法90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とする」に該当する場合は、その差別は許されない。
14
1A
 均等待遇に関する3条では、
 「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とあり、性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止されていない。
 ただし4条において、賃金についてだけは、労基法においても男女間での差別的取扱を禁止している。
 その他の労働条件に関する男女差別の禁止は「男女雇用機会均等法」で規定されている。
19
1E
 均等待遇に関する3条では、
 「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とあり、性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止されていない。
 ただし4条において、賃金についてだけは、労基法においても男女間での差別的取扱を禁止している。
 その他の労働条件に関する男女差別の禁止は「男女雇用機会均等法」で規定されている。
 3条にある「国籍、信条又は社会的身分」は限定列挙であり、これ以外を原因とする差別は3条違反には該当しない。
23
1A
 均等待遇に関する3条では、
 「使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」
 一方、憲法14条は、
 「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」
 両者を比較すると、事由について最も重要な差異は、「労基法の3条では、性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止されていない」こと。(ただし4条において、賃金についてだけは、労基法においても男女間での差別的取扱を禁止している。その他の労働条件に関する男女差別の禁止は「男女雇用機会均等法」で規定されている )
 なお、「人種」、「門地」は3条の「社会的身分」に含まれているともいえる。
 一方、憲法においては、「国籍による差別はいかなる場合もあってはならない」とはされていない。
29
5ア
 均等待遇に関する3条においては、「性別を理由とする労働条件についての差別的取扱」は禁止されていない」。ただし、賃金についてだけは4条において、男女間での差別的取扱を禁止している。
 なお、女性の結婚、妊娠、出産に伴う退職制度、男女別定年制については、民法90条により無効とする判例が出されており、男女雇用機会均等法9条においても、これらを禁止する規定が設けられるにいたった。また、同法の5条では「募集・採用」について、同6条では「労働者の配置、昇進、降格及び教育訓練 、住宅資金の貸付けなどの福利厚生措置、職種及び雇用形態の変更、退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新」において、性別を理由とする差別を禁止している。
27
1B
 3条が禁止している差別的取り扱いとは、「労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とあることによる。
 一般に、差別的取扱いとは「不利に取扱うこと」と考えがちであるが、労働基準法においては、通達(S22.09.13基発17)に、「差別的取扱いをするとは、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含む」とある。
 このことは、4条の「女性であることを理由とする賃金の差別的取扱いについても同じである。(女性の場合は退職金を割増しする、などは駄目である)
24
4A
 均等待遇に関する3条において、「信条」の意味するところは、通達(S22.09.13発基)に、
 「信条とは、特定の宗教的もしくは政治的信念をいう」とある。
   なお、労働組合法では、その5条2項の4号において、
 「何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと」とあるが、労働基準法3条にいう宗教的信条は、いわゆる宗教というものに限らず、もう少し広い概念であると考えられている。
 なお、参考までに、「特定の宗教的信条を有しているからといって、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない。
 しかしながら、特定の信条に従って行動したしたときに、それが企業の秩序維持に対して重大な影響を及ぼすような場合は、その秩序違反行為そのものを理由として、就業規則等にもとづき制裁を課すなどは、3条違反とはいえない」とされている。
09
2D
 均等待遇に関する3条の「労働条件」には、雇入れそのものは含まれていない。
 これに関しては、いわゆる「三菱樹脂事件」(最高裁大法廷、S48.12.12)」があり、
 「三菱樹脂に採用されたある労働者が、3ヵ月間の試用期間満了直前に、大学在学中に学生運動に従事した事実を身上書に記載せず、面接の際にも秘匿したとの理由で、本採用拒否の告知を受けたことに対し、労働契約に基づく権利の確認と賃金の支払いを求めた」ものである。
 これに対する判決は、
  「企業者は、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないのである。
 また、労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない」
21
1B
 3条には、
 「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とあり、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「労働条件とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう」とある、
 しからば、雇入れに関してはどうかというと、これには有名な「三菱樹脂事件」についての最高裁判例があって、
 「労働基準法3条は賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない」とある。
28
1ウ
 前段については、3条にある通り。
 また、この労働条件についての差別の禁止は雇入れそのものについても及ぶか否かについての最高裁判例とは、いわゆる「三菱樹脂事件」(最高裁大法廷、S48.12.12)」のことであり、それによれば、
 「労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない」としている。
 つまり、労働基準法は、他人の指揮命令を受けて労働を提供し、その対償として賃金を得る、使用者と労働者との関係が成立した後に適用されるものである、ということ。
一般
15
5E
 前段部分は「三菱樹脂事件」についての最高裁大法廷判決(48.12.12)であり、正しい。
 ただし、法令による雇用についての制限が現状において全くないわけではない。
 例えば、労基法56条によると、
 「使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とあり、特別な条件下においても56条2項により、「満13歳に満たない児童についても、同様とする」とある。 
20
1E
 4条の、
 「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」の通り。
24
4B
 4条に、
 「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」とある。
 労働基準法が制定された当時の通達(S22.9.13発基17)によると、
 「本条の趣旨は、わが国における従来の国民経済の封建的構造のため、男性労働者に比較して一般に低位であった女性労働者の社会的、経済的地位の向上を、賃金に関する差別待遇の廃止という面から、実現しようとするものである」
 すなわち、賃金以外にもさまざまな差別があったが、一挙に解決することは困難であったことから、まず「賃金」を突破口にしたものである。
    また、一方では女性労働者は平等というよりは保護されるべき対象としてとらえられていた側面もあって、かっての労働基準法には、時間外労働や深夜労働などに対する保護規定が設けられていた。
 その後、長い時間の経過が必要であったが、昭和60年に「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」が公布され、その後、平成9年に「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(いわゆる男女雇用機会均等法)」と名称変更され、今日に至っている。
 すなわち、「女性であることを理由とした差別的取扱い」については、労基法では4条による「賃金による差別」のみを禁止しており、そのほかの 差別的取扱いについては、「男女雇用機会均等法」で規制されている。
 また、この男女雇用機会均等法の出現により、時間外労働や深夜労働などに対する労働基準法による別扱い規定も廃止された。
27
1C
 前段については、4条にある通りで、「女性であることを理由とした賃金に関する差別的取扱い」を禁止したものである。
 「賃金以外の労働条件に関し、女性であることを理由とする差別的取扱い」については、労働基準法では規定されていない。
 その経緯は過去問解説(24-4B)の通りで、現在においては、「男女雇用機会均等法」により規制されている。
25
5E
 4条には、
 「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」とある。
 この規定の趣旨については、過去問解説(24-4B)の通り。
 また、労働法コンメンタール労働基準法(厚生労働省労働基準局編)によると、
 「憲法14条第1項は、性別等により政治的、経済的又は社会的関係において差別されないと定めており、賃金の差別的取扱いのみに限らないのであるが、本条は、特に顕著な弊害の認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである」と解説している。
 なお、本条に違反した場合は、119条の1号に該当し、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。(参考までに、3条の「均等待遇」違反も同様である)
 また、女性であることを理由として差別的取扱いをするとは、「労働者が女性であることのみを理由として、あるいは社会通念として又は当該事業場において女性労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと、勤務年数が短いこと、主たる生計の維持者でないこと等を理由とすることの意であり、これらを理由として差別的取扱いをすることであって、
 その労働者の職務、能率、技能等によって、賃金に個人的差異があることは、4条に規定する差別的扱いではない」
10
1C
 4条により、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」とあるが、賃金以外のその他の労働条件については、労基法では禁止されていないので、この点において誤り。
 また、通達(S63.3.14基発150号)により、賃金に関しては、
 「不利に取り扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も差別的取り扱いに該当するため、女性であることを理由として男性よりも高い賃金を支払うことも4条違反となる」としており、こちらは禁止されている点で誤り。
21
1C
 4条では、
 「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」とある。
 この賃金に関する差別については、通達(S63.3.14基発150により、、
 「不利に取り扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も差別的取り扱いに該当するため、女性であることを理由として男性よりも高い賃金を支払うことも4条違反となる」としている。
12
1C
 通達(S22.9.13発基17号)によると、
 「退職金、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は、原則として賃金ではない。ただし、労働協約、就業規則、労働契約等によって、あらかじめ支給条件の明確なものは賃金である」
 としており、本肢の場合の退職手当は賃金である。
 賃金に関しては、通達(S63.3.14基発150号)により、
 「有利に取り扱う場合も差別的取り扱いに該当する」とあるので、4条の男女同一賃金の原則を逸脱している。
 さらに、92条により、
 「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」
 「2項 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる」
 とあり、これらから本肢は正しい。
16
1E

 15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、施行規則5条により明確に限定されている。
 一方、1条2条の労働条件の範囲は法の中では明確にされていないが、通達(S63.3.14基発150)によると、
 「労働条件とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう」とある。
ちょっと考えてみても、人たるに値する生活を営むための必要を満たすべき労働条件の範囲が、上記の表で示される範囲に限るかというと、答えは「ノー」にならざるを得ませんね。

25
6C
 15条1項に基づいて労働条件を明示するに当たって、明示すべき事項は施行規則5条に、
 「使用者が労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。
 1号の2:期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項 。
 ただし、1号の2に掲げる事項については、期間の定めのある労働契約であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る」とある。(契約更新の可能性がない場合は、当然のことながら明示は不要ということ)
 また、この1号の2は、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示357号)」によっていたものを、平成25年4月1日の改正によって、施行規則5条の中に組み込まれる形でより強固に規定されるようになったものである。
 また明示の方法については、同施行規則5条の2項と3項から、
 「絶対明示事項の1から4まで(昇給に関する事項を除く)は、書面による明示でなければならない」
 つまり、「期間の定めのある労働契約であつて、契約期間満了後に契約更新する場合があるときは、契約更新する場合の基準に関する事項を、書面で明示しななければならない」ことになる。
 参考までに、契約更新する場合の基準とは、通達(H24.10.26基発1026第2号)によれば、
 「更新の基準の内容は、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性について一定程度予見することが可能となるものであることを要する」
15
2A
 

 15条1項により、
 「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については書面の交付により明示しなければならない」 また、労働時間については施行規則5条の2号により、「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、所定労働時間を超える労働の有無、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項について書面の交付により明示しなければならない」

18
3C
 労働条件の明示15条1項により、
 「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については書面の交付により明示しなければならない」 
 また、労働時間については施行規則5条の2号により、
 「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、所定労働時間を超える労働の有無、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項について書面の交付により明示しなければならない」とある。
 しかし、所定労働日以外の日の労働(つまり休日労働)の有無については、特に規定されてはいない。
 休日労働を行わせることにより、所定労働時間を超えることが予想される場合は「所定労働時間を超える労働の有無」として明示しなければならないが、時間外労働有りとなっている場合に、さらに休日労働があるか否かについては、必ずしも明示しなくてよいことになっている。
 ⇒ 最終的には、就業規則と36条協定の中で明確になっていくはずである。
21
2B
 労働条件の明示15条1項により、
 「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については書面の交付により明示しなければならない」とあり、明示すべき具体的な事項は施行規則5条に定められている。
 その1号が、「労働契約の期間に関する事項」
 1号の3が、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」であり、いずれも文書による明示が義務になっている。
 ここで、雇入れ後に問題になると予想されるのが、これらと配置転換、転勤との関係についてである。
 その人の定年にいたるまでについてを入社時に決めて明示することは事実上できないので、通達(H11.1.29基発45)では、
 「雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を合わせ網羅的に明示することは差し支えない」としている。
 つまりは、勤務地の限定や職種の限定などは、それらを記載した特別な労働契約書等がある場合は別として、雇入れ時の労働条件の明示だけでは保証されていないということ。
24
2D
 施行規則5条1項に
 「使用者が15条1項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。
 ただし、4号の2から11号までに掲げる事項については、使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない」とあり、
 10号が「表彰及び制裁に関する事項」である。
 すなわち、「表彰に関する事項については、それに関する定めをする場合は、明示しなければならない」
 なお、明示の方法は口頭でもよい。また、定めていない場合は、明示しなくてよい(逆にいえば、定めなくてもよい)。
11
2D
 
 施行規則5条2項、3項により、
 「15条1項において、厚生労働省令で定める事項とは絶対明示事項の1から4まで(ただし、昇給に関する事項を除く)、また、厚生労働省令で定める方法により明示とは、書面による明示のことである」
 
退職手当や賞与に関する事項は、相対的明示事項すなわち定めをする場合には明示すべき事項であるから、書面による明示は要求されていない。
14
2C
 

 15条及び施行規則5条において、社会保険、労働保険に関する事項は定められていない。
 なお、職業安定法5条の3においては、
 「公共職業安定所及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者等は、職業紹介、労働者の募集に当たり、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件(契約期間、就業場所、賃金の額、健康保険、厚生年金、労災保険及び雇用保険の適用)に関する事項を明示しなければならない」とある。

15
2C

 「交付すべき書面の内容としては、就業規則等の規定とあわせ、労働契約締結後初めて支払われる賃金の決定、計算及び支払の方法ならびに賃金の締切及び支払の時期が、当該労働者について確定し得るものであればよく、例えば、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等に規定されている賃金等級が示され、その就業規則が労働者に周知されていれば差し支えない」(通達S51.9.28基発690号)

11
2C
 

 通達(H11.1.29基発45)によると
 「書面の様式は自由である。なお、明示すべき事項については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない」

24
7E
 労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、
 通達(H11.1.29基発45)によると
 「書面の様式は自由である。
 なお、明示すべき事項については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない」とある。
12
2C
 
 通達(H11.1.29基発45)によると
 「退職に関する事項については、退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならない。
 なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものであること」としている。
27
3C
 15条1項は、「賃金、労働時間その他の労働条件を明示」することを使用者に義務付けており、これは強硬規定であって、それに違反した場合は、120条により「30万円以下の罰金に処する」ことになっている。
 ただし、この場合の15条1項違反とは、「明示すべき範囲の労働条件を明示しない場合や省令で定められた事項について定められた方法(すなわち書面による方法)で明示しない場合のことで、あくまでも使用者の不作為が処罰の対象になっているのだ。
 労基法では、明示した労働条件が実際とは異なることだけで使用者を罰することまでは規定していない。
 ただし、15条2項により、「明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除できる」(どうしても納得いかない場合は、民事訴訟をおこすことである)
 また、雇用保険法においては、「特定受給資格者」になりうる。 
24
2E
 問題文の前段にある労働者派遣法44条2項には、
 「派遣中の労働者の派遣就業に関しては、派遣先の事業のみを、派遣中の労働者を使用する事業とみなして、公民権の補償、労働時間(32条、32条の2の1か月単位の変更労働時間制その他)・休憩・休日、時間外・休日労働、深夜業、危険有害業務、年少者、妊産婦、育児時間、生理休暇等の規定並びに当該規定に基づいて発する命令の規定(罰則の規定を含む)を適用する」とある通りで正しい。
 それでは、派遣元事業主は労働基準法15条による労働条件の明示において、これらに関わる事項は、明示義務を免がれるのかというのは、本肢の論点。
 これに関しては、通達(S61.06.06基発333)に、
 「派遣元の使用者は、労働者派遣法による労働基準法の適用に関する特例により、自己が労働基準法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて、 労働基準法15条による労働条件の明示をする必要があること」とある。
 つまりは、雇入れについて契約するときは、直接の責任は負わないとしても、派遣先の労働条件をしっかり把握し、これを明示て行わなければならないとされている。
 なお、登録型派遣の多くがそうであるように、労働契約の締結時点と派遣する時点が同時である場合には、
 労働基準法15条による労働契約時点での労働条件の明示義務と、労働者派遣法34条による派遣先における就業条件の明示義務を併せて行って差し支えないことになっている。
29
3E
 「労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用することとされている労働時間、休憩、休日等」とある。
 派遣労働者の場合、事業主は派遣元と派遣先がいるので、どちら(あるいは両者)を労基法上の使用者とするかについては、特別な規定があり、労働者派遣法44条2項によると、「派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして、労働時間(32条、32条の2の1か月単位の変更労働時間制その他)・休憩・休日等を適用する」とある。
 つまり、これらについては派遣先事業主のみを使用者として労基法が適用される。
 それでは、15条1項の2号にある「始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休労働時間、休憩、休日等に関する労働条件の明示義務も派遣先の事業主に課せられているか」というのが本肢の論点。
 これに関しては、通達(S61.06.06基発333)に、
 「派遣元の使用者は、労働者派遣法による労働基準法の適用に関する特例により、自己が労働基準法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて、 労働基準法15条による労働条件の明示をする必要がある」とある。
 なお派遣元事業主は、労働者派遣を行おうとするときは、労働者派遣法34条により、派遣先における就業条件の明示義務も行わなければならないことになっている。
 要するに、派遣元事業主が労働派遣を行う労働者を雇い入れするときは、派遣先のこともよく把握して労働条件を定め、それを明示しなければならないのだ。
21
3C
 89条の1号、2号、3号は、89条の本文中の「次に掲げる事項について就業規則を作成し・・・」とあることから、「いかなる場合であっても必ず記載しなければならない」いわゆる絶対的必要記載事項である。
 一方、3号の2から10号は、各号の文中に「・・・の定めをする場合は」とあることから、「定めをする場合においては必ず記載しなければならない(定めをしない場合は記載の必要はない)」いわゆる相対的必要記載事項である。
 もちろん、その他の事項であっても任意に記載することは構わない。
 記載事項の一部を欠いている就業規則の効力についてはどうかというと、通達(S25.2.20基収276)に、
 「89条の1号から3号までの絶対的必要記載事項の一部または、同条3号の2以下の相対的必要記載事項中で当該事業場が適用を受けるべき事項を記載しない就業規則についても、その効力発生について他の要件を具備する限り有効である。
 ただし、そのような就業規則を作成し届出ても、使用者の89条違反の責任は免れない(30万円以下の罰金)」とある。
14
6C
 フレックスタイム制を採用する場合の就業規則については、通達(S63.1.1基発1)において、
 「89条1項1号において、就業規則で始業及び終業の時刻を定めることと規定しているが、
 フレックスタイム制を採用する場合には、就業規則において、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨の定めをすれば同条の要件を満たすものである。
 その場合、コアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)、フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)も始業及び終業の時刻に関する事項であるので、それらを設ける場合には、就業規則においても規定すべきものであること。
 なお、このことに関して、フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる一日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたこととはならず、フレックスタイム制の趣旨に合致しないものである」とある。 
26
7エ
 フレックスタイム制を採用する場合の就業規則については、通達(S63.1.1基発1)から、
 「就業規則において、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨の定めをすればよく、 その場合、コアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)、フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)を設ける場合には、それらに関する事項を就業規則においても規定すべきであること。
 そうすれば、89条1項1号の「始業及び終業の時刻を定めることと」の要件を満たす(記載義務を果たす)ものとされる」 
25
1B
 89条1項2号にあるように、「賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」は絶対的必要記載事項である。
23
5A
 常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成する義務があるが、89条の3号 にあるように、
 「退職に関する事項(解雇の事由を含む)については、その就業規則において必ず記載しなければならない事項である」
  なお、「退職とは、日常用語としては期間満了による自然退職や労働者の意思に基づく任意退職等の場合を指し、使用者の意思に基く労働契約の終了である解雇を含まないのであるが、ここにいう退職は、解雇を含め労働契約が終了するすべての場合を指すと解すべきである。
 従って、「退職に関する事項」とは、任意退職、解雇、定年制、契約期間の 満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいう。
 なお、解雇の事由については、少なくともどのような事実がある場合に解雇されることになるのかが明確になっている必要があるものである」(労働基準法下厚生労働省労働基準局編より)

24
3オ

 前段については、89条の1号から3号までが絶対的必要記載事項であって、
 3号に「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」とあるとおり。
 後段については、過去問解説(23-5A)にある通りで、
 ここでいう「退職に関する事項」とは、任意退職、解雇、定年制、契約期間の 満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいう。
24
7A
 前段については、89条にあるように、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成する義務がある」
 しかし、その3号にはあるように、
 「退職に関する事項(解雇の事由を含む)については、その就業規則において必ず記載しなければならない」が、退職手当に関しては、その3号の2に、
 「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 を必ず記載しなければならない」とあって、いわゆる相対的必要記載事項に属する。
 後段の退職手当の支払義務について労働基準法では、
 「退職手当は労働協約、就業規則、労働契約等によって予め支給が明確にされている場合は賃金である。つまり、使用者に支払義務がある」とされているが、「勤続期間が3年以上の労働者に対して退職手当を支払わなければならない」などという規定はない。
28
5C
 「退職手当」については、89条の3号の2に、「定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を就業規則に記載しておかなければならないとある。
 問題文には、さらに「不支給事由又は減額事由を設ける場合」とあるが、どんな事由により退職手当が不支給あるいは減額されるかというルールは、退職手当の額の決定、計算方法そのものであるといえるから、このルールを設けておいて、就業規則に記載せずに適用することは、大いに問題があるといえる。
 この点、通達(S63.01.01基発1号)においても、
「・89条の3号の2の退職手当の決定、計算及び支払の方法とは、例えば、勤続年数、退職事由等の退職手当額の決定のための要素、退職手当額の算定方法及び一時金で支払うのか年金で支払うのか等の支払の方法をいうものであること。
・退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、これは退職手当の決定及び計算の方法に関する事項に該当するので、就業規則に記載する必要があること」としている。
 なお、退職手当に関する事項は詳細にわたる場合が多いことから、これらについて別の規則を定めることもできることにも注意を。
13
5C
 

 施行規則5条による労働条件の絶対明示事項2号は、
 「始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項」とあるが
 89条による就業規則の絶対的必要記載事項1号には、
 「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項」とあり、
 所定労働時間を超える労働の有無は、就業規則の絶対的必要記載事項ではない。
 ただし、所定労働時間を超えて労働させる場合があるときは、就業規則にその旨を記載しておく必要がある(就業規則によらない場合は、個々の労働者との何らかの合意が必要である)

15
2E
 

 就業規則における絶対的必要記載事項は、89条の1号から3号まで、すなわち、
 @ 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項、
 A 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算、支払方法、締切り日、支払日、昇給に関する事項、
 B 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

14
2B
 休職に関する事項は、労働条件の明示に対しては、施行規則5条1項11号の通りで、相対的明示事項になっており、定めをする場合には明示しなければならない。
 また、就業規則に対しては、89条10号により、「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、就業規則に記載しなければならない」 とされている。
23
5B
 常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成する義務があるが、89条の10号に、
 「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項 を就業規則に記載しなければならない」とある。
 よって、「ボランティア休暇制度」についても、これを当該事業場のすべての労働者に適用するものとして定める場合は、就業規則に 記載しなければならない。
25
1D
 前段の就業規則の作成と届出義務については、89条に、
 「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする」とある通り。
 後段の記載すべき事項については、同条の10号に
 「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、就業規則に記載しなければならない」 とされている。
 これについては、通達(基発157、S10.30)にも、
 「法89条10号の事項は、労働協約あるいは規定がなくても慣習等として存在する事項も包含するものと解してよいか」という問い合わせに対して、「従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである限り、見解の通り」とある。
23
2B
 労働契約の即時解除については、15条2項
 「15条1項(労働条件の明示)の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる」 とある通り。 
 ただし、即時解除できる対象は、明示されたすべての事項ではなく、15条1項、具体的には施行規則5条に定められている事項に限られる。
 ただし、その他の事項が原因である場合についても、契約不履行として民事で争うことはできる。
28
2B
 「労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違している」とある。この場合は、15条2項にあるように、「その労働者は即時に労働契約を解除することができる」
 「即時に」ということは、たとえば2週間前に申し出なければならないとか、明示された通りにやってくれと催告してからでないと解除できない、などということはなく、文字通り「直ぐに」解除できる。
 (明示された条件が契約内容であるから、直ぐにはやめないで、契約通りにやってくれて履行を要求する、それでも履行しない場合は損害賠償を請求することなども当然可能である。
 逆に、何もしないでそのままずるずると時間が経過してしまうと、そのような実態を容認したとも受け取られかねないので注意を要する)
 本肢の論点は、「契約を解除した場合、その労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる」か否である。
 民法でいう一般的な「契約解除」とはこのようなことをいい、解除されると、双方は「契約前の状態に戻す義務が発生することになる」
 しかし、労働契約の解除についてもこのように捉えると、これまでの賃金支払請求権もなくなるなど、不都合な点があるので、「労働契約関係を将来に向かって消滅させること」と解されている。
12
2D
 15条2項により、
 「明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる」ことになっており、その際は、3項により、帰郷旅費も請求できることになっている。
 さてこの本肢の場合は、通達(S23.11.27基収3514号)により、
 「15条1項は、労働者が自己の労働条件の具体的な内容を承知せずして雇入れられることのないよう、使用者に対し労働条件の明示を義務付けた規定であるから、設問のような条件は、労働契約に伴う付帯条件ではあるが、1項にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」には該当しない。
 従ってこの場合は2項の規定は適用されない」
29
3B
 「明示された労働条件と異なるために労働契約を解除」とある。
 このような場合は、15条2項にあるように、「(労働者側から)即時に解除できる」
 即時であるから少なくとも2週間前に通告などは不要であるが、ある程度時間が経過すると、その労働条件を承認したとも捉えられかねないので、それ相応の早い対応が必要であろう。
 続いて、「15条3項に基づいて使用者が負担しなければならない旅費」とある。
 それまでに若干でも労働したことがあれば、その日数に対応する賃金の支払いはもちろんであるが、それに加えて、契約解除後14日以内にくにに帰る場合は、必要な旅費も負担しなければならない。
 本肢では、この場合の帰郷旅費の範囲を問題にしているが、通達(S22.09.13発基17)によると、「必要な旅費とは労働者本人のみならず、就業のために移転した家族の旅費をも含むこと」とある。