21年度 法改正トピックス( 健康保険法に関する主要改正点)

  改正後 改正ポイント
   被保険者、適用除外者(3条1項8号)(H20.10.1)
 「社会保険庁長官、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る)
保険者となっていたのを、
 社会保険庁長官、健康保険組合に変更。
⇒4条にあるように旧政府管掌健康保険の保険者は全国健康保険協会であるが、適用除外の承認は社会保険庁長官が行う。
 基礎知識と過去問
保険者  保険者(4条)(H20.10.1)
 「健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く)の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする」

 「123条 日雇特例被保険者の保険の保険者は、協会とする」 
 「123条2項 日雇特例被保険者の保険の保険者の業務のうち事務は、日雇特例被保険者手帳の交付、日雇特例被保険者に係る保険料の徴収及び日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務は、社会保険庁長官が行う」

旧政府管掌健康保険の保険者は、政府から全国健康保険協会へ。
 基礎知識と過去問

日雇特例被保険者保険の保険者も政府から全国健康保険協会へ。
ただし、日雇特例被保険者手帳の交付(被保険者の得喪にかかわるので)、日雇特例被保険者保険料の徴収、日雇拠出金の徴収などは、従来どうり社会保険庁長官が行う。
 基礎知識と過去問  

管掌

事務
 管掌(5条) (H20.10.1)
 「全国健康保険協会は、健康保険組合の組合員でない被保険者(日雇特例被保険者を除く)の保険を管掌する」
 「2項 前項の規定により全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く)並びにこれらに附帯する業務は、社会保険庁長官が行う」
 市町村が処理する事務(203条) (H20.10.1)
 「日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち社会保険庁長官が行うものの一部は、政令で定めるところにより、市町村長が行うこととすることができる」
 「同2項 協会は、市町村(特別区を含む)に対し、政令で定めるところにより、日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち協会が行うものの1部を委託することができる」
政府管掌健康保険は。
 全国健康保険協会管掌保険へ。
ただし、被保険者の資格得喪、標準報酬月額・標準賞与額、保険料の徴収(任意継続被保険者を除く)等の業務は、社会保険庁長官に権限がある。 
 
 基礎知識と過去問
全国健康保険協会  設立と業務(7条の2)(H20.10.1新設)
 「健康保険組合の組合員でない被保険者(以下単に被保険者)に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会(以下単に協会)を設ける」
 「2項  協会は、次に掲げる業務を行う」
1  4章の規定による保険給付及び5章3節の規定による日雇特例被保険者に係る保険給付に関する業務
2  6章の規定による保健事業及び福祉事業に関する業務
3  前2号に掲げる業務のほか、協会が管掌する健康保険の事業に関する業務であって5条2項の規定により社会保険庁長官が行う業務以外のもの
4  1号及び2号に掲げる業務のほか、日雇特例被保険者の保険の事業に関する業務であって123条2項の規定により社会保険庁長官が行う業務以外のもの
5  前各号に掲げる業務に附帯する業務

 「3項 協会は、前項各号に掲げる業務のほか、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等及び同法の規定による後期高齢者支援金等並びに介護保険法の規定による介護納付金の納付に関する業務を行う」
 教会の組織等
 「7条の3 協会は、法人とする」
 「7条の9 協会に、役員として、理事長1人、理事5人以内及び監事2人を置く」
 「7条の18 事業主及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るため、協会に運営委員会を置く」 
 事務所(7条の4)
 「協会は、主たる事務所を東京都に、従たる事務所(支部)を各都道府県に設置する」
 報告の徴収等(7条の38) (H20.10.1新設)
 「厚生労働大臣は、協会について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして協会の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる」
 監督(7条の39)(H20.10.1新設)
 「厚生労働大臣は、協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、定款若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分し、その他協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は協会の役員がその事業若しくは財産の管理若しくは執行を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、協会又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる」
全国健康保険協会の新設に伴い。
 7条の2から7条の42までの条文を追加。

 基礎知識と過去問
保険者の秘密保持  保険者の秘密保持義務(7条の37)(H20.10.1新設)
 「協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない」
 「22条の2 7条の37の1項の規定は、健康保険組合の役員及び職員について準用する」
 秘密保持義務違反(207条の2) (H20.10.1改正)
 「7条の37の1項(22条の2の準用する場合を含む)の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」
全国健康保険協会の役職員についても、保険者としての秘密保持義務を課した。
健康保険組合の役職員に対する秘密保持義務は従来通り。(ただし、条文は199条の2から22条の2に移動)
 それに伴い新199条の2が制定された。
 
 基礎知識と過去問
 罰則についてはこちら
確認  資格喪失の確認(39条)H20.10.1施行
 「被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては社会保険庁長官、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては当該健康保険組合をいう)の確認によって、その効力を生ずる。
 ただし、36条4号に該当したことによる被保険者の資格の喪失並びに任意継続被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない」
 被保険者証の交付(施行規則47条)(1項は新設。2項、3項は繰り下げて改定。H20.10.1)
 「協会は、社会保険事務所長等から、法39条1項の規定により被保険者の資格の取得の確認を行った又は事業所整理記号及び被保険者整理番号の変更を行った旨の情報の提供を受けたときは、様式第9号による被保険者証を被保険者に交付しなければならない。
 ただし、当該情報の提供が、同一の都道府県の区域内における事業所の所在地の変更に伴い行われたものであるときは、この限りでない」
 「2項 健康保険組合は、法39条1項の規定により被保険者の資格の取得の確認を行ったとき、又は被保険者証の記号及び番号を変更したときは、様式第9号による被保険者証を被保険者に交付しなければならない
 「3項 保険者は、被保険者証を交付しようとするときは、これを事業主に送付しなければならない。
 ただし、被保険者が任意継続被保険者である場合においては、これを被保険者に送付しなければならない」
 保険者とは、
@全国健康保険協会管掌の場合は、当該協会、
A健康保険組合管掌の場合は、当該組合

 保険者等
とは
 
@全国健康保険協会管掌の場合は、社会保険庁長官、
 A健康保険組合管掌の場合は、当該組合

 確認に関する基礎知識と過去問 はこちら
 
 被保険者証に関する基礎知識と過去問 はこちら
   情報の提供(51条の2) (H20.10.1新設)
 「社会保険庁長官は、協会に対し、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格に関する事項、標準報酬に関する事項その他協会の業務の実施に関して必要な情報の提供を行うものとする」
 社会保険庁長官と協会の連携(199条の2)(H20.10.1)
 「社会保険庁長官及び協会は、この法律に基づく協会が管掌する健康保険の事業が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行う等、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする」  
 
保険給付  出産育児一時金の額(施行令36条)(H21.1.1)
 法101条の政令で定める金額は、35万円とする。
 ただし、病院、診療所、助産所その他の者であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものによる医学的管理の下における出産であると保険者が認めるときは、35万円に、1号に規定する保険契約に関し被保険者が追加的に必要となる費用の額を基準として、3万円を超えない範囲内で保険者が定める額を加算した額とする」
1  当該病院、診療所、助産所その他の者による医学的管理の下における出産について、特定出産事故(出産に係る事故のうち、出生した者が当該事故により脳性麻痺にかかり、厚生労働省令で定める程度の障害の状態となったものをいう)が発生した場合において、当該出生した者の養育に係る経済的負担の軽減を図るための補償金の支払に要する費用の支出に備えるための保険契約であって厚生労働省令で定める要件に該当するものが締結されていること。
2  出産に係る医療の安全を確保し、当該医療の質の向上を図るため、厚生労働省令で定めるところにより、特定出産事故に関する情報の収集、整理、分析及び提供の適正かつ確実な実施のための措置を講じていること。 
 産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産したときは、
 35万円+3万円(産科医療補償制度に係る費用についての加算額)

 家族出産育児一時金も同じ。
 日雇特例被保険者についても同じ
 船員保険法も同じ

 

 出産育児一時金の過去問はこちら
 家族出産育児一時金の過去問はこちら
 

 70歳代前半で一部負担金が現役並みとなる場合・ならない場合 施行令34条)
 「法74条1項3号の政令で定めるところにより算定した報酬の額は療養の給付を受ける月の標準報酬月額とし、同号の政令で定める額は28万円とする」
 「同2項 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する者については、適用しない。
 @被保険者及びその被扶養者(70歳到達月の翌月以後である者に者に限る)について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円(70歳以上の被扶養者がいない者にあっては、383万円)に満たない者  
 A(H21.1.1新設)被保険者(現在は被扶養者がいないが、被扶養者であった者(後期高齢者医療の被保険者に該当するに至ったため被扶養者でなくなった者であって、 そのまま5年を経過する月までの間にいる者に限る)及びその被扶養者であった者について前号の厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円)に満たない者 」
 70歳以上75歳前までの一部負担金が現役並みとならない者として、
 Aが追加された。
 Aとは、75歳以上の被扶養者が健康保険から排除されて後期高齢者医療制度に移ったため、単身者扱いとなってしまった者であっても、5年間は被扶養者がいるものとして、520万円の基準を適用する、ということ。

 

 基礎知識と過去問
 75歳到達時特例(施行令41条4項)H21.1.1新設)
 「@被保険者が後期高齢者医療の被保険者に該当したことにより健康保険の被保険者の資格を喪失した者が、その前日まで受けたその月の療養
A後期高齢者医療の被保険者に該当したことにより健康保険の被扶養者でなくなった者がその前日まで受けたその月の療養
B被保険者が後期高齢者医療の被保険者に該当したことにより健康保険の被保険者の資格を喪失したため、健康保険の被扶養者でなくなった者がその前日まで受けたその月の療養
についての合算額が、高額療養費算定基準額を超えるときは、高額療養費を支給する」
 「施行令 42条2項、4項 この場合の高額療養費算定基準額は通常の1/2とする」
 月の途中で、健康保険の被保険者あるいは被扶養者から、後期高齢者医療の被保険者などになった場合は、
 高額療養費算定基準額(自己負担限度額)は本来額の2分の1の額を、それぞれの医療保険制度にそれぞれ適用する。

 基礎知識と過去問
   保険料の徴収(155条) (H20.10.1改正)
 「保険者等は、健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金並びに健康保険組合においては日雇拠出金の納付に要する費用を含む)に充てるため、保険料を徴収する」
 「2項 前項の規定にかかわらず、協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者に関する保険料は、協会が徴収する」
 保険料等の交付(155条の2)(H20.10.1新設)
 「政府は、協会が行う健康保険事業に要する費用に充てるため、協会に対し、政令で定めるところにより、社会保険庁長官が徴収した保険料その他この法律の規定による徴収金の額及び印紙をもつてする歳入金納付に関する法律)の規定による納付金に相当する額から社会保険庁長官が行う健康保険事業の事務の執行に要する費用に相当する額(151条の規定による当該費用に係る国庫負担金の額を除))を控除した額を交付する」
 保険者等とは、社会保険庁長官と健康保険組合のこと。
 保険者は全国健康保険協会と健康保険組合になったが、全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者及び日雇特例被保険者の保険料は、引き続き社会保険庁長官が徴収する。
 ただし、協会管掌の任意継続被保険者に関する保険料は、協会が徴収する。

 基礎知識と過去問

 徴収の特例(159条の2) (H20.10.1新設)
 「社会保険庁長官が保険料を徴収する場合において、適用事業所の事業主から保険料、厚生年金保険料及び児童手当拠出金の一部の納付があったときは、当該事業主が納付すべき保険料、厚生年金保険料及び児童手当拠出金の額を基準として按分した額に相当する保険料の額が納付されたものとする」




 基礎知識と過去問
保険料  保険料率(160条1項) (H20.10.1)
 「全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の100までの範囲内において、支部被保険者(各支部の都道府県に所在する適用事業所に使用される被保険者及び当該都道府県の区域内に住所又は居所を有する任意継続被保険者)を単位として協会が決定するものとする」
 「2項 前項の規定により支部被保険者を単位として決定する一般保険料率(都道府県単位保険料率)は、当該支部被保険者に適用する」
政府管掌健康保険の保険料率8.2%(全国一律)は、
健康保険協会管掌となるに伴い、
1,000分の30から1,000分の100の間で、都道府県単位の各協会支部毎
に定めることになった
 
 
基礎知識と過去問
 保険料率の見直し(160条3項以降) (H20.10.1)
 「3項 都道府県単位保険料率は、支部被保険者を単位として、次に掲げる額に照らし、毎事業年度において財政の均衡を保つことができるものとなるよう、政令で定めるところにより算定するものとする」
 @療養の給付等のうち、当該支部被保険者に係るものに要する費用の額(国庫補助の額を除く)に次項の規定に基づく調整を行うことにより得られると見込まれる額
 A保険給付(療養の給付等を除く)、前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等に要する費用の予想額(国庫補助の額並びに日雇拠出金の額を除く)に総報酬按分率(当該都道府県の支部被保険者の総報酬額(標準報酬月額及び標準賞与額の合計額)の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率)を乗じて得た額
 B保健事業及び福祉事業に要する費用の額(国庫補助の額を除く)並びに健康保険事業の事務の執行に要する費用及び次条の規定による準備金の積立ての予定額(国庫負担金の額を除く)のうち当該支部被保険者が分担すべき額として協会が定める額。
 「4項 協会は、支部被保険者及びその被扶養者の年齢階級別の分布状況と協会が管掌する健康保険の被保険者及びその被扶養者の年齢階級別の分布状況との差異によって生ずる療養の給付等に要する費用の額の負担の不均衡並びに支部被保険者の総報酬額の平均額と協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の平均額との差異によって生ずる財政力の不均衡を是正するため、政令で定めるところにより、支部被保険者を単位とする健康保険の財政の調整を行うものとする」
 「6項 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならない」
 「8項 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない」
 「10項 厚生労働大臣は、都道府県単位保険料率が、当該都道府県における健康保険事業の収支の均衡を図る上で不適当であり、協会が管掌する健康保険の事業の健全な運営に支障があると認めるときは、協会に対し、相当の期間を定めて、当該都道府県単位保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる」
 「11項 厚生労働大臣は、協会が前項の期間内に同項の申請をしないときは、社会保障審議会の議を経て、当該都道府県単位保険料率を変更することができる 」
 「17項 協会は、第14項及び第15項の規定により基本保険料率及び特定保険料率を定め、又は前項の規定により介護保険料率を定めたときは、遅滞なく、その旨を社会保険庁長官に通知しなければならない」
 準備金(160条の2) (H20.10.1)
 「保険者は、政令で定めるところにより、健康保険事業に要する費用の支出に備えるため、毎事業年度末において、準備金を積み立てなければならない」
 組合員である被保険者の負担する一般保険料額の限度 (H20.10.1廃止)
 「旧163条 健康保険組合の組合員である被保険者の負担すべき一般保険料額が一月につき標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ1,000分の45を乗じて得た額を超える場合においては、その超える部分は、事業主の負担とする」
 基礎知識と過去問
 健康保険組合員の保険料額 (160条の13項)(H20.10.1)
 「1項及び8項の規定は、健康保険組合が管掌する健康保険の一般保険料率について準用する」
 健康保険組合管掌健康保険の一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の100の範囲内で、健康保険組合が決定 し、保険料率を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(内容においては従来通り)基礎知識と過去問
 準備金(160条の2) 法改正(H20.10.1新設)
 「保険者は、政令で定めるところにより、健康保険事業に要する費用の支出に備えるため、毎事業年度末において、準備金を積み立てなければならない」
 
 保険料の繰上げ充当(164条2項)(H20.10.1)
 「保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合は協会、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外の場合は社会保険庁長官をいう)は、被保険者に関する保険料の納入の告知をした後に告知をした保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した被保険者に関する保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その告知又は納付の日の翌日から6月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる」
 保険者は全国健康保険協会と健康保険組合
 保険者等は社会保険庁長官、全国健康保険協会(任意継続被保険者)と健康保険組合

 

 基礎知識と過去問

 
日雇特例
被保険者
 日雇特例被保険者の賃金日額(125条2項)(H20.10.1改正)
 「賃金のうち通貨以外のもので支払われるものについては、その価額は、その地方の時価により、厚生労働大臣が定める」
 社会保険庁長官から厚生労働大臣へ。
 基礎知識と過去問

 日雇特例被保険者の保険料(168条)(H20.10.1)
 「日雇特例被保険者に関する保険料額は、1日につき、次に掲げる額の合算額とする」 

1

 その者の標準賃金日額の等級に応じ、次に掲げる額の合算額を基準として政令で定めるところにより算定した額
 標準賃金日額に平均保険料率(各都道府県単位保険料率に各支部被保険者の総報酬額の総額を乗じて得た額の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率)と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額
イに掲げる額に100分の31を乗じて得た額

2

 賞与額(その額に1000円未満の端数がある場合には、これを切り捨てるものとし、その額が40万円(124条2項の規定による標準賃金日額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超える場合には、40万円とする)に平均保険料率と介護保険料率とを合算した率(護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額
 一般保険料率から平均保険料率へ。
 協会健保の一般保険料率は各都道府県支部単位で異なるため、総報酬額で加重平均した全国平均保険料率を求めて、日雇特例被保険者にはこの平均値を適用することにした。

基礎知識と過去問

 告知(170条)(H20.10.1)
 「事業主が169条2項の規定による保険料の納付を怠ったときは、社会保険庁長官は、その調査に基づき、その納付すべき保険料額を決定し、これを事業主に告知する」
 受払等の報告(171条)(H20.10.1)
 「事業主は、その事業所ごとに健康保険印紙の受払及び170条1項に規定する告知に係る保険料の納付(以下「受払等」)に関する帳簿を備え付け、その受払等の都度、その受払等の状況を記載し、かつ、翌月末日までに、 社会保険庁長官にその受払等の状況を報告しなければならない」
 日雇拠出金(173条)(H20.10.1)
 「社会保険庁長官は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び介護納付金の納付に要する費用を含む)に充てるため、155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合(日雇関係組合)から拠出金を徴収する」
 170条は、
 保険者を社会保険庁長官に 
 171条と173条は、
 日雇特例被保険者の保険の保険者を社会保険庁長官に
 

 基礎知識と過去問
   保険料等の督促及び滞納処分(180条)(H20.10.1)
 「保険料その他この法律の規定による徴収金(以下「保険料等」)を滞納する者(滞納者)があるときは、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合又は協会が管掌する健康保険の被保険者若しくは日雇特例被保険者であって58条(不正利得の徴収)、74条2項及び109条2項の規定による徴収金を納付しなければならない場合は協会、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外の場合は社会保険庁長官)は、期限を指定して、これを督促しなければならない。
 ただし、172条(繰上げ徴収)の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない」
 「5項 協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない」
 「保険料その他この法律の規定による徴収金」を以下の条文(182条((先取特権)、183条(徴収の通則)など)では「保険料等」とした。

 保険者を保険者等へ。
 保険者等とは、
 協会管掌任意継続被保険者は協会、
 協会管掌の当然被保険者と日雇特例費保険であって、不正利得の徴収など一定の場合は 
 協会
 組合管掌被保険者は健保組合
 その他は社会保険庁長官
 5項 協会を追加
 協会も滞納処分を行うことができるようになった。 
   基礎知識と過去問
 協会による広報及び保険料の納付の勧奨等(181条の2)((H20.10.新設 )
 「協会は、その管掌する健康保険の事業の円滑な運営が図られるよう、当該事業の意義及び内容に関する広報を実施するとともに、保険料の納付の勧奨その他社会保険庁長官の行う保険料の徴収に係る業務に対する適切な協力を行うものとする」 
基礎知識と過去問
 協会による保険料の徴収(181条の3) (H20.10.新設)
 「社会保険庁長官は、協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、厚生労働大臣の認可を受けて、協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができる」
基礎知識と過去問
権限の委任  権限の委任(205条)(H20.10.1施行)
 「この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる」
 改正前は
 「この法律に規定する厚生労働大臣の権限のうち健康保険組合の指導及び監督に係るものの一部は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる」
 ⇒あらたに全国健康保険協会に対するものが若干追加。
 保険医療機関の指定・指定取消、保険医の登録・登録取消、指定訪問看護事業者の指定・指定取消などが地方社会保険事務局長から、地方厚生局長へ。  
 基礎知識と過去問
罰則  「212条の2 H20.10.新設 7条の38の1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は7条の39の1項の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした協会の役員又は職員は、30万円以下の罰金に処する」