4 労働基準法 解答の解説  Tome塾Homeへ
4A  12-6A12-6B12-6E15-5A16-4A19-5E20-4D
4B  13-6E15-7B16-4B29-4B
4C  11-5E11-7E13-4A14-7B16-4C22-1C22-1D22-1E26-3イ
4D  10-5A11-7D12-7E13-7D16-4D18-4E23-7A23-7B23-7C24-2B29-7A29-7B29-7C30-1エ令元-2B令3-5C令5-3E
4E  12-6C12-6D15-5B16-4E17-2C22-7D22-7E17選択18選択28-2選択
12
6B
 38条の3において、「労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、所定の事項を定めた場合」とあり、就業規則による代替はできない。
 なお、労使委員会の決議であれば代替できる(38条の4の5項のH)し、労働時間等設定改善委員会の4/5以上の決議でも代替できる。(労働時間等設定改善委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例7条)
15
5A
 問題文に、「専門業務型裁量労働制を採用しようとする場合において、労働時間の算定については労使協定で定めるところによることとした場合」とある。
 これは、専門業務型裁量労働時間制(38条の3)に、「使用者が、書面による協定により、所定事項を定めた場合において、労働者を対象業務に就かせたときは、当該労働者は、2号に掲げる時間労働したものとみなす」とあるところによる。
 この場合、問題文では続いて、「協定に定めるべき時間は、1日及び1週間当たりの労働時間」とある。
 しかしながら、通達(S63.3.14基発150、H12.1.1基発1みなし労働時間)によると、「専門業務型裁量労働制において労使協定で定める時間は、1日の労働時間だけでなく、1か月の労働時間でも可能か」というお伺いに対して、回答は、「1日当たりの労働時間のみを協定する」とあるとおり。
 なお、1日当たりの(みなし)労働時間としては、法定労働時間を超える時間も許容され、たとえば、1日9時間労働したものとみなす場合は、所定労働時間8時間+時間外労働1時間労働したものとみなすことになり、実際の労働時間に拘わらず、もれなく1時間分の所定外労働賃金および割増賃金を支払う必要があることになる。
19
5E
 問題文に、「専門業務型裁量労働制を採用しようとする場合において、労働時間の算定については労使協定で定めるところによることとした場合」とある。
 これは、専門業務型裁量労働時間制(38条の3)に、「使用者が、書面による協定により、所定事項を定めた場合において、労働者を対象業務に就かせたときは、当該労働者は、2号に掲げる時間労働したものとみなす」とあるところによる。
 そして、当該協定に定めるべき時間は、通達(S63.3.14基発150、H12.1.1基発1みなし労働時間)によると、「専門業務型裁量労働制において労使協定で定める時間は、1日当たりの労働時間である」
 なお、問題分後半にある「休憩、深夜業及び休日に関する規定」については、通達(S63.3.14基発150、H12.1.1基発1)により、
 「労働時間のみなしに関する規定が適用される場合であっても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されないものであること」とされている。
 よって、法定休日に労働させた場合は、当然に、休日労働に対する割増賃金の支払義務が発生することになる。
16
4A
 38条の3の1項の4号に、
 「対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずることを定めなければならない」とある。
 参考までに、同条同項の5号では、「対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること」ともある。
 これらの趣旨は、
 「専門業務型裁量労働制の適用を受けている労働者について、健康上の不安を感じている労働者が多いなどの現状があることから、裁量労働制が働きすぎにつながることのないよう、専門業務型裁量労働制についても、企画業務型裁量労働制と同様に、労使協定により健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の導入を必要とすることとしたものである」(H15.10.22基発1022001)
20
4D
 企画業務型裁量労働制を採用する場合は、 38条の4の1項6号
 「使用者は、対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であって、対象業務に就かせたときは、決議で定める時間労働したものとみなされることとなる労働者を対象業務に就かせたときは、みなし労働時間、労働したものとみなすことについて、労働者の同意を得なければならないこと、及び同意をしなかった労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと」とあり、
 対象とする業務、適用する労働者の範囲と労働者の同意を得ること、みなし労働時間などについて労使委員会の決議が必要である。
 一方、専門業務型裁量労働制の採用する場合においても、38条の3から、「使用者が、厚生労働省令で定める業務の中から対象とする業務、みなし労働時間などについて労使協定による定めることにより、労働者を対象業務に就かせたときは、当該労働者は、みなし労働時間間労働したものとみなす」とある。
 本肢の論点は、専門業務型裁量労働制の場合も、労働時間のみなし適用について、労働者の同意を得ることが必要かということにある。
 この点については、これまでは明文化された規定はなかったが、このたびの法改正(R06.04.01)により、38条の3の6号「協定で定めるべき事項」として、厚生労働省令(施行規則24条の2の2の3項)に、
@号「使用者は、労働者を対象業務に就かせたときはみなし労働時間、労働したものとみなすことについて当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかつた当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと
A上記の同意の撤回に関する手続
 が追加された。
 これにより、本肢の解答は「正しいから誤りに」と真逆になった。
12
6A
 対象とする業務は、施行規則24条の2の2の2項および厚生労働省告示7号H9.2.14に定められており、
 「労使当事者間の協定により定められた任意の業務は対象にならない」
 労働法コンメンタール「労働基準法(令和3年版)」上P586に、「各事業場における業務の実態、その遂行方法等は千差万別であるので、厚生労働省令で定めた業務のうちどのようなものについて本制度を適用するかについては、各事業場における業務の実態等について熟知している労使間で協議し、労使協定で定めることとされている」
 つまり、対象業務は、厚生労働省令で定めた業務の中から選ぶ。
12
6E
 専門業務型裁量労働制は対象業務を限定して実施するものであり、「研究開発業務」については、厚生労働省令で定める対象業務(施行規則24条の2の2の2項)の1号「新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務」に該当する。
 要は、「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務」であればよく、どのような事業場でなければならないかという制約条件はない。
 労働法コンメンタール「労働基準法(令和3年版)」上P586に、「各事業場における業務の実態、その遂行方法等は千差万別であるので、厚生労働省令で定めた業務のうちどのようなものについて本制度を適用するかについては、各事業場における業務の実態等について熟知している労使間で協議し、労使協定で定めること」とされている。
 参考までに、企画業務型裁量労働制については、若干様相が異なり、対象業務については、38条の4の1項1号に「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とある。
 これについては、「労働基準法38条の4の1項の規定により同項1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」労働省告示149(H11.12.27)において、「事業運営上の重要な決定が行われる事業場(対象事業場)とは、当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場をいい、具体的には、@ 本社・本店である事業場、A前記@に掲げる事業場以外の事業場のうち、当該事業場の属する企業等に係る事業運営上の重要な決定を行う権限を分掌する事業本部又は地域本社、地域を統轄する支社・支店等である事業場等本社・本店に準ずるもの」とある
 よって、本肢の場合、その地方工場付属の研究所が中央研究所の指示等から独立して独自の研究開発業務を行うものであるか否かについて、判断されることになる。
15
7B
 この問題文をよく読むと、「省令で定める危険な業務又は健康上特に有害な業務」とあるが、36条1項ただし書きでは「健康上特に有害な業務」となっている。「危険な業務」などとは書かれていない。
条文はお経のごとく声を出して読み、耳で記憶しておくことも非常に有効な手段です。文を何度もよんでくれるカセットテープ講義がありますが、これは非常に良い教材です。
13
6E
 36条1項ただし書きにおいて、健康上特に有害な業務として省令で定められている業務は、施行規則18条により、
1  多量の高熱(低温)物体を取り扱う業務及び著しく暑熱(寒冷)な場所における業務
2  ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
3  土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
4  異常気圧下における業務
5  削岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務
6  重量物の取扱い等重激なる業務
7  ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
8  前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務
 よって、深夜業は含まれていない。
29
4B
 「坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長」については、36条1項ただし書きに「1日について 2時間を超えてはならない」とある通り。
 この規定の趣旨は、たとえ36協定の限度内であっても、「坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の合計が、1日について10時間を超えてはならない」ということである。
 この点については、通達(S41.09.19基発997)においても、「坑内労働等とその他の労働が同一の日に行われる、かつ、これら2種の労働時間数の合計が1日についての法定労働時間数(通常は8時間)を超えた場合においても、その日における坑内労働等の労働時間が1日についての法定労働時間数に2時間を加えた時間(通常は10時間)を超えないときは、36条1項本文の手続き(すなわち労使協定の締結と届出)がとられている限り適法である」としている。
 つまり、「坑内労働等に8時間従事した後にその他の労働(たとえばオフィスにおけるデスクワーク)を2時間を超えて従事させることは、36協定の限度内であれば、36条に抵触しない」
 ただし、通達(H11.03.31基発168)にあるように、「変形労働時間制の場合は、坑内労働等の労働時間が当該日の所定労時間+2時間を超えてはならない。よって、特定日においては坑内労働等の労働時間が10時間を超えることもありうる」
16
4B

 

 ここで、32条の2は1箇月単位の変形労働時間制、32条の4は1年単位の変形労働時間制、32条の5は1週間単位の非定型的変形労働時間制のことである。
 通達(H11.3.31基発168号)によると、
 「36条ただし書きは、坑内労働等の1日における労働時間が1日の法定労働時間数に2時間を加えた時間を超えた場合だけでなく、32条の2の規定により就業規則で変形労働時間制を定める場合は、その特定の日の所定労働時間を超える部分について適用されるものである。したがって変形労働時間制の場合、その日の所定労働時間が10時間であるときは、坑内労働等は12時間まで労働させることができる」
 なお参考までに、「坑内労働等の労働時間が1日の法定労働時間数に2時間を加えた時間数を超えてはならないとは、坑内労働等とその他の労働が同一の日に行われる場合にあっては、坑内労働等のみの労働時間が法定労働時間に2時間を加えた時間を超えてはならないのである。その他の労働時間の長さとあわせた合計労働時間については36協定限度内にあれば、差し支えない」
29
4C
 「坑内労働等(坑内労働など健康上特に有害な業務として指定された業務)の労働時間の延長」については、36条1項ただし書きに「1日について 2時間を超えてはならない」とある通り。
 しからば、この規定の意味するところを休日労働についてあてはめるとどうなるかについては、通達(S24.10.04基収1484、H11.3.31基発16など)において、「36条1項ただし書きは、通常の労働日においては原則として最長10時間を限度とする規定であるから、休日においては10時間を超えて休日労働をさせることを禁止する法意であると解される」とある。
 至極、もっともなことである。
11
7E
 労働者名簿について規定してある107条によると、
 「使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない」とあり、前半は正しい。
 後半については、通達(S51.9.28基発690号)によると、
 「日々雇い入れられる者についても、使用者は、書面により賃金に関する事項を明示しなければならない。
 ただし、同一条件で労働契約が更新される場合は、最初の雇入れの際に当該書面を交付することで足り、そのつど、書面を交付しなくても差し支えない」
 つまり、少なくとも最初の雇入れの際には、書面により賃金に関する事項を明示しなければならない。
22
1C
 労働者名簿について規定してある107条によると、
 「使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない」とある。
 なお、その他厚生労働省令で定める事項とは、施行規則53条の通りである。
⇒問題文にある「2か月以内の期間を定めて使用される者」は、健康保険法・厚生年金保険法の適用除外者ではあるが、労働者名簿への記入は必要である。
22
1D
 賃金台帳について規定した108条に、
 「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度、遅滞なく記入しなければならない」とある。
 なお、賃金台帳は労働者名簿とは違って、日々雇い入れられる者を含めてすべての労働者について記載しなければならない。
13
4A
 施行規則54条及び同4項の通りで、
 日々雇い入れられる者がその使用期間が1か月以下であれば、賃金計算期間は記入不要である。
16
4C

 賃金台帳に記載しなければならない事項は108条及び施行規則54条の通りで、
 始業・終業の時刻及び休憩時間を賃金台帳に記載する必要はない。
 ただし、いわゆるタイムカードや勤務簿などは、労働関係に関する重要な書類として3年間保存する義務はある。
26
3イ
 賃金台帳に記入しなければならない事項の中には、施行規則54条の6から「時間外延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数」、また7から「基本給、手当その他賃金の種類毎にその額」があり、これらは当然のことながら、「労働者各人別」に記入する必要がある。
22
1E
 記録の保存について規定した109条には、
 「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない」とあるが、附則143条によれば、「109条の規定の適用については、当分の間、同条中「5年間」とあるのは、「3年間」とする」
⇒当分の間は、従来通り3年ということ
14
7B

 109条においては、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない」とあるが、附則143条によれば、「109条の規定の適用については、当分の間、同条中「5年間」とあるのは、「3年間」とする」
 なお、「その他労働関係に関する重要書類」としては、たとえば、出勤簿、タイムカードや残業命令書・残業報告書あるいは残業時間申告書など労働時間に関係する書類、労使協定書、各種許認可書など。(H13.4.6基発339)
19
5C
 109条によれば、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない」とある。
 この109条で規定されている「保存義務のあるその他労働関係に関する重要書類」については、通達(H13.4.6基発339)によると、
 出勤簿、タイムカードや残業命令書・残業報告書あるいは残業時間申告書など労働時間に関係する書類、労使協定書、各種許認可書などである。
 なお、書類保管の期限については。本則である上記109条において「5年間」と規定されているが、附則143条によれば、「109条の規定の適用については、当分の間、同条中「5年間」とあるのは、「3年間」とする」とあるので、「当面の間」に限っては、3年でも正解である。 
11
5E
 記録の保存について規定した109条において、
 「労働関係に関する重要な書類は5年間保存しなければならない」とされているが、附則143条によれば、「109条の規定の適用については、当分の間、同条中「5年間」とあるのは、「3年間」とする」となっており、「当面の間」に限っては、3年でも正解である。
 3年間とはいつから数えるのかという起算日については、施行規則56条によると
 「退職に関する書類の場合の起算日は、労働者の退職又は死亡の日である」
29
7A
 労働基準法56条1項は、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでこれを使用してはならない」と定めている。
 すなわち、原則として中学を卒業するまでは使用してはならないということ。
 ただし、同条2項による例外はある。
10
5A
 年少労働者の最低年齢に関しては、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでこれを使用してはならない」」が原則であるが、この例外として56条2項から、
 「児童の健康及び福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童を、映画の製作又は演劇の事業については満13歳に満たない児童についても、修学時間外に使用することができる」とある。   
原則ではなく、いかなる場合も、修学時間外でなければ使用できない。
修学時間の方を調整してくれる学校があるといううわさもあるにはあるが。
29
7B
 年少労働者の最低年齢に関しては、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでこれを使用してはならない」」が原則であるが、この例外として56条2項から、
 「児童の健康及び福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童を、(映画の製作又は演劇の事業については満13歳に満たない児童についても)、修学時間外に使用することができる」とある。
 行政官庁(労働基準監督署長)の許可と修学時間外が条件である。
 なお、問題文にある「年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることを条件」は、57条により、「満18才に満たない者」を使用する場合であり、15歳到達年度末未満の者を行政官庁の許可をもって修学時間外に使用する場合は、さらに、学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない」
24
2B
 問題文に「(法に違反した労働契約については)、当該労働契約が無効である」とあるが、違反しているから無効というのはあり得ない。向無効にしてしまえば、賃金を請求する権利(使用者が払う義務)もなくなってしまい、労働者保護にはならない。
 ただし、違反状態はすぐに解消させないといけないから、
 最低年齢に満たない労働者の解雇については、通達(S23.10.18基収3102)に、
 「未就学児童が禁止されている労働に従事しているのを発見した場合、これに配置転換その他の措置を講ずるが、その事業場をやめさせねばならない時は、法第20条第1項本文後段の規定により30日分以上の平均賃金を支払い、即刻解雇しなければならない」
 つまり本肢の場合、違反を解消するために当該児童を解雇する場合には、それまでの労働に対する使用者の義務を果たすことはもちろんのこと、20条第1項本文後段すなわち、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」
 この場合は、予告をして30日後に解雇ではいけない。
 なお、労働基準法第56条の最低年齢違反をした使用者については、労基法118条により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる」
11
7D
 未成年者の労働契約について定めた58条2項によると、
 「親権者、後見人、労働基準監督署長は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向ってこれを解除することができる」とあるが、学校長については定めがない。


2B
 まず、満18歳未満の者に対する1か月単位の変形労働時間制の適用については、60条1項から、「(原則的には)適用されない」が、60条3項の例外適用規定により、「満15歳以上(満18歳未満)の者であれば、1週間について48時間、1日について8時間を超えない範囲内であれば認められる」としている。
 つまり、本来の1か月単位の変形労働時間制はだめであるが、15歳到達年度末以降の者であれば、若干の厳しい制約を課した状態での例外適用は認められるとしている。
 次に、「育児を行う者」に対しては、施行規則12条の6にあるように、「使用者は、育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない」が、1か月単位の変形労働時間制の適用を強制的に排除しているわけでなく、また「労働者側から、その適用除外を請求する」制度が法制化されているわけでもない。
 なお参考までに、妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)については、66条にあるように、「妊産婦が請求した場合においては、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定にかかわらず、1週間については40時間、1日については8時間を超えて労働させてはならない」とある。この場合は、1週間40時間、1日8時間以下とあるから、1か月単位の変形労働時間制の対象に形式的にはなっていても、実質的には余り意味がない。
23
7A
 満18歳未満の者に対する変形労働時間制の適用除外については、60条1項に 、
 「1箇月単位、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制の規定は、満18歳に満たない者については適用しない」とある。
 ただし、過去問解説(18-4E)にもあるように、60条3項の例外適用規定により、満15歳到達年度末以降の者であれば、若干厳しい制約を課した状態での1箇月単位あるいは1年単位の変形労働時間制が例外的に認められている。
 その場合であっても、フレックスタイム制の例外適用は認められていない
  出退勤時間(すなわち労働時間)をすべて自己責任で管理させるにはまだ少し早すぎる、という判断なのかもしれない。
18
4E
 満18歳未満の者に対する変形労働時間制の適用除外については、60条1項に 、
 「1箇月単位、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制の規定は、満18歳に満たない者については適用しない」とあり 、いわゆる変形労働時間制が適用されないことは原則として正しい。
 ただし、問題文にある32条の2とは1か月単位の変形労働時間制のことであって、60条1項の例外として3項に、「満15歳到達年度末以降の者で満18歳未満の者については、1週間について48時間、1日8時間を超えない範囲内において、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制により労働させることができる」とある。
 よって、本来の1か月単位の変形労働時間制はだめであるが、満15歳到達年度末以降の者であれば、若干の厳しい制約を課した状態での例外適用は認められるとしている。
 ただし、「1日10時間以内」ではなく、「1日8時間以内」でないとだめである。
13
7D
 満18歳未満の者に対する適用除外については、60条1項により、
 「変形労働時間制並びに時間外・休日労働・労働時間・休憩の特例の規定は、満18歳に満たない者については適用しない」とあり、よって、前半は正しい。
 しかし、災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等について規定した33条については、適用除外としていない。さらに、通達(S23.7.5基収1685)により
 「@年少者を33条1項の規定により、労働時間を延長し又は休日に労働させる場合には、年少者に関する労働時間、休日労働及び深夜業の規制は適用されない。
⇒非常災害時等においては深夜業もOK
  A官公署の事業に従事する公務員を、臨時の必要があるため33条3項の規定により、労働時間を延長し又は休日に労働させる場合には、年少者に関する労働時間、休日労働の規制は適用されないが、深夜業の規制は適用を排除されない」と明確になっている。
⇒公務員の場合は、非常災害時等における深夜業は不可
 ここで、33条1項、3項とは、
 「1項 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」
 「3項 公務のために臨時の必要がある場合においては、1項の規定にかかわらず、官公署の事業に従事する国家公務員及び地方公務員については、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」
12
7E
 過去問(13-7D)の解説の通りで、
 「満18歳に満たない年少者であっても、33条の災害時による臨時の必要がある場合は、時間外労働(深夜業も含む)、休日労働をさせることができる」  
30
1エ
 問題文の出だしに、「使用者は、労働基準法第56条第1項に定める最低年齢を満たした者」とある。
 56条1項によれば、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した者」がこれに相当する。(ただし、児童の健康及び福祉に有害でなく軽易な一定の労働については、行政官庁の許可のもとに同条2項による例外もある)
 問題文では続いて、「最低年齢を満たした者であても、満18歳に満たない者には、労働基準法第36条の協定によって時間外労働を行わせることはできない」とある。
 これは、60条に「36条による時間外及び休日労働、40条による労働時間及び休憩の特例の規定等は、満18才に満たない者については適用しない」による。
 そして、最後に「33条の定めに従い災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」とあり、この規定と18歳未満の者との関係が問題になっている。
 確かに、33条によれば、「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」とある。
 そこで、もう一度、年少者に対する労働時間と休日に関する規制60条を見ると、「33条を適用しない」とはなっていない。
 
⇒非常時の場合は、猫の手も借りたいのであるから、18歳未満の年少者であっても、時間外、深夜を問わずがんばってくれ、ということ。

3
5C
 労働基準法第33条によれば、「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その必要の限度において、32条(法定労働時間)から前条まで(1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的労働時間制)若しくは40条(労働時間及び休憩の特例)の労働時間を延長し、又は35条の休日に労働させることができる」とある通り。
 一方、満18才に満たない者については、60条に「変形労働時間制、36条(時間外及び休日労働)、40条(労働時間及び休憩の特例)及び41条の2(高度プロフェッショナル)の規定は、満18才に満たない者については、これを適用しない」とある。
 これでは、一見、満18才に満たない者に対する33条の適用は無理であるようにおもわれるが、上記の60条をよく読むと
@災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等(33条)
A休憩時間(34条)
B休日(35条)
C労働時間等に関する規定の適用除外(41条)
については、適用不可とは記載されていない。
 つまり、これらは、満18才に満たない者に対しても適用可である。
 上記@に関しては、通達(S23.7.5基収1685)においても、
 「年少者を33条1項の規定により、労働時間を延長し又は休日に労働させる場合には、年少者に関する労働時間、休日労働及び深夜業の規制は適用されない」とある。
           
23
7B
 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童については、56条により、「使用してはならない」 のが原則であるが、同2項に例外規定があって、
 「児童の健康及び福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする」とある。
 そして、その場合の労働時間については、60条2項に、「修学時間を通算して1週間については40時間修学時間を通算して1日については7時間」 とされている。
 なお、修学時間とは、通達((S63.3.14基発150)によると、
 「授業開始時刻から最終授業終了時刻までの時間から休憩時間(昼食時間を含む)を除いた時間である」
  1日当たり8時間ではなく、7時間であることにも注意を。
29
7C
 「労働基準法第56条第2項の規定によって使用する児童」とある。
 56条1項の原則によれば、「満15歳到達年度末まで」は使用してはならないが、同条2項に例外規定があり、
・児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童を、修学時間外に使用できる。
・映画の製作・演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても同様
 これらの者の法定労働時間は、60条2項から「修学時間を通算して1週間については40時間修学時間を通算して1日については7時間」とあるとおり。
 なお、36協定による時間外労働・休日労働はだめであるが、学校に行く日のいずれかを休日とし、学校に行かない日曜日を労働日とすれば、その日は休日労働ではないので1日7時間まるまる就労させることはできる。

5
3E
 年少者の、深夜業に関する61条は「使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない」、
 危険有害業務の就業制限に関する62条は「使用者は、満18才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除等をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない
 坑内労働の禁止に関する63条は「使用者は、満18歳に満たない者を坑内で労働させてはならない」とそれぞれ表現が若干異なっている。
 これらについて、通達(S23.05.18基収1625)によれば、「法61条1項及び現62条の「使用してはならない」は「労働させてはならない」又は「業務に就かせてはならない」と異なるか」との問い合わせに対して、
 回答は「すべて現実に労働させることを禁止する趣旨である」
23
7C
 年少者の深夜業禁止については、61条1項と2項 から、
 「使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時(地域又は期間を限っては午後11時から午前6時)までの間において使用してはならない 」とあるが、これには例外規定があり、61条5項があり、
 「56条2項の規定 によって使用する(15歳到達年度末未満)の児童(すなわち、健康及び福祉に有害でなくかつその労働が軽易なものについて行政官庁の許可を受けた場合の満13歳以上の児童 、特に映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童)については、 午後8時から午前5時(地域又は期間を限っては午後9時から午前6時)までの間において使用してはならない」とある。  
16
4D
 年少者の深夜業禁止については、61条1項と2項 から、
 「使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時(地域又は期間を限っては午後11時から午前6時)までの間において使用してはならない 」とあるが、これには例外規定があり、61条5項があり、
 「56条2項の規定 によって使用する(15歳到達年度末未満)の児童(すなわち、健康及び福祉に有害でなくかつその労働が軽易なものについて行政官庁の許可を受けた場合の満13歳以上の児童 、特に映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童)については、 午後8時から午前5時(地域又は期間を限っては午後9時から午前6時)までの間において使用してはならない」とある。
 よって、行政官庁の許可を受けた場合であっても、満13歳に満たない児童を午後10時まで使用することはいかなる場合もできない。
 ところで本肢に関しては、最近、通達(H16.11.22 厚労告407)が出され、
 「5項において、2項の時刻が適用されるのは、演劇の事業に使用される児童が演技を行う業務に従事する場合とし、この場合は当分の間、午後9時及び午前6時とする」
 すなわち、演劇の事業に使用される児童が演技を行う業務に従事する場合、深夜業として禁止されるのは午後9時から、逆に言えば、午後9時までは許されるということで、2項の時間の適用が明確にされた。
12
6C
 企画業務型裁量労働制においては、対象業務に従事する労働者の労働時間は、38条の4の1項に、「賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とするいわゆる労使委員会が設置された事業場において、
 当該委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決を行い、行政官庁に届け出た場合、決議した対象業務に就かせたときは、(実労働時間とは関係なく)決議したみなし時間、労働したものとみなされる」仕組みになっている。
 ここで、対象業務とは、同条1項1号にあるように、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務 」のこと。
 そして、同条1項2号にあるように、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者に、対象業務を行わせた場合に、決議で定める時間労働したものとみなされる
 すなわち、「企画業務型裁量労働制は、労使協定ではなく、労使委員会が設置された事業場において、労使委員会の委員の5分の4以上の決議で実施するものであリ、決議で定められた時間労働したものとみなされる」
17
2C
 企画業務型裁量労働制については、38条の4の1項から、、
 「賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする(いわゆる労使)委員会が設置された事業場において、当該委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により、所定の事項に関する決議をし、かつ、使用者が、当該決議を行政官庁に届け出た場合にその効力が発生する(すなわち実施できる)」
 この点は、通達(H12.1.1基発1)において、「決議は様式第13号の2により、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならない。この届出を行わなければ、38条の4の1項による企画業務型裁量労働制の効力は発生しない」とある。
⇒問題文にある「取締規定」とは、行政的規制の必要から、一定の行為を禁止したり制限する規定をいう。取締規定違反の行為が有効か無効かは、その規定の解釈を通して決まる」(自由国民社「法律用語辞典」)
労使協定についても、以下のような区別があり、重要ポイントでもある。 詳細は基礎講座
@ 締結・届出の義務がある。締結かつ届出をしないと無効 ⇒ 36協定
A締結して周知さえすれば有効で、免罰効果も発生するが、届出をしないと届出義務違反 ⇒1週間単位、1か月単位、1年単位の変形労働時間制
B 締結して周知さえすれば有効、届出の義務はない ⇒フレックスタイム制、賃金からの一部控除、一斉休暇の適用除外、有給休暇の計画的付与、有給休暇の賃金の標準報酬月額の1/30の額の適用 
28
2

 労働基準法第38条の4で定めるいわゆる企画業務型裁量労働制について、同条第1項第1号はその対象業務を、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」としている
 企画業務型裁量労働制が適用される対象業務は、38条の4の1項1号から、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」のこと。
 なお、語群にあるその他の候補者として、「使用者が業務に関する具体的な指示をすることが困難なものとして・・・」があるが、38条の3の1号にある専門業務型裁量労働時間制の対象業務が「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務」であり、これとの混同を狙って、しかも同じようなのを3つも用意してこの中から選ぶように仕掛けたのである。
16
4E
 企画業務型裁量労働制が適用される労働者とは、38条の4の1項1号にあるように、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務につく労働者」である。
 そして、その場合の労働時間については、「(労使委員会の)決議で定める時間労働したものとみなされる」
 この労働者に対する休憩の規定の適用については、通達(平成12.1.1基発1号)の通りであり、
 「みなし労働時間制に関する規定が適用される場合であっても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない」とあることから、企画型裁量労働制だけでなく、「事業場外労働」、「専門型裁量労働制」についても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない。さらに、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねるとした「フレックスタイム制」についても排除されない 
15
5B
 企画業務型裁量労働制が適用される労働者とは、38条の4の1項1号にあるように、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務(対象業務)につく労働者」である。
 その場合の労働時間については、38条の4の1項本文後段にあるように、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者に、対象業務を行わせた場合には、決議で定める時間(みなし労働時間)労働したものとみなされる
 すなわち、実際の労働時間が6時間であっても、決議で8時間と定められていた場合は、8時間労働したものとみなされる。
 その場合のみなしの範囲については、通達(平成12.1.1基発1号)に、
 「企画業務型裁量労働制に係る労働時間のみなしは、法4章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用されるものであること。
 したがって法6章の年少者及び6章の2の女性(現、妊産婦等)の労働時間に関する規定に係る労働時間の算定について適用されないものであること。
 また、労働時間のみなしが適用される場合であっても、法4章のうち、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されないものであること」とある。
 よって、深夜業に従事させたときは、深夜業に係る割増賃金を支払う必要がある。
17

 労働基準法第38条の4のいわゆる企画業務型裁量労働制については、厚生労働大臣は、同条3項に基づき、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、いわゆる労使委員会が決議する事項について(A)指針を定め、これを公表するものとするとされている。
 この(A)指針によれば、同条第1項第4号の対象労働者の「労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置」に関する留意事項として、「対象労働者については、業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだね、使用者が具体的な指示をしないこととなるが、使用者は、このために当該対象労働について、(B)労働者の生命、身体及び健康を危険から保護すべき義務(いわゆる安全配慮義務)を免れるものではないことに留意することが必要である」とされている。
 企画業務型裁量労働制について、厚生労働大臣が定めるものについては、38条の4の3項
 「厚生労働大臣は、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、労働政策審議会の意見を聴いて、1項各号に掲げる事項その他同項の委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとする」とある。
 労使委員会で決議すべき事項の一つとして、38条の4の1項4号に、「対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置」がある。
 「労働基準法38条の4の1項に規定により同項1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」(H11年労働省告示149号、最新改定令和5年厚生労働省令告示115号」によれば、「4.38条の4の1項4号に規定する事項」について、、
@健康・福祉確保措置を講ずることについては、次のいずれにも該当する内容のものであることが必要
・使用者による対象労働者の労働時間の状況の把握は、いかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものであること。その方法は、タイムカードによる記録、パソコン等の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切なものであること。
・把握した労働時間の状況に基づいて、対象労働者の勤務状況に応じ、使用者がいかなる健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にするものであること
A使用者が講ずる健康・福祉確保措置としては、次のものが適切である。たとえば
・一定休息時間の確保、勤務間インターバルの確保、深夜業の回数制限、労働時間の上限措置(一定時間を超えた場合の制度の適用解除)、年次有給の連続したまとまった日数の取得促進、一定労働時間を超えた場合の医師による面接指導等
B留意事項として、
 「対象労働者については、業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだね、使用者が具体的な指示をしないこととなるが、使用者は、このために当該対象労働者について、労働者の生命、身体及び健康を危険から保護すべき義務(いわゆる安全配慮義務)を免れるものではないことに留意することが必要である」としている。 
12
6D
 企画型裁量労働制について所定の事項を決議する労使委員会について、その要件を規定した
38条の4の2項の1号に、
 「労使委員会の委員の半数については、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)に任期を定めて指名されていること」とある通り。
 なお、12年当時の問題文においては、「かつ、当該事業場の労働者の過半数の信任を得ている」とあったが、この部分は、15年の改正により削除された。
 問題分の後段(R06の法改正に伴う追加部分)については、施行規則24条の2の4の1項に、「「法38条の4の2項1号の規定による指名は、法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者以外の者について行わなければならず、また、使用者の意向に基づくものであつてはならない」とある通り。
22
7E
 労使委員会の要件について規定した38条の4の2項によると、その1号に、
 「労使委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に任期を定めて指名されていること」とあるが、
 「労働者の投票又は挙手によって選出されなければならない」とまでは、規定されていない。
 通達(H12.01.01基発1)によれば、
 「委員の指名は、41条2号に規定する監督又は管理の地位にあるもの以外の中から、任期を付して行うものであること。
 使用者及び委員の指名を行う当該事業場の労働組合又は過半数代表者は、企画業務型裁量労働制の対象労働者及び対象労働者の上司の意見を反映しやすくする観点から、指名する委員にそれらの者を含めることが望ましいこと」とあるだけである。
 なお参考までに、労働者の過半数代表者の選出にあたっては、施行規則6条の2において、
 「投票、挙手等の方法により選出されたものであること」とされている。
22
7D
 前段については、38条の4から、
 「賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする労使委員会が設置され、当該委員会が5分の4以上の多数による決議をし、行政官庁に届け出た場合は、いわゆる企画業務型裁量労働制を実施できる」
 このような労使員会の決議の効力については、企画業務型裁量労働制の実施に限らず、同条5項にあるように、
 「1項の労使委員会において、その委員の5分の4以上の多数による議決により、
 @からKまでについて決議が行われた場合には、協定を締結したものと、36協定については、決議を届けることで協定を届けたものとすることができる」とあり、
 労働時間・休憩及び年次有給休暇に関する労働基準法上の労使協定に代替する決議を行うことができるものとされている。
 この点については、通達(H15.12.26基発1226002/)においても、
@貯蓄金の管理、賃金からの一部控除に関する協定以外の労使協定は、労使委員会決議で代替することができる。
Aその場合、36協定、企画業務型裁量労働制以外の決議は、所轄労働基準監督署への届出義務もない
 なお、労使協定と労使委員会・労働時間等設定改善委員会決議のまとめについては、
こちらをどうぞ
18

 労働基準法第38条の4の規定によるいわゆる企画業務型裁量労働制を適用するに当たっては、同条第1項に規定する委員会において、同項第4号に定める事項、すなわち、「対象業務に従事する対象労働者の範囲に属する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること」等を決議することが求められており、同条第4項において、同条第1項の規定による決議の届出をした使用者は、労働基準法施行規則第24条の2の5の規定により、労働基準法第38条の4第1項第4号に規定する労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況について、同条第1項に規定する決議の有効期間の始期から起算して6箇月以内に1回及びその後1年以内ごとに1回、所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこととされている。
  企画業務型裁量労働制を実施するに当たっては、企画委員会において、一定の事項として、たとえば本肢の場合は、38条の4の1項4号により、「対象業務に従事する対象労働者の範囲に属する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置」を決議することが求められている。
 そして、これを含めた所定の事項を定めた決議を所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、企画務型裁量労働制の実施がはじまる。
 そして、この決議を届けた使用者については、38条の4の4項に、「決議の届出をした使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、定期的に、健康・福祉確保措置の実施状況を行政官庁に報告しなければならない」とあって、厚生労働省令(施行規則24条の2の5)によれば、「報告は、同条1項に規定する決議の有効期間の始期から起算して6か月以内に1回及びその後1年以内ごとに1回、様式13号の4により、所轄労働基準監督署長にしなければならない」とある。
 なお、施行規則24条の2の5はR06.04.01の法改正で、「決議が行われた日から起算」は「決議の有効期間の始期から起算」に変更された。